旗竿地のデメリットは買う前に確かめられます|路地幅2m・17坪の土地で、工事車両・私道・水道の引込・隣地との離隔がどう効いたか(2019〜2020年)

この記事を読むと分かること
  • 17坪前後の旗竿地(路地の幅2.0m×長さ約8m)を買って3階建てを建てるまでに、工事車両・私道・水道の引込・隣地との離隔・斜線制限がどの順番で問題になったか
  • 旗竿地のデメリットのうち、土地を買う前に書面と役所で確かめられるものと、設計で吸収できるもの
  • 整形地と比べて、なぜ旗竿地を選んだか。路地の部分は建物に使えないのに、容積率には効く仕組み
2019年7月に東京23区内の17坪前後の旗竿地を買い、2020年12月に延床80㎡弱の木造3階建てを建てて住んでいます。路地状部分は幅2.0m×長さ約8m、前面は幅約2.9mの私道(建築基準法42条2項道路)、隣地とは5辺で接しています。
旗竿地は「安い」「静か」と「工事費が高い」「暗い」が並べて語られますが、実際に困るかどうかは、路地の幅と私道の条件で決まります。この記事では、土地を買ってから契約するまでに起きたことを、当時のメールと図面を読み返して順番に書きます。買う前に確かめられたことが多かった、というのが結論です。
前提:東京23区内・準防火地域・第2種高度地区・前面は私道
旗竿地の条件は土地ごとに違います。路地の幅が3m以上で前面が公道なら、この記事の「工事車両」と「私道」の節はほぼ当てはまりません。

先に結論:旗竿地を買う前に確認する6項目

私の土地で、買ったあとに問題になった順に並べます。上の2つは土地の契約前に確かめられる項目でした。
確認すること私の土地で起きたこと誰に・何で確かめるか
工事車両の乗り入れ共有私道への乗り入れを近隣に拒まれ、検討中の会社から「一切できないなら工事費が数百万円単位で変わる」と言われた(2019年12月)仲介会社の重要事項説明書。近隣との承諾書の有無と、承諾の範囲
路地の幅と測り方塀の芯で2.1m、塀の内側では2.1mに達しない。規格のある大手1社は最初から対象外実測図。塀の芯か内側か、どちらの数字かを聞く
上下水道の引込候補の段階で「上水が無いかもしれない」と言われ、引込なら50万〜80万円の見込み。水道局で確認すると私道に本管があった水道局の台帳(上水)。下水は台帳が無く、近隣に聞いた
隣地との離隔5辺が隣地。設計の初期に最小265mmまで詰める案が出たが、足場とメンテナンスを考えて避け、最終的に最小は約36cm設計時に外壁の厚みと足場の話を先にする
道路の後退と斜線2項道路の中心から2m後退し、敷地は売買時の実測より約4㎡小さく算定。第2種高度地区でバルコニーに屋根を付けられない役所の道路台帳・都市計画図。設計者に斜線の検討図を出してもらう
準防火地域45分準耐火構造、窓は全て網入り。木造3階建てなので構造計算が必要都市計画図。防火指定で窓と外壁の仕様が決まる
※ 2019年8月〜2020年6月の筆者のメール記録と、確認申請図面(2020年4月)の配置図に基づきます。金額は当時の会社の見込みで、会社・時期・地域で変わります。

なぜ旗竿地を選んだか:整形地と比べて、建てられる面積が同じだった

旗竿地を選んだ理由は、比較した整形地と建てられる面積がほぼ同じだったからです。2019年8月、工務店から土地の候補を6件もらい、そのうち整形地1件と旗竿地1件を比べました。整形地に建ぺい率60%を掛けると、旗竿地の奥の部分(約6m角)と同等か少し狭い。それなら駅に近い旗竿地でよい、と決めました。
旗竿地の仕組みはこうです。路地状部分(私の土地では約15㎡)には建物を置けません。しかし建ぺい率・容積率の計算には敷地全体を使えます。17坪前後の土地のうち建物に使えるのは12坪前後ですが、容積は17坪分あるので、路地の分の容積を3階に積む形になります。旗竿地に3階建てが多いのは、このためです。
「旗竿地は安い」だけで選ぶと外れます
私の場合、価格より「同じ面積が建つか」で比べました。路地の幅と前面道路の条件が悪い土地は、建てられる会社が減り、工事費で差が埋まることがあります。次の節がその話です。

デメリット1:工事車両が入れないと、工事費が「数百万円単位」で変わると言われた

旗竿地で一番大きかった問題は、共有私道への工事車両の乗り入れでした。土地を買って4か月後の2019年12月、検討していた会社の1社と見積の最終打合せを前に、近隣へ挨拶に行ったところ、「私道部分に車両を乗り入れないでほしい」と言われました。
会社に伝えると、返事はこうでした。「基礎工事など車両が必須の工程がある。乗り入れが一切禁止なら、工事金額が数百万円単位で変わる」。そして「土地契約時の重要事項説明書の記載が重要なので送ってほしい」「本来は土地の売買契約までに近隣との話がまとまっているはず」と指摘されました。
手元には、新築時の車両乗り入れを承諾する書面が土地に付いていました。ただし近隣の口ぶりは「ダメ」。この会社は「承諾の範囲を確認してから意思確認をしたい」として最終打合せを延期し、年明けまで止まりました。結果として私は別の工務店に決め、この会社には2020年1月に断りを入れています。
時期起きたこと
2019年7月末土地を購入。車両乗り入れの承諾書は土地に付いていた
2019年12月12日近隣へ挨拶の際に「車両を乗り入れないで」と言われる。会社に請負可能か相談
2019年12月13日会社「一切禁止なら工事費が数百万円単位で変わる。重要事項説明書を見せてほしい」
2019年12月19日最終打合せを延期。近隣と話がついてから再開することに
2020年1月27日他社と比較の結果、この会社を断る
2020年5月30日契約した工務店と近隣挨拶(契約の20日後)。不在だった家には工務店が平日に再訪
※ 筆者のメール記録(2019年12月〜2020年6月)に基づきます。会社名は記載していません。
契約した工務店の見積では、基礎工事に「場内小運搬」の人工が別に立ち、仮設工事に誘導員の項目がありました。地盤改良は杭ではなく1トンのローラーによる転圧でした。路地の幅2.0mでは入れる重機が限られるので、人の手で運ぶ分と、道路側で車両を誘導する人が要る、ということです。別の会社の資金計画表では杭工事が概算で別枠に入っていて、地盤改良の方法は調査結果で変わる項目でした。
買う前に確かめること(工事車両)
  • 重要事項説明書に、私道の持分と通行・掘削・工事車両の承諾がどう書いてあるか
  • 近隣との承諾書があるか。「基礎工事など必須の工程は例外」と読めるか、それとも一切禁止か
  • 可能なら、契約前に近隣へ声をかけておく。会社が「本来は土地契約までにまとまっているはず」と言ったのはこの点です

デメリット2:路地の幅が2mだと、建てられない会社が最初から出る

路地状部分の幅は、会社の「建てられる・建てられない」を最初に決める数字です。私の土地は、境界塀の芯で2.1m、塀の内側では2.1mに達しません。同じ土地でも測り方で数字が変わるので、会社に伝えるときは「どこからどこまでの幅か」を添えてください。
展示場から入った大手1社は、この土地では規格の都合で建てられず、2019年に検討を終えました。会社の良し悪しではなく、規格と土地の相性です。詳しくは別の記事に書きました。
路地には他にも細かい話がありました。仲介会社の説明では、路地の中に排水桝があり、地中で配管がつながっていること、前の所有者の門扉跡のブロックの出っ張りは、購入者の負担で、隣地に声をかけてから撤去するのが通例であること。境界のブロック塀は、2辺が隣地と共有の芯積みで、残りは敷地の内側に建っていました。どれも実測図と現地で分かることです。
設計では、路地の奥(建物の北西)に玄関ポーチを置き、路地側に張り出した部分を1階はポーチ、2階はトイレと洗面、3階はバルコニーにしました。旗竿の「竿」と「旗」の境目を、張り出しで使う形です。

デメリット3:隣地との離隔を詰めるほど、足場とメンテナンスが苦しくなる

5辺が隣地に接する旗竿地では、建物を何cm隣地から離すかが床面積に直結します。2019年9月の基本設計で、東側と北西側の離隔を500mm以下、最小265mmまで詰めて建築面積を広げる案が出ました。工務店の説明は「足場の設置に工夫が必要」。私は、外壁のメンテナンスができなくなることを理由に、265mmは極力避けると返しました。
最終の確認申請図面では、隣地との離隔は北側で約36cm、東側と南側で約60cmです。
離隔は断熱の工法にも影響しました。外壁の厚みは柱の芯から約95mmで、外張り断熱にすると約30mm厚くなり、その分だけ離隔が削られます。私は吹付けの断熱を選び、床は板状の断熱材にしました。工務店からは「基礎断熱も可能だが、シロアリを考えると床断熱がよい」という説明がありました。
また、この土地には隣地との離れについての合意書が付いていました。民法では建物を境界から50cm離すことが原則ですが、合意があれば近づけられます。検討した会社の1社は、「他社のプランを見ると合意書の箇所の認識が違うかもしれない」と自分から確認してきました。合意書がどの境界に効くのかは、会社に図で示す必要があります。

デメリット4:上下水道は「有るか」と「太さが足りるか」を別に確かめる

土地の候補の段階で、工務店から「上水が無いかもしれない」と言われました。引込が必要なら本管の位置によるが50万〜80万円程度の見込み、という説明です(2019年8月)。
仲介会社が水道局で確認したところ、私道に本管が埋設されていて、20mmの管を新たに引き込めることが分かりました。ただし既存の引込は13mm。工務店は「水回りが2階までなら既存の配管で対応できる」と判断し、最終的には引込工事をせず、既存の13mmをそのまま使っています。
下水は水道局に台帳が無く、近隣に聞いて回りました。確認申請図面では、路地の排水桝を通って公共下水道につながる合流式です。上水は役所で分かる、下水は現地と近隣で分かる、と覚えておくと早いです。

デメリット5:2項道路と高度地区で、敷地も高さも削られる

前面の私道は幅約2.9mの42条2項道路です。道路の中心線から2m後退する必要があり、確認申請上の敷地面積は、売買時の実測より約4㎡小さく算定されました。隅切りの分も除かれます。17坪前後で買った土地が、申請上は16坪台になる、ということです。
高さは第2種高度地区の北側斜線で決まりました。確認申請図面では、北側の屋根の端が斜線の制限値まで数cmの余裕しかありません。この制限で、バルコニーに屋根を付けられず、3階の北側は下り天井になりました。1階の天井高を2,100mmに下げて、3階に高さを回しています。
準防火地域なので、建物は45分準耐火構造、窓は全て網入りガラスです。木造3階建てなので構造計算が前提になります。建ぺい率は基準の60%に、準耐火建築物で10%が加算されました。

旗竿地だから設計で決めたこと

旗竿地で起きたことのうち、設計で吸収できたものを並べます。買う前の確認で潰せなかったものは、ここで受けました。
  • 1階の窓は高い位置に。路地の奥で、1階の窓の目の前は塀です。契約後の質疑で窓の高さを上げました(2020年5月)
  • トイレは路地側の張り出しに1か所だけ。リビングから離れ、開き戸を二重にして音を切りました
  • バルコニーは3階の張り出し部に最小限。屋根は斜線で付けられないので、物干し金物とエアコン置き場、避難口の役割だけ
  • 玄関は路地の奥。前面道路から約8m引っ込むので、道路からの視線は気になりません
  • 駐車場は無し。車の乗り入れが難しい土地なので、外構は門柱と砕石だけにして、本体工事と一緒に頼みました

旗竿地を買う前に、この順番で確かめる

  1. 実測図で路地の幅(塀の芯か内側か)と長さ、隣地と接する辺の数を見る
  1. 重要事項説明書で私道の持分、通行・掘削・工事車両の承諾の記載を読む。承諾書があれば範囲を読む
  1. 水道局で上水の本管と引込の太さ、現地と近隣で下水を確かめる
  1. 役所で道路の種別(2項道路なら後退)、高度地区・防火指定を確かめる
  1. ここまでの条件を書いて、2社以上に「この土地で建てられるか、工事車両は入れるか」を聞く
  1. 設計に入ったら、離隔・外壁の厚み・足場を先に決める

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旗竿地は、土地の条件を伝えた時点で建てられる会社がふるいにかかります。狭小地や旗竿地に対応できる会社を、複数まとめて探す入口として使えます。依頼のときに路地の幅・前面道路が私道か・隣地と接する辺の数・防火指定を具体的に書くと、建てられる会社だけが返事をくれます。2社以上に依頼して、同じ希望仕様で見積を取るところまでやってください。1社だけでは、工事車両や地盤改良の費用の差が見えません。
※ 掲載社数・届く書類の内容は公式サイトの公表内容に基づきます(2026年10月15日時点・編集部調べ)。会社ごとに提案内容・方法が異なります。

よくある質問

旗竿地はやめたほうがいいですか

条件で決まります。私は、比較した整形地と建てられる面積がほぼ同じだったので旗竿地を選びました。路地の幅と私道の承諾が確かめられない土地なら、慎重に見たほうがよいです。

旗竿地の工事費は高くなりますか

工事車両が入れるかどうかで変わります。検討した会社からは「一切入れないなら数百万円単位で変わる」と言われました。契約した工務店の見積には、場内小運搬の人工と誘導員の項目が立っていました。

路地の幅2mで3階建ては建てられますか

私の土地では建てられました。ただし規格のある大手1社は対象外でした。会社に「路地の幅2mで工事車両は入れますか」と最初に聞いてください。

私道の承諾は何を確かめればいいですか

通行・掘削・工事車両の承諾が書面であるか、その範囲が「必須の工程は例外」かどうかです。重要事項説明書と承諾書を、建築会社にも見せてください。

水道の引込は必ず必要ですか

既存の引込があれば、太さ次第で使えます。私の土地は既存13mmで、水回りが2階までなら足りると判断され、引込工事はしていません。無い場合は50万〜80万円程度の見込みと言われました(2019年)。

まとめ

  • 旗竿地で一番大きかった問題は共有私道への工事車両の乗り入れ。「一切できないなら工事費が数百万円単位で変わる」と言われた。重要事項説明書と承諾書で、土地の契約前に確かめられる
  • 路地の幅は塀の芯か内側かで数字が変わる。規格のある会社は最初から対象外になる
  • 上水は水道局、下水は現地と近隣。既存の引込13mmをそのまま使えた
  • 隣地との離隔は最小265mmの案を避け、最終は約36cm。外張り断熱の30mmが離隔を食う
  • 2項道路の後退で敷地は約4㎡減り、高度地区でバルコニーの屋根は付かない
  • 整形地と比べて建てられる面積が同じだったので、旗竿地を選んだ。路地の分の容積を3階に積むのが旗竿地の3階建て

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※ 本記事の経緯・寸法・日付は、筆者が2019年8月〜2020年6月に送受信したメール、土地の実測図、確認申請図面(2020年4月)、工務店の見積明細(いずれも2026年10月15日に読み返して確認)に基づきます。金額は当時の会社の見込みで、会社名・所在地は記載していません(東京23区内)。