エイブルの退去費用を精算するのは貸主です|敷金の返還は退去後1〜3か月、効くのは入居後1週間で出す「室内現況確認書」

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この記事で分かること
  • エイブルが公式サイトで金額として書いているのは「敷金の返還時期」だけだということ
  • 退去の精算にいちばん効くのが、入居後1週間で出す「室内現況確認書」だという理由
  • 解約通知が「到着した日」から1か月分の賃料が動く仕組み
  • 退去の日に返すもの一覧と、返し忘れると全額負担になるもの
  • 契約アンペアを変えた人が、退去前にやっておくこと
エイブルで借りた部屋を出るとき、退去費用がいくらになるのかを公式サイトで調べても、金額はほとんど出てきません。大東建託の定額クリーニング費、レオパレスの補修単価、ビレッジハウスの部屋ごとの実額のような数字が、エイブルには公開されていないからです。
これは情報を隠しているというより、精算をする相手がエイブルではないことによります。エイブルの公式サイトは、敷金について「退去後1ヶ月〜3ヶ月程度で貸主様よりご返金されます」と書いています。返すのは貸主で、エイブルは窓口です。
そのかわり、エイブルの公式サイトには金額以外の条件が細かく書かれています。解約通知の受付日の数え方、立会いが要る場合と要らない場合、返却するものの一覧、そして退去時の精算に反映される書類の話です。
※ 本記事のエイブルに関する記載は、エイブル公式サイトの「入居者様暮らしのサポート」内にある「よくあるご質問」(契約関連>解約/入居前の手続き/入居・退去時の注意事項/住まいのメンテナンス/各種お問い合わせ先)の記載によります(いずれも2026年9月16日に取得)。物件・契約内容によって扱いが異なるため、実際の判断は賃貸借契約書とご契約店舗への確認をお願いします。

エイブルの退去費用は、いくらくらいかかりますか

エイブルは退去費用の金額を公表していません。公式サイトが金額の目安として書いているのは「敷金は退去後1ヶ月〜3ヶ月程度で貸主様よりご返金されます」という返還時期だけで、クリーニング費の単価も、補修の単価も出ていません(2026年9月16日時点)。
同じ質問の回答には、こう続きます。
お部屋の使用状況により修繕費用が敷金を上回り別途請求される場合があります
つまり、敷金の範囲で収まるとも、収まらないとも書いていません。金額は契約ごとに決まる、という立て付けです。
これは他社と比べると、位置づけがはっきりします。
会社退去時の清掃費の公開のしかた敷金
エイブル非公開。金額として公開しているのは敷金の返還時期(退去後1〜3か月)だけ契約による
ビレッジハウス1,210円/m²(税込)。部屋ごとの実額を物件ページに掲載原則なし
大東建託定額クリーニング費の有無で変わる仕組みを公開契約による
レオパレス21補修の単価を公開契約による
UR賃貸住宅部位ごとの負担区分を公開。敷金から精算家賃2か月分
大和リビング特約が優先。特約の中身も金額も非公開契約による
※ エイブル以外の各社の欄は、各社公式サイトの記載に基づきます(2026年9月に取得)。「契約による」は、敷金の有無が契約内容や審査の結果で変わると各社が説明しているという意味です。
金額の高い安いより、いつ金額を知れるかが会社ごとに違います。エイブルは、契約書を見るまで分かりません。

なぜエイブルの公式サイトに金額が書いていないのですか

エイブルは仲介が主な事業で、借りた部屋の貸主や管理会社がエイブルとは限らないからです。法人向けサイトには「仲介店舗ネットワーク約800店舗」「賃貸管理戸数約30万戸」と書かれています(直営店実績・2021年7月時点)。仲介した部屋の数と、自社で管理している戸数は別です。
この区別は、公式のよくある質問にも表れています。車庫証明の発行についての回答は、次のように窓口を分けています。
  • エイブル管理物件の場合 … お部屋を申し込んだ営業店に連絡
  • エイブル管理物件以外の場合 … 賃貸借契約書に記載されている貸主または管理会社に連絡
お客様相談室の案内はさらに直接的で、「弊社管理物件の設備不具合等は対応しておりません。対応窓口のご案内となっております」と明記されています。
つまり「エイブルで借りた」と「エイブルが管理している」は、別のことです。手元の賃貸借契約書に書かれている貸主と管理会社の名前を、退去の前に一度見てください。そこがエイブル以外なら、退去費用を決めるのはその会社です。

退去の精算にいちばん効くのは「室内現況確認書」です

エイブルは、入居後1週間以内に「室内現況確認書」を提出するよう求めています。公式サイトはこの書類について、「退去時の精算の時にも反映される大切な情報です」と書いています。
手順として書かれているのは3つです。
  1. 家具・荷物等の搬入前に室内確認を行う
  1. 気になる箇所は、室内現況確認書へ記載する
  1. 記載した室内現況確認書は、1週間以内に提出する
そして、問題箇所がない場合も必ず提出するよう書かれています。
原状回復についての回答にも、同じ趣旨が繰り返されています。「入居前に必ず既存のキズや汚れを確認していただき、退去する際にトラブルにならぬよう、入居後1週間以内に『室内現況確認書』の提出をお願いします」。
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国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」も、第1章の「Ⅰ-1 物件の確認の徹底」で、入退去時にチェックリストを作り、当事者が立会いのうえ十分に確認することが必要だとしています。写真や平面図の併用も重要で、訴訟等に発展した場合でも証拠資料になりうると明記されています。
退去のときに「これは入居前からあった傷です」と言っても、記録がなければ証明できません。この書類は、退去費用を下げるための唯一の事前準備です。すでに入居している人で提出した覚えがない場合は、ご契約店舗に控えの有無を確認してください。
※ 提出期限を過ぎた場合の扱いについて、公式サイトには記載がありません。

解約の連絡はいつまでにすればいいですか

退去日の1か月前までに、書面で解約手続きを行います。電話での受付はできません。公式サイトは「賃貸借契約の解約は退去日の1ヶ月前までに解約手続きを行います(書面のみの受付となります。電話での受付はできません)」としたうえで、「解約予告1ヶ月の場合です。契約書記載の解約予告期間を優先します」と注記しています。
ここで押さえておくべきなのは、日数の起算点です。
「解約通知書」が到着した時点ではじめて解約の受付となります。万が一解約受付日から退去日までの期間が1ヶ月未満の場合は解約受付日から起算して1ヶ月後まで賃料をご負担していただくことになります
投函した日ではなく、届いた日です。郵送で送って数日かかると、その分だけ賃料を負担する期間が後ろにずれます。公式も「郵送事情を考慮したうえで、日数に余裕をもって投函してください」と書いており、営業店の窓口でも手続きできるとしています(その場合は認め印を持参)。
あわせて、次の点も公式に明記されています。
  • 一度受付された解約通知は撤回できません
  • 退去月の賃料が日割計算となる場合は、当該月の実日数による日数計算で算出します
  • 貸主の違う駐車場の解約がある場合は、別途解約通知書が必要です
  • 解約通知書を送ってから1週間以上経っても受領の連絡がない場合は、営業店に連絡してください
最後の1つは、実務として効きます。書面のみの受付で、届いた日が起算点である以上、届いていないことに気づくのが遅れるほど損をします。送りっぱなしにせず、1週間で確認してください。
解約通知書とは別に手続きが要るものも、公式が列挙しています。入居者総合保険の解約(保険会社へ直接)、保証会社の解約(取扱会社へ直接)、郵便局への転居届、電気・ガス・水道・電話・インターネットの停止と精算です。

退去の立会いは必ずありますか

必ずではありません。公式サイトは「退去立会いが必要な場合と不要な場合があります」と書いており、それぞれの段取りを分けて説明しています。
  • 立会いが必要な場合 … 指定業者から立会い日の確認の連絡がある。鍵は立会い業者へ返却する
  • 立会いが不要な場合 … 鍵の返却等について、貸主または店舗に確認が必要
入居・退去時の注意事項のページでも、「借主様は部屋を退去する際に退去立会いが必要になる場合があります」と、同じく条件つきの書き方をしています。
立会いが不要な場合でも、鍵をどう返すかは自分で確認しなければなりません。民法第622条の2第1項は、貸主が敷金を返還しなければならないのを「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」としています。鍵が戻っていなければ、精算は始まりません。
なお、立会いの場で精算書にサインを求められることがありますが、サインしたからといって負担額に同意したことが確定するわけではありません。国土交通省ガイドラインのQ&A Q14が根拠です。

退去の日に返すものは何ですか

賃貸借契約時に貸与された物すべてです。公式サイトが挙げているのは次の3つです。
  • 部屋の鍵(機械式駐車場・トランクルーム等・オートロックのスペアキーを含む、すべての鍵
  • 設備の取扱説明書
  • 設備の機材(エアコンのリモコン等)
鍵については、「万が一鍵を紛失されますと取り替えとなり、その費用は別途負担していただくことになります」と明記されています。
ここは経過年数が効かない部分です。国土交通省ガイドラインの別表2は、鍵の紛失について、交換費用相当分を全額借主負担とし、経過年数を考慮しないものに分類しています。何年住んでいても減額されません。
エアコンのリモコンも同じ扱いです。エイブルの負担区分の例示では、「エアコン用リモコン等の紛失」が借主負担の例として挙げられています。
部屋の状態については、次の2つが条件として書かれています。
  • 荷物をすべて部屋から出すこと
  • 室内のゴミや不用品をすべて処分すること。残置物がある場合、別途処分費用を負担することになります
粗大ごみは自治体への申し込みが要り、収集までに時間がかかります。公式も「お引越し前の場合は早めに連絡を行ってください」と書いています。退去日が決まった時点で、処分の予約を先に取ってください。

契約アンペアを変えた人は、戻してから退去してください

エイブルの公式サイトは、契約アンペア数を変更した場合について「退去をする際には入居時の契約アンペア数に戻していただきますようお願いいたします」と書いています。
これは他社の退去案内にはあまり出てこない項目です。入居中にブレーカーが落ちるのでアンペアを上げた、という人は該当します。
アンペアの変更は電力会社への連絡で行い、費用はかからないのが一般的ですが、工事の日程を取る必要があるため、退去日の直前では間に合わないことがあります。手続き自体の流れは電力会社ごとに違います。

どこまでが借主の負担ですか

エイブルは、貸主が負担するものと借主が負担するものを、例示つきで公開しています。
区分考え方公式が挙げている例
貸主が負担破損等がなく次の入居者のために行うもの(経年劣化・通常損耗)壁紙(クロス)・床の日照による変色/家具の設置によるカーペットのへこみ/畳の裏返し、表替え/網戸の張り替え/浴槽、風呂釜などの取り替え/冷蔵庫の後部座面の黒ずみ(電気焼け)
借主が負担故意過失によるもの。故障や不具合を放置して発生・拡大したものタバコの不始末による床材の焼け焦げ/引越作業などで生じたひっかきキズ/結露を放置したために拡大したシミやカビ/タバコのヤニ汚れ/床、壁、天井、建具への落書き/エアコン用リモコン等の紛失
この区分は、国土交通省ガイドラインの考え方に沿っています。ただし公式サイト自身が、「契約時に特別な定めがなされる場合がありますので、契約書の内容を事前に確認し負担の範囲に注意しましょう」と2か所で注意しています。特約があれば、特約が先に効きます。

冷蔵庫の裏の黒ずみは、どちらの負担ですか

負担区分のページでは、貸主が負担する例に入っています。
ところが同じエイブルの公式サイトでも、住まいのメンテナンスのページには次のように書かれています。
電化製品(冷蔵庫・テレビ・電子レンジなど)の裏側には、弱電力により黒いスス(電気焼け)が付くことがあります。退去時に壁紙(クロス)を貼替えなくてはならない場合がありますので十分に注意してください。
こちらには、誰が費用を払うのかが書かれていません。貼り替えが必要になるという事実だけです。
国土交通省ガイドラインの負担区分では、電気ヤケは貸主負担の例として扱われています。エイブルの負担区分のページも同じ側に置いています。注意喚起と負担区分は別の話だと読むのが自然ですが、2つのページを並べると分かりにくいのは確かです。
実務としては、壁から10cm以上離して置くという公式の予防策に従っておけば、そもそも争点になりません。

長く住んだ人の負担は下がります

国土交通省ガイドラインでは、壁紙(クロス)・カーペット・クッションフロア・畳床は6年で残存価値1円まで下がる計算です。長く住んだ人ほど、この部分の負担割合は小さくなります。
逆に、鍵の紛失や、通常の清掃を実施していない場合のクリーニングは経過年数を考慮しないとされています。設備ごとの耐用年数と負担割合の計算は、次の記事にまとめてあります。
※ 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月・全173ページ)第1章および別表2より。「6年住めば0円」ではなく、故意・過失で使用不能にした場合は本来機能していた状態まで戻す費用の負担があり得ると本文に明記されています。

請求額に納得できないときは、どこに相談しますか

まずご契約店舗、次に公的な窓口です。エイブルにはお客様相談室(0120-17-8126/平日10:00〜18:30、年末年始・土日祝を除く)がありますが、公式サイトは「弊社管理物件の設備不具合は対応出来ません」「対応窓口のご案内となっております」と書いています。金額の交渉をする窓口ではありません。
金額そのものは、相対交渉 → 行政機関への相談(消費生活センター。全国共通の電話番号は188)→ 調停・仲裁 → 訴訟の順で動くのが国土交通省ガイドラインの整理です。このとき効いてくるのが、入居時に出した室内現況確認書と、入居時・退去時の写真です。手元に記録があるかどうかで、話せることが変わります。

よくある質問

エイブルの退去費用の相場はいくらですか。
公式サイトに金額の記載はありません。エイブルが公開しているのは敷金の返還時期(退去後1〜3か月程度)だけで、清掃費や補修の単価は出ていません。金額は賃貸借契約書と特約で決まります。
退去の連絡は電話でもできますか。
できません。公式サイトは「書面のみの受付となります。電話での受付はできません」と明記しています。解約通知書が手元にない場合は、最寄りの営業店に連絡してください。
解約通知を出したあとで、やっぱり退去をやめられますか。
できません。「一度受付された解約通知は撤回できません」と公式に書かれています。退去日を決めてから提出してください。
退去の立会いは断れますか。
立会いが必要な場合と不要な場合があると公式が書いているため、一律には決まりません。不要な場合でも鍵の返却方法を貸主または店舗に確認する必要があります。なお、立会いでサインをしても負担額に同意したことにはならない、というのが国土交通省ガイドラインの考え方です。
敷金はいつ返ってきますか。
公式サイトは「退去後1ヶ月〜3ヶ月程度で貸主様よりご返金されます」としています。確認が取れない場合は担当店舗に連絡するよう案内されています。
入居のときに室内現況確認書を出していません。今からできることはありますか。
まずご契約店舗に、提出済みかどうかと控えの有無を確認してください。提出していない場合でも、現在の部屋の状態を写真に撮って日付を残しておくことはできます。入居時の状態の証明にはなりませんが、退去時の状態の記録にはなります。

退去日を決める前に、引っ越しの手配を並行させてください

解約通知書が届いた日から1か月分の賃料が動きます。引っ越しの日程が固まらないと退去日を決められず、退去日を決めないと解約通知を出せません。この順番でつまずくと、1か月分の賃料が余計にかかります。
引っ越し費用は荷物の量だけでなく時期でも変わるため、複数社を並べて比べてから日程を固めるほうが確実です。
自分で落としきれない汚れだけを頼む方法もあります。手入れを怠ったことによる油汚れや水垢は、経過年数を考慮せず借主負担になる部分なので、退去前に落とす効果が相対的に大きいところです。対応エリアは東京・神奈川・千葉・埼玉と、群馬・茨城の一部です。
役所の手続きは、退去日が決まった時点で動かせます。

会社によって、分かることがこれだけ違います

まとめ

  • エイブルは退去費用の金額を公開していません。公開しているのは敷金の返還時期(退去後1〜3か月程度)だけです
  • 敷金を返すのは貸主です。エイブルで借りた部屋の管理会社がエイブルとは限らず、公式も「エイブル管理物件」と「それ以外」で窓口を分けています
  • 精算にいちばん効くのは入居後1週間以内に出す室内現況確認書です。問題箇所がない場合も提出するよう公式が求めています
  • 解約は書面のみ・退去日の1か月前まで。起算点は解約通知書が到着した日で、投函した日ではありません。一度受け付けられた解約通知は撤回できません
  • 立会いは必要な場合と不要な場合があります。不要な場合でも、鍵の返却方法は自分で確認してください
  • 返すのはすべての鍵(機械式駐車場・トランクルーム・オートロックのスペアキーを含む)と取扱説明書、エアコンのリモコン等の機材です。鍵の紛失は経過年数を考慮せず全額負担です
  • 契約アンペアを変えた人は、入居時の数値に戻してから退去してください
この記事の中で、今日すぐできることは1つです。賃貸借契約書を出して、貸主と管理会社の名前、解約予告期間、そして原状回復の特約が書かれていないかを確かめてください。エイブルの公式サイトが繰り返し「契約書の確認をお願いいたします」と書いているのは、そこに全部書いてあるからです。