電気代は2026年11月にまた上がります|託送料金の値上げは乗り換えでは避けられません。単価が出ているのは中国エリアだけです
この記事を読むと分かること
- ★2026年11月1日から上がることと、電力会社を乗り換えても避けられない理由
- ★値上げ幅が単価まで公表されているのは中国エリアだけだということ
- ★上がった分を戻すなら、見るのは契約先ではなく使用量だということ
電気代の値上げと聞くと、まず「安い電力会社に乗り換えようか」と考える方が多いと思います。2026年11月1日に予定されている値上げは、その手が効かない種類の値上げです。上がるのは託送料金という、送配電網を使うための料金で、どの小売電気事業者から買っても、電気代の中に入っています。この記事では、国と各社が公表している資料だけをもとに、何が決まっていて、いくら上がるのか、そして何ができるのかを整理します。
★何が決まっているのか
2026年7月10日、経済産業省は一般送配電事業者8社から、電気事業法第17条の2第4項に基づく「託送供給等に係る収入の見通しの変更承認申請」を受理したと発表しました。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 申請したのは | 北海道電力ネットワーク・東北電力ネットワーク・東京電力パワーグリッド・中部電力パワーグリッド・関西電力送配電・四国電力送配電・九州電力送配電・沖縄電力の8社 |
| 理由 | 「人件費や物価関連指標の上昇に加え、金利の上昇に伴う支払利息の増加の影響」を反映するための期中調整 |
| 適用開始 | 2026年11月1日(各社発表) |
※ 経済産業省「一般送配電事業者8社から託送供給等に係る収入の見通しの変更承認申請を受理しました」(2026年7月10日)の公表内容に基づく(2026年9月3日時点で確認)。
レベニューキャップ制度という仕組みで、送配電会社は5年分の「収入の見通し」を国に承認してもらい、その範囲で料金を決めます。今回はその見通しを規制期間の途中で引き上げる手続きです。
★乗り換えても避けられない理由
託送料金は、発電所から家まで電気を運ぶ送配電網の使用料です。この網を持っているのはエリアごとに1社しかない一般送配電事業者で、小売電気事業者(いわゆる新電力を含む全社)はここに料金を払って電気を届けています。
だから、どこから買っても乗ってきます
託送料金は全ての小売電気事業者が同じように払うコストです。
A社からB社に乗り換えても、この部分は小さくなりません。
実際に、新電力各社が「託送料金改定に伴う料金プラン単価改定」のお知らせを出し始めています。
乗り換えで差がつくのは、この部分を除いた残りです。
★受理されたのは8社。中国電力ネットワークは別の手続きです
ここは報道でも混ざっているところなので、国の発表を直接確かめました。
| 会社 | 手続き |
|---|---|
| 収入の見通しの変更承認申請(2026年7月10日受理) | 北海道・東北・東京・中部・関西・四国・九州・沖縄の8社 |
| 託送供給等約款の変更届出(2026年8月24日) | 中国電力ネットワーク(電気事業法第18条第5項) |
| どちらにも出てこない | 北陸電力送配電 |
※ 経済産業省の発表(2026年7月10日)および中国電力ネットワーク「託送供給等約款の変更届出について」(2026年8月24日)の公表内容に基づく(2026年9月3日時点で確認)。
中国電力ネットワークが「8社」に含まれていないのは、値上げしないからではありません。同社は別の根拠条文に基づく届出を行っており、結果として単価まで公表されている唯一のエリアになっています。
北陸電力送配電については、今回の手続きに出てこないことだけが確認できました。その理由を説明した公表資料は見つけられていませんので、ここでは推測を書きません。
★申請8社のうち3社は、資料に誤りがあって補正しています
経済産業省の発表ページには、受理後の更新履歴が残っています。
| 更新日 | 内容 |
|---|---|
| 2026年7月22日 | 東北電力ネットワーク及び九州電力送配電の資料に一部誤り。補正書を追加 |
| 2026年9月1日 | 東京電力パワーグリッドの資料に一部誤り。電力・ガス取引監視等委員会からの意見で示され、補正を指示されて提出 |
※ 経済産業省の発表ページの更新記載に基づく(2026年9月3日時点で確認)。
つまり、審査はまだ進行中です。意見募集(国民の声)も2026年7月10日から8月8日に行われています。
規模感 ─ 関西電力送配電だけで+1,496億円
金額をはっきり公表している会社もあります。
| 関西電力送配電の申請 | 金額 |
|---|---|
| 变更前の収入の見通し | 3兆7,626億円へ引き上げる前は 3兆6,130億円 |
| 引き上げ幅 | +1,496億円 |
| 新しい料金の適用期間 | 2026年11月〜2028年3月(17か月) |
※ 関西電力送配電「託送料金における収入の見通しの変更承認申請について」(2026年7月10日)の公表内容に基づく(2026年9月3日時点で確認)。
これで1社分です。同じ手続きを8社が同時に行っています。
同社は理由を、「2021年度以降、計画時点では想定できなかった原材料費や労務費、金利の上昇により、送配電設備の更新や整備等について、当初の想定を上回る費用の増加が生じている」と説明しています。
※ 同上の公表内容に基づく。金額がどの期間の合計にあたるかは、同社の表記をそのまま載せています。他社の金額はここから推しはかれません。
★いくら上がるのか ─ 単価まで出ているのは1エリアだけ
ここが、この話の一番大事なところです。
「11月から値上げ」という記事は多いのですが、2026年9月3日時点で、実際の単価まで公表しているのは中国電力ネットワークだけです。
| 区分 | 見直し前 | 見直し後 | 差 |
|---|---|---|---|
| 低圧(一般の家庭) | 9.34 | 10.46 | +1.12 |
| 高圧 | 4.62 | 4.96 | +0.34 |
| 特別高圧 | 1.75 | 2.11 | +0.36 |
| 発電側 | 0.48 | 0.49 | +0.01 |
| 全体 | 5.66 | 6.29 | +0.62 |
※ 中国電力ネットワーク「託送供給等約款の変更届出について」(2026年8月24日)の公表内容に基づく。単位は円/kWh、税抜。2026年11月から2028年3月の期間の平均単価で、同社は「見直し前の平均単価は、現行料金を継続した場合の収入額を販売電力量または発受電等量で除して算定したもの」と注記しています(2026年9月3日時点で確認)。
低圧が+1.12円/kWh。これが、家庭に直接関係する数字です。
使用量から自分で計算できます
単価の上がり幅に使用量を掛けるだけです。
| 1か月の使用量 | 増加額(税抜) | 増加額(税込・参考) | 年間(税込・参考) |
|---|---|---|---|
| 200kWh | 224円 | 約246円 | 約2,957円 |
| 250kWh | 280円 | 約308円 | 約3,696円 |
| 300kWh | 336円 | 約370円 | 約4,435円 |
| 400kWh | 448円 | 約493円 | 約5,913円 |
※ 中国電力ネットワークが公表した低圧の平均単価の差(+1.12円/kWh・税抜)に使用量を掛けた当サイトの単純試算です(2026年9月3日)。税込は10%で換算した参考値。実際の請求額は、契約している小売電気事業者がこの引き上げをどう反映するかで変わります。低圧の平均単価は基本料金相当分を含む平均値なので、使用量に正比例するとは限りません。
他のエリアの数字を、この表から推しはからないでください
託送料金はエリアごとに単価が違います。中国エリアの見直し前の低圯9.34円/kWh という水準も、
そのエリアの事情で決まっているものです。
他社は申請段階で、単価はまだ出ていません。
「全国で月○○円上がる」という数字を見かけたら、それは試算であって発表ではありません。
★なぜ上げるのか
中国電力ネットワークは、理由をこう説明しています。
「物価や労務費、金利の上昇による影響が拡大するなか」
「人口減少や省エネの進展などにより電力需要が当初想定値から大きく下振れしたことで料金収入が減少しており」
※ 中国電力ネットワークの公表内容に基づく(2026年9月3日時点で確認)。
★後半が、あまり知られていない理由です。
送配電網の費用は、使う量が減っても同じだけかかります。電線も鉄塔も変電所も、使用量が半分になったからといって半分にはできません。だから、みんなが節電すると、1kWhあたりの単価は上がります。
これは「節電しても意味がない」という話ではありません
単価は上がりますが、支払うのは「単価×使用量」です。
使用量を減らした人の負担は、減らさなかった人より小さくなります。
単価が上がるほど、使用量を減らしたときの差は大きくなります。
★では、使用量のどこを見ればいいのか
契約先を変えても下がらないのでしたら、見るのは使用量です。では、家庭のエネルギーは何に使われているのか。
資源エネルギー庁が公開している「世帯当たりのエネルギー消費原単位と用途別エネルギー消費の推移」のデータを落として、自分で割合を計算しました。
| 用途 | 2024年度(速報) | 2023年度 |
|---|---|---|
| 動力・照明他 | 34.0% | 34.2% |
| 給湯 | 27.1% | 27.7% |
| 暖房 | 24.8% | 24.1% |
| ちゅう房 | 9.6% | 9.7% |
| 冷房 | 4.6% | 4.2% |
※ 資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」【第12-2-5】の公開データ(世帯当たりの用途別エネルギー消費、単位MJ/世帯)を当サイトが用途計で除して割合を算出したもの(2026年9月3日取得)。総量は2024年度(速報)27,828MJ/世帯、2023年度28,006MJ/世帯。電気だけでなくガス・灯油を含む全エネルギーの内訳です。
★給湯と冷暖房で、家庭のエネルギーの半分以上です
給湯27.1%+暖房24.8%+冷房4.6%=56.5%(2024年度速報・当サイト計算)。
ここを動かすのは、こまめな節電ではなく機器そのものです。
コンセントを抜く話と、給湯器やエアコンを替える話は、桁が違います。
給湯(27.1%)
家庭のエネルギーの4分の1以上がお湯です。しかも給湯器は壊れてから探すことになりやすい機器で、そのときに選んでいる余裕はありません。
なお、給湯器の本体価格自体も2026年に値上げされています。こちらはメーカー側の話です。
関東にお住まいなら、東京ガスの機器交換が見積もりの取りやすい選択肢です。東証プライム上場の東京ガス株式会社が運営しています。
※ 東京ガスのガス供給エリアは主に関東圏です。エリア外の方は、全国対応の交換できるくん(株式会社交換できるくん・東証グロース上場)も選択肢になります。
暖房(24.8%)と冷房(4.6%)
合わせて29.4%。ここはエアコンの性能がそのまま効きます。
※ 対応エリアは東京ガスの公式サイトでご確認ください(2026年9月3日時点・編集部調べ)。
ただし、壊れてもいない機器を、値上げを理由に慢性的に替えるのは勧めません。交換費用を回収できるかは、使用量と現行機の年数次第です。審査中の値上げを理由に急がせる業者がいたら、それは別の問題です。
★混同しやすい2つ
| 混同 | 違い |
|---|---|
| 燃料費調整額 | 毎月動くもので、燃料価格で上下します。今回の託送料金は制度上の料金改定で、別のものです |
| 国の補助(電気・ガス代の支援) | 値引きする制度で、ある時期と無い時期があります。託送料金の値上げを打ち消すものではありません |
「電気代が上がる」というニュースは、この3つが混ざって流れます。今回の話は、一度上がったら当分そのままの種類です(中国電力ネットワークの場合、2026年11月から2028年3月の期間の平均単価として公表されています)。
まとめ
- ★2026年7月10日、経済産業省が送配電8社の収入の見通しの変更承認申請を受理した
- 8社は北海道・東北・東京・中部・関西・四国・九州・沖縄。適用は2026年11月1日の予定
- 中国電力ネットワークは別の手続き(約款変更届出・2026年8月24日)。北陸電力送配電はどちらにも出てこない
- ★単価まで公表されているのは中国エリアだけ。低圧は9.34⇒10.46円/kWh(+1.12・税抜)
- 250kWh/月なら月約308円・年約3,696円(税込参考・当サイト試算)
- ★申請8社のうち3社(東北・九州・東京)の資料に誤りがあり、補正書が提出されている
- ★託送料金は全小売事業者が払うので、乗り換えでは避けられない
- 上げる理由は物価・労務費・金利に加え、電力需要の下振れによる料金収入の減少
- ★家庭のエネルギーは給湯27.1%+暖房24.8%+冷房4.6%=56.5%(2024年度速報・当サイト計算)
- 単価が上がるほど、使用量を減らしたときの差は大きくなる
- 壊れていない機器を、値上げを理由に慢性的に替えない
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※ 本記事の申請の事実・8社の社名・補正の経緯は経済産業省の発表(2026年7月10日及びその更新記載)、託送料金単価と見直しの背景は中国電力ネットワーク「託送供給等約款の変更届出について」(2026年8月24日)、用途別の割合は資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」【第12-2-5】の公開データを当サイトが計算したものです(いずれも2026年9月3日時点で確認)。審査中の案件です。最終的な料金と適用日は、ご契約の小売電気事業者および各一般送配電事業者の発表をご確認ください。