基本料金0円の電気プランは、使用量より契約アンペアで決まります|30アンペアと60アンペアで結論が逆になります
この記事を読むと分かること
- 基本料金0円プランの損得は、使用量より契約アンペアで決まること
- 30アンペアなら分岐点は月350kWh、60アンペアならほぼ常に得になること
- 「たくさん使う人ほどお得」という説明だけでは足りないこと
基本料金が0円の電気プランがあります。使った分だけ払う形なので、計算はいちばん分かりやすい。
説明としてよく書かれているのは「電気をたくさん使う人ほどお得」です。これは半分だけ合っています。
基本料金0円プランには2種類あります
単価が固定のものと、30分ごとに市場価格へ連動するものです。
この記事の計算は、単価が固定のプランを前提にしています。
市場連動型は、洗濯や食洗機を回す時間をずらせるかどうかで結果が変わるので、別の見方が要ります。
実効単価に直すと、構造が見えます
比べるときは、単価表の数字ではなく実効単価に直します。燃料費調整、再生可能エネルギー発電促進賦課金、国の支援まで足し引きした、1kWhあたりの実額です。
2026年9月分・東京電力エリアで計算しました。
| プラン | 実効単価 |
|---|---|
| シンプルオクトパス(基本料金0円) | 30.61円/kWh(一律) |
| 東京電力EP 従量電灯B 第1段階(120kWhまで) | 23.02円/kWh |
| 東京電力EP 従量電灯B 第2段階(120〜300kWh) | 29.62円/kWh |
| 東京電力EP 従量電灯B 第3段階(300kWh超) | 33.71円/kWh |
※ 税込。各社公表の単価に、2026年9月分の燃料費調整単価・再エネ賦課金4.18円・国の支援4.50円を反映(2026年9月3日確認)。
基本料金0円のプランが安いのは、第3段階だけです。
つまり使い始めのうちは、段階料金のほうが単価が安い。基本料金を払わない代わりに、最初の1kWhから30.61円を払うことになります。
300kWhまでで、いくら差がつくか
上の表の差を積み上げます。
| 区間 | 1kWhあたりの差 | 区間の差 |
|---|---|---|
| 120kWhまで | 7.59円 | 910.80円 |
| 120〜300kWh | 0.99円 | 178.20円 |
| 合計 | 1,089.00円 |
月300kWhの時点で、基本料金0円プランのほうが1,089円多く払っています。
ここから引けるのが、払わずに済んだ基本料金です。
ここでアンペアが効きます
東京電力の基本料金は契約アンペアで決まります。
| 契約アンペア | 基本料金(月) |
|---|---|
| 30A | 935.25円 |
| 40A | 1,247.00円 |
| 50A | 1,558.75円 |
| 60A | 1,870.50円 |
30アンペアなら、浮くのは935.25円。さきほどの1,089円には届きません。300kWh使った時点で、まだ153.75円ぶん負けています。
60アンペアなら、浮くのは1,870.50円。1,089円を大きく上回るので、300kWhの時点で781.50円勝っています。
同じ使用量でも、契約アンペアだけで結論が逆になります
月300kWhという同じ条件で、30アンペアなら基本料金0円プランが154円高く、
60アンペアなら782円安い。使い方はまったく同じです。
30アンペアの分岐点は月350kWh
300kWhを超えると第3段階に入り、1kWhあたり3.10円ずつ差が縮まります。
153.75円 ÷ 3.10円 = 49.6kWh
300 + 49.6 で、およそ350kWh。ここを超えると、30アンペアでも基本料金0円プランのほうが安くなります。
実際の金額で並べるとこうなります。
| 月の使用量 | シンプルオクトパス | 東京電力EP(30A) | 東京電力EP(60A) |
|---|---|---|---|
| 200kWh | 6,122円 | 6,067円 | 7,002円 |
| 300kWh | 9,183円 | 9,029円 | 9,964円 |
| 400kWh | 12,244円 | 12,400円 | 13,335円 |
30アンペアでは、400kWhでようやく逆転します。60アンペアなら200kWhの時点で880円勝っています。
月120kWhを下回ると、30アンペアでも0円プランのほうが安くなります
2026年9月分の条件では、契約30アンペアで月の使用量がおよそ123kWhを下回る家庭は、基本料金0円プランのほうが東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bより安くなります。
理由は、第1段階で単価差が積み上がりきらないからです。第1段階の差は1kWhあたり7.59円ですが、120kWh使っても910.80円にしかならず、払わずに済んだ基本料金935.25円に届きません。
935.25円 ÷ 7.59円 = 123.2kWh
つまり損得が入れ替わる点は、350kWhのほかにもうひとつ、低いほうにもあります。留守がちな家庭や、暖房と給湯をガスでまかなっている家庭は、こちら側に入ることがあります。
| 月の使用量 | 基本料金0円プラン | 東京電力EP(30A) | どちらが安いか |
|---|---|---|---|
| 50kWh | 1,530円 | 2,086円 | 0円プランが556円安い |
| 100kWh | 3,061円 | 3,237円 | 0円プランが176円安い |
| 120kWh | 3,673円 | 3,697円 | 0円プランが24円安い |
| 150kWh | 4,591円 | 4,586円 | 東京電力が5円安い |
| 200kWh | 6,122円 | 6,067円 | 東京電力が55円安い |
| 300kWh | 9,183円 | 9,029円 | 東京電力が154円安い |
| 400kWh | 12,244円 | 12,400円 | 0円プランが156円安い |
※ 2026年9月分・東京電力エリア・契約30アンペア・税込。円未満切り捨ての概算です。各社公表の単価から2026年9月6日に計算しました。
いちばん損をする使用量でも、差は月154円です
30アンペアでもっとも不利になるのは月300kWhちょうどのときで、そのときの差が154円です(2026年9月分)。
基本料金0円プランは「大きく損をする選択」ではなく、「中くらいの使用量のときに少しだけ損をする選択」です。
「月250kWh以上が目安」だけでは足りません
オクトパスエナジーは公式にこう書いています。
「電気をたくさん使う方ほど、お得に。ファミリー世帯、ペットのためにエアコンをフル稼働している方、在宅勤務で日中も使う方 − 月250kWh以上が目安です。」
— オクトパスエナジー「シンプルオクトパス」より原文引用(2026年9月3日確認)
使用量の目安としては分かりますが、契約アンペアには触れていません。
30アンペアで月250kWhだと、上の計算では東京電力のほうがまだ安い側です。逆に60アンペアなら、250kWhどころか200kWhでも基本料金0円プランのほうが安くなります。
自分がどちらなのかは、検針票の契約アンペアを見ないと分かりません。
もうひとつ、燃料費調整がない意味
基本料金0円プランの多くは、燃料費調整もありません。単価が固定されます。
これは値上がりに強い代わりに、値下がりの恩恵も受けません。
2026年9月分の燃料費調整は、東京電力で1kWhあたりマイナス10円96銭でした。つまりいまは引き算が効いている局面です。固定単価のプランは、この引き算を受け取れません。
逆に、単価が動くことを受け入れる代わりに、安い時間帯に使って下げるという型のプランもあります。30分ごとに単価が変わるものです。洗濯や食洗機を回す時間を自分で動かせる人には向きますが、生活時間が固定されている人には恩恵が小さくなります。
この型のプランについては、アンペアの記事で触れています。
市場連動型で基本料金が0円のプランには、リミックスでんきの「Styleプラス」があります。この記事の分岐点(30アンペアで月350kWh)は固定単価型の話なので、市場連動型にはそのまま当てはまりません。単価が動く以上、安くなる月もあれば、そうでない月もあります。なお沖縄と島しょ部は対象外です。
会社をまたいだ比較で、単価表だけを見ると逆の結論になる理由も同じところにあります。
分岐点は毎月動きます。2026年10月分では30アンペアでも無くなります
2026年10月分の条件で計算し直すと、契約30アンペアではどの使用量でも基本料金0円プランのほうが安くなります。いちばん差が小さい月300kWhのときで44円です。
動いたものは2つあります。国の電気・ガス料金支援の値引き単価が、1kWhあたり4円50銭(2026年9月分)から3円50銭(2026年10月分)へ下がったこと。そして東京電力エナジーパートナーの燃料費調整単価が、支援を除いた部分でマイナス6円46銭からマイナス5円80銭へ0.66円上がったことです(同社「燃料費調整のお知らせ(2026年10月分)」2026年9月6日確認)。
このうち損得を動かしたのは、燃料費調整のほうだけです。
国の支援は1kWhあたりの値引きなので、どちらのプランにも同じだけ効きます。請求額は両方とも動きますが、両者の差は変わりません。いっぽう燃料費調整は、従量電灯Bにはかかり、燃料費調整の無い固定単価プランにはかかりません。片方だけにかかる項目だけが、損得を動かします。
| 実効単価(税込・賦課金と国の支援を反映) | 2026年9月分 | 2026年10月分 |
|---|---|---|
| 基本料金0円プラン(固定単価) | 30.61円/kWh | 31.61円/kWh |
| 従量電灯B 第1段階(120kWhまで) | 23.02円/kWh | 24.68円/kWh |
| 従量電灯B 第2段階(120〜300kWh) | 29.62円/kWh | 31.28円/kWh |
| 従量電灯B 第3段階(300kWh超) | 33.71円/kWh | 35.37円/kWh |
| 30アンペアで損得が入れ替わる点 | 約123kWh と 約350kWh | どの使用量でも0円プランが安い |
※ 単価はいずれも2026年9月6日に東京電力エナジーパートナーとオクトパスエナジーの公式資料で確認した値から計算しました。
この記事の「350kWh」は2026年9月分の数字です
分岐点は、その月の燃料費調整単価と国の支援で動きます。1か月違うだけで、30アンペアの分岐点は消えました。
申し込む前に、申し込む月の単価で計算し直してください。
引っ越しのときに決まること
契約アンペアは引っ越しのときに決めます。そしてこの記事で見たとおり、アンペアはプラン選びの結論まで動かします。
世帯人数の名前が付いたプランについても、同じ落とし穴があります。
関西・中国・四国・沖縄では、この計算がそのまま使えません
関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の一般的な家庭向けメニューには、契約アンペアという区分がありません。基本料金の代わりに、決まった使用量までの最低料金がある形です(4社の公式料金表で確認。2026年9月2日)。
この記事の計算は「払わずに済んだ基本料金」を出発点にしているので、基本料金そのものが無い地域では、組み立てからやり直しになります。引っ越しで地域をまたぐと、契約の考え方そのものが変わります。
まとめ
- 基本料金0円プランの実効単価は一律30.61円。段階料金の第3段階だけが、これより高い
- 300kWhまでで積み上がる差は1,089円。これを基本料金の節約で埋められるかが分岐
- 30アンペアで浮くのは935.25円。足りないので、分岐点は月350kWhあたりまで伸びる
- 60アンペアで浮くのは1,870.50円。200kWhの時点で880円勝っている
- 使用量が同じでも、契約アンペアだけで結論が逆になる
- 燃料費調整がないぶん、値下がり局面では引き算を受け取れない
- 損得が入れ替わる点は2つある。30アンペアなら約123kWhと約350kWh(2026年9月分)
- 分岐点は毎月動く。2026年10月分では、30アンペアのどの使用量でも0円プランが安い
よくある質問
電気をまったく使わなかった月は、請求も0円になりますか。
基本料金0円プランでは、基本料金が1日あたり0円と定義されています(シンプルオクトパス 2026-04 東京電力エリアの電気料金メニュー定義書・2026年9月6日確認)。使用量に応じてかかる再生可能エネルギー発電促進賦課金も、0kWhなら0円です。同じ定義書には、割引などを反映した合計が負になる月の料金は0円とする、という定めもあります。
アンペアを下げるだけでは足りませんか。
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bの基本料金は、10アンペアあたり311円75銭です(同社の料金表で2026年9月6日確認)。30アンペアから20アンペアへ下げれば、月311円75銭下がります。プランを変えずに効く手ですが、同時に使える電気の量が減るので、ブレーカーが落ちる頻度と引き換えになります。
国の支援が減ると、基本料金0円プランは不利になりますか。
なりません。値引きは1kWhあたりの単価として、どちらのプランにも同じだけ適用されるからです。支援が減って上がるのは、どちらを選んでも同じ請求額のほうで、両者の差は動きません。
燃料費調整がないプランは、どういうときに不利ですか。
燃料価格が下がって、燃料費調整のマイナス幅が大きくなる局面です。オクトパスエナジーは公式に「もし万が一、今後燃料費調整額など、通常プラン(グリーンオクトパスなど)では含まれている調整単価がどんどん安くなるようなことが起きると、通常プランの方が割安になる可能性があります」と書いています(2026年9月6日確認)。
12か月の固定期間が終わったらどうなりますか。
シンプルオクトパスは、12か月が経過すると「グリーンオクトパス 2023-12」へ自動的に切り替わると公式のよくある質問に書かれています。同じ欄に、解約金と契約期間の縛りは無いとも書かれています(2026年9月6日確認)。
引っ越し先でも同じプランを使えますか。
申し込む前に、対象エリアを公式で確認してください。紹介ページのよくある質問には「サービス開始時点では北海道・東北・東京・中部エリアでのみ」と書かれたままですが、電気料金メニュー定義書は北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州の9エリアぶんが公開されています(いずれも2026年9月6日確認)。ページによって書いてあるエリアが違います。
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