「蓄電池で電気代が0円になる」は東京都が事実と異なる表現として挙げています|令和8年度の助成は蓄電容量1kWhあたり10万円です
この記事を読むと分かること
- ★「蓄電池の設置などにより、電気代が0円になる」は、東京都が事実と異なる表現として挙げていること
- ★「補助金申請は許可された業者に頼まないといけない」も否定されていること(許可・登録制度ではありません)
- ★令和8年度の助成は蓄電容量1kWhあたり10万円で、計算式と上限が公開されていること
「蓄電池を入れれば電気代が0円になります」「この補助金は、許可された業者からしか申請できません」「最大300万円、3万戸限定です」。インターネット広告や訪問販売で、こうした説明を受けることがあります。
この6つの売り文句は、東京都が名前を挙げて「事実と異なる表現」としているものです。公表したのはクール・ネット東京(公益財団法人東京都環境公社/東京都地球温暖化防止活動推進センター)で、2024年11月22日の注意喚起です。
この記事では、その注意喚起の原文と、令和8年度の助成の交付条件だけを使って、何が事実と違うのか、実際の助成はいくらなのかを整理します。特定のメーカーや製品の話ではありません。
「蓄電池で電気代が0円になる」は、なぜ事実と異なるのですか
東京都は「電気代は、電気料金プラン、太陽光発電システム出力、蓄電池容量、天候等の諸条件により異なります」と回答しています。
注意喚起の原文は、売り文句と回答を並べた形になっています。この項目はそのうちの1つです。
★都の回答が指しているのは「条件の数」です
電気代を決めるものとして、都は電気料金プラン・太陽光発電システムの出力・蓄電池の容量・天候の4つを挙げています。
このうち1つでも家庭ごとに違えば、結果は同じになりません。
「0円になる」と言い切るには、この4つが全部そろっている必要があります。広告の時点でそれが分かることはありません。
当サイトでは、光熱費の削減額を金額で書かないようにしています。プランと使用量で動くので、他人の家の数字が自分の家に当てはまらないためです。都の回答は、まさにその構造を公的な文書で述べたものになっています。
自分の電気代がなぜ高いのかは、広告ではなく検針票で分かります。
東京都が挙げた6つの売り文句と、その回答
注意喚起には6つの売り文句が並んでいます。回答の文は原文のまま引用します。
| 広告の売り文句 | 東京都の回答 |
|---|---|
| 「蓄電池の設置などにより、電気代が0円になる」 | 電気代は、電気料金プラン、太陽光発電システム出力、蓄電池容量、天候等の諸条件により異なります |
| 「補助金申請は、許可された業者に頼まないといけない。」 | 許可・登録制度ではありません。交付要綱に基づき交付申請に係る手続を第三者に依頼することができます |
| 「最大300万円の補助、3万戸限定!」 | 申請内容により助成金額が異なるため、最大300万円ではありません。また、戸数限定ではなく、予算額の上限に達した時点で申請受付が終了となります |
| 「審査とか条件もなく、申請したら必ずもらえる」 | 各助成金では、要綱等により要件が定められているため、要件を満たしているか確認・審査しています。申請したら必ず助成金を受け取れるわけではありません |
| 「都内の一戸建て限定」 | 対象を一戸建てに限定していません。集合住宅も対象となります |
| 「2023年度は3か月で終了」 | 3か月で終了したという事実はありません |
※ クール・ネット東京「蓄電池や太陽光発電のセールスなど誇大広告の案内には、特に注意をお願いします!」(2024年11月22日公表)による(2026年9月11日時点で確認)。
★どの事業についての回答かは、分けて読んでください
最後の2つ(一戸建て限定・3か月で終了)は、「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及促進事業」についての回答です。原文にその事業名が書かれています。
「最大300万円」の回答のあとには、家庭における蓄電池導入促進事業の案内が置かれています。
東京都の助成は1つではありません。事業が違えば、対象も上限も別々です。「都の補助金」とひとまとめに説明されたら、どの事業のことか確かめてください。
なお、注意喚起の本文は「設置の際は、複数の業者からの御見積聴取し工事費や助成金の内容など、しっかりと事前の確認をお願い致します」と結ばれています。相見積もりを取ることが、公表資料の側から勧められています。
「許可された業者に頼まないといけない」は本当ですか
許可・登録制度ではありません。都はそう回答したうえで、交付要綱に基づき、交付申請に係る手続を第三者に依頼することができるとしています。
この違いは、読者にとって実務的な差になります。
| 売り文句のとおりだとすると | 実際 |
|---|---|
| 申請できる業者が限られる | 許可・登録の制度そのものが無い |
| 目の前の業者を逃すと申請できない | 手続の代行を依頼できるだけで、依頼先を選べる |
| 比較しても意味がない | 都自身が複数社からの見積もりを勧めている |
「うちは認定業者だから」という説明は、制度の裏づけを持ちません。その場で契約を決める理由にはならない、ということです。
令和8年度の助成は、いくらですか
蓄電池パッケージ(蓄電池システム)は、蓄電容量1kWhあたり10万円です。助成対象経費(税抜)が上限になります。
クール・ネット東京「令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業」に公開されている数字を、そのまま並べます。
| 区分 | 単価 | DR実証に参加しない場合の上限 |
|---|---|---|
| 蓄電池パッケージ(蓄電池システム) | 蓄電容量 10万円/kWh | 120万円/戸 |
| 蓄電池ユニット増設 | 蓄電容量 6万円/kWh | 72万円/戸 |
| リフォーム瑕疵保険等 | 7,000円/契約 | — |
デマンドレスポンス(DR)実証に参加する場合は、加算があります。
| DR実証に参加する場合 | 加算額 |
|---|---|
| エネルギーマネジメント機器およびIoT関連機器を設置する | 1台当たり15万円 |
| 同機器を設置しない | 1台当たり10万円 |
※ 新設するIoT関連機器が蓄電池パッケージに含まれる場合は、10万円の加算のみと記載されています。
助成額は、2つを比べて小さいほうです
公開されている計算式はこうなっています。
- 対象経費=(蓄電池システム機器費+蓄電池システム工事費+IoT機器費+IoT工事費)-国および他の地方公共団体からの補助金(税抜で計算)
- 助成額=蓄電容量×10万円+DR実証参加10万円+(DR実証の参加に必要なエネルギーマネジメント機器およびIoT関連機器の設置台数×5万円)
この2つを比較して、小さいほうが助成金額になります。
★容量を掛け算した数字を、そのまま受け取らないでください
単価は10万円/kWhですが、対象経費のほうが小さければ、助成額は対象経費までです。
しかも対象経費は、国や他の自治体からの補助金を差し引いたあとの金額で計算します。
「容量◯kWhだから◯◯万円もらえます」という説明は、計算の後半を省いた言い方になります。
本記事も、具体的な容量を当てはめた試算はしていません。単価・上限・計算式までが、公表資料から言えることです。
また、蓄電池システムについては、交付申請兼実績報告の前にDR実証契約を締結する必要があると注記されています。受付後に締結した場合は、DR実証参加の上乗せが適用できません。
令和8年10月1日から、何が変わりますか
変わるのは対象機器の要件で、事業が終わるわけではありません。
令和8年10月1日以降に事前申込をする場合、国の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(戸建て住宅・集合住宅のZEH化・省CO2化促進事業)」の補助対象機器として、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が令和8年度の登録済製品一覧に登録した機器のみが助成対象になります。
※ 令和8年4月1日から令和8年6月30日までに契約締結、または契約・工事完了された事業は除くと記載されています。
★「10月1日で終わります」と言われたら、それは違います
終わるのではなく、対象になる機器の範囲が変わります。
そして受付が終わる条件は、都の回答のとおり「予算額の上限に達した時点」です。日付で決まっているわけではありません。
期日を締切のように使う説明は、急がせるための言い方になっていないか、原文で確かめてください。
参考までに、令和8年度の事業の受付開始日は、事前申込が令和8年5月29日、交付申請兼実績報告が令和8年6月30日と公開されています。設置の期間は令和8年4月1日から令和11年3月30日までです。
東京都以外にも、補助はありますか
あります。クール・ネット東京のページ自身が、次の2つを案内しています。
- 国の補助は別途手続きが必要で、問い合わせ先は一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)
- 都内の区市町村でも蓄電池システムに対する補助を行っている場合があるので、各区市町村に問い合わせること
つまり「東京都の助成しかない」わけではありません。逆に、対象経費の計算では国や他の地方公共団体からの補助金を差し引くことになっているので、重ねれば単純に足し算になる、というものでもありません。
どちらの方向にも、広告の説明をそのまま受け取らないほうがよいところです。
その場で契約しないための、確かめ方
都の注意喚起が勧めているのは、複数の業者から見積もりを取り、工事費や助成金の内容を事前に確認することです。
訪問販売で話を聞いた場合は、次の点が使えます。
- 申請の代行は依頼先を選べます。その場の1社に決める理由にはなりません
- 助成の要件は要綱で定められ、審査があります。「必ずもらえる」という説明は、都が否定しています
- 受付が終わるのは予算の上限に達したときです。戸数の枠ではありません
- 助成の内容は、実施機関の公表資料で確かめられます。業者の資料だけで判断しなくて済みます
契約してしまったときは
訪問販売のクーリング・オフは、法定書面を受け取った日から数えて8日間です(特定商取引法第9条)。契約日からではありません。
しかも工事が終わっていても、土地や建物の現状が変更されている場合は、無償で元に戻してもらえます。「もう設置したから手遅れ」は、条文と合いません。
※ 制度の適用は契約の内容や個別の事情によります。実際の判断は、お住まいの消費生活センター等にご相談ください。
相談先は、消費者ホットライン「188(いやや!)」番です。お住まいの市町村や都道府県の消費生活センター等を案内する、全国共通の3桁の電話番号です。
よくある質問
蓄電池を入れても、電気代は下がらないのですか
下がるかどうかを、広告の時点で言い切れないということです。東京都が挙げているのは、電気料金プラン・太陽光発電システムの出力・蓄電池容量・天候という4つの条件で結果が変わる、という点です。「下がらない」と断定した資料ではありません。
補助金の申請を、自分でやってもいいのですか
許可・登録制度ではないと都が回答しています。交付要綱に基づき、交付申請に係る手続を第三者に依頼することもできる、という書き方です。依頼するかどうか、誰に依頼するかを選べます。
集合住宅に住んでいますが、対象外ですか
「都内の一戸建て限定」という説明は、都が否定しています。災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及促進事業について、対象を一戸建てに限定しておらず、集合住宅も対象になると回答しています。設置できるかどうかは建物側の条件によりますので、実施機関に確認してください。
予算はもう終わりそうだと言われました
受付が終わるのは、予算額の上限に達した時点です。戸数限定ではないというのが都の回答です。残りがどれくらいかは、実施機関の公表情報で確かめられます。業者の口頭の説明だけで急ぐ必要はありません。
助成額は、蓄電容量を掛ければ分かりますか
分かりません。蓄電容量×単価で出した額と、対象経費(国や他の自治体の補助金を差し引いた税抜額)を比べて、小さいほうが助成額になります。DR実証に参加するかどうかでも変わります。
まとめ
- ★「蓄電池の設置などにより、電気代が0円になる」は、東京都が事実と異なる表現として挙げている。都の回答は「電気代は、電気料金プラン、太陽光発電システム出力、蓄電池容量、天候等の諸条件により異なります」
- ★「補助金申請は、許可された業者に頼まないといけない」も否定されている。許可・登録制度ではなく、手続の依頼先は選べる
- ★「最大300万円、3万戸限定」も否定されている。申請内容で金額が異なり、戸数ではなく予算額の上限で受付が終わる
- ★「審査も条件もなく必ずもらえる」も否定されている。要綱で要件が定められ、確認・審査がある
- ★「都内の一戸建て限定」も否定されている。集合住宅も対象
- 令和8年度の助成は、蓄電池パッケージが蓄電容量10万円/kWh(DR実証に参加しない場合の上限120万円/戸)、ユニット増設が6万円/kWh(同72万円/戸)、リフォーム瑕疵保険等7,000円/契約
- 助成額は、計算式で出した額と対象経費を比べて小さいほう。対象経費は国・他の地方公共団体の補助金を差し引いた税抜額
- ★令和8年10月1日は締切ではない。対象機器がSII登録済製品に限られるという要件の変更
- 国(SII)と区市町村にも補助がある場合がある。「東京都だけ」ではない
- 都の注意喚起自身が、複数業者からの見積もりと、工事費・助成金の内容の事前確認を勧めている
- 契約してしまっても、訪問販売のクーリング・オフは法定書面を受け取った日から8日間。迷ったら消費者ホットライン「188」
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電話や訪問から始まる勧誘という点では、電気設備でも同じ型の相談が寄せられています。
電気代そのものの動きについては、こちらにまとめています。
※ 本記事の売り文句と回答は、クール・ネット東京(公益財団法人東京都環境公社/東京都地球温暖化防止活動推進センター)「蓄電池や太陽光発電のセールスなど誇大広告の案内には、特に注意をお願いします!」(2024年11月22日公表)に基づきます。助成の単価・上限・計算式・受付期間・対象機器の要件は、同センター「令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業」の公開情報に基づきます(いずれも2026年9月11日時点で確認)。制度の内容は変更されることがあります。申請の前に、必ず実施機関の最新の公表資料をご確認ください。