住宅ローンは年収の何倍かでは決まりません|フラット35の基準は返済負担率30%と35%、実際に借りた人の中央値は6.3倍です

★「住宅ローンは年収の5倍まで」「いや7倍は借りられる」——倍率の話は人によって違う数字が出てきます。
この記事では、住宅金融支援機構のフラット35が実際に置いている基準と、2025年度に借りた35,553世帯の集計値だけを並べます。倍率は基準ではなく結果です。
  • フラット35の基準は倍率ではなく総返済負担率で、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下
  • 負担率に数えられるのは住宅ローンだけではありません(自動車・教育・カードローン・リボ払いまで)
  • 実際に借りた人の年収倍率は中央値6.3倍。住宅の種類で5.1倍から7.6倍まで開きます
  • 「5倍まで」に収まっているのは30.0%で、7倍以上が39.7%です

住宅ローンは年収の何倍まで借りられますか

住宅金融支援機構のフラット35は、「年収の何倍まで」という基準を置いていません。基準は総返済負担率で、年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下です。
年収総返済負担率の基準
400万円未満30%以下
400万円以上35%以下
※ フラット35のご利用条件(2026年4月1日現在の表示)より。2026年9月18日確認・編集部調べ。
総返済負担率は、年収に占める年間の合計返済額の割合です。倍率のほうは基準ではなく結果にすぎません。同じ年収でも、金利と返済期間が違えば組める額は変わるので、倍率は一定になりようがないからです。
それでも倍率が気になるのは、物件価格という先に決まっている数字から逆算したいからだと思います。その答えは後の章で、機構が公表している実際の集計値として並べます。

総返済負担率には、住宅ローン以外の返済も入ります

ここを外すと計算が合いません。フラット35の条件は「すべての借入れに関して、年収に占める年間合計返済額の割合」と書かれています。
数えるものとして明示されているのは次のとおりです。
  • フラット35そのもの
  • フラット35以外の住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 教育ローン
  • カードローン(クレジットカードによるキャッシング、商品の分割払いやリボ払いによる購入を含む)
  • 賃貸予定または賃貸中の住宅に係る借入金
※ フラット35のご利用条件(2026年4月1日現在の表示)より。2026年9月18日確認・編集部調べ。
さらに、収入合算者の分も含みます。夫婦で収入を合算して申し込むなら、相手側の車のローンやカードの分割払いも同じ分母に乗ります。
例外として挙げられているのは1つだけです。賃貸用のアパート向けローンで、対象が1棟の共同住宅または寄宿舎である場合は、借入金に含めません。1棟物件のローンと居住用の住宅ローンの扱いが違う点は、不動産投資の住宅ローンとアパートローンの違いの記事でも触れています。
リボ払いが入ることに気づかないまま試算している例をよく見ます。毎月の請求が一定額に見えていても、残高に対する返済としてカウントされます。申し込む前に、いま組んでいる分割払いの残高を全部書き出しておくほうが速いです。

年収は手取りではなく、公的証明書の金額です

フラット35の条件では、年収は原則として申込年の前年の収入を証する公的証明書に記載する金額とされています。給与収入のみの方は給与収入金額、それ以外の方は所得金額(事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得および給与所得の所得金額の合計額)です。
※ フラット35のご利用条件(2026年4月1日現在の表示)の注意事項より。2026年9月18日確認・編集部調べ。
つまり分母は額面です。手取りではありません。額面600万円の世帯なら、負担率35%の枠は年間210万円になります。
手取りに対する割合は、必ずこれより重くなります。ただし手取り額は扶養の人数や社会保険料で変わるため、ここでは具体的な金額を置きません。手元の源泉徴収票で、支払金額と差引支給額の両方を確かめてから当てはめてください。
基準を満たすことと、暮らしていけることは別の話だという点は、次の実測値のところでもう一度出てきます。

実際に借りた人は、年収の何倍でしたか

住宅金融支援機構は毎年「フラット35利用者調査」を公表しています。2025年度集計表は、2025年4月から2026年3月までに機構が買取りまたは保険付保の承認を行った案件のうち、借換えを除く35,553件を集計したものです。
住宅の種類別に、全国の中央値を並べます。
住宅の種類件数世帯年収年収倍率総返済負担率1か月の返済額
全体35,553600.0万円6.3倍23.3%11.6万円
注文住宅3,889603.3万円6.5倍23.5%11.6万円
土地付注文住宅7,733651.8万円7.6倍27.1%14.2万円
建売住宅8,345598.6万円6.6倍24.3%11.9万円
マンション2,823840.0万円6.5倍21.3%14.6万円
中古戸建7,296490.4万円5.1倍20.6%8.0万円
中古マンション5,467587.1万円5.1倍19.5%9.0万円
※ 住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」集計表(公開日2026年7月24日)の第5表・第14表・第15表・第20表〜第23表より。いずれも全国の中央値。2026年9月18日確認・編集部調べ。
読み方で3つ注意があります。
  1. 注文住宅の6.5倍は、土地代を含んでいません。この行だけ「建設費÷世帯年収」で、土地取得費をフラット35で借りていない人が対象です。土地から買うなら見るのは土地付注文住宅の7.6倍のほうです
  1. マンションと注文住宅は同じ6.5倍ですが、中身が違います。マンション利用者の世帯年収の中央値は840.0万円で、注文住宅より236.7万円高い。同じ倍率でも、金額のスケールが違います
  1. 倍率が高い行ほど負担率も高いとは限りません。マンションは6.5倍で負担率21.3%、建売住宅は6.6倍で24.3%です

「年収の5倍まで」に収まっているのは30.0%です

同じ第14表には、倍率ごとの件数も載っています。全国35,553件を区切ると次のようになりました。
年収倍率件数構成比
5倍未満10,67630.0%
5倍以上7倍未満10,76030.3%
7倍以上14,11739.7%
(うち11倍以上)1,9485.5%
※ 前掲「2025年度 フラット35利用者調査」集計表(全体)第14表の階級別件数から集計。構成比は小数第2位を四捨五入。2026年9月18日確認・編集部調べ。
「年収の5倍まで」という言い方に収まっているのは3割です。7倍以上が4割を占めていて、11倍以上も5.5%あります。
ただし、これは「7倍まで借りて大丈夫」という意味ではありません。フラット35を選ぶ人は全期間固定を望む層に寄っているはずで、この集計に民間ローンの利用者は入っていません。全体像ではなく、フラット35を使った35,553件の姿です。
なお地域差もあります。東京都の4,105件は年収倍率の中央値が7.3倍、総返済負担率の中央値が24.8%で、全国より高く出ています。

借入期間の上限は、申込時の年齢で決まります

倍率の話が噛み合わなくなるもう1つの理由が、返済期間です。フラット35の借入期間は、次の(1)と(2)のうち短いほうが上限になります。
  1. 「80歳」−「申込時の年齢(1年未満切上げ)」
  1. 35年
下限は15年(申込みご本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)で、申込時の年齢は満70歳未満です。式をそのまま当てはめると、上限は次のようになります。
申込時の年齢80歳−年齢借入期間の上限
30歳50年35年
40歳40年35年
45歳35年35年
50歳30年30年
55歳25年25年
60歳20年20年
65歳15年15年
※ フラット35のご利用条件(2026年4月1日現在の表示)の式を当てはめたもの。2026年9月18日確認・編集部調べ。親子リレー返済や、年収の50%を超えて合算した収入合算者がいる場合は基準となる年齢が変わります。
45歳が分かれ目です。46歳以降は1歳ごとに上限が1年ずつ短くなり、期間が短くなれば毎月の返済額は増えるので、同じ負担率の枠に収まる借入額も下がります。倍率だけを見ていると、この差が見えません。
20年以下の借入期間を選んだ場合は、原則として返済途中で21年以上に変更できない点も条件に書かれています。

基準いっぱいの35%まで借りている人は、多くありません

基準は30%と35%ですが、実際の分布はかなり手前に寄っています。
総返済負担率件数構成比
20%未満12,62235.5%
20%以上25%未満7,87622.2%
25%以上30%未満8,74824.6%
30%以上6,30717.7%
※ 前掲「2025年度 フラット35利用者調査」集計表(全体)第21表の階級別件数から集計。中央値は23.3%、平均は22.8%。2026年9月18日確認・編集部調べ。
中央値は23.3%で、基準の35%より11.7ポイント低いところにあります。30%以上は17.7%で、6件に1件ほどです。
基準は「これ以下なら申し込める」という線であって、「ここまで借りるのが普通」という線ではない、ということがこの分布から読めます。

この数字を、そのまま自分に当てはめられますか

当てはめる前に確認しておくべき限界が2つあります。
1つ目は、集計の母集団です。35,553件はフラット35(買取型・保証型)の利用者で、借換えは除かれています。民間金融機関の変動金利で借りた人は入っていません。
2つ目は、民間の審査基準が分からないことです。この記事で条件を確認できたのはフラット35だけです。民間金融機関が審査に使う金利や負担率の上限は、各行が公表していないため確認できませんでした。「フラット35の基準を満たすから、どの銀行でも同じ額が借りられる」とは書けません。
投資用のローンはさらに別物で、フラット35は第三者に賃貸する目的の物件など投資用物件の取得資金には利用できないと明記されています。この線引きは不動産投資ローンと住宅ローンの違いにまとめています。

よくある質問

Q. 年収400万円ちょうどなら、基準は30%ですか35%ですか。
35%です。フラット35の表記は「400万円未満」が30%以下、「400万円以上」が35%以下なので、400万円ちょうどは後者に入ります。年収399万円なら年間の返済上限は119.7万円、400万円なら140万円で、1万円の差で20.3万円変わる境目です。
Q. ボーナスを年収に入れてよいですか。
利用者調査の用語解説では、世帯の年収は利用者および収入合算者の年間収入の合計で、借入申込時の年間収入額(賞与を含む)と定義されています。申込時の年収の考え方は、前年の公的証明書に記載された金額が原則です。
Q. 太陽光の売電収入は年収に加えられますか。
住宅に設置する太陽光発電設備から得られる売電収入を年間収入額に加算できる場合がある、と条件に書かれています。要件は機構が別ページで案内しているので、該当するなら申込先の金融機関に確認してください。
Q. 借入額そのものに上限はありますか。
フラット35は100万円以上1億2,000万円以下(1万円単位)で、建設費または購入価額以内です。店舗や事務所などの非住宅部分に係る金額は借入対象外になります。
Q. 申し込めるのは何人までですか。
連帯債務者を含めて2名までです。収入合算をする場合も、この人数の中に収まります。

予算の考え方から整理したいときは

ここまで見てきたとおり、借りられる額は「年収の何倍」ではなく、負担率・金利・返済期間・他のローンの残高で決まります。物件を探す前に、自分の家計側の数字を先に固めておくほうが判断が早くなります。
家計の全体から順に整理したい方には、ファイナンシャルアカデミーのお金の教養講座(無料体験セミナー)があります。
同校のお金の教養スクールは全15回・22時間半のカリキュラムで、家計管理、ライフプラン、保険、住まい、税金、年金、定年後設計などを扱います。住まいの回(vol.10)には「後悔しないマイホーム購入の判断基準」として、マイホーム予算の計算方法、住宅ローンの組み方・返し方という項目が置かれています。運営は株式会社FinancialAcademyで、創立は2002年6月、累計受講生数は2025年に80万人を突破したと公式の沿革に記載されています。
※ ファイナンシャルアカデミー公式サイトのお金の教養スクール紹介ページおよび会社概要より。2026年9月18日確認・編集部調べ。体験セミナーの受講料は無料と記載されています。
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まとめ

  • フラット35が置いている基準は倍率ではなく総返済負担率で、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下です
  • 負担率には自動車・教育・カードローン・リボ払い、そして収入合算者の分も入ります
  • 分母の年収は額面で、手取りではありません
  • 2025年度に借りた35,553件の年収倍率は中央値6.3倍。土地付注文住宅が7.6倍で最も高く、中古住宅は5.1倍です
  • 「5倍まで」に収まっているのは30.0%、7倍以上が39.7%でした
  • 負担率の中央値は23.3%で、基準の35%よりかなり手前です
  • 借入期間の上限は「80歳−申込時年齢」と35年の短いほうで、46歳から1年ずつ縮みます
  • 民間金融機関の審査基準は公表されていないため、この記事では確認できませんでした