シロアリ被害に火災保険は使えません|ただし確定申告の雑損控除は使えます。国税庁が明記しています

この記事を読むと分かること
  • 火災保険の補償対象にシロアリは入っていないこと。協会が挙げる一覧に無いこと
  • ★確定申告の雑損控除は使えること。国税庁が明記していること
  • ★予防費用は対象外こと。だから見積もりを分けてもらう必要があること
シロアリの被害が見つかった。修繕にも駆除にもお金がかかる。火災保険は使えないのか。
結論から書きます。火災保険では、まず出ません。ただし税金で戻る道があります。そしてその道には、見積もりの取り方が関わってきます。この記事では、日本損害保険協会と国税庁が公表している内容をもとに、どちらの制度が何をカバーするのかを整理します。

★火災保険の「支払われない事由」に当たります

日本損害保険協会は、火災保険で支払われない事由を列挙しています。その5番目です。
保険の対象の欠如、自然の消耗、劣化、性質による変色、さび、かび、腐敗、ひび割れ等によって生じた損害
※ 日本損害保険協会「損害保険Q&A」問50の記載に基づく(2026年9月3日時点で確認)。
そして、補償される主な損害として挙げられているのは次のものです。
補償される主な損害(協会の列挙)
火災、落雷、破裂・爆発
風災、雹(ひょう)災、雪災
建物の外部からの物体の落下・飛来、衝突・接触、倒壊
給排水設備に生じた事故による漏水、放水または溢水による水濡れ
騒擾およびこれに類似の集団行動または労働争議に伴う暴力行為もしくは破壊行為
盗難によって生じた盗取、損傷または汚損
水災/不測かつ突発的な事故による破損・汚損
※ 日本損害保険協会「損害保険Q&A」問51の記載に基づく(2026年9月3日時点で確認)。
この一覧にシロアリはありません。そして支払われない事由に「自然の消耗、劣化」が明記されています。
「絶対に出ない」とまでは書けません
協会は「保険会社によって補償内容は異なっていますので、詳細については保険会社または代理店に確認することが必要です」としています。
契約している商品の約款を見るのが確実です。この記事は一般的な枠組みの説明にとどまります。
なお、台風で屋根が壊れて雨漏りし、その結果として腐朽が進んだというように、
補償対象の事故が先にある場合は話が変わることがあります。その場合も、
事故の前後で状態が変わったことを示せるかが問われます。

★★国税庁:駆除費用は雑損控除の対象です

保険では出ませんが、税金で戻る道があります。国税庁が質疑応答事例で明記しています。
【照会要旨】
「7年前に建築して居住の用に供していた家屋の一部がシロアリによって被害を受けたため修繕を行いましたが、この修繕に要した支出は雑損控除の対象となりますか。また、シロアリにより被害を受けた際に要したシロアリの駆除費用はどうですか」
【回答要旨】
シロアリによる被害は、所得税法施行令第9条《災害の範囲》に規定する『害虫……その他の生物による異常な災害』に該当し、修繕に要した費用及びそのシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象となります
※ 国税庁「シロアリの駆除費用」(質疑応答事例・所得税)に基づく(2026年9月3日時点で確認)。同ページには「令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています」との注記があります。
シロアリ被害は、税法上「異常な災害」として扱われます。
これは知られていません。火災保険で断られて、そこで終わりにしている人が多いはずです。

★★★ただし「予防」は対象外です。ここが分かれ目

同じ国税庁の回答に、除外がはっきり書かれています。
シロアリの被害を事前に防止するための費用及びシロアリの駆除とともに行う予防のための費用は、応急的措置に係る費用でないことから、雑損控除の対象となりません
※ 国税庁「シロアリの駆除費用」に基づく(2026年9月3日時点で確認)。
費用雑損控除
被害を受けた部分の修繕費対象
シロアリを駆除するための費用対象
被害を事前に防止するための費用(予防)対象外
★駆除とともに行う予防のための費用★対象外
★だから、見積もりを分けてもらってください
シロアリ業者の見積もりは、駆除と予防(再発防止の薬剤処理)が一式になっていることがあります。
一式のままだと、どこまでが控除の対象か説明できません。
見積もりを取るときに、「駆除の費用と、予防の費用を分けて書いてください」と伝えてください。
これは値切る話ではなく、書類の作り方の話です。作業前に頼めば手間もかかりません。

雑損控除を使うときに要るもの

やること内容
確定申告をする年末調整では処理できません。会社員でも申告が要ります
領収書を残す駆除・修繕それぞれの領収書
★見積書・明細を残す駆除と予防の内訳が分かるもの
被害の記録を残す写真など。いつ・どこが・どうなっていたか
★控除額の計算や、その年の所得で戻る額は変わります。具体的な金額は税務署または税理士にご確認ください。
この記事は「対象になるかどうか」の枠組みを示すもので、個別の申告内容を判断するものではありません。

火災保険と雑損控除の違い

火災保険雑損控除
シロアリ被害補償の一覧に無い「異常な災害」に該当する
駆除費用対象
予防費用対象外
手続き保険会社へ請求確定申告
戻り方保険金所得控除(現金が戻るのではなく税額が減る)
同じ「お金が戻る」でも仕組みが違います。雑損控除は所得から差し引くもので、保険金のように支払われるわけではありません。

害獣(ハクビシン・ネズミなど)はどうか

国税庁が示しているのはシロアリの事例です。
条文は「害虫……その他の生物による異常な災害」なので、文言上は虫に限られていません。
ただし具体的な取り扱いは個別の判断になります。天井の汚損や断熱材の交換など、被害の内容も家ごとに違います。
該当しそうな被害があるなら、税務署に確認してください。この記事で「使えます」とは書けません。

賃貸の場合は、そもそも自分の負担ではありません

建物の維持管理は、原則として所有者の責任です。
シロアリ被害が見つかったら、まず管理会社・大家に連絡してください。自分で業者を手配して費用を払う話ではありません。
雑損控除も、自分が費用を負担していなければ関係ありません。
賃貸での負担の分かれ方は、こちらにまとめています。

まとめ

  • ★火災保険の「補償される主な損害」の一覧に、シロアリは無い(日本損害保険協会)
  • 支払われない事由に「自然の消耗、劣化、性質による変色、さび、かび、腐敗、ひび割れ等」が明記されている
  • ただし「保険会社によって補償内容は異なる」とされているので、約款の確認は必要
  • 台風などの補償対象の事故が先にある場合は、話が変わることがある
  • ★★国税庁:「シロアリによる被害は…『害虫……その他の生物による異常な災害』に該当し、修繕に要した費用及びそのシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象となります」
  • ★★★ただし「事前に防止するための費用」と「駆除とともに行う予防のための費用」は対象外
  • だから見積もりで「駆除」と「予防」を分けてもらう。一式だと説明できない
  • 雑損控除は確定申告が要る。会社員でも年末調整では処理できない
  • 害獣については国税庁の事例が示されていない。該当しそうなら税務署へ
  • 賃貸なら、まず管理会社・大家へ。自分の負担ではない

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費用の比べ方は、単価の出し方から確認してください。
まだ被害が出ていない家の「予防」は、税制上も駆除とは別扱いです。
※ 本記事の火災保険に関する記述は日本損害保険協会「損害保険Q&A」問50・問51、雑損控除に関する記述は国税庁「シロアリの駆除費用」(質疑応答事例・所得税/令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づくとの注記あり)の公表内容に基づきます(いずれも2026年9月3日時点で確認)。保険の補償内容は契約している商品によって異なります。控除額や申告の可否は個別の事情によって変わります。加入先の保険会社・代理店、および税務署または税理士にご確認ください。