住宅ローンの諸費用は借入れに含められます|フラット35が認めた26項目と、それでも現金が要る手付金の線

住宅ローンの諸費用が手持ちの現金で足りない、という状態を、フラット35の借入条件と国税庁の税額表だけで整理しました。諸費用の大半は借入れに含められます。含められないのは手付金です。この記事を読むと、フラット35が借入対象として挙げている26項目/一覧に載っていない費用/手付金の上限が代金の何割か/税金の部分をいくらと計算できるかが分かります。
「諸費用は物件価格の何割」という数字を見て、その現金が用意できないと気づく人がいます。ただ、諸費用と手付金は性質が違い、困り方も別です。片方は借入れに回せて、もう片方は契約の日に現金が要ります。
この記事は、どちらがどちらなのかを、公的な資料で確かめられる範囲だけで並べたものです。

諸費用が払えないときは、先に手付金と分けてください

住宅ローンの諸費用は、フラット35では借入対象として扱われます。一方で、契約の日に払う手付金は、その一覧に入っていません。同じ「買うときに要るお金」でも、この2つは扱いが逆です。
お金の種類借入れに含められるか払うタイミング
手付金フラット35の借入対象一覧に無い売買契約の日
仲介手数料・登記費用・火災保険料など含められる(確認書類が要る)引渡しの前後
引っ越し費用・家具・家電一覧に無い(売買金額に含まれるものを除く)引渡しの後
つまり「諸費用が払えない」と感じている人の多くは、借入れの組み方で解決する部分と、契約日までに現金をそろえるしかない部分を、いっしょに数えています。先に分けてください。

フラット35は、諸費用を借入対象として26項目挙げています

住宅金融支援機構は、借入額を「100万円以上1億2,000万円以下(1万円単位)で、建設費または購入価額以内」と定めています。そのうえで、よくある質問のQ&A番号487が、請負金額や売買金額に含まれない費用でも借入対象になるものを表で列挙しています。住宅を建設する場合が25項目、購入する場合が26項目です。
購入する場合に挙げられているもののうち、金額が大きくなりやすいのは次のあたりです。
借入対象となる諸費用(購入の場合・抜粋)機構が求めている確認書類
住宅購入に係る仲介手数料契約書、請求書、領収書
登記費用(登録免許税)登記費用(司法書士報酬、土地家屋調査士報酬)司法書士、土地家屋調査士が発行した見積書
火災保険料・地震保険料(積立型の商品に係るものを除く)保険会社が発行した見積書
融資手数料/つなぎローンに係る費用(金利、融資手数料など)取扱金融機関で算出した書類
売買契約書・金銭消費貸借契約証書に貼付する印紙代(本人負担分)売買契約書、請負契約書
マンション修繕積立基金・管理準備金(引渡時一括分に限る重要事項説明書、資金計画書
固定資産税・都市計画税の清算金重要事項説明書、清算書
確認書類が無いものは、対象に挙がっていても借入れに入りません。見積書は金融機関へ出す前提でそろえてください。マンションの修繕積立基金と管理準備金は「引渡時一括分」に限られていて、毎月払う修繕積立金は別の話です。

一覧に載っていない費用があります

Q&A487の表に見当たらないものは、少なくともこの資料からは借入対象だと言えません。手付金、引っ越し費用、不動産取得税は、表のどの項目にもありません。家具・家電は、注意事項に「カーテン、エアコン、照明器具などの費用で購入する住宅の売買金額に含まれるものは対象になります」とあるため、売買金額に含まれているかどうかで変わります。住宅への据付工事を伴う家具は、建設する場合の表に項目があります。
「一覧に無い」と「対象外と書いてある」は同じではありません。扱いが分かれるものは、取扱金融機関に確認してください。フラット35の借入条件そのものも、取扱金融機関によって借入金利が異なると機構自身が注記しています。

手付金の上限は、代金の20%です

宅地建物取引業法第39条第1項は、宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができないと定めています。20%は上限であって、目安ではありません。そして、この条文が縛るのは売主が宅建業者のときだけです。仲介で個人から買う場合、この上限の規定は働きません。
手付金等の保全措置も、同じ「自ら売主」の場合の決まりです。工事完了前の物件は代金の100分の5以下、完成物件は10分の1以下で、かつ政令で定める額以下のときに保全措置が不要になります(第41条・第41条の2)。逆に言えば、それを超える手付金を受け取るなら、業者は保全措置を講じた後でなければ受領できません。
手付金は代金の一部に充当されるお金で、消えてなくなる費用ではありません。ただし、契約の日に現金で動くという点は変わりません。そこが用意できないなら、金額や時期を契約前に相談する話になります。

税金の部分は、自分で計算して確かめられます

諸費用の見積もりのうち、印紙税と登録免許税は法令で額が決まっています。言い値ではないので、自分で検算できます。
不動産の譲渡に関する契約書の印紙税は、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成されるものについて軽減されています。
契約書に記載された契約金額不動産売買契約書(軽減後)金銭消費貸借契約書(軽減なし)
500万円超〜1,000万円以下5千円1万円
1,000万円超〜5,000万円以下1万円2万円
5,000万円超〜1億円以下3万円6万円
※ 軽減措置の対象は不動産の譲渡に関する契約書と建設工事の請負に関する契約書です。ローンを借りるときの金銭消費貸借契約書は対象外で、本則の税額になります(国税庁タックスアンサー No.7108・No.7140、令和8年4月1日現在法令等)。
登録免許税は、不動産の価額(原則として固定資産課税台帳に登録された価格)に税率を掛けます。
登記の内容本則軽減税率
土地の所有権移転(売買)1,000分の201,000分の15(令和11年3月31日まで)
住宅用家屋の所有権移転(売買・競落)1,000分の201,000分の3(令和9年3月31日まで)
住宅用家屋の所有権保存1,000分の41,000分の1.5(同)
住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権設定1,000分の1(同)
※ 住宅用家屋の軽減税率を受けるには、床面積が50平方メートル以上であること、新築または取得後1年以内の登記であることなど一定の要件を満たし、家屋の所在する市町村等の証明書を添付する必要があります。登記した後で証明書を出しても適用されません(国税庁タックスアンサー No.7191、令和8年4月1日現在法令等)。
編集部の試算です。売買代金3,500万円の建売住宅を全額借入れで買い、土地の固定資産税評価額が1,000万円、建物の固定資産税評価額が700万円だとします。軽減税率の要件を満たす前提です。
  • 売買契約書の印紙税 1万円/金銭消費貸借契約書の印紙税 2万円
  • 土地の所有権移転登記 1,000万円×1,000分の15=15万円
  • 建物の所有権移転登記 700万円×1,000分の3=2.1万円
  • 抵当権設定登記 3,500万円×1,000分の1=3.5万円
  • 合計 23万6,000円
司法書士報酬や仲介手数料はこれとは別ですが、税金の23万6,000円は、評価額さえ分かれば見積もりを受け取る前に出せます。

借入れに含めると、金利と返済額が動きます

諸費用を借入れに回すのは、金額の問題を先送りにしているのではなく、条件を変える選択です。
フラット35の融資率は「フラット35の借入額 ÷ 住宅の建設費または購入価額」で計算します。分母に諸費用は入りません。一方で諸費用は借入額に含められるので、含めたぶんだけ分子が増え、融資率が上がります。融資率が9割を超える区分の金利は、9割以下より高く設定されています。機構は「融資率が9割を超える場合は、返済の確実性等をより慎重に審査します」とも明記しています。
借入額が増えれば、毎月の返済額と返済負担率も上がります。入口の審査基準と、返済がきつくなってからの選択肢は、別の記事にまとめてあります。

よくある質問

諸費用ローンを別に借りるのと、住宅ローンに含めるのは同じことですか

同じではありません。フラット35は諸費用を借入額に含める形をとるので、適用される金利は住宅ローンと同じです。別枠の諸費用ローンは商品が分かれるため、金利も返済期間も住宅ローンとは別に決まります。どちらになるかは取扱金融機関によって違うので、申し込む前に確認してください。

手付金を諸費用ローンで払えますか

フラット35のQ&A487の表に手付金の項目はありません。そもそも手付金は売買契約の日に動くお金で、住宅ローンの実行より前です。契約より前に融資が出ることは想定されていないため、現金で用意する前提で計画してください。

不動産取得税は借入れに含められますか

Q&A487の表に、不動産取得税の項目は見当たりません。登録免許税は挙がっていますが、不動産取得税は別の税金です。取得の後に納税通知が届くため、引渡しのときに払う費用とも時期がずれます。

火災保険を安くすれば諸費用は減りますか

フラット35は、返済が終わるまでの間、借入対象の住宅について火災保険に加入することを条件にしています。保険金額は借入額以上で、保険料は本人負担です。加入自体は外せないので、減らせるとしたら保険期間や補償の組み方の範囲にとどまります。

お金の順番を決めてから、物件を見にいくために

諸費用が払えないという状態は、多くの場合「借りられる額」ではなく「現金でしか動かせないお金がいつ、いくら要るか」を後から知ったことで起きています。手付金の額と時期、税金の額、見積書がそろう項目。この3つは、物件を決める前に順番を決められます。
家計の側から先に整理しておきたい場合は、無料で受けられる講座から見てみるのも手です。
ファイナンシャルアカデミーの「お金の教養スクール」は、全15回・22時間半のカリキュラムで、教科書15冊・受講期間1年という構成です(2026年9月19日に公式サイトで確認)。入口は受講料無料の無料体験セミナーです。カリキュラムのvol.10「住まいと暮らしのマネープラン」に、購入と賃貸の比較やマイホーム予算の計算方法が含まれています。
出典(2026年9月22日に取得):独立行政法人住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件およびよくある質問Q&A番号487「借入対象となる諸費用とはどのようなものですか?」/国税庁タックスアンサー No.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」、No.7140「印紙税額の一覧表(その1)」、No.7191「登録免許税の税額表」(いずれも令和8年4月1日現在法令等)/宅地建物取引業法第39条・第41条・第41条の2(e-Gov法令検索)。金額は編集部が条件を置いて計算したもので、実際の税額は評価額と要件の充足で変わります。