引っ越しのキャンセル料がかかるのは前々日からです|見積もり後・契約前は無料、大手4社の公式ルールともらったダンボールの返し方

引っ越しのキャンセル料は、受取日(引越し当日)の前々日から発生します。標準引越運送約款は、解約手数料と延期手数料を請求できる日を前々日・前日・当日の3日間に限り、額の上限を20%・30%・50%と定めています(第21条)。
この記事では、国土交通省が公開している約款の原文と、サカイ引越センター・アート引越センター・アリさんマークの引越社・日本通運(NX)の公式FAQを並べて、「いつから」「何に対して」「いくらまで」かかるのかを確かめました。もらったダンボールの扱いや、キャンセルの連絡先もあわせて整理しています。
※ 条文は2026年9月28日に国土交通省の公開PDF(最終改正 令和七年国土交通省告示第百九十三号)を取得して確認しました。各社の記載も同日に公式サイトで確認したものです。

引っ越しのキャンセル料は、いつからかかりますか

引っ越しのキャンセル料(解約手数料)がかかるのは、見積書に記載した受取日の前々日・前日・当日に解約を伝えたときだけです(標準引越運送約款 第21条第1項)。
3日前までに伝えれば、条文上は解約手数料の対象になりません。額は、伝えた日によって次のように上限が決まっています。
解約を伝えた日解約手数料の上限根拠
3日前まで請求されない第21条第1項
前々日見積運賃等の20%以内第21条第2項第1号
前日見積運賃等の30%以内第21条第2項第2号
当日見積運賃等の50%以内第21条第2項第3号
3つの数字には、どれも「以内」が付いています。上限を示したもので、実際の額は各社の定めによります。
もう一つの条件は、解約の原因が「荷送人の責任によるもの」であることです。荷送人は引っ越しを頼んだ側を指します。自分の都合で取りやめる場合はこれに当たります。

見積もりを取っただけなら、断っても費用はかかりませんか

見積もりを取っただけの段階で断っても、見積もりの料金は請求されません。標準引越運送約款 第3条第4項が「見積料は請求しません」と定めています。
例外は下見の費用だけです。発送地や到達地で下見をした場合に限って下見に要した費用を請求することがありますが、その場合も見積りを行う前に金額を通知し、了解を得ることとされています(同項ただし書)。事前に金額を聞いていなければ、あとから下見代を求められる形にはなっていません。
また、第3条第5項は、見積りの際に内金や手付金などを請求しないと定めています。見積もりの場でお金を払う場面は、下見代を除いてありません。
一括見積もりで複数社から見積もりを取り、1社に決めたあとで他の社を断るのは、この段階の話です。アート引越センターの公式FAQは、見積り依頼のキャンセル方法として次の2つを挙げています。
  • フリーダイヤル 0120-0123-33 に連絡する
  • 問い合わせフォームにキャンセルの旨を書く(フォームの対応は平日9時から18時)
オンラインの見積もり予約をした人は、予約確認メールにある予約IDを使って手続きする形です(アート引越センター公式「見積り依頼のキャンセルをしたいのですが」より)。

キャンセル料は、見積書の合計額にかかるわけではありません

解約手数料の計算のもとになるのは、見積書の合計額ではなく「見積運賃等」です。第21条第2項第1号は、料金のうち計算に入るものを積込み・取卸し・搬出・搬入・荷造り・開梱に要するものに限っています。
エアコンの取り外しや不用品の処分のような附帯サービスの料金は、この計算のもとには入りません。
見積書の項目解約手数料の計算に入るか
運賃入る
積込み・取卸し・搬出・搬入の料金入る
荷造り・開梱の料金入る
附帯サービスの料金(エアコン工事など)入らない。ただし、すでに実施・着手した分は別に請求されることがある
計算例です。運賃と作業料金を合わせた見積運賃等が6万円なら、前日に解約したときの上限は6万円の30%で1万8,000円です。見積書の合計が8万円でも、附帯サービスの2万円ぶんには率がかかりません。
※ この計算例は、条文の読み方を示すために置いた架空の金額です。実際の見積もりの相場ではありません。
附帯サービスについては、第21条第3項に別の定めがあります。解約の原因が荷送人の責任による場合、解約手数料とは別に、業者がすでに実施または着手した附帯サービスに要した費用を収受するとしています。対象は見積書に明記したものに限られます。
たとえば、前日までにエアコンの取り外しが終わっていれば、その費用は解約手数料とは別に請求されることがあります。まだ手を付けていない附帯サービスは、この項の対象ではありません。

日程を変えるだけでも、キャンセルと同じ手数料がかかりますか

日程の変更(受取日の延期)にも、キャンセルと同じ時期と上限で延期手数料がかかります。第21条は解約手数料と延期手数料を同じ条文で扱い、前々日20%・前日30%・当日50%の上限も共通です。
サカイ引越センターの公式FAQも、前々日・前日・当日のそれぞれについて「キャンセルまたは日程変更をした場合」と書き、日程変更をキャンセルと同じ扱いにしています。
一方で、延期の原因が荷送人の責任によらない場合は、条文上、延期手数料の対象になりません。サカイ引越センターの公式FAQは、台風や強風、大雨などで安全が確保できないと判断した場合に、業者のほうから日程変更を相談することがあると書いています。雨が降っただけでは原則として実施するとも書かれているので、天候を理由に自分から延期を申し出る場合とは分けて考えてください。日本通運の公式FAQも、少し強めの風雨なら作業を行い、暴風雨で道路の通行障害や歩行の危険がある場合は相談のうえ延期することがある、としています。

3日前の確認がなかったら、手数料はかかりません

業者が受取日の3日前までの確認を行わなかった場合、解約手数料も延期手数料も請求されません。第21条第1項ただし書が、第3条第7項の確認を行わなかった場合を除外しています。
第3条第7項は、業者が見積書に記載した受取日の3日前までに、申込者に対して見積書の記載内容の変更の有無などを確認すると定めています。前日や当日になって解約を伝える事情ができたときは、この確認の連絡があったかどうかを思い出してください。
第21条第4項は、同じただし書を附帯サービスの費用にも準用しています。確認がなかった場合は、すでに着手した附帯サービスの費用も収受の対象になりません。
この確認と、当日の追加料金との関係は、別の記事で条文ごとに整理しています。

サカイ・アート・アリさん・日通の公式ルールを並べました

大手4社の公式FAQは、どれも前々日からキャンセル料がかかるという点で約款と同じです。違うのは、計算のもとの書き方、附帯サービスの扱い、もらった資材の扱いです。
項目サカイ引越センターアート引越センターアリさんマークの引越社日本通運(NX)
キャンセル料がかかる時期前々日以降前々日から前々日より前々日から
料率前々日20%・前日30%・当日50%以内前々日20%・前日30%・当日50%以内FAQには料率の記載なし前々日20%・前日30%・当日50%以内
計算のもと「運賃」と記載「見積運賃等」と記載し、料金は積込み・取卸し・搬出・搬入・荷造り・開梱に限ると明記FAQには記載なし「運賃+料金(荷役に係わる料金)」と記載
日程変更キャンセルと同じ料率と明記解約または延期として同じ料率FAQには記載なしFAQには記載なし
附帯サービスの費用別に申し受ける場合があると明記別に収受すると明記FAQには記載なしすでに着手したオプショナルサービスの料金は全額収受と明記
もらった資材未使用は返送、使用済みは購入未使用は返送、使用済みは買取成約プレゼントの資材は実費請求このFAQには記載なし
※ 2026年9月28日に、サカイ引越センター公式「よくあるご質問(補償・ダンボール(資材))」、アート引越センター公式「最終確認後のキャンセルは?」「契約キャンセル時にいただいた資材の扱いについて。」、アリさんマークの引越社公式「よくある質問」、日本通運公式「事情によりやむを得ず引越しを解約したいのですがキャンセル料はかかりますか?」で確認しました。
日本通運は、すでに着手したオプショナルサービスの例として、エアコンの取外し取付けとピアノの輸送を挙げ、その料金は全額収受すると書いています。約款の第21条第3項と同じ考え方を、具体的な作業名で示した形です。
アリさんマークの引越社は、FAQでは料率を書いていませんが、公式サイトの「標準引越運送約款」のページに現行の約款(最終改正 令和七年国土交通省告示第百九十三号)を載せています。料率はそちらの第21条で確かめられます。
アート引越センターのFAQには、契約時に料金の一部を払っている場合の精算方法も書かれています。払った額が手数料より多ければ差額を指定の口座に振り込み、少なければ指定の日に集金に来る、という扱いです。

単身パックなど、この約款が使われないプランがあります

すべての引っ越しプランに標準引越運送約款が使われるわけではありません。日本通運の同じFAQは、家族プラン(フル・ハーフ・セルフ)と単身パック当日便は標準引越運送約款、単身パックLは標準貨物自動車運送約款に基づくと注記しています。
標準引越運送約款 第1条ただし書も、事業所等の移転や、業者が提供する定型の容器を用いて定額で行う運送で、この約款によらない旨をあらかじめ告知した場合は適用されないとしています。
専用のボックスやカーゴで運ぶ定額のプランを申し込んだときは、ここまでの前々日・前日・当日のルールがそのまま当てはまるとは限りません。キャンセルの扱いは、そのプランの約款で確かめてください。

もらったダンボールは、キャンセルしたらどうなりますか

契約時にもらったダンボールは、キャンセルすると返すか買い取るかのどちらかになります。扱いは会社によって違います。
会社未使用の資材使用済みの資材
サカイ引越センター担当支社へ持参するか、郵送・宅配便で返送。送料は客負担購入
アート引越センター担当店へ持参するか、郵送・宅配便で送る。郵送料は客負担買取
アリさんマークの引越社成約プレゼントの梱包資材(段ボールなど)は実費請求同左
サカイとアートは、使っていない資材を返せば費用はかかりません。ただし返送の送料は自分で払います。アリさんマークの引越社のFAQは、未使用かどうかで分けずに「実費請求」と書いています。
キャンセルの可能性が少しでもあるうちは、もらったダンボールを組み立てずに置いておくと、返す選択肢が残ります。
引っ越しを終えたあとのダンボールの引き取り料金は、別の記事でまとめています。

キャンセルの連絡は、どこに、いつまでにすればいいですか

キャンセルの連絡先は、手元の見積書に書かれています。標準引越運送約款 第3条第2項は見積書に書く事項を定めており、その第7号が業者の電話番号と問い合わせ窓口電話番号、第6号が解約手数料の額です。
連絡する前に、見積書で次の3つを確かめてください。
見積書で見るところなぜ見るか
受取日前々日・前日・当日の数え方は、この日が基準になる
解約手数料の額第3条第2項第6号で記載が求められている
問い合わせ窓口電話番号第3条第2項第7号で記載が求められている
解約手数料は「解約の指図をした日」で決まります。3日前までに伝えたかどうかがあとで食い違わないように、電話した日時と相手の名前を控えておくと安心です。
アート引越センターの公式FAQは、申込み以降に予定や作業内容が変わった場合は、予定日の3日前までに必ず連絡するよう求めています。3日前という区切りは、約款の手数料の区切りと一致しています。

日程を組み直すなら、見積もりを取り直す

キャンセルのあとに別の日で引っ越す場合は、見積もりを取り直すことになります。受取日が変われば、同じ会社でも料金が変わることがあります。
優先したいこと向いている方法受け入れること
手間を減らして、厳選された数社で比べたいHALESEE(ハレシー)比較できる社数は少なめ
とにかく多くの社を並べて相場を掴みたい引越し侍連絡が来る社数は多くなる

よくある質問

Q. 引っ越しの1週間前にキャンセルしたら、キャンセル料はかかりますか。
標準引越運送約款では、かかりません。解約手数料を請求できるのは、受取日の前々日・前日・当日に解約を伝えた場合に限られます(第21条第1項)。ただし、もらった資材の返送料や買取は別に発生することがあります。
Q. 見積もりのあと、契約前に断るのにもお金はかかりますか。
かかりません。第3条第4項は見積料を請求しないと定めています。例外は下見の費用で、その場合も見積りを行う前に金額を知らせて了解を得ることになっています。
Q. 当日にキャンセルすると、必ず50%を取られますか。
条文は「50%以内」で、上限を示したものです。実際の額は各社の定めによります。また、業者が受取日の3日前までの確認をしていなかった場合は、解約手数料を請求されません(第21条第1項ただし書)。
Q. 日程を1日ずらすだけでも手数料はかかりますか。
前々日・前日・当日に延期を伝えた場合は、延期手数料がかかることがあります。上限は解約と同じ20%・30%・50%です。延期の原因が自分の都合でない場合は、条文上、対象になりません。

まとめ

  • 解約手数料・延期手数料を請求できるのは、受取日の前々日・前日・当日に伝えたときだけ(第21条第1項)
  • 上限は前々日20%以内・前日30%以内・当日50%以内(第21条第2項)
  • すでに着手した附帯サービスの費用は、手数料とは別に請求されることがある(第21条第3項)
  • 業者が3日前までの確認をしていなければ、手数料も附帯サービスの費用も請求されない(第21条第1項ただし書・第4項)
  • サカイ・アート・アリさん・日通の4社とも、キャンセル料は前々日から
  • 日通の単身パックLは標準貨物自動車運送約款に基づくなど、この約款が使われないプランもある
  • もらった資材は、サカイとアートは未使用なら返送(送料は自分持ち)、アリさんは実費請求

あわせて読みたい

当日の追加料金と、3日前の確認の関係は、こちらで条文ごとに整理しています。
見積もりを取る前に確かめることは、こちらにまとめました。
サカイとアートのプランの違いは、こちらで比べています。
※ 本記事の条文は、標準引越運送約款(平成二年運輸省告示第五百七十七号、最終改正 令和七年国土交通省告示第百九十三号)の原文に基づきます。2026年9月28日に国土交通省が公開するPDFを取得して確認しました。各社の取り扱いは同日に各社の公式サイトで確認したもので、変更されることがあります。個々の契約は特約や各社の運賃料金表によって内容が異なるため、実際の取り扱いは契約する会社にご確認ください。