頭金なしの住宅ローンで後悔するとしたら、融資率9割の線です|フラット35は超えると年0.11%上がり、3,500万円で総返済額94万円の差

💡
★頭金を入れずに家を買うこと自体は、珍しくありません。フラット35を使った35,553件のうち、手持金「なし」は10,627件(29.9%)です。 問題は、借入額が物件価格の9割を超えた瞬間に借入金利が上がること、そして中途半端な頭金ではその線を越えられないことです。 この記事では、2026年9月時点の公式の金利と、住宅金融支援機構の利用者調査の実数から、頭金なしで何がどれだけ変わるのかを数字で並べます。

頭金なしで住宅ローンを組むと、まず金利が上がります

フラット35では、借入額が住宅の建設費または購入価額の9割を超えると、借入金利が年0.11%高くなります(2026年9月資金受取分・最も多い金利で、9割以下が年3.460%、9割超が年3.570%)。
この差は借入期間を変えても同じ幅です。機構が公表している3商品を並べると、どれも9割以下と9割超の差はちょうど年0.110%でした。
商品と借入期間融資率9割以下(最も多い金利)融資率9割超(最も多い金利)
フラット20(20年以下)年3.140%年3.250%年0.110%
フラット35(21年以上35年以下)年3.460%年3.570%年0.110%
フラット50(36年以上50年以下)年3.700%年3.810%年0.110%
※ 住宅金融支援機構「新機構団信付きの【フラット35】等の借入金利水準(2026年9月)」より。2026年9月19日確認・編集部調べ。取扱金融機関が提供する金利の範囲と最も多い金利を集計したもので、実際の金利は金融機関ごとに異なります。
ここでいう融資率は、機構が式まで公表しています。分子はフラット35の借入額、分母は住宅の建設費または購入価額です。建設と併せて土地を買った場合は、土地の売買金額を分母に足します。

3,500万円の物件だと、いくらの差になりますか

同じ3,500万円を35年・元利均等で借りる場合、年0.11%の差は毎月2,233円、総返済額で937,886円です。
頭金を入れれば借入額そのものも減るので、実際の差はもっと大きくなります。3,500万円の物件で、頭金350万円(ちょうど1割)を入れた場合と、頭金なしで全額借りた場合を並べます。
条件借入額適用される金利毎月の返済額総返済額
頭金350万円(融資率90.0%)3,150万円年3.460%129,458円54,372,179円
頭金100万円(融資率97.1%)3,400万円年3.570%141,901円59,598,521円
頭金なし(融資率100.0%)3,500万円年3.570%146,075円61,351,419円
※ 編集部試算(2026年9月19日)。元利均等・ボーナス併用なし・全期間固定・繰上返済なしで計算。金利は上表の「最も多い金利」を使用。1円未満は四捨五入。諸費用・団信の上乗せ・金利引下げメニューは含めていません。
頭金350万円を入れた場合、頭金と総返済額を足した支出は57,872,179円で、頭金なしの61,351,419円より3,479,240円少なくなります。毎月の返済額の差は16,617円です。

頭金を100万円だけ入れても、金利は下がりません

上の表の真ん中の行が、この記事でいちばん大事なところです。
3,500万円の物件に頭金100万円を入れても、借入額は3,400万円で融資率97.1%です。9割を超えているので、金利は頭金ゼロのときと同じ年3.570%のままです。毎月の返済額は4,174円下がりますが、それは借入額が100万円減ったぶんであって、金利は1ミリも動いていません。
この物件で金利を下げるには、融資率を9割以下にする必要があります。必要な頭金は350万円です。
💡
★「とりあえず出せるだけ入れておこう」という発想は、金利に関しては効きません。効くのは9割の線を越えたかどうかだけです。 100万円を頭金に回すより、手元に残して入居後の予備費にするほうが合理的な場面もあります。判断の分かれ目は「あと何百万円で9割以下に届くか」を先に計算することです。

諸費用まで借りると、融資率はさらに上がります

フラット35は、売買金額や請負金額に含まれない諸費用も借入の対象にできます。機構のよくある質問(Q&A番号487)には、確認書類がそろえば対象になる費用が25項目挙がっています。
借入対象になる主な諸費用必要な確認書類
住宅購入に係る仲介手数料、土地購入に係る仲介手数料契約書、請求書、領収書
登記費用(登録免許税、司法書士報酬、土地家屋調査士報酬)司法書士・土地家屋調査士が発行した見積書
火災保険料、地震保険料(積立型火災保険商品に係るものを除く)保険会社が発行した見積書
融資手数料、金銭消費貸借契約証書に貼付する印紙代取扱金融機関で算出した書類
つなぎローンに係る費用(金利、融資手数料など)取扱金融機関で算出した書類など
固定資産税・都市計画税の清算金重要事項説明書、清算書
※ 住宅金融支援機構「借入対象となる諸費用とはどのようなものですか?」(Q&A番号487)より抜粋。2026年9月19日確認・編集部調べ。ほかに外構工事費、設計費用、地盤改良費、適合証明検査費用などがあります。併用住宅の場合は住宅部分の割合に応じて対象額を計算します。
ここで構造を見てください。融資率の分母は「住宅の建設費または購入価額」で、機構の説明では請負契約書の請負金額または売買契約書の売買金額(土地を併せて買った場合はその売買金額を加えたもの)と定義されています。諸費用は分母に入りません。
つまり、諸費用を借入額に含めると、分子だけが増えます。物件価格と同額を借りた時点で融資率は100%で、そこに諸費用を足せばさらに上がります。借りること自体はできますが、金利は9割超のほうが適用されます。

頭金なしの人は、実際どれくらいいますか

フラット35を利用した35,553件のうち、手持金「なし」は10,627件で29.9%でした。100万円未満まで含めると17,094件、48.1%です。手持金の中央値は124万円でした。
ただし、この割合は物件の種類でまったく違います。
物件の種類件数手持金「なし」の割合手持金の中央値
中古戸建7,296件43.9%4万円
建売住宅8,345件37.6%14万円
中古マンション5,467件31.2%201万円
土地付注文住宅7,733件21.2%119万円
新築マンション2,823件16.2%804万円
注文住宅3,889件12.5%463万円
全体35,553件29.9%124万円
※ 住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」の手持金の表(全国)より。2026年9月19日確認・編集部集計。割合は「なし」の件数を総計で割ったもの。手持金の中央値は各集計表の中央値欄の値です。フラット35の利用者に限った調査なので、住宅を買った人全体の姿ではありません。
中古戸建は4割以上が手持金ゼロで、中央値も4万円です。一方で注文住宅は8人に1人しかゼロがおらず、中央値は463万円でした。同じ「頭金なし」でも、どの物件を買う話なのかで前提がまるで違います。

借りた人の融資率は、どのあたりに寄っていますか

同じ調査には、機構買取・付保金が購入価額に占める割合の集計もあります。全国の中央値は90%、平均は83.2%でした。
物件の種類割合が90%以上の件数構成比平均
中古戸建4,016件55.0%89.0%
建売住宅3,717件44.5%84.8%
中古マンション2,113件38.7%81.5%
土地付注文住宅2,342件30.3%84.6%
注文住宅808件20.8%77.5%
新築マンション586件20.8%70.7%
全体13,582件38.2%83.2%
※ 住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」の機構買取・付保金の割合の表(全国)より。2026年9月19日確認・編集部集計。構成比は件数を総計で割ったもの。
💡
★この「90%以上」は、金利の区分そのものではありません。調査の階級が90%以上でひとくくりになっているためで、ちょうど9割の人は金利のうえでは「9割以下」に入ります。 したがって38.2%という数字は、9割超の金利が適用された人の割合ではなく、その上限にあたる数字として読んでください。

融資率が9割を超えると、審査も変わりますか

変わります。フラット35のご利用条件の注意事項に、融資率が9割を超える場合は返済の確実性等をより慎重に審査すると明記されています。
※ 住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」の注意事項より。2026年9月19日確認・編集部調べ。取扱金融機関または機構の審査の結果によっては希望にそえない場合がある、との記載と同じ箇所にあります。
借入額の上限そのものは100万円以上1億2,000万円以下で、建設費または購入価額以内です。9割を超えたから借りられないのではなく、借りられるが審査の目が厳しくなり、金利が上がる、という順序です。

借換えのときも、融資率を気にする必要がありますか

借換えでは気にしなくてかまいません。機構は、借換えの場合は融資率にかかわらず「融資率9割以下」の借入金利を適用すると公表しています。
新規で借りるときだけ、9割の線が金利に効きます。

売るときに何が起きるかも、先に見ておいてください

頭金なしで借りると、返済が進むまでの数年間は借入残高が物件の時価を上回りやすくなります。この状態で売却すると、売却代金だけではローンを完済できず、差額を現金で用意しないと抵当権を外せません。
どれくらいの期間そうなるかは物件と市況しだいで、この記事で断定できる数字はありません。ただ、頭金を入れるということは、この差額をあらかじめ前払いしておくことと同じです。金利の話とは別に、この一点は覚えておいて損がありません。

予算の立て方から整理したいときは

ここまでは「いくら借りるか」の話ですが、そもそもの予算の決め方を体系的に学びたい場合は、無料体験から入れる講座があります。
ファイナンシャルアカデミーが運営する講座で、入口は受講料無料の無料体験セミナーです。カリキュラムは全15回・22時間半(授業は基本90分×15回)、教科書15冊、受講期間1年と公表されています。第10回「住まいと暮らしのマネープラン」には「後悔しないマイホーム購入の判断基準」という章があり、購入と賃貸の比較、新築と中古の比較、マイホーム予算の計算方法が並んでいます。
※ ファイナンシャルアカデミー公式サイトのカリキュラム掲載内容より。2026年9月19日確認・編集部調べ。公式サイトでの商品名は「お金の教養スクール」です。

関連する記事

よくある質問

Q. 頭金なしでもフラット35は使えますか。
使えます。借入額の上限は建設費または購入価額以内なので、物件価格と同額まで借りられます。ただし借入額が9割を超えると、2026年9月の最も多い金利で年3.460%ではなく年3.570%が適用されます。
Q. 頭金は物件価格の何割を入れればよいですか。
金利だけを基準にするなら、1割です。1割を入れて融資率をちょうど9割にすれば「9割以下」の金利が適用されます。それ未満の頭金では、金利は9割超のままです。
Q. 諸費用も借りられますか。
借りられます。仲介手数料、登記費用、火災保険料、印紙代、融資手数料、固定資産税の清算金などが借入の対象です。ただし融資率の分母は売買金額や請負金額なので、諸費用を借りると融資率は上がります。
Q. 借換えのときも9割を超えると金利が上がりますか。
上がりません。機構は、借換えの場合は融資率にかかわらず「融資率9割以下」の借入金利を適用すると公表しています。
Q. 民間の銀行でも同じように金利が上がりますか。
この記事で確認したのはフラット35の公表値だけです。民間の住宅ローンで融資率によって金利が変わるかどうかは、各行の商品説明書を個別に確認してください。

まとめ

  • フラット35は、借入額が建設費または購入価額の9割を超えると借入金利が年0.11%上がります(2026年9月・最も多い金利で3.460%と3.570%)
  • 3,500万円を35年で借りる場合、この0.11%は毎月2,233円、総返済額で937,886円の差です
  • 頭金350万円を入れて3,150万円借りる形と、頭金なしで3,500万円借りる形では、支出の合計が3,479,240円変わります
  • 頭金100万円では、3,500万円の物件の融資率は97.1%で、金利は下がりません。効くのは9割の線を越えたかどうかだけです
  • 諸費用も借入の対象になりますが、融資率の分母には入らないので、借りれば融資率は上がります
  • フラット35利用者35,553件のうち手持金「なし」は29.9%で、中古戸建では43.9%です。頭金なし自体は珍しくありません
  • 融資率が9割を超える場合、機構は返済の確実性等をより慎重に審査すると明記しています