床下の換気口には、ねずみの侵入を防ぐ設備が法令で求められています|建築基準法施行令第22条と、基礎パッキンの家に入っている防鼠材

床下で物音がする、点検口を開けたら黒い粒が落ちていた。そういうとき、駆除の方法を調べる前に見てほしい場所があります。家の外周にある床下換気口の格子です。木造住宅の床下換気口には、ねずみの侵入を防ぐための設備を付けることが法令で求められています。つまり床下は、もともとふさがれている前提の場所です。ネズミが出入りしているなら、その設備のどこかが失われています。
この記事は床下という場所に絞り、法令とメーカーの公表値と東京都の資料だけで組み立てています。

床下にネズミがいるとき、最初に見るのはどこですか

最初に見るのは、基礎の外周に並んでいる床下換気口の格子と、基礎と土台の間のすき間、そして給排水管が基礎を貫通している部分の3か所です。ネズミが自分で穴を開けたのではなく、もともと開いているところを通っていることがほとんどだからです。
どれも外から見えます。換気口の格子は家を一周するだけ、基礎と土台の間は外壁の水切りの下、配管の貫通部は給湯器や水道メーターの周りです。脚立も工具も要りません。
見る場所どこから見えるか壊れ方
床下換気口の格子家の外周を一周するだけ格子が割れている、幅が広い、網が外れている
基礎と土台の間外壁の水切りの下防鼠材が入っていない、外れている
配管が基礎を貫通する部分給湯器や水道メーターの周りモルタルやパテが欠けている
床下に潜るのは、この3か所を見たあとで構いません。先に潜ると、どこから入られているのかが分からないまま、糞の掃除だけで終わります。

床下の換気口には、ねずみの侵入を防ぐ設備が法令で求められています

建築基準法施行令第22条は、最下階の居室の床が木造である場合について、床の高さと換気孔をこう定めています。
床の高さは、直下の地面からその床の上面まで四十五センチメートル以上とすること。
外壁の床下部分には、壁の長さ五メートル以下ごとに、面積三百平方センチメートル以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること。
読みどころは最後の一句です。換気孔を開けるところまでではなく、そこに「ねずみの侵入を防ぐための設備」を付けるところまでが条文に入っています。格子や金網は、あとから誰かが親切で付けた部品ではありません。
ただし、この条文には但し書きがあります。床下をコンクリートやたたきなどで覆う場合と、地面から出る水蒸気で腐食しない構造として国土交通大臣の認定を受けた場合は、この限りではありません。ベタ基礎の家や、次の章で触れる工法の家が、換気口を持っていないのはこのためです。
※ 出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」(昭和二十五年政令第三百三十八号)第二十二条(2026年9月20日取得)

換気口が見当たらない家は、基礎パッキン工法かもしれません

外を一周しても換気口が見つからないなら、基礎と土台の間に厚さ20ミリの部材を挟んで、家の全周から換気している工法の可能性があります。城東テクノのキソパッキンが代表的なもので、同社は20ミリ厚のパッキンが基礎と土台を絶縁すると説明しています。
このとき床下の入り口は、四角い換気口ではなく全周に続く20ミリのすき間になります。ネズミが通れるすき間は1センチ前後なので、20ミリは素通りできる幅です。そこで同社は防鼠材を別部材として用意しています。
有効換気面積を確保しつつ、床下のネズミなどの侵入を防ぐ法令指定部材です。
施工上の注意にも、次のように書かれています。
法令上、キソパッキンをご利用の際には、必ず建物外周部に防鼠材をセットしてご使用ください。(防鼠付水切りをご使用の場合は必要ありません)
つまりこの工法の家でも、ネズミを止める部材は必ず入っているはずのものです。入っていない、あるいは外れているなら、それは本来の姿ではありません。公表されている品番は次の3つです。
品番長さ有効換気面積材質の厚さ正価
MSP-012,000ミリ132平方センチメートル毎メートルポリ塩化ビニル1.4ミリ530円(1本)
MSP-022,000ミリ132平方センチメートル毎メートルポリ塩化ビニル1.4ミリ530円(1本)
MSKP-21(防虫リブ付き)2,000ミリ132平方センチメートル毎メートルポリ塩化ビニル1.2ミリ670円(1本)
MSKP-21だけは防虫リブが付いていて、リブ部分の有効換気面積は56.56平方センチメートル毎メートルと別に書かれています。ネズミ用の網目と虫用の網目は別物だという設計が、ここに出ています。
施工上の数字がもうひとつあります。水切りの下端と防鼠材の先端、および立ち上がり基礎の仕上面とのすき間は、換気のために10ミリ以上必要とされています。ここをモルタルで埋めると、床下の換気が止まります。
※ 出典:城東テクノ株式会社「防鼠材」「キソパッキン」製品ページ(2026年9月20日取得)。価格は同社の正価であり、工事費は含みません

床下にいるのは、どのネズミですか

住環境で問題になるのはクマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミの3種です。東京都の「都民のためのねずみ防除読本」令和7年版は、3種の生息場所をこう書き分けています。
種類体長生態生息場所殺そ剤への感受性
ドブネズミ22〜26センチ地面に穴を掘り、泳ぎが得意植込み、公園の地面、下水管、下水溝、ビル低層階高い
クマネズミ15〜20センチ身軽で運動能力が高く、電線を伝うビル内部の高い所、壁の中、天井裏低い
ハツカネズミ6〜9センチ運動能力はクマネズミほど高くない畑に生息(農村型)高い
ここで正直に書いておきます。この表のどこにも「床下」という語はありません。だから資料だけを根拠に「床下にいるのはドブネズミです」と断定することはできません。
言えるのは条件の近さだけです。ドブネズミは地面に穴を掘り、下水管やビルの低い階を生息場所とする種で、床下という低くて土に近い空間は、その条件に重なります。一方のクマネズミは天井裏と壁の中が生息場所で、高いところを好みます。床下と天井裏のどちらで音がするかは、種を絞る手がかりにはなります。決め手にはなりません。
実際の施工例も、その通りに分かれています。害獣プロテックの施工実績には、八潮市の住宅で「床下と壁内にドブネズミが侵入していることが判明した」という調査結果が載っており、天井裏の事例のほうはクマネズミやアライグマとして記録されています。
※ 出典:東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」令和7年版 13〜14ページ(2026年9月20日取得)

東京都が挙げる修繕箇所のうち、床下に関係するのは3つです

同じ読本の22ページに「防そ修繕の具体例」という表があります。9か所のうち、床下に関係するのは通気口、基礎のすきま、配管貫通部分の3つです。
  • 通気口(屋根の下、床下)……格子が破損していてねずみが通れる穴が開いている場合は、通気口全体に金網をかぶせる。格子の幅が広すぎる(1.25センチ以上)場合は、1センチ位のものに取り替える
  • 基礎のすきま……モルタルなどを詰めてふさぐ
  • 配管貫通部分……不燃性のパテやモルタルで埋める。応急措置としては、すき間に金属たわしを詰める
表の下に注意書きが2つあります。広いすき間に金網をかぶせる場合は網目幅1センチ以下のものを使うこと、そして電気配線が壁を貫通して配電盤につながる部分は、防そ修繕が危険なので電気屋さんに頼むことです。
なお、すき間の寸法については資料によって数字が違います。この読本は1センチ、当ブログの別の記事では1.2センチという数字を使っています。どちらが誤りということではなく、出所が違います。ふさぐ側は小さいほうに合わせるのが安全です。
※ 出典:東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」令和7年版 22ページ(2026年9月20日取得)

床下に毒えさや粘着シートを置いてよいですか

置く前に、入り口をふさぐ側を終わらせてください。読本も、種類を見分ける、侵入経路と生息要因を明らかにする、対策のための措置を講じる、という順番で手順を示しています。
床下に薬剤を置くことには、屋内とは違う難しさが2つあります。ひとつは死骸です。床下は人が常時入る場所ではないので、どこで死んだかを見つけにくく、腐敗の臭いとそれに集まる虫が後から問題になります。もうひとつは種類です。読本の表にある通り、クマネズミは殺そ剤への感受性が低いと整理されています。効かない相手に置いても、餌を増やすだけです。
急ぐ理由のほうも書いておきます。読本は、ねずみが電気機器の裏など暖かい場所に巣材を持ち込んで巣を作り、かじった電気コードが短絡したり、放熱板に尿がかかってスパークしたりして、ひどいときには火災が発生すると書いています。床下には給湯器や分電盤につながる配線が通っていることがあります。
※ 出典:東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」令和7年版 10ページ、12〜14ページ(2026年9月20日取得)

業者に頼むとき、何を確かめますか

確かめることは3つです。入り口をふさぐ工事まで見積もりに入っているか、床下という場所に入れる体制があるか、そして自分の住んでいる県が対応エリアに入っているか。捕獲だけの見積もりだと、翌シーズンに同じことが起きます。
害獣プロテックは、再発防止の考え方を公式サイトでこう説明しています。
害獣は帰巣本能が強く、捕まえたり追い出したりするだけではすぐに被害が再発してしまいます。そこで重要になるのが侵入経路封鎖による再発防止施工です。
同社は20年以上続くリフォーム会社が母体で、駆除実績3,000件以上、工務店歴50年以上の施工技術を挙げています。調査と見積りは無料、受付は24時間365日、施工箇所が破損した場合の最長10年の破損保証(条件あり)も公表されています。対応は関東・関西・東海・九州・北陸・中部・東北の7ブロックですが、県別に見ると東北は福島県のみ、九州には山口県が含まれます。地方名より狭いことも広いこともあるので、自分の県が一覧にあるかを先に確かめてください。
もうひとつは全国対応の窓口です。害獣駆除110番はネズミの駆除を22,000円(税込)からと公表しており、この料金に駆除費用と殺菌・消毒費用と清掃費用が含まれると案内しています。受付は日本全国で24時間365日。ただし、対応エリアや加盟店、現場の状況によっては記載の価格や条件では対応できない場合がある、という注記が同じページに付いています。
※ 出典:害獣プロテック(株式会社花光)公式サイト、害獣駆除110番公式サイト(いずれも2026年9月20日取得)

よくある質問

床下換気口をふさいでしまえば、ネズミは入れなくなりますか

換気口そのものをふさぐことはできません。建築基準法施行令第22条は、壁の長さ5メートル以下ごとに300平方センチメートル以上の換気孔を設けることを求めています。ふさぐのは穴ではなく、網目です。格子を目の細かいものに替えるか、網目幅1センチ以下の金網をかぶせます。

基礎と土台の間のすき間は、モルタルで埋めてよいですか

埋めないでください。そこは換気の通り道です。城東テクノは、水切りの下端と防鼠材の先端とのすき間について、換気のために10ミリ以上必要としています。入れるのはモルタルではなく防鼠材です。

床下で音がするのは、ネズミだと決まっていますか

決まっていません。床下を使う動物はネズミだけではなく、アナグマのように地面を掘って床下に入る在来種もいます。種類によって、捕獲に許可が要るかどうかまで変わります。糞の形と大きさ、通り道の跡を先に確かめてください。

賃貸でも自分で修繕してよいですか

先に管理会社か大家さんへ連絡してください。床下換気口や基礎は建物の側の設備で、入居者が勝手に手を加える場所ではありません。費用の負担も、原因が建物の欠損にあるのかどうかで変わります。

保健所は駆除してくれますか

多くの自治体で、住宅のねずみ駆除そのものは行っていません。相談と助言、薬剤や器具の貸与や斡旋までというのが一般的です。

まとめ

床下のネズミは、駆除の話から入ると終わりが見えません。入り口の話から入ると、見る場所が3か所に絞れます。
  • 床下換気口には、ねずみの侵入を防ぐための設備を付けることが建築基準法施行令第22条に書かれています
  • 換気口が無い家は基礎と土台の間から換気しており、そこには防鼠材という別部材が入っているはずです
  • 東京都の資料は、格子の幅が1.25センチ以上なら1センチ位のものに替え、金網は網目幅1センチ以下を使うとしています
  • 床下という生息場所は、3種のどの欄にも書かれていません。ドブネズミのほうが条件は近いものの、断定はできません
  • 薬剤は入り口をふさいだあとです。床下は死骸を回収しにくく、クマネズミには効きにくいと整理されています
まず家を一周して、換気口の格子を数えてください。割れているものが1つでも見つかれば、やることはその場で決まります。

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