海外転出届が要るのは1年以上の滞在です|マイナンバーカードは出国日の前日までに手続きしないと、転出予定日に失効します
この記事を読むと分かること
- 海外転出届が要るのは、海外での生活が1年以上になるときであること。短期の海外旅行では出さないこと
- 届出の期限が「あらかじめ」で、転入届の14日以内とは違うこと(住民基本台帳法第24条)
- マイナンバーカードは、出国日の前日までに継続利用の手続きをしないと、転出予定日に失効すること
海外へ引っ越すときの届出は、国内の引っ越しと同じ「転出届」です。ただし、そこから先の扱いがまるで違います。
転出証明書は出ません。マイナポータルのオンライン転出届も使えません。そしてマイナンバーカードは、何もしないまま転出予定日が来ると失効します。この3つは、国内の転出届にはない話です。
海外転出届が必要なのは、海外での生活が1年以上になるときです
立川市は、案内にこう書いています。
- 「海外転出届は海外での生活が1年以上になる場合必要です。短期間の海外旅行などは届出の必要はありません。」
※ 立川市「海外転出届(立川市に住民登録している人が国外に引っ越しするとき)」の記載(更新日2026年2月27日・2026年9月9日確認)。
この「1年」は、住民基本台帳法の条文にある数字ではありません。転出届を定めた同法第24条にも、施行令第24条にも、期間の定めは書かれていません(2026年9月9日にe-Gov法令検索の条文を確認)。市区町村が案内として公表している基準です。
そのため、1年前後の滞在で迷ったら、住んでいる市区町村の窓口に確認してください。転勤か留学か、帰国の予定が決まっているかで判断が変わります。
届出の期限は「あらかじめ」で、14日以内ではありません
住民基本台帳法第24条は、こう定めています。
- 「転出をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない。」
※ e-Gov法令検索で公開されている住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の条文を原文のまま引用(2026年9月9日取得)。
転入届の「14日以内」(同法第22条)とは、期限の作り方そのものが違います。転出届は事前が原則です。
ただし、案内の書き方は市区町村でそろっていません。実際に3つ並べます。
| 市区町村 | 公表されている届出期間 |
|---|---|
| 横浜市(国外への引越し) | 引越し前に届出の提出ができます |
| 立川市(海外転出届) | 出国前に届出。すでに出国している方は速やかに |
| 新宿区(転出届) | 引越しする14日前から、もしくは引越しした後14日以内 |
※ 各市区町村の公式ページの記載(横浜市は更新日2025年3月17日、立川市は2026年2月27日、新宿区は2024年2月1日。いずれも2026年9月9日確認)。
新宿区のように「14日前から」と上限を書いている自治体では、2か月前に窓口へ行っても受け付けてもらえないことがあります。出国日が決まったら、まず自分の市区町村の案内を見てください。
国外へ転出するときは、転出証明書が交付されません
国内の引っ越しでは、転出届を出すと転出証明書が交付され、それを新住所の市区町村に出します。国外への転出では、これがありません。
住民基本台帳法施行令第24条が、交付しない場合を明文で除いています。
- 「市町村長は、転出届があつたとき(法第二十四条の二第一項本文若しくは同条第二項本文の規定の適用を受けるとき又は国外に転出をするときを除く。)は、転出証明書を交付しなければならない。」
「転出証明書が届かない」のは不具合ではありません。制度としてそうなっています。
住民票は転出予定日をもって消除され、除票として保存されます。同時に、戸籍の附票には「国外転出者である旨」が記載されます(同法第17条第3号)。法律の側に「国外転出者」という区分があり、そこへ移る形です。
マイナポータルの引越し手続オンラインサービスは、国外への転出には使えません
横浜市は「マイナポータルを利用したオンライン転出届は、利用できません」と明記しています(2026年9月9日確認)。同サービスは日本国内での引越しが条件です。窓口か郵送になります。
マイナンバーカードは、出国日の前日までに継続利用の手続きをします
ここが、いちばん取り返しがつかないところです。
横浜市の案内から引用します。
- 「継続利用を行わず転出予定日が到来するとマイナンバーカードは自動的に失効します。」
- 「日本国籍の方は、国外転出後もマイナンバーカードを継続して利用するときは、出国日前日までにお住まいの区の区役所戸籍課窓口において、マイナンバーカードの継続利用手続が必要です。」
※ 横浜市「窓口での転出届(国外への引越し)」の記載(更新日2025年3月17日・2026年9月9日確認)。手続きの取り扱いは市区町村により異なる場合があります。
郵送で転出届を出す人も、カードの手続きだけは窓口です。横浜市は郵送のページでも「日本国籍の方は出国日前日までに区役所戸籍課窓口にて継続利用の手続が必要になりますので、窓口で転出届を届出ください」と案内しています(更新日2026年1月5日)。
代理人でもできますが、文書照会が入るため転出予定日までに終わらない可能性があるとも書かれています。間に合わせたいなら本人か同一世帯の人が行くのが確実です。
なお外国人住民の方は、継続利用ではなくカードの返納になります。
失効させてしまった場合は、2026年5月26日からオンラインで申請できます
外務省が、次のように公表しています。
- 「令和8年5月26日から、国外転出者向けマイナンバーカードについて、オンラインによる交付申請の受付が開始されました(2015年10月5日以降に国外転出をしている海外在住の日本国籍の方が対象です。)。」
※ 外務省「国外転出者向けマイナンバーカードの申請・交付について」(令和8年5月26日・2026年9月9日確認)。申請サイトは地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が運用するもので、国内居住者向けの申請サイトとは別です。
国外転出者向けの申請サイトは、国内居住者向けとは別のサイトです。外務省も「お間違いないようご注意ください」と注意を付けています。
窓口へ持っていくもの
立川市が公表している持ち物です。該当するものだけで構いません。
| 持ち物 | 該当する人 |
|---|---|
| マイナンバーカード | 交付を受けている人(継続利用の手続きに要る) |
| 国民健康保険の資格確認書 | 持っている人 |
| 後期高齢者医療の資格確認書 | 持っている人 |
| 介護保険被保険者証 | 持っている人 |
| 国民年金手帳 | 国民年金に加入している人 |
| 印鑑登録証 | 持っている人 |
| 委任状 | 本人・同一世帯・親族以外が届け出るとき |
※ 立川市の掲載内容(更新日2026年2月27日・2026年9月9日確認)。持ち物は市区町村で異なります。
印鑑登録は、自分で廃止の手続きをする必要がありません。横浜市は「印鑑登録は転出(予定)日をもって、自動的に失効しますので、別途お手続きいただく必要はありません」と案内しています。
国民健康保険は、住所がなくなった日の翌日に資格を失います
国民健康保険法第8条第1項が、資格喪失の時期を定めています。
- 「都道府県等が行う国民健康保険の被保険者は、都道府県の区域内に住所を有しなくなつた日の翌日……から、その資格を喪失する。」
転出予定日ではなく、その翌日です。保険証(資格確認書)の返却が要るかどうかは市区町村の運用によるので、転出届と同じ日に窓口で確認してください。
勤務先の健康保険に入っている人は、この話は関係ありません。会社の駐在なら、健康保険は会社を通じた手続きになります。
国民年金は、日本国籍なら任意加入できます
日本年金機構は「海外に居住することになった方は、国民年金の強制加入被保険者ではなくなりますが、日本国籍の方であれば、国民年金に任意加入することができます」と説明しています。
窓口が、状況で分かれます。
| 状況 | 手続きの窓口 |
|---|---|
| これから海外に転出する | お住まいの市区町村窓口 |
| すでに海外在住で、国内協力者がいる | 日本における最後の住所地の市区町村窓口 |
| すでに海外在住で、国内協力者がいない | 最後の住所地を管轄する年金事務所 |
| 日本に住んだことがない | 千代田年金事務所 |
※ 日本年金機構「国民年金の任意加入の手続き(日本の年金制度への継続加入)」の記載(更新日2024年7月1日・2026年9月9日確認)。国内協力者とは、国内にいる親族で手続きや保険料の納付を代わりに行う人を指します。
出国前なら市区町村の窓口で済みます。転出届と一緒に出せるので、ここは先に決めておくほうが楽です。
注意が1つあります。任意加入している間は、保険料の免除・納付猶予や学生納付特例を申請できませんと機構が明記しています。付加保険料は納められます。
住民税は、1月1日に住民票があるかどうかで決まります
地方税法第318条は、個人の市町村民税の賦課期日をその年度の初日の属する年の1月1日と定めています(道府県民税も同法第39条で同じ)。そして同法第294条第2項が、課税される「市町村内に住所を有する個人」とは、その市町村の住民基本台帳に記録されている者だとしています。
つまり、1月1日より前に転出届が済んでいれば、その年度の住民税はかかりません。逆に1月2日に出国しても、その年度分は課税されます。
問題は、すでに決まっている前年度分です。出国後も納期が残ります。地方税法第300条は、住所も居所も事業所もない納税義務者について、納税管理人を定めて申告するか、市町村長の承認を受けることを求めています。
ただし同条第2項に逃げ道があります。
- 「当該納税義務者は、当該納税義務者に係る市町村民税の徴収の確保に支障がないことについて市町村長に申請してその認定を受けたときは、納税管理人を定めることを要しない。」
出国前に一括で納めてしまえば、この認定に当たる扱いをする自治体があります。どちらにするかは、転出届のときに税の窓口で相談してください。
所得税の納税管理人は、住民税とは別に届け出ます
同じ「納税管理人」でも、地方税と国税で届出先が違います。混ぜないでください。
国税庁は「日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります」と説明しています。
非居住者でも、国内にある不動産の賃貸収入や、国内資産の譲渡による所得があれば確定申告が要る場合があります。その場合は「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を、納税地を所轄する税務署長に提出します。
※ 国税庁タックスアンサーNo.1923「海外勤務と納税管理人の選任又は解任」(令和7年4月1日現在法令等・2026年9月9日確認)。納税管理人は法人でも個人でも構いません。
3か月以上滞在するなら、外務省への在留届が別にあります
市区町村への転出届とは別に、外務省への在留届があります。こちらは法律上の義務です。
- 「旅券法第16条の規定により、海外に住所又は一時滞在先を定めて3か月以上滞在する日本人は、在留届を提出することが義務付けられています。」
※ 外務省のオンライン在留届(ORRネット)の記載(2026年9月9日確認)。
現地到着の90日前から提出できます。出国前に済ませられるということです。必要なのは氏名、生年月日、パスポート情報、メールアドレス、在留地の住所と電話番号、職業、滞在期間、緊急連絡先。在留地の住所と電話番号は、未定でも提出できます。
3か月未満の渡航は在留届ではなく、外務省の海外旅行登録「たびレジ」が案内されています。転出届と同じで、期間で使い分ける仕組みです。
出さないと、住民票が残ったままになります
住民基本台帳法第52条第2項は、正当な理由がなくて第22条から第24条までの届出をしない者を5万円以下の過料と定めています。転出届は第24条なので、この対象です。
ただ、実際に効いてくるのは過料よりも、住民票が残ることそのものです。
- 国民健康保険の資格は、住所がなくなった日の翌日までは続きます。住民票が残っている限り、保険料の計算も続きます
- 住民税は、1月1日に住民基本台帳に記録されていれば課税されます(地方税法第294条第2項)
払うつもりのなかったものが、帰国後にまとめて出てきます。出国前の届出は、この2つを止めるための手続きだと考えてください。
段取り
| 順 | やること | いつ |
|---|---|---|
| 1 | 住んでいる市区町村の届出期間を確認する(自治体で違います) | 出国日が決まったら |
| 2 | 在留届を提出する(3か月以上の滞在) | 現地到着の90日前から |
| 3 | 転出届を出す。国民年金の任意加入もこのとき | 出国前 |
| 4 | マイナンバーカードの継続利用手続(窓口のみ) | 出国日の前日まで |
| 5 | 住民税の残りを一括で納めるか、納税管理人を決める | 出国前 |
| 6 | 確定申告が要るなら、所得税の納税管理人を税務署へ届出 | 出国前 |
4を3と別に書いているのは、郵送で転出届を出すと4が抜けるからです。郵送を選ぶ人ほど、ここで失効させます。
荷物と部屋の引き払いは、届出とは別に動きます
海外へ出る場合でも、国内の部屋を引き払う作業は残ります。荷物を実家へ送る、トランクルームに入れる、処分する。このうち運搬は引っ越し業者の仕事です。
出国日が動かせない以上、見積もりは早めに取っておくほうが安全です。
| 優先したいこと | 向いている方法 | 受け入れること |
|---|---|---|
| 手間を減らして、厳選された数社で比べたい | HALESEE(ハレシー) | 比較できる社数は少なめ |
よくある質問
Q. 1年より短い駐在でも、海外転出届を出せますか。
立川市は「1年以上になる場合必要」と書いており、短期の海外旅行は不要としています。1年より短い場合に「出してはいけない」とまでは書かれていません。判断は市区町村ごとに違うので、期間が中途半端なときは窓口で相談してください。
Q. 出国してしまいましたが、まだ転出届を出していません。
出せます。立川市は「すでに出国している方は速やかに届出してください」と案内しています。郵送でも受け付けています。ただしマイナンバーカードの継続利用は出国日の前日までなので、そちらはすでに失効している可能性があります。
Q. 代理人に頼めますか。
頼めます。立川市の案内では、本人・同一世帯の人・親族のほか、委任状を持参した代理人が届け出られます。ただしマイナンバーカードの継続利用を代理人が申請すると文書照会が入り、転出予定日までに終わらないことがあると横浜市が注意しています。
Q. 帰国したら、どんな手続きが要りますか。
海外から戻ったときは転入届です。国民年金に任意加入していた人は、住民票に登録された時点で強制加入被保険者に戻るため、転入した市区町村役場で手続きが必要だと日本年金機構が案内しています。一時帰国で短期間だけ住民票を置いた場合も同じ扱いです。
Q. 郵便物の転送はどうなりますか。
郵便局の転居届は国内の住所への転送を扱う仕組みで、海外の住所は対象になりません。国内の実家などへ転送先を設定しておくのが現実的です。
まとめ
- 海外転出届が要るのは、海外での生活が1年以上になるとき。短期の旅行では出さない
- 「1年」は住民基本台帳法の条文にある数字ではなく、市区町村が公表している基準
- 期限は「あらかじめ」(同法第24条)。ただし案内の書き方は自治体でそろっていない
- 国外への転出では転出証明書が交付されない(施行令第24条)。マイナポータルのオンライン転出届も使えない
- マイナンバーカードは、出国日の前日までに窓口で継続利用の手続き。しないと転出予定日に失効する
- 失効させても、2026年5月26日から国外転出者向けのオンライン交付申請ができる
- 国民健康保険は住所がなくなった日の翌日に資格喪失(国保法第8条)
- 国民年金は日本国籍なら任意加入できる。ただし免除・納付猶予は申請できなくなる
- 住民税は1月1日に住民票があるかどうか(地方税法第318条・第294条第2項)
- 3か月以上の滞在は在留届が義務(旅券法第16条)。現地到着の90日前から出せる
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※ 本記事の法令の記載は、e-Gov法令検索で公開されている住民基本台帳法・同法施行令・地方税法・国民健康保険法の条文に基づきます(2026年9月9日取得)。市区町村の運用は横浜市・立川市・新宿区の公式ページ、在留届は外務省、年金は日本年金機構、所得税は国税庁タックスアンサーの掲載内容によります(いずれも2026年9月9日確認)。持ち物・受付方法・住民税の取り扱いは市区町村によって異なります。手続きの前に、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。