転出届はオンラインで出せる|マイナポータルの手順と、転入届を受け付けてもらえない落とし穴
この記事を読むと分かること
- 転出届はマイナポータルで完結し、役所に行くのは転入の1回だけになること
- 申請状況が「完了」になるまで転入届は受け付けてもらえないこと(処理におおむね3開庁日)
- 必要な暗証番号は3種類で、ここで詰まる人が多いこと
引っ越しの手続きで面倒なのが、役所に2回行くことです。前の住所で転出届、新しい住所で転入届。平日の日中に2回、しかも引っ越しの前後という一番忙しい時期にです。
これはマイナポータルを使えば1回に減らせます。ただし、知らずに進めると新居の役所で門前払いになる落とし穴があります。そこを含めて整理します。
何がオンラインでできるのか
| 手続き | オンラインでできるか |
|---|---|
| 転出届(前の住所) | できる。転出元の市区町村への来庁が原則不要 |
| 転入届(新しい住所) | できない。窓口へ行く必要がある |
デジタル庁の記載はこうです。
「本サービスを利用することで、届出人は、転出元の市区町村への来庁が原則不要となります」
「転入先市区町村の異動届窓口に来庁しマイナンバーカードを提示し届出を行います」
— デジタル庁「引越し手続オンラインサービス」より
つまり減るのは転出の1回分です。転入は行く必要があります。それでも、引っ越し前の忙しい時期に旧住所の役所へ出向かなくて済むのは大きい差です。
申請しただけでは終わりません
ここが本題です。オンラインで転出届を出した翌日に新居の役所へ行っても、受け付けてもらえないことがあります。
横浜市のFAQには、こう書かれています。
「手続完了は、申請後概ね3開庁日以内を予定しています」
「マイナポータルにおいて転出届の申請状況が「完了」になっていることをご確認のうえ、お手続きをお願いします」
「申請状況が「完了」になっていない場合、転入届の受付ができません」
— 横浜市 公式FAQより
「3開庁日」は3日ではありません
開庁日なので、土日祝は数えません。金曜に申請すると、完了は翌週の水曜あたりになる計算です。連休を挟めばさらに延びます。
引っ越し当日や翌日に転入届を出すつもりなら、転出届は少なくとも1週間前には出しておいてください。窓口まで行って受け付けてもらえないと、平日をもう1日使うことになります。
そして行く前に、マイナポータルで申請状況が「完了」になっているかを必ず確認してください。
利用できる人・できない人
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 持っているもの | 電子証明書が有効なマイナンバーカード、iPhoneのマイナンバーカード、またはスマホ用電子証明書 |
| 引っ越しの範囲 | 日本国内での引越し |
| 使えない場合 | 「マイナンバーカードに有効な署名用電子証明書が搭載されていない場合など」 |
※ デジタル庁「引越し手続オンラインサービス」の記載に基づく(2026年8月時点・編集部調べ)。
署名用電子証明書には有効期限があります。期限が切れているとこのサービスは使えません。引っ越しを決めたら、まず有効かどうかを確認してください。
必要な暗証番号は3種類
実際に使う段階でいちばん詰まるのがここです。
| 暗証番号 | 桁数 |
|---|---|
| 署名用電子証明書の暗証番号 | 6〜16桁 |
| 利用者証明用電子証明書の暗証番号 | 4桁 |
| 券面事項入力補助用の暗証番号 | 4桁 |
※ 自治体(名古屋市)公式サイト「オンラインによる転出届・転入届(転居届)の事前作成サービス」の記載に基づく(2026年8月時点・編集部調べ)。
このほか、対応するスマートフォン、またはパソコンとICカードリーダライタが必要です。
カードを作ったときに設定した暗証番号を覚えていない、というのが最大の障害です。引っ越しの直前に思い出そうとすると間に合いません。新居が決まった時点で一度ログインして確かめてください。
手続きの流れ
デジタル庁が示している流れは次のとおりです。
- マイナンバーカードで電子署名をして、転出届・来庁予定を送信
- マイナポータルを通じて各市区町村に通知
- 転出元から転入先へ、転出証明書情報が事前に通知される
- 異動届窓口から関係課に共有
- 来庁して届出
3番に注目してください。転出証明書の情報が役所間で直接やり取りされます。紙の転出証明書を受け取って持参する必要がありません。書類を無くす心配がないのは、この方式の実務的な利点です。
また、転入時に必要な手続や持ち物を事前に確認できるとされています。窓口で「あれが足りません」となる回数を減らせます。
期限との関係
オンラインかどうかにかかわらず、転入届は住み始めた日から14日以内です。
そして、ここを外すとマイナンバーカードそのものに影響します。マイナンバーカードは2つの期限で失効します。
| 期限 | 内容 |
|---|---|
| 期限① | 転出予定日から30日、または新しい住所に住み始めてから14日を経過すると失効(早いほうが基準) |
| 期限② | 転入届を出しても、転入手続きの日から90日以内に継続利用の手続きをしないと失効 |
※ 自治体(杉並区)公式サイトの記載に基づく(2026年8月時点・編集部調べ)。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。
オンラインで転出届を出したこと自体は、この期限を止めてくれません。転入の窓口へ行くまでが手続きです。
窓口で出す場合、期限はいつまでですか
転入届と転居届は「その日から14日以内」ですが、転出届だけは日数の定めがありません。住民基本台帳法の条文は、次のようになっています。
| 届出 | 条文 | 期限 |
|---|---|---|
| 転出届(別の市区町村へ引っ越す) | 第24条 | 「あらかじめ」。日数は書かれていない |
| 転入届(別の市区町村から引っ越してきた) | 第22条第1項 | 転入をした日から14日以内 |
| 転居届(同じ市区町村の中で引っ越した) | 第23条 | 転居をした日から14日以内 |
※ 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)の条文による(2026年9月8日にe-Gov法令検索で確認)。
「14日以内」でひとまとめに覚えている人が多いのですが、14日以内と書かれているのは転入届と転居届のほうです。転出届は「あらかじめ」としか書かれていません。引っ越しの何日前から出せるか、何日前までに出すべきかは、法律には書かれていないということです。
期限が無いから放っておいてよい、ではありません
正当な理由がなく届出をしない場合、5万円以下の過料と定められています(住民基本台帳法第52条第2項)。転出届もこの対象です。
そして実務上は、転入届の14日が転出届の期限を決めます。転入届には転出証明書が要るからです(次の章)。オンラインの特例転出を使う場合も、申請状況が「完了」になるまで転入届を受け付けてもらえません。
転出届・転入届には何が必要ですか
窓口で出す場合、法令が求めているのは次の2つです。
| 何を | 根拠 |
|---|---|
| 届出書(現に届出の任に当たっている者の住所と届出の年月日を記載し、その人が署名したもの) | 住民基本台帳法施行令 第26条 |
| 本人であるかどうかを確認するための書類(氏名などを示す書類の提示・提出、または説明) | 住民基本台帳法 第27条第2項 |
※ 同上(2026年9月8日確認)。
署名するのは「現に届出の任に当たっている者」、つまり窓口に来た人です。代理人が来たなら代理人が署名します。本人の署名を家族が代筆して持参する形は、条文の想定とは違います。
転入届にはもう1つ、転出証明書を添えることが求められます(法第22条第2項)。これは前の住所の市区町村長が作る書類で、氏名・住所・転出先・転出の予定年月日のほか、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険・国民年金・児童手当の加入状況が記載されます(住民基本台帳法施行令第23条)。
転出証明書が交付されない場合が2つあります
施行令第24条は、転出届があったときは転出証明書を交付しなければならないと定めていますが、次の2つを明示的に除いています。
- マイナンバーカードを持っている人が特例転出をした場合(法第24条の2第1項・第2項の適用を受けるとき)
- 国外へ転出する場合
前者は、紙の代わりに転出元から転入先へ電子的に情報が通知されるためです。この記事の前半で説明したオンライン手続きが、まさにこれに当たります。「転出証明書が届かない」のは不具合ではありません。
代理人に頼めますか。委任状は必要ですか
頼めます。ただし、同じ世帯かどうかで扱いが変わります。
| 誰が窓口に行くか | 委任状 | 根拠 |
|---|---|---|
| 世帯主が世帯員の分を届け出る | 条文上、委任状を求める規定がない | 法第26条第1項 |
| 同じ世帯の人が届出の任に当たる | 同上(法第27条第3項の対象から明文で除かれている) | 法第27条第3項かっこ書き |
| 別世帯の人・第三者が届出の任に当たる | 依頼によることを明らかにする書類を求められる | 法第27条第3項 |
※ 同上(2026年9月8日確認)。委任状の様式・記載事項は市区町村が定めているため、実際に使う様式はお住まいの自治体の公式サイトで確認してください。
条文の言い方は「届出をする者の依頼により又は法令の規定により当該届出の任に当たるものであることを明らかにするために必要な事項を示す書類の提示若しくは提出又は当該事項についての説明を求めるものとする」(法第27条第3項)です。世間で言う「委任状」は、この書類のことです。
もう1つ、見落とされやすい条文があります。世帯員が届出をすることができないときは、世帯主が世帯員に代わって届出を「しなければならない」(法第26条第2項)。これは義務です。単身赴任などで本人が窓口に行けない場合は、世帯主が代わりに出す形が法律上の原則になります。
郵送で出せますか
法令には、窓口へ持参することを求める条文がありません。施行令第26条が求めているのは「署名した書面」であって、提出の方法までは定めていません。
ただし、郵送を受け付けるかどうか、送り先・同封する書類・返送の方法は市区町村ごとの運用です。この記事では、特定の自治体の運用を全国の答えとして書くことはしません。郵送で出したい場合は、旧住所の市区町村の公式サイトを直接確認してください。
郵送を選ぶときに時間を読み違えないでください
郵送では、往復の日数と役所の処理日数が積み上がります。転入届は住み始めた日から14日以内です。マイナンバーカードを持っているなら、オンラインの特例転出のほうが読みやすいというのが、この記事の結論です。
電気・ガス・水道はこれとは別です
デジタル庁は、引越しワンストップサービスの構想について「市区町村への行政手続だけでなく、ライフライン(電気・ガス・水道)等の民間手続も含め」オンラインで一括して行える仕組みを目指すとしています。
ただし、マイナポータルの「引越し手続オンラインサービス」でできるのは、転出届の提出と来庁予定の連絡です。電気・ガス・水道は、引き続き各社への手続きが必要です。
そしてライフラインには順番があります。日程を縛るのは光回線とガスで、電気と水道は後から合わせられます。
段取りに落とすとこうなる
| 時期 | やること |
|---|---|
| 新居が決まったら | 暗証番号と電子証明書の有効期限を確認する |
| 引っ越しの1週間以上前 | マイナポータルから転出届を提出し、来庁予定を連絡する |
| 転入届に行く前 | 申請状況が「完了」になっているか確認する |
| 住み始めてから14日以内 | 転入先の窓口へ。マイナンバーカードの継続利用も同時に済ませる |
どの段階も、引っ越し日と新住所が確定していることが前提です。転出届にも来庁予定の連絡にも、日付が要ります。
引っ越し料金には定価がなく、時期・荷物量・距離・作業条件で倍以上変わります。同じ条件でも業者の空き状況で動くため、相場を調べる時間より、自分の条件で実額を取るほうが早いです。
| 優先したいこと | 向いている方法 | 受け入れること |
|---|---|---|
| 手間を減らして、厳選された数社で比べたい | HALESEE(ハレシー) | 比較できる社数は少なめ |
| とにかく多く比べて、できるだけ安くしたい | 引越し侍の一括見積もり | 電話とメールの本数 |
よくある質問
転出届は引っ越しの何日前から出せますか
法律には「何日前から」の定めがありません。住民基本台帳法第24条は「あらかじめ」とだけ定めています。ただしオンラインの特例転出を使う場合は、申請状況が「完了」になるまでおおむね3開庁日かかります。転入届の予定から逆算して、1週間以上前に出しておくのが安全です。
引っ越したあとに、転出届を出していないことに気づきました
転出届は「あらかじめ」と定められていますが、出さないまま放置すると、正当な理由がない限り5万円以下の過料の対象です(法第52条第2項)。転入届には転出証明書が要るため、転出届が済んでいないと転入届も進みません。まず旧住所の市区町村に連絡してください。
同じ市区町村の中で引っ越す場合も転出届は必要ですか
必要ありません。この場合は転居届になります(法第23条)。期限は転居をした日から14日以内です。転出届と転入届は、市区町村をまたぐ引っ越しのための届出です。
海外へ引っ越す場合はどうなりますか
転出証明書は交付されません。施行令第24条が、国外へ転出する場合を交付の対象から明文で除いています。国外への転出は、マイナポータルの引越し手続オンラインサービスの対象外でもあります(同サービスは日本国内での引越しが条件)。
転出証明書を無くしてしまいました
再交付を受けられます。施行令第24条第2項が、亡失・滅失・汚損・破損の場合の再交付を定めています(再交付そのものに期限の定めはありません)。転入届の前に気づいたら、旧住所の市区町村に連絡してください。
家族全員分をまとめて1回で出せますか
世帯主が世帯員に代わって届け出ることができます(法第26条第1項)。マイナンバーカードを持っている世帯主が世帯員の分も含めて特例転出をした場合、転入届も世帯主がまとめて行う形が条文に書かれています(法第24条の2第2項)。
免許証の住所変更も同じ引っ越しのタイミングで済みます。こちらは住民票が必須ではありません。
まとめ
- 転出届はマイナポータルでオンライン提出できる。転出元への来庁は原則不要
- 転入届は窓口へ行く必要がある。オンラインでは完結しない
- 役所に行く回数は2回から1回に減る
- 申請状況が「完了」になるまで転入届は受け付けてもらえない
- 処理は申請後おおむね3開庁日以内。土日祝は数えないので、1週間前には出す
- 利用には有効な署名用電子証明書が必要。期限切れだと使えない
- 暗証番号は3種類(署名用6〜16桁/利用者証明用4桁/券面補助用4桁)
- 転出証明書の情報は役所間で直接やり取りされる。紙の持参が不要
- 転入時に必要な手続や持ち物を事前に確認できる
- 転入届は住み始めてから14日以内。マイナンバーカードの失効にも関わる
- 電気・ガス・水道は別。各社への手続きが必要
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引っ越しで期限があるものだけをまとめました。マイナンバーカードの2つの期限もこちらへ。
ライフラインの手続きは順番が決まっています。
NHKの住所変更も引っ越し前後に済ませられます。
※ 本記事の手続き内容はデジタル庁および各自治体の公式サイトの記載に基づきます(2026年8月時点)。処理日数や運用は自治体によって異なる場合があるため、お住まいの市区町村にご確認ください。