屋根裏の動物の正体を音で絞る|バルサンでは解決しない理由と、塞ぐ順番を間違えると閉じ込める話
この記事を読むと分かること
- 音の重さと時間帯で、正体をかなり絞れること
- バルサンなどのくん煙剤では解決しないこと。東京都が理由を明言していること
- 追い出す前に侵入口を塞ぐと、閉じ込めること。順番を間違えないこと
夜になると、天井の上で何かが動く。ネズミにしては音が大きい気もするし、そうでない気もする。まず「何がいるのか」を絞るところから始めます。
この記事では、東京都と環境省と農研機構の資料をもとに、音から正体を絞り、次に何をするかまでをまとめます。
音の重さで、大きく2つに分かれます
候補はネズミ・ハクビシン・イタチ・アライグマ・コウモリの5種類です。まず体重を並べます。
| 種類 | 体重 | 音の印象 |
|---|---|---|
| アライグマ | 3.5〜11.0kg | ドスドスと重い |
| ハクビシン | 2.0〜5.5kg | ドスドス、ゴトゴト |
| イタチ(ニホンイタチ) | 115〜650g | トタトタと軽く、素早い |
| ネズミ(クマネズミ等) | おおむね100〜200g前後 | カサカサ、カリカリと小さい |
※ ハクビシン・アライグマの数値は東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」、イタチの数値は環境省「類似種(イタチ・シマリス)の識別資料」に基づく(2026年8月31日時点で確認)。ネズミの体重は一般的な目安です。
「猫くらいのものが歩いている」と感じたなら、ネズミではありません。逆に「カリカリと何かをかじる音」が続くなら、ネズミの可能性が高くなります。
東京都環境局の侵入チェックシートにも、家屋の項目としてこう書かれています。
「天井裏から聞いたことのない大きな足音や物音がした」— 東京都環境局「アライグマ・ハクビシン侵入チェックシート」より
「聞いたことのない大きな」という表現がポイントです。ネズミの音は多くの人が知っています。それと違うと感じた時点で、中型の動物を疑う段階です。
時間帯でも絞れます
ハクビシン・アライグマ・イタチ・コウモリは夜行性です。東京都環境局は、アライグマとハクビシンについて「夜行性で、昼間は樹上のうろ、納屋や家屋、寺社仏閣の屋根裏などの中で休息している」と書いています。
| 音がする時間 | 絞り込み |
|---|---|
| 日没後から深夜に集中する | ハクビシン・アライグマ・イタチ・コウモリ |
| 明け方に出入りの音がする | 同上(戻ってくる時間帯) |
| 昼夜を問わず、断続的に続く | ネズミ |
音以外に残っているものを見ます
音だけでは確定できません。残っているもののほうが確実です。
東京都環境局の侵入チェックシートから、建物についての8項目です。
| チェック項目(建物) |
|---|
| 建物に5本指の足跡があった |
| 柱を登る5本の爪あとがあった |
| 天井や壁の一部が壊された |
| 天井にシミができたり、雨もりのように水滴が落ちてきた |
| 天井裏から聞いたことのない大きな足音や物音がした |
| 天井裏に犬の糞のようなものが大量にあった |
| 飼い犬や猫の餌が何者かに食べられてしまった |
| お供え物が食べられたり、荒らされたりした |
※ 東京都環境局「アライグマ・ハクビシン対策マニュアル」参考資料④より(関西野生生物研究所 原案・大阪府 作成を参考。2026年8月31日時点で確認)。
「天井にシミ」は、雨漏りと間違えやすい症状です。尿がたまって天井板を抜けてきたものです。雨が降っていないのにシミが広がるなら、疑ってください。
資料には「あてはまる項目があったら、アライグマやハクビシンが来ていたり、住み着いている可能性があります」と書かれています。
バルサンで追い出せますか
ここが多くの人がつまずくところです。結論から書きます。
東京都環境局は、忌避剤についてこう書いています。
「個体を別の家に追いやるだけで根本的な解決策には繋がりません」— 東京都環境局「被害を防ぐために」より
「追い出せるか」と「解決するか」は別の話です
煙や臭いで一時的に出ていくことはあります。しかし侵入口が空いたままなら戻ってきます。そして戻ってこなくても、糞と巣材は残ったままです。
くん煙剤はもともとハエ・蚊・ゴキブリなどの害虫用の製品です。害獣に対して効果があるかは製品の表示を確認してください。屋根裏で使う場合、火災警報器が作動することがあります。
東京都環境局が挙げている対策は、次の3つです。
- 家屋への侵入経路となるような木の枝等は切る
- 家屋への入り口となるような破損箇所等は塞いでおく
- 空き家を点検・撤去を行う
追い出すことではなく、入れなくすることが対策です。
★順番を間違えると、閉じ込めます
これがいちばん大事な注意点です。
「侵入口を塞げばいい」と分かった人が、中にいるまま塞いでしまうことがあります。そうすると中で死にます。
| 順番 | 結果 |
|---|---|
| 出ていったことを確認 → 塞ぐ | 正しい |
| 塞ぐ → 中にいた | 腐敗臭とウジが発生。天井を開けての清掃が必要になる |
しかも、子どもがいる時期は追い出せません。動けない子がいると親だけが出て、子は残ります。結果は同じです。
「今いないこと」を確認するのは、素人には難しい作業です。業者が現地調査で最初に見るのもここです。
侵入口の大きさ
農研機構が、ハクビシンが通れる隙間を実測しています。
| 隙間の形 | 通り抜けられたサイズ |
|---|---|
| 正方形 | 一辺8cm |
| 円形 | 直径9cm |
| 横長の長方形 | 6cm × 12cm |
| 縦長の長方形 | 11cm × 7cm |
※ 農研機構「ハクビシンは狭い隙間から侵入できる」(西日本農業研究センター)の記載に基づく(2026年8月31日時点で確認)。
短い辺が6cmあれば通れます。握りこぶしが入るかどうかの大きさです。屋根と壁の取り合い、換気口、軒下、配管まわりなど、普段は「隙間」と認識していない場所が該当します。
そして東京都環境局は、ハクビシンについて木登りが得意で電線を伝い歩きすると書いています。地上からの経路だけを塞いでも足りません。
イタチやネズミは、さらに小さい体です。ハクビシンが通れない隙間からでも入れることになります。
自分で捕まえていいのか
捕獲には許可が要ります。ハクビシン・アライグマ・イタチ・タヌキなどは鳥獣保護管理法の対象で、狩猟による場合を除いて捕獲・殺傷・採取が原則として禁止されています。違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
許可を出すのは都道府県知事で、一部は市町村長に権限が移されています。
ただし環境省の資料には、一般の住民にとって重要な例外が書かれています。
ハクビシン・アライグマは、被害が出ていなくても申請できます
「原則として在来の野生鳥獣の保護と被害防止の両立が必要となる(ただし、外来鳥獣については、被害未発生時においても捕獲許可の申請が可能)」と書かれています。ハクビシンとアライグマは外来鳥獣です。
狩猟免許がなくても申請できる場合があります
「捕獲個体を適切に処分でき、かつ住宅等の建物内や農地等での被害を防止する目的で、土地所有者自らが小型の箱わなで捕獲する場合は、免許非所持者であっても捕獲許可の申請が可能」とあります。
条件は3つ。土地所有者本人/小型の箱わな/捕獲した個体を適切に処分できること。
※ 環境省「捕獲許可制度の概要」「野生鳥獣の違法捕獲の防止」および「アライグマ防除の手引き(令和7年3月改訂版)」表2-1に基づく(2026年8月31日時点で確認)。
なお、イタチだけは扱いが違います。狩猟鳥獣の指定が「オスに限る」となっており、ニホンイタチのメスは対象外です。そしてメスのほうが見分けにくいため、環境省は識別を確実に行うよう求めています。
賃貸か持ち家かで、やることが変わります
| 住まい | 最初にやること |
|---|---|
| 賃貸 | 管理会社・大家に連絡する。建物の維持管理の問題であり、自分で業者を手配して費用を負担する話ではありません |
| 持ち家 | 区市町村の担当課に相談し、あわせて業者の現地調査を受ける |
賃貸で勝手に工事を頼まないでください。侵入口を塞ぐのは建物への施工です。原状回復や費用負担でもめる原因になります。
相談先
東京都環境局の資料は「まずは各区市町の環境部署や清掃部署等にお問い合わせ下さい」と案内しています。自治体によっては罠の貸し出しや、防除計画に基づく捕獲を行っています。まずここに聞くのが無料で、確実です。
ただし自治体が対応するのは主に捕獲までです。侵入口の封鎖・糞の清掃・消毒・断熱材の交換といった建物側の工事は、民間の業者に頼むことになります。
| 状況 | 向いている相談先 |
|---|---|
| 対応エリア内で、再発防止の工事まで含めて相談したい | 害獣プロテック |
| 種類が分からないまま、まず見てもらいたい/深夜に相談したい | 駆除ザウルス |
害獣プロテックは、48年以上にわたり家の構造を扱ってきた建築の会社が対応します。再発を防ぐ「害獣対策工事」まで一貫して行う立て方で、この記事で書いた「入れなくすることが対策」という考え方と合います。対応エリアは福島/東京・神奈川・埼玉・群馬・千葉・栃木・茨城/山梨・長野・富山・石川・福井/愛知・静岡・三重/大阪・京都・兵庫・奈良。見積もりは無料で、Webからでも電話からでも受け付けています。
駆除ザウルスは24時間365日受付で、下請けを使わない完全自社施工を掲げています。現地調査は原則無料(生息確認のみの依頼は別途有料)。最長10年の保証があり、保証期間内に再発した場合は無償で対応するとしています。ハクビシン・イタチ・アライグマ・テン・ネズミ・コウモリ・アナグマに対応しており、種類が特定できていない段階でも相談できます。対応は全国ですが、北海道・沖縄と一部地域は対象外です。
※ 各社の対応エリア・受付時間・保証内容は変わることがあります。最新の内容は各公式サイトでご確認ください(2026年8月31日時点・編集部調べ)。
まとめ
- 候補はネズミ・ハクビシン・イタチ・アライグマ・コウモリの5種類
- 重い足音ならネズミではない。ハクビシン2.0〜5.5kg、アライグマ3.5〜11.0kg
- 夜だけ音がするなら夜行性の4種。昼夜問わず断続的ならネズミ
- 天井のシミは雨漏りと間違えやすい。雨が降っていないのに広がるなら疑う
- バルサンなどのくん煙剤では解決しない。東京都は忌避剤を「別の家に追いやるだけ」と明言
- 対策は入れなくすること。侵入口を塞ぐ
- ★順番を間違えると閉じ込める。出ていったことを確認してから塞ぐ
- 侵入口は8cm四方。短い辺が6cmあれば通れる。電線も伝う
- 捕獲は許可制。違反は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- ただしハクビシン・アライグマは外来鳥獣なので被害が出ていなくても申請でき、土地所有者本人が小型の箱わなで行うなら狩猟免許は要らない
- 賃貸はまず管理会社・大家へ。持ち家は区市町村へ相談したうえで業者の現地調査を受ける
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天井裏の音がネズミだった場合、住宅設備の配線がかじられていることがあります。
※ 本記事の体重・生態・侵入チェックシート・対策の記述は東京都環境局「アライグマ・ハクビシン対策について」および同「対策マニュアル」参考資料、イタチ類の数値は環境省の識別資料、捕獲許可の記述は環境省「捕獲許可制度の概要」「アライグマ防除の手引き」、隙間のサイズは農研機構の研究成果に基づきます(いずれも2026年8月31日時点で確認)。