引っ越しで仏壇はどうするか|業者に言われる「精抜き」は、浄土真宗では通じない言葉です

この記事を読むと分かること
  • 引っ越し業者は事前に「精抜き」を済ませておくよう求めていること
  • 浄土真宗には「精抜き」「魂抜き」という言葉がないこと。宗派の公式がそう書いています
  • ただし「だから何もしなくていい」ではないこと。呼び方が違うだけで法要はあります
引っ越しで一番扱いに困るのが仏壇です。業者に頼んでいいのか、先に何かしておくべきなのかが分からないからです。
結論から書くと、業者は運んでくれます。ただし「先に済ませておいてほしい」ことがあります。

引っ越し業者は「事前に精抜きを」と言います

アート引越センターは、公式のよくあるご質問でこう答えています。
  • 「仏壇のお引越しも承っております。お運びする際には、事前に精抜きをお願いしておりますので、菩提寺またはお近くのお寺にご相談ください。」
※ アート引越センター公式「よくあるご質問|仏壇の引越しは?」の記載を原文のまま引用(2026年9月1日確認)。
運ぶこと自体は断られません。求められているのは、運ぶ前に寺へ相談しておくことです。

★ところが「精抜き」は、浄土真宗では使わない言葉です

ここが問題になります。業者に言われた言葉のまま菩提寺に電話すると、話がかみ合わないことがあります。
浄土真宗本願寺派(西本願寺)は、公式のよくあるご質問でこう書いています。
  • 「浄土真宗では、新しいお仏壇にご本尊をお迎えするときの法要を「入仏法要」と言います。「入仏」と言っても、お勤めする僧侶が、仏さまの「魂」を入れるのではありません」
  • 「「お魂入れ」や「お性根入れ」とは言いません。「入仏法要」もしくは「入仏式」と言ってください。」
※ 浄土真宗本願寺派(西本願寺)公式「よくあるご質問」の記載を原文のまま引用(2026年9月1日確認)。
真宗大谷派(東本願寺)も同じ立場です。
  • 「俗に「お魂入れ」「お性根入れ」などと言われることもありますが、浄土真宗では、ご本尊に新しい魂や性根を入れるという受けとめはありません。」
※ 真宗大谷派(東本願寺)公式「お仏壇(お内仏)のこと」の記載を原文のまま引用(2026年9月1日確認)。
つまり「精抜き」「魂抜き」は、浄土真宗の言葉ではありません。

★ただし「何もしなくていい」ではありません

ここを取り違えると失礼になります。言葉を使わないだけで、法要そのものはあります。
西本願寺は、先の回答をこう締めくくっています。
  • 「いずれにしても、手次ぎのお寺に頼み、ご本尊の奉懸や法要をお願いしてください。」
東本願寺は、移すときの法要に名前を付けています。
  • 「新しく仏壇を購入され、ご本尊を安置したとき、または、ご本尊をお移しするときには、「御移徙(おわたまし)」と呼ばれる法要をお勤めします。地域によっては、ご本尊の軸の紐を解いて掛けるので「お紐解き」と言われます。」
※ 真宗大谷派(東本願寺)公式「お仏壇(お内仏)のこと」の記載を原文のまま引用(2026年9月1日確認)。
「浄土真宗は魂抜きが要らない」と書かれた記事を読んで、何もせずに運んでしまう方がいます。
公式が言っているのは呼び方が違うということであって、寺に相談しなくてよいということではありません。

呼び方の対応表

電話をかける前に、自分の宗派を確かめてください
仏壇店に「宗派名を伝えてください」と書かれているのと同じ理由で、寺に相談するときも宗派の言葉で言ったほうが早いです。
分からない場合は、「引っ越しで仏壇を移します」と用件だけ伝えれば十分です。寺のほうが名前を教えてくれます。
移す前新居に安置するとき
一般に言われる呼び方精抜き・魂抜き・閉眼供養魂入れ・開眼供養
浄土真宗本願寺派入仏法要/入仏式
真宗大谷派御移徙(おわたまし)/お紐解き
※ 各宗派の公式サイトの記載に基づく(2026年9月1日確認・編集部調べ)。他宗派の作法は菩提寺にご確認ください。
業者が使う「精抜き」は、一般に通じる言い方として書かれているものです。間違いというより、宗派を問わず伝わる表現を選んでいるということです。

浄土真宗では位牌を用いません

仏壇と一緒に運ぶものとして位牌を思い浮かべる方が多いのですが、浄土真宗ではそもそも位牌を用いません。
東本願寺は、お内仏のお給仕についてこう書いています。
  • 「お内仏に、写真を飾ったり、故人の好物(例えば、酒、菓子、タバコなど)をお備えしたりはしません。位牌も用いず、「お札」や「お守り」を一緒にまつることもしません。」
※ 真宗大谷派(東本願寺)公式「お仏壇(お内仏)のこと」の記載を原文のまま引用(2026年9月1日確認)。
「位牌の運び方」を調べても、自分の家には当てはまらないことがあります。まず自分の宗派を確かめてください。

段取りはこうなります

やることいつ
1自分の家の宗派と菩提寺を確かめる引っ越し日が決まったらすぐ
2寺に連絡して法要の日を決める引っ越しの2〜3週間前
3引っ越し業者の見積もりで仏壇があると伝える見積もり時
4法要を勤める搬出の前
5新居で安置し、必要な法要を勤める搬入後
1を飛ばすと2ができません。実家の宗派を知らないまま暮らしている方は珍しくないので、先に親族に聞いてください。
見積もりのときに必ず言ってください
仏壇は大きさも構造も家ごとに違い、扉や装飾が出っ張っているものは梱包に手間がかかります。
当日になって「これは聞いていない」となると、養生の材料が足りないということが起こります。
訪問見積もりなら現物を見てもらってください。

「仏壇の引っ越しはヤマト」で探しても出てきません

仏壇の運搬を大手に頼もうとして、ヤマトを探す方がいます。ですがヤマトホームコンビニエンスの個人向け引越事業(「わたしの引越」)は、2025年1月1日にアートグループへ移っています。社名もアートセッティングデリバリーに変わりました。
同じ理由で、相見積もりのつもりが同じグループの2社になっていることがあります。

見積もりは、仏壇を伝えたうえで揃えます

仏壇のような特別な扱いが要るものは、業者によって手間の見積もり方が変わります。ピアノほど明確な追加料金にはならないことが多いのですが、伝えていないと当日に揉めます。
優先したいこと向いている方法受け入れること
手間を減らして、厳選された数社で比べたいHALESEE(ハレシー)比較できる社数は少なめ

まとめ

  • 引っ越し業者は仏壇を運ぶ。アートは公式に「仏壇のお引越しも承っております」と明記
  • ただし事前に「精抜き」を済ませ、菩提寺または近くの寺に相談するよう求めている
  • 「精抜き」「魂抜き」は浄土真宗では使わない言葉。公式が「「お魂入れ」や「お性根入れ」とは言いません」と書いている
  • それでも寺への相談は必要。西本願寺は「手次ぎのお寺に頼み、法要をお願いしてください」と書いている
  • 呼び方は本願寺派=入仏法要/大谷派=御移徙(おわたまし)
  • 浄土真宗は位牌を用いない。写真やお守りも一緒にまつらない
  • 段取りは宗派を確かめる → 寺に連絡 → 見積もりで伝えるの順
  • ヤマトの個人向け引越は2025年1月にアートグループへ移っている

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※ 本記事の宗派に関する記載は、浄土真宗本願寺派(西本願寺)および真宗大谷派(東本願寺)の公式サイトの記載に基づきます(2026年9月1日時点)。作法は宗派・地域・寺院によって異なります。実際の進め方は必ず菩提寺にご確認ください。引っ越し業者の取り扱いは各社公式サイトの記載に基づきます。