ネズミとゴキブリが同じ家に出るのは、入り口が同じだからです|法律も「ねずみ及び昆虫」とひとまとめに定めています
この記事を読むと分かること
- ★ネズミとゴキブリが同じ家に出るのは、入り口になる場所が同じだからだということ
- ★法律は最初から「ねずみ及び昆虫」をひとまとめにして、「統一的に」調べるよう定めていること
- ふさぐ場所は同じでも、ふさぎ方の細かさが違うこと
- 東京都の相談件数では、ネズミとゴキブリで40倍以上の開きがあること
ネズミの音がすると思っていたら、台所でゴキブリも見た。別々の業者を探すべきなのか、それとも同じ原因なのかが分かりません。
結論から言うと、この2つは同じ場所から入ってきます。片方が通れる家は、もう片方も通れます。そして国の法令は、この2つを別々のものとしてではなく、「ねずみ及び昆虫」というひとつのまとまりとして扱っています。この記事では、その根拠になる条文と、東京都が公表している相談件数の実数を並べます。
ネズミとゴキブリが同じ家に出るのはなぜですか
通気口・換気扇まわり・配管の貫通部・排水まわりという、同じ開口部が空いているからです。ネズミが通れる隙間は、ゴキブリにとっては十分すぎる広さです。
★「ゴキブリがいるからネズミが来る」わけではありません
この記事が言っているのは「原因が同じだから、結果も同じ家に出る」ということだけです。
一方がもう一方を呼び寄せるという関係は、公的資料では確認できませんでした。
同時に出ている場合に見るべきなのは虫や獣そのものではなく、建物の開口部のほうです。
法律は「ねずみ及び昆虫」をひとまとめにして扱っています
建物の衛生を定めた法令では、この2つは最初から同じ枠に入っています。
建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則の第四条の四は、防除の対象になる動物をこう定義しています。
「ねずみ、昆虫その他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物(以下「ねずみ等」という。)とする」
そして第四条の五第二項第一号は、その調べ方まで指定しています。
「ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ等による被害の状況について、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ等の発生を防止するため必要な措置を講ずること」
※ e-Gov法令検索で条文を取得(2026年9月10日時点で確認)。この規則が直接かかるのは一定規模以上の特定建築物で、一般の住宅に義務があるわけではありません。
飲食店などにかかる食品衛生法施行規則も同じ形です。別表第十七の第五号は、そのものずばり「ねずみ及び昆虫対策」という見出しで、次の内容を定めています。
「施設及びその周囲は、維持管理を適切に行うことができる状態を維持し、ねずみ及び昆虫の繁殖場所を排除するとともに、窓、ドア、吸排気口の網戸、トラップ及び排水溝の蓋等の設置により、ねずみ及び昆虫の施設内への侵入を防止すること」
「一年に二回以上、ねずみ及び昆虫の駆除作業を実施し、その実施記録を一年間保存すること」
「ねずみ及び昆虫による汚染防止のため、原材料、製品及び包装資材等は容器に入れ、床及び壁から離して保存すること。一度開封したものについては、蓋付きの容器に入れる等の汚染防止対策を講じて保存すること」
★条文の言葉は「統一的に」です
どちらの法令も、ねずみと昆虫を別々に調べろとは書いていません。
発生場所・生息場所・侵入経路・被害の状況を、まとめて一度に見ることを求めています。
家庭で同じことをやる場合も、順番は同じです。虫と獣で分けずに、先に開口部を一周見ます。
ふさぐ場所は同じでも、ふさぎ方の細かさが違います
東京都は「都民のためのねずみ防除読本」で、ねずみの侵入口をふさぐ具体例を一覧にしています。その箇所は、食品衛生法施行規則が昆虫の侵入防止として挙げる場所と、ほぼ重なります。
| 場所 | 東京都がねずみ対策として挙げる方法 | 同じ場所が昆虫側でも挙がるか |
|---|---|---|
| 通気口(屋根の下、床下) | 格子の幅が1.25センチ以上なら1センチ位のものに取り替える | 吸排気口の網戸として挙がる |
| 換気扇 | 防火ダンパーが油汚れで閉まらない場合は、閉まるよう掃除する | 吸排気口として挙がる |
| 配管の貫通部分 | 不燃性のパテやモルタルで埋める(応急措置は金属たわし) | 排水溝の蓋等として挙がる |
| 扉のすきま | 木製ドアの隙間やかじられた穴に金属板を打ちつけてふさぐ | 窓、ドアとして挙がる |
| 壁のひびわれ・基礎のすきま | 不燃性のパテやモルタルで埋める | 繁殖場所の排除に含まれる |
※ 左列と中列は東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」22ページの「防そ修繕の具体例」に基づきます(2026年9月10日時点で確認)。右列は食品衛生法施行規則 別表第十七 第五号の記載との対応です。
ただし、同じ場所でも必要な細かさは違います。東京都は広い隙間に金網をかぶせる場合、網目幅が1センチ以下の金網を使うよう求めています。これはねずみを止める基準で、ゴキブリはこの網目を通ります。
つまり、金網で足りるのはねずみまでです。虫まで止めたいなら、同じ場所をパテやモルタルで隙間そのものを埋める必要があります。
※ 東京都は「電気配線が壁を貫通し配電盤につながる部分にすきまがある場合の防そ修繕は危険なので、電気屋さんにお願いしましょう」と注記しています。ここだけは自分でふさがないでください。
ねずみが通れる隙間の大きさそのものについては、別の記事で扱っています。
東京都の相談件数は、ネズミが7,714件・ゴキブリ類が173件です
東京都は毎年度、都内の区市町村と保健所に寄せられた相談件数を類別に集計して公表しています。令和6年度の合計は26,052件でした。
| 類別 | 令和6年度の相談件数 |
|---|---|
| 11 ネズミ類 | 7,714件 |
| (内訳)クマネズミ | 1,404件 |
| (内訳)ドブネズミ | 730件 |
| (内訳)ハツカネズミ | 5件 |
| 4 細菌付着昆虫(ゴキブリ・ハエ類を含む区分) | 322件 |
| うちゴキブリ類の合計 | 173件 |
| (内訳)クロゴキブリ | 29件 |
| (内訳)チャバネゴキブリ | 24件 |
| (内訳)その他のゴキブリ | 120件 |
※ 東京都保健医療局「令和6年度の調査結果」および類別集計(4 細菌付着昆虫/11 ネズミ類)に基づきます(2026年9月10日時点で確認)。ゴキブリ類173件は、公表されている3つの内訳を合計した値です。
★この数字は「発生件数」ではありません
東京都はこの集計に、「※表中の件数は駆除件数、被害件数、個体発生数とは異なります」と自ら注記しています。
苦情・相談として行政に持ち込まれた件数であって、どちらが多く出ているかを示すものではありません。
ゴキブリが少ないのではなく、市販品で自分で対処されて相談に至らないという読み方もできますが、
これは解釈で、この資料から確かめられることではありません。
相談が増える月は、半年ずれます
同じ集計には月別の内訳もあります。ピークの月が半年ずれているのが、この表でいちばんはっきり出ています。
| 区分 | 最も多い月 | 最も少ない月 |
|---|---|---|
| 11 ネズミ類 | 10月(1,009件)。次いで11月855件、12月746件 | 8月(482件) |
| 4 細菌付着昆虫 | 6月(52件)。次いで7月42件 | 2月(6件) |
※ 同じく東京都保健医療局「令和6年度の調査結果」に基づきます(2026年9月10日時点で確認)。4 細菌付着昆虫にはハエ類・チョウバエも含まれるため、この月別はゴキブリ単独の動きではありません。ゴキブリ単独の月別は公表されていません。
同じ家に両方が出ていても、気づく時期は半年ずれることがあります。夏に虫を見て、秋になって音が始まる。この順番で相談に来る人が多いということです。
先に手を付ける順番
両方に効くものから順にやります。えさと水を断つのは共通で、ここを飛ばして薬剤から入ると、どちらにも効きません。
| 順番 | やること | どちらに効くか |
|---|---|---|
| 1 | 食品を蓋付きの容器に入れ、床と壁から離して置く(食品衛生法施行規則の記載と同じ) | 両方 |
| 2 | 排水まわりの汚れと水気を落とす。生ゴミを残さない | 両方 |
| 3 | 通気口・換気扇・配管の貫通部を一周見て、ふさぐ | 両方(細かさは前述のとおり違います) |
| 4 | 薬剤を使う | 種類ごとに別。ここで初めて分かれます |
1から3を飛ばして4だけをやると、いなくなったように見えて戻ります。東京都は薬剤について、殺そ剤を使う場合も「周辺の餌になるものを片づけてから使用します」としています。えさが残っていると、そちらが優先されるからです。
ネズミの駆除が終わったあとに、かゆみが出ることがあります
これは順番の問題として知っておく価値があります。ネズミがいなくなると、ネズミに寄生していたダニが宿主を失って人を刺すことがあります。このとき出るのはゴキブリの問題ではないので、殺虫剤の種類を変えても止まりません。
原因の見分け方は別記事にまとめています。
自分でやる範囲と、業者に頼む範囲
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| ゴキブリを数匹見た | 自分で対処できます。えさと水を断ち、隙間を埋める |
| 食品に虫が入った | 自分で対処できます。密封保管に切り替える |
| ★天井裏や壁の中で音がする | 自分では届きません。侵入経路をふさぐ工事が要ります |
| ★ふさいだのに戻ってくる | ふさぎ残しがあります。建物側の調査が要ります |
| ★賃貸に住んでいる | 業者を呼ぶ前に管理会社へ。建物の構造が原因なら費用の扱いが変わります |
相談先は、ネズミと虫で分かれます
同じ原因でも、対応する会社は分かれています。両方を1社に頼めるとは限らないので、症状の重いほうから当たるのが現実的です。
ネズミ側
害獣プロテック(株式会社花光)は、関東・関西・東海・九州・北陸・中部・東北に対応する害獣駆除の会社です(対応エリアは2026年9月10日時点の公式サイトの記載)。公式サイトでは調査・見積り完全無料/24時間365日のコールセンター受付とされています。母体は20年以上続くリフォーム会社で、施工技術としては工務店歴50年以上を掲げており、弊社施工箇所が破損した場合の最長10年の破損保証(※期間は施工内容により、条件があります)を掲げています。
この記事の主題との関係でいうと、同社が重視しているのは駆除そのものではなく、この記事で扱った「ふさぐ」工程のほうです。公式サイトには「害獣は帰巣本能が強く、捕まえたり追い出したりするだけではすぐに被害が再発してしまいます。そこで重要になるのが侵入経路封鎖による再発防止施工です」と書かれています。
※ 対応エリア・受付時間・保証の条件は害獣プロテックの公式サイトの公表内容に基づきます(2026年9月10日時点・編集部調べ)。破損保証には条件があり、期間は施工内容によるとされています。
ゴキブリ側
害虫駆除110番は、上場企業シェアリングテクノロジー株式会社(証券コード3989)が運営する紹介サービスです。日本全国・24時間365日受付で、公式サイトの料金表示はゴキブリ駆除16,500円〜(税込)です。対応害虫はゴキブリ/シロアリ/ハチ/クロアリ/ノミ・ダニ/トコジラミ/ムカデ/ヤスデ/その他で、ネズミは対象に入っていません。
※ 料金・対応範囲・受付時間は害虫駆除110番の公式サイトの公表内容に基づきます(2026年9月10日時点・編集部調べ)。公式サイトには「対応エリア・加盟店により記載価格や条件では対応できない場合がございます」との注記があります。
費用の見方そのものについては、別にまとめています。
よくある質問
ネズミとゴキブリは、どちらを先に駆除すべきですか
えさと水を断つ作業と、隙間をふさぐ作業は共通なので、そこは分ける必要がありません。分かれるのは薬剤の段階だけです。ただし天井裏や壁の中で音がしている場合は、ネズミのほうが先です。建物の開口部をふさぐ工事が入るため、その工程で虫の侵入口も一緒に減ります。
ゴキブリがいる家には、必ずネズミもいますか
そうとは限りません。同じ条件がそろっている家には両方が入りやすい、というだけです。一方がもう一方を呼び寄せるという関係は、公的資料では確認できませんでした。両方を見ているなら、開口部と食品の保管を一度点検する価値があります。
保健所は駆除してくれますか
駆除はしてくれません。相談を受け付け、方法を案内するところまでです。担当も虫か獣かで分かれます。詳しくは保健所は害虫も害獣も駆除してくれません|してもらえることと、虫か獣かで担当が分かれる理由にまとめています。
隙間を金網でふさげば、虫も入ってこなくなりますか
なりません。東京都が示している基準は網目幅1センチ以下の金網で、これはねずみを止めるためのものです。ゴキブリはこの網目を通ります。虫まで止めるなら、同じ場所を不燃性のパテやモルタルで埋める必要があります。
燻煙剤をたけば両方まとめて駆除できますか
侵入口が残っている限り、戻ります。東京都は薬剤を使う場合でも、周辺のえさになるものを片づけてから使用するとしています。法令が求めている順番も、繁殖場所の排除と侵入の防止が先で、駆除作業はそのあとです。
秋になって急に音がしはじめたのはなぜですか
東京都の相談件数でも、ネズミ類は10月が最も多くなっています(令和6年度・1,009件)。ただしこれは相談の件数であって、発生そのものの件数ではありません。寒くなる時期に建物の中へ移動する動きと、相談が増える時期が重なっている、というところまでが資料から言えることです。
まとめ
- ★ネズミとゴキブリが同じ家に出るのは、通気口・換気扇・配管の貫通部・排水まわりという入り口が同じだから
- ★一方がもう一方を呼び寄せるという関係は、公的資料では確認できなかった
- 建築物衛生法施行規則は、防除の対象を「ねずみ、昆虫その他…」とひとまとめに定義している(第四条の四)
- 同規則は、発生場所・生息場所・侵入経路・被害の状況を「六月以内ごとに一回、定期に、統一的に」調べるよう求めている
- 食品衛生法施行規則 別表第十七の第五号は、見出しそのものが「ねずみ及び昆虫対策」
- ★ふさぐ場所は同じでも、ふさぎ方の細かさが違う。東京都の基準は網目1センチ以下の金網だが、ゴキブリはこれを通る
- 配電盤につながる配線まわりだけは自分でふさがない(東京都が危険と注記)
- 東京都の令和6年度の相談は合計26,052件。ネズミ類7,714件/ゴキブリ類173件
- ★この件数は「駆除件数、被害件数、個体発生数とは異なります」と東京都自身が注記している
- 相談が増える月は半年ずれる。ネズミ類は10月(1,009件)、細菌付着昆虫は6月(52件)
- 順番はえさと水 → 隙間 → 薬剤。先に薬剤をやると戻る
- ネズミがいなくなったあとにかゆみが出ることがある。原因はゴキブリではない
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どちらから来ているのか、音で絞りたい場合はこちらです。
虫のほうだけを先に絞りたい場合は、色と動き方が入口になります。
ネズミの被害が設備に及んでいる場合は、費用の出どころが変わります。
※ 本記事の条文は e-Gov法令検索で取得した「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則」および「食品衛生法施行規則」、相談件数は東京都保健医療局「令和6年度の調査結果」(ねずみ・衛生害虫等被害発生・相談件数)、侵入口の修繕方法と殺そ剤の使い方は同局「都民のためのねずみ防除読本」の22ページおよび25ページの記載に基づきます(いずれも2026年9月10日時点で確認)。建築物衛生法施行規則が直接かかるのは一定規模以上の特定建築物で、一般の住宅に義務があるわけではありません。被害の状況や建物の構造によって必要な工事は変わります。判断に迷う場合は、お住まいの自治体の保健所または生活衛生の窓口にご相談ください。