中部電力ミライズの電気料金の返金は1か月あたり最大152円です|総額12億円・500.9万件の内訳と、自分が対象かの確かめ方

この記事で分かること
  • 返ってくるのは「総額12億円」ではなく、1契約あたりの精算額であること
  • 対象は13種類の契約種別に限られ、検針票の「ご契約種別」で確かめられること
  • 返還の時期と方法は、2026年9月10日時点でまだ決まっていないこと
2026年9月10日、中部電力ミライズと中部電力が「特定小売供給約款の変更届出における原価算定誤りについて」を公表しました。2024年4月1日以降、本来より高い電気料金を負担していた契約が500.9万件あり、過大に負担した分を返還するという内容です。
ニュースでは「12億円」という数字が先に出ます。これは全契約を合わせた総額で、1契約あたりの額とは別の数字です。公式が示している1か月あたりの精算額は、最大152円・最小0円・家庭の平均モデルで10円です。どちらも事実なので、単位を取り違えないように並べておきます。

何が起きたのですか

中部電力が電気料金の原価を算定する際に誤りがあり、2024年4月1日から適用されている電気料金の単価が本来より高く設定されていた、というのが今回の内容です。
発表の表題は「特定小売供給約款の変更届出における原価算定誤りについて」で、発表元は中部電力ミライズ株式会社と中部電力株式会社の連名です。報道では「過大請求」と表現されることがありますが、原文にその語はありません。原文は「本来より高い電気料金をご負担いただいている状態」と書いています。
経緯は発表資料に表で示されています。
  • 2023年12月から … 中部電力が原価を算定し、中部電力ミライズへ連携した
  • 2024年1月から … 中部電力で原価に一部算定誤りがあったことが発覚したが、「重大な誤りであると役職者が認識できず、是正に向けた対応が取られなかった」。中部電力ミライズは同年4月1日適用の届出を実施した
  • 2026年6月から … 将来の届出に向けて過去の算定を見直していたところ誤りに気付き、調査を開始。「調査の過程で、2024年1月時点で認識していた誤り以外の算定誤りが判明」した
※ 引用はいずれも中部電力ミライズ・中部電力「特定小売供給約款の変更届出における原価算定誤りについて」(2026年9月10日発表・2026年9月10日確認)の本文表記です。

自分は返金の対象ですか

対象は、2024年4月1日以降に中部電力ミライズと「特定小売供給約款」で契約している、または契約していた人です。契約種別は13種類に限って列挙されています。
区分発表資料が挙げている契約種別
電灯定額電灯/従量電灯A・B・C/臨時電灯A・B・C
街路灯公衆街路灯A・B/公衆街路灯(附則)
動力低圧電力/臨時電力
農事用農事用電力A・B/農事用電力(附則)/農事用電灯(附則)
深夜深夜電力(附則)
特定小売供給約款とは、発表資料の注記によれば「従量電灯、低圧電力などの電力の小売全面自由化以前に設定した電気料金メニューの供給条件を規定」したものです。つまり、家庭で最も多い従量電灯Bのほか、店舗や工場の低圧電力、農業用の電力、街路灯までが入ります。自営業の人や、アパートの共用灯を契約しているオーナーも対象になり得ます。
自分がどれに当たるかは、検針票(電気ご使用量のお知らせ)やWeb明細の「ご契約種別」の欄に書かれています。ここが「従量電灯B」なら対象です。契約アンペアが10Aから60Aの家庭向け契約は従量電灯Bで、5Aだけが従量電灯A、6kVA以上50kVA未満が従量電灯Cです(中部電力ミライズ公式「従量電灯A・B・C」・2026年9月10日確認)。
契約種別が分からないときは、ブレーカーの見た目からも当たりが付けられます。契約アンペアの確かめ方は電気のアンペア変更|ブレーカーの色で今の契約が分かるにまとめてあります。

いくら戻ってきますか

公式が公表しているのは、1か月あたりの精算額が最大152円・最小0円・家庭の平均モデルで10円という3つの数字です。いずれも「算定を誤った原価の金額をもとに試算した値」と注記されており、確定額ではありません。
発表資料の項目数字
精算金額の総額12億円程度
対象の契約口数500.9万件(2026年8月時点)
1月当たりの精算額(試算値)・最大152円
1月当たりの精算額(試算値)・最小0円
1月当たりの精算額(試算値)・家庭の平均モデル10円
平均モデルの10円には条件が付いています。従量電灯B・30A、使用量260kWhの場合です。条件を落として「1世帯10円」と読むと、契約アンペアも使用量も違う人には当てはまりません。
10円がどれくらいの大きさかは、同じ会社が公表している単価と比べると分かります。従量電灯Bの基本料金は30Aで月963.42円(税込)、電力量料金は最初の120kWhまでが1kWhにつき21.20円です(中部電力ミライズ公式「従量電灯A・B・C」・2026年9月10日確認)。月10円は、30Aの基本料金の約1%、電気の使用量にすると0.5kWh分ほどにあたります。
総額12億円を契約口数500.9万件で割ると、1件あたり約240円になります。ただしこれは当サイトが2つの公表値を割っただけの数字で、公式が「1契約あたりいくら」と公表したものではありません。実際の返還は「個別の契約口ごとに精算金額を算定」するとされており、使った電気の量と契約していた期間で人ごとに変わります。
なお、返還金額が1円に満たず返還が生じない場合がある、とも注記されています。対象の契約であっても、必ず入金があるとは限りません。

いつ、どうやって返ってくるのですか

2026年9月10日時点で、返還の実施方法と時期は決まっていません。
発表資料は「可能な限り早期に実施すべく検討をしております。具体的な実施方法が決まりしだい、中部電力ミライズより改めてお知らせさせていただきます」と書いています。電気料金からの差し引きになるのか、振込になるのか、いつになるのかは、この文からは読み取れません。
手続きが要るかどうかについても、発表資料には記載がありません。分からないことを埋めずに待つのが、いまの正しい状態です。本件の問い合わせ先として、専用のフリーダイヤル 0120-427-416 が案内されています(受付は平日9時から17時まで。土曜・日曜・祝日と年末年始は休み)。

すでに引っ越して解約した場合はどうなりますか

解約済みの契約も返還の対象です。ただし件数はまだ確定していません。
発表資料の注記に「2024年4月1日以降にご解約された対象契約種別の契約口も電気料金ご返還の対象となりますが、それらの契約口数は精査中であり、記載の件数には含んでおりません」とあります。つまり500.9万件は現に契約が続いているぶんの数で、この2年半のあいだに中部エリアから引っ越した人や、別の電力会社へ切り替えた人は、この数に入っていません。
引っ越しで電気を止めたときの連絡先や、電力会社ごとに手続き方法が違うことはアンペア変更の手続きは電力会社ごとに違いますで扱っています。

27億円の過大計上とは、何を間違えたのですか

発電側課金の導入にともなう発電原価の変動額を、3か年合計で27億円多く見積もっていた、というのが誤りの中身です。
発表資料の記載はこうです。「発電側課金導入による2024年4月以降3か年合計の発電原価の変動額として、当時は+501億円の原価増と算定しておりましたが、適切な算定では+474億円の原価増であり、27億円を過大に計上しておりました」。誤った事項として挙げられているのは「月間割引額の年額換算漏れなど」です。
前提として、2024年1月17日に中部電力パワーグリッドなどの託送供給等約款の変更が認可されており、中部電力ミライズはそれを踏まえて2024年2月6日に特定小売供給約款の変更を経済産業大臣へ届け出ています。今回の誤りは、この届出の材料になった原価の計算に含まれていました。
原因として発表資料が挙げているのは、「算定者・審査者の知識・経験不足」「お客さまにご迷惑をおかけすることに対する意識の低さ」「重大事象発生時の判断ルールの不備・意識の低さ」「報告および意思決定に関する証跡管理の不備」の4つです。技術的な計算違いだけでなく、2024年1月に誤りが見つかった時点で止められなかった体制の問題が並記されています。

この件と、これからの電気代は別の話です

今回の返還は過去に払いすぎた分の精算で、これから電気代が下がるという話ではありません。
電気料金の先行きには、この件とは無関係の値上げ要因があります。2026年11月には送配電網の使用料である託送料金が上がり、これは電力会社を乗り換えても避けられません。内訳は電気代は2026年11月に上がりますにまとめました。あわせて、国の電気・ガス料金の補助も11月の検針分から値引きが消えます
「返金があるなら、この機会に新電力へ乗り換えたほうがいいのでは」と考える人もいると思います。ただし単価の比べ方には落とし穴があり、燃料費調整まで入れると順位が逆になることがあります。これは新電力の「1kWhあたり10円安い」は本当かで実際の数字を並べています。

よくある質問

中部電力ミライズと契約していれば全員が対象ですか

いいえ。発表資料は対象を「特定小売供給約款が適用される契約種別」に限り、13種類を列挙しています。特定小売供給約款は小売全面自由化以前に設定された料金メニューの供給条件を規定したものだと注記されています。自分の契約種別は検針票やWeb明細の「ご契約種別」の欄で確かめてください。

返金を受けるために申し込みが必要ですか

2026年9月10日時点の発表資料に、手続きに関する記載はありません。実施方法そのものが「決まりしだい改めてお知らせ」となっているため、いまの時点で必要な手続きは公表されていません。案内を装った電話やメールには注意してください。

1か月10円なら、全部でいくらになりますか

公式は1契約あたりの総額を公表していません。手がかりになるのは、総額12億円と契約口数500.9万件の2つで、単純に割ると1件あたり約240円です。実際には「個別の契約口ごとに精算金額を算定」するとされているため、使用量と契約期間で人によって変わります。

返金が0円になることはありますか

あります。発表資料の注記に「電気料金ご返還の対象となる契約口であっても、算定の結果、ご返還金額が1円に満たず、ご返還が生じない場合があります」と書かれています。

家庭以外の契約も対象ですか

対象です。列挙されている13種類には、店舗や工場で使う低圧電力・臨時電力、農業用の農事用電力A・B、自治会などが契約する公衆街路灯A・Bが含まれています。家庭用の従量電灯だけの話ではありません。

問い合わせ先はどこですか

本件の専用ダイヤルとして、フリーダイヤル0120-427-416が案内されています。受付時間は平日9時から17時までで、土曜・日曜・祝日と年末年始は休みです。

この記事の出典

  • 中部電力ミライズ株式会社・中部電力株式会社「特定小売供給約款の変更届出における原価算定誤りについて」(2026年9月10日発表/2026年9月10日確認)
  • 中部電力ミライズ株式会社 公式サイト「従量電灯A・B・C」料金単価表(2026年9月10日確認)
※ 金額はいずれも発表資料の表記に従いました。1月当たりの精算額は「算定を誤った原価の金額をもとに試算した値」と注記された試算値で、確定額ではありません。1件あたり約240円は、公表された総額と契約口数から当サイトが計算した参考値です。