団地の風呂釜は、誰が設置したかで交換費用の負担者が変わります|都営住宅の修繕負担区分と、公営住宅法が求める模様替えの承認
この記事を読むと分かること
- 団地の風呂釜は「最初から付いていたもの」と「入居者が自分で付けたもの」があり、どちらかで修理代の出どころが変わること
- 東京都が公表している都営住宅の負担区分で、風呂釜のどの故障が都負担で、どこからが入居者負担か
- 公営住宅で自費で替えるには、法律で事業主体の承認が要ること
- 分譲団地では、給排気の穴が開いている外壁が共用部分にあたること
- 機器そのものの値段は、どの記事で確かめればよいか
団地の風呂釜を替えたいとき、最初に調べるべきなのは値段ではありません。その風呂釜を誰が設置したのかで、修理代を払う人も、工事を頼む相手も変わるからです。同じ団地の同じ間取りでも、隣の部屋と答えが違うことがあります。
この記事は、東京都が公表している都営住宅の修繕費用の負担区分、公営住宅法と東京都営住宅条例の条文、国土交通省のマンション標準管理規約(団地型)を2026年9月22日に取得して、住まいの型ごとに「誰のものか」を並べたものです。機器の価格そのものは別の記事に整理してあるので、ここでは扱いません。
※ 公営住宅の管理の細目は自治体ごとの条例で決まります。ここで挙げる東京都と大阪府の例は、考え方を確かめるためのもので、お住まいの自治体の基準そのものではありません。必ず管理を委託されている窓口に確認してください。
団地の風呂釜は、誰のものですか
団地の風呂釜には、住宅の持ち主が設置したものと、入居者が自分の費用で設置したものの2通りがあります。どちらなのかで、故障したときに直す人も、交換を言う相手も変わります。まず自分の住まいがどの型かを確かめてください。
| 住まいの型 | 風呂釜は誰のものか | 交換を言う相手 |
|---|---|---|
| 公営住宅(都営・市営・府営・県営) | 事業主体が設置したものと、入居者が自費で設置したものの両方がある | 管理を委託されている窓口(東京都の場合はJKK東京) |
| 分譲団地(区分所有) | 住戸の持ち主のもの。ただし給排気の穴が開いた外壁は共用部分 | 自分で業者に頼む。外壁に手を入れるなら管理組合にも確認 |
| 民間賃貸の団地 | 貸主の設備であることが多い | 管理会社か貸主 |
公営住宅で「両方ある」と書いたのは、古い公営住宅には浴室はあるが浴槽と風呂釜は入居者が自分で用意するという形のものがあるためです。この場合、その風呂釜は入居者の持ち物です。壊れても事業主体は直しません。
都営住宅の風呂釜が壊れたとき、修理代は誰が払いますか
東京都は、都営住宅の修繕費用について「東京都負担」と「みなさん負担」を項目ごとに決めた区分を公表しています。風呂釜は、点火しない・水が漏れるといった本体の不具合が東京都負担で、つまみなどの部品の破損や紛失は入居者負担です。
| 設備 | 東京都負担 | みなさん負担 |
|---|---|---|
| 風呂釜 | 点火不良、水が漏れる | つまみ等部品が破損した、紛失した/シャワー、ヘッド、ホースが破損した、水が漏れる |
| 浴槽 | 腐食により穴があき破損した | 浴槽、水アカなどによる汚れの清掃 |
| 給湯器、風呂リモコン | 風呂リモコン不良、点火不良、お湯にならない、エラー表示がでる | リモコンカバーの破損した |
| ガス管・ガスカラン、給水管 | ガス管が腐食した、がたつく/給水管が腐食し水が漏れる、がたつく | ガス栓の不良、取替したい |
| 排水管 | 排水管が腐食した、水が漏れる | 排水管のつまり、清掃 |
※ JKK東京(東京都住宅供給公社)の「丸わかり!修繕費用の負担区分 その5 浴室編」を2026年9月22日に取得。同じ資料に「費用区分が『東京都負担』である場合でも、みなさんの責任による破損等の修繕費用は『みなさん負担』となります」「住戸のタイプにより、設置されている設備内容が異なる場合があります」とも書かれています。
この表には、もうひとつ重要な但し書きが付いています。
自分で設置した風呂釜は、都は直しません
同じ資料の欄外に「みなさんが設置した風呂釜・浴槽・給湯器の修繕は『みなさん負担』です」と書かれています。上の表で東京都負担とされている故障であっても、その機器を入居者が自分で設置したのなら、修理代は入居者が払います。
つまり、都営住宅で風呂釜が動かなくなったときに最初に確かめるのは、その風呂釜を自分(または前に住んでいた家族)が買って付けたのかどうかです。入居時の書類や、退去時に撤去するよう言われている設備の一覧が残っていれば、そこに書かれています。分からなければ窓口に聞いてください。
大阪府営住宅も、同じ分け方をしています
1つの自治体の資料だけでは、これが一般的な考え方なのか判断できません。大阪府の負担区分表も確かめました。こちらは「ガス給湯器(府設置)」という項目名で、府が設置したものの修繕を府負担としています。ただし同じ行の備考に「コントローラーについては入居者負担」とあり、操作盤は入居者の負担です。
府が設置したものかどうかを項目名に書き込んでいるという点で、東京都と同じ線の引き方です。設置した人で分ける、という考え方は2つの自治体に共通していました。
※ 大阪府営住宅の「府営住宅修繕・維持管理負担区分表」(2019年4月19日付のもの)を2026年9月22日に取得。負担区分の欄は「府」と「入居者」の2列で、この項目は「府」の列に印が付いています。なお同じ資料には浴槽と風呂釜の行もありますが、そちらは「車いす常用者世帯向住戸修繕負担区分表」という別の表の中にあるため、一般の住戸の区分としては引用していません。
公営住宅で自分の費用で風呂釜を替えるには、承認が要りますか
公営住宅法は、入居者が公営住宅を模様替えすることを原則として禁じ、事業主体の承認があるときだけ認めています。条文は次のとおりです。
公営住宅の入居者は、当該公営住宅を模様替し、又は増築してはならない。ただし、事業主体の承認を得たときは、この限りでない。
※ 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二十七条第四項。2026年9月22日にe-Gov法令検索のAPIで本文を取得して確認しました。原文のまま引用しています。
同じ法律の第四十八条は、公営住宅の管理について必要な事項は事業主体が条例で定めなければならないとしています。だから、実際に何が許可され何が許可されないかは、自治体ごとの条例と運用で決まります。
東京都の場合、東京都営住宅条例第二十一条第一項第一号が「一般都営住宅の模様替えその他一般都営住宅に工作を加える行為をしようとするとき」を知事の許可が必要な行為として挙げています。
東京都の運用は「原則禁止、例外として許可」です
管理を委託されているJKK東京は、この許可について次のように書いています。
公共の財産である都営住宅等に、個人が工作物を設置したり、改造を加えることは法律、条例で原則として禁止しています。ただし、身体障害などのやむを得ない事情があり、住宅管理上支障がないと認められる場合に限り、ご自身の費用で工事を行うことについて許可されることがあります。
申請の例として挙げられているのは、居室内の畳をフローリングに張り替える必要があるとき、既存の浴槽を深さが浅いものに交換する必要があるときなどです。手続きは「住宅模様替え・増築・住宅敷地内工作物設置申請書」を窓口センターに提出し、審査を経て許可書が発行される流れになっています。
そして、ここにも設置者による例外があります。同じページに「お住まいの方自身が設置した浴槽の交換については、模様替え申請等は不要です」と書かれています。自分で付けたものを自分で付け替えるだけなら、住宅そのものに手を加えていない、という整理です。
※ JKK東京「都営住宅等の模様替え申請 / 附帯設備追加届」を2026年9月22日に取得。東京都営住宅条例の条文は東京都例規集で同日に確認しました。風呂釜そのものが申請の対象になるかどうかは、このページには書かれていません。工事の範囲は事前にJKK東京お客さまセンターに確認するよう案内されています。
分譲団地では、浴室の壁に穴を開けられますか
分譲団地の外壁は、自分の部屋の一部ではなく共用部分です。国土交通省のマンション標準管理規約(団地型)は、別表第2「共用部分の範囲」で、棟の共用部分に「内外壁」を挙げています。バランス釜の給排気の穴は、その外壁を貫いています。
だから、今と同じ位置の穴をそのまま使う交換と、穴を新しく開けたり位置を変えたりする工事とでは、話が変わります。後者は自分の住戸の中だけで完結しません。着工前に管理組合の規約と細則を確認してください。
同じ別表には、もうひとつ細かい書き分けがあります。棟の共用部分として挙げられている「メーターボックス」に、(給湯器ボイラー等の設備を除く。)という括弧書きが付いています。箱そのものは共用部分だが、その中に収まっている給湯器は共用部分から除かれる、という整理です。浴室の外に給湯器を出す工事を考えるときに効いてきます。
※ 国土交通省「令和7年改正マンション標準管理規約(団地型)」別表第2を2026年9月22日に取得。標準管理規約はひな形であって、各団地の実際の規約とは異なることがあります。必ず自分の団地の規約を見てください。
民間賃貸の団地は、貸主の設備です
借りている住宅の給湯設備を交換するのは、貸主の仕事です。風呂に入れない状態が続くなら、まず管理会社か貸主に連絡してください。自分で業者を手配して費用を負担する前に、誰が直すべきものなのかを確かめるほうが先です。
機器そのものの値段は、どこで確かめればよいですか
誰が替えるのかが決まってから、値段を見てください。風呂釜の本体価格、別売になる給排気トップ、浴室の外に給湯器を出す場合の工事費は、それぞれ別の記事に整理してあります。
団地に来る「点検です」という訪問には気をつけてください
古い団地は、頼んでいない点検の訪問を受けやすい場所です。風呂釜や給湯器の型式を名指ししないまま「無料で点検します」と言って訪ねてくるものは、メーカーや事業主体からの案内とは別のものだと考えてください。公営住宅なら、設備の点検は管理を委託されている窓口から知らされます。
よくある質問
Q. 団地の風呂釜が壊れました。まずどこに連絡すればよいですか。
公営住宅なら、管理を委託されている窓口です。東京都の都営住宅ならJKK東京の修繕受付になります。民間賃貸なら管理会社か貸主です。分譲で自分の持ち物なら、自分で業者を探すことになります。
Q. 都営住宅の風呂釜の修理代は、いつも東京都が払ってくれるのですか。
いいえ。東京都が公表している負担区分では、点火不良や水漏れは東京都負担ですが、つまみなどの部品の破損・紛失は入居者負担です。さらに、入居者自身が設置した風呂釜・浴槽・給湯器の修繕は、故障の種類にかかわらず入居者負担とされています。
Q. 公営住宅で、自分のお金で新しい風呂釜に替えてもよいですか。
公営住宅法は模様替えを原則として禁じ、事業主体の承認を得たときだけ認めています。東京都では、身体障害などのやむを得ない事情があり住宅管理上支障がないと認められる場合に限って許可されることがある、という運用です。ただし、自分で設置した浴槽の交換については模様替え申請等は不要とされています。風呂釜が同じ扱いになるかは窓口に確認してください。
Q. 分譲団地なら、好きなように工事できますか。
住戸の中は自分の持ち物ですが、給排気の穴が開いている外壁は標準管理規約で共用部分とされています。穴を新しく開ける、位置を変えるといった工事は、管理組合の規約と細則を確認してからにしてください。
Q. 退去するとき、自分で付けた風呂釜はどうなりますか。
自分で設置した設備は自分の持ち物なので、退去時の扱いは事業主体の定めによります。撤去を求められることがあるため、設置を決める前に窓口で確認してください。この記事で確認した資料には、撤去費用の負担についての記載はありませんでした。
まとめ
- 団地の風呂釜は、事業主体が設置したものと入居者が自費で設置したものの2通りがある
- 東京都の負担区分では、風呂釜の点火不良・水漏れは東京都負担、つまみ等部品の破損・紛失は入居者負担
- ただし入居者が設置した風呂釜・浴槽・給湯器の修繕は、すべて入居者負担と明記されている
- 公営住宅法第二十七条第四項は模様替えを原則禁止とし、事業主体の承認があるときだけ認めている
- 分譲団地の外壁は共用部分。給排気の穴に手を入れる工事は、住戸の中だけの話では済まない
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浴室の外に給湯器を置ける家で、その機器が自分のものなら、風呂釜をやめて給湯器にするという選択肢があります。ただし浴槽の循環口を作り替える工事が別に要るので、現地を見てもらってからの判断になります。公営住宅や賃貸にお住まいの方は、先に窓口へ連絡してください。
東京ガスの機器交換
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