犬の引っ越しは30日以内に新しい住所の市区町村へ届け出ます|猫に自治体の手続きはなく、マイクロチップの変更届だけが犬猫共通です
この記事を読むと分かること
- 犬は引っ越しから30日以内に、新しい住所の市区町村へ届け出ること(狂犬病予防法第4条第4項)
- 猫には、自治体へ届け出る制度そのものがないこと
- マイクロチップの変更届は犬も猫も30日以内で、手数料はかからないこと
引っ越しでペットの手続きを調べると、犬と猫がひとまとめに書かれていることがあります。この2つは、根拠になっている法律が違います。
犬の手続きは狂犬病予防法、マイクロチップの手続きは動物愛護管理法です。猫は前者の対象ではありません。だから猫の飼い主が市区町村の窓口へ行っても、届け出るものがありません。
犬は30日以内に新しい住所の市区町村へ届け出ます
狂犬病予防法第4条第4項に、こう書かれています。
- 「登録を受けた犬の所有者は、犬が死亡したとき又は犬の所在地その他厚生労働省令で定める事項を変更したときは、三十日以内に、その犬の所在地(犬の所在地を変更したときにあつては、その犬の新所在地)を管轄する市町村長に届け出なければならない。」
※ e-Gov法令検索で公開されている狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号)の条文を原文のまま引用(2026年9月8日取得)。
届出先は「新しい住所」の市区町村です。引っ越し前の市区町村ではありません。条文が「その犬の新所在地を管轄する市町村長」と書き分けています。
旧住所の役所へ先に行く必要はありません。規則の第16条の6・第16条の7では、新しい市区町村から旧市区町村へ通知し、原簿を送るという手順が定められています。飼い主が2か所を回る前提になっていません。
届出書に書くのは3つです
狂犬病予防法施行規則第9条が、届出書の記載事項を定めています。
| 書く内容 | 手元に必要なもの |
|---|---|
| 所有者の氏名及び住所 | 本人確認できるもの |
| 登録年度及び登録番号 | 犬鑑札(登録番号が刻まれています) |
| 変更した事項(新旧の対照を明示すること) | 旧住所が分かるもの |
登録番号が要るので、鑑札を持たずに窓口へ行くと止まります。引っ越しの荷造りで最初に見失いやすいのがここです。
鑑札を無くしている場合は、再交付の申請も30日以内と決まっています(同規則第6条)。引っ越しの届出とまとめて相談してください。
マイクロチップの変更届は、犬も猫も30日以内です
こちらは動物愛護管理法です。第39条の5第8項に、次のように書かれています。
- 「登録を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項その他の環境省令で定める事項に変更を生じたときは、(中略)変更を生じた日から三十日を経過する日までに、その旨を環境大臣に届け出なければならない。」
第2項第1号の事項には所有者の氏名及び住所が入っています。つまり引っ越しは、この届出の対象です。
※ e-Gov法令検索で公開されている動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)の条文を原文のまま引用(2026年9月8日取得)。
手数料はかかりません。環境省の指定登録機関のサイトは、所有者が変わらない場合は「登録事項の変更(手数料無し)」を使うようにと案内しています。似た名前の「所有者の変更登録」は手数料が発生する別の手続きで、こちらは譲渡のときに使うものです。
同サイトによると、登録頭数は犬1,975,267頭・猫792,447頭です。
※ 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録」(環境大臣指定登録機関)の掲載内容に基づく(2026年9月8日確認)。登録頭数は同日時点の表示値。
マイクロチップを付けていない犬・猫は、この届出そのものがありません
装着は、2022年6月1日以降に取得した犬猫を扱う販売業者には義務ですが、それ以外の飼い主には努力義務です(動物愛護管理法第39条の2第2項)。
付けていなければ登録も無く、変更届も発生しません。その場合、犬は市区町村の届出だけ、猫は手続きなしになります。
「マイクロチップの届出だけで済む市区町村」は332しかありません
ここが、まとめ記事で抜けやすいところです。
動物愛護管理法第39条の7に狂犬病予防法の特例があります。市区町村が国に「求め」を出していれば、マイクロチップの登録が、犬の登録や届出とみなされます。同条第3項・第4項が、変更の届出についても同じ扱いを定めています。
この特例に参加しているかどうかは、市区町村ごとに違います。
環境省の指定登録機関が公開している「狂犬病予防法の特例制度に参加する市区町村一覧(令和8年8月現在)」を数えました。
| 項目 | 実数 |
|---|---|
| 一覧に載っている市区町村の行数 | 1,747 |
| 特例に参加している(○が付いている)市区町村 | 332 |
| 参加団体がある都道府県 | 34 |
| 最も新しい参加日 | 2026年8月1日 |
※ 環境省指定登録機関が公開する上記一覧(Excel形式・令和8年8月現在)を2026年9月8日に取得し、編集部で集計。○印の付いた行を参加として数えたもの。
参加しているのは全体の2割ほどです。つまり多くの市区町村では、マイクロチップの変更届を出しても、市区町村への届出が別に必要です。
「マイクロチップがあれば役所は不要」と書いてある説明は、参加している市区町村の話です。引っ越し先が参加しているかどうかを先に確かめてください。一覧は指定登録機関のダウンロードページで公開されています。
引っ越し先が特例に参加しているかで、鑑札の扱いが変わります
参加・不参加をまたいで引っ越すと、手元に残るものが入れ替わります。規則に書かれているとおりに並べます。
| 引っ越しの向き | 起きること |
|---|---|
| 参加していない市区町村 → 参加している市区町村 | マイクロチップが鑑札とみなされる。それまでの鑑札は、速やかに市区町村長へ提出(規則第16条の4) |
| 参加している市区町村 → 参加していない市区町村 | みなしが効かなくなるため、新しい市区町村長が鑑札を交付する(規則第16条の7) |
鑑札を捨てないでください。返すことになる場合も、返す相手は決まっています。
予防注射の時期は4月1日から6月30日です
狂犬病予防法第5条第1項が、犬の予防注射を毎年1回と定めています。時期は施行規則第11条で、生後91日以上の犬は4月1日から6月30日までの間に1回と決まっています。
引っ越しの時期がこの期間に重なると、旧住所の集合注射の案内が届かないことがあります。転居の届出を済ませておくと、新しい市区町村から案内が届きます。
移動そのものは、引っ越し業者に断られることがあります
手続きと別に、当日どうやって運ぶかという問題があります。
標準引越運送約款では、動植物は引受けを拒絶できる荷物として、ピアノや美術品と同じ号に並んでいます。トラックに一緒に載せる前提になっていません。
段取り
| 順 | やること | 期限 |
|---|---|---|
| 1 | 鑑札と注射済票の場所を確認して、荷物に紛れさせない | 荷造り前 |
| 2 | 見積もりでペットがいると伝える(当日には対応できません) | 業者を決める前 |
| 3 | 引っ越し先の市区町村が特例に参加しているかを一覧で見る | 引っ越し前 |
| 4 | マイクロチップの登録事項変更(犬猫とも・手数料無し) | 30日以内 |
| 5 | 犬は新住所の市区町村へ届出(鑑札を持参) | 30日以内 |
3を4より前に置いているのは、参加している市区町村なら5が不要になるからです。順番を逆にすると、要らない窓口へ行くことになります。
業者選びは、ペットを運べるかどうかで絞ります
ペットの輸送は、約款上どの会社も断ることができます。違うのは別サービスとして持っているかどうかです。見積もりの段階で申告して、扱いのある会社に絞るのが早い方法です。
| 優先したいこと | 向いている方法 | 受け入れること |
|---|---|---|
| 手間を減らして、厳選された数社で比べたい | HALESEE(ハレシー) | 比較できる社数は少なめ |
よくある質問
Q. 猫の引っ越しで、市区町村に出す届出はありますか。
狂犬病予防法に基づく登録の制度は犬だけで、猫にはありません。猫で法律上必要になるのは、マイクロチップが登録されている場合の変更届だけです。ただし飼い主自身の転出届・転入届は、猫の有無と関係なく必要です。
Q. 同じ市内で引っ越した場合も、犬の届出は要りますか。
必要です。条文が変更の対象にしているのは犬の所在地と、所有者の氏名・住所です(施行規則第7条)。市区町村が変わらなくても、住所が変われば届け出ます。
Q. 30日を過ぎてしまいました。
期限を過ぎても手続きはできます。気づいた時点ですぐに届け出てください。マイクロチップ側について、指定登録機関のサイトは期限超過の質問に対し「法律に違反している状態となりますので、直ちに手続をしてください」と回答しています(2026年9月8日確認)。
Q. マイクロチップの変更届は、窓口へ行かないとできませんか。
指定登録機関のサイトからオンラインで手続きできます。パソコンやスマートフォンが使えない場合は、様式をダウンロードして郵送する方法も案内されています。用紙には登録証明書の写しを添えます。
Q. 登録証明書を無くしました。
再交付の手続きがあり、手数料は300円です。なお暗証記号が分からないだけであれば、再送付は無料だと同サイトが案内しています(2026年9月8日確認)。
まとめ
- 犬は引っ越しから30日以内に、新しい住所の市区町村へ届出(狂犬病予防法第4条第4項)
- 届出書には登録年度と登録番号が要るので、鑑札を手元に置いておく
- 猫には、市区町村へ届け出る制度そのものがない
- マイクロチップの変更届は犬猫とも30日以内で、手数料は無し
- 特例に参加している市区町村は332。参加していれば、犬の市区町村への届出はマイクロチップ側で済む
- 参加・不参加をまたぐと、鑑札を返す側と受け取る側が入れ替わる
- 予防注射は4月1日から6月30日に年1回
- 運ぶ方法は別問題。約款で動植物は断れる荷物
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運搬の可否は約款で決まっています。
車とバイクにも、法律で決まった期限があります。
自転車は荷物として運べますが、防犯登録は都道府県ごとです。
飼い主自身の住民票の手続きは、オンラインでも出せます。
免許証の住所変更は、住民票がなくてもできます。
全体の順番は、こちらにまとめています。
※ 本記事の法令の記載は、e-Gov法令検索で公開されている狂犬病予防法・同施行規則・動物の愛護及び管理に関する法律の条文に基づきます(2026年9月8日取得)。特例制度の参加市区町村数は、環境省指定登録機関が公開する一覧(令和8年8月現在)を同日に取得して集計したものです。手数料・持ち物・受付方法は市区町村によって運用が異なる場合があります。手続きの前に、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。