引っ越しが高いのは3月|国が「通常月の約2倍」と公表しています。ずらすと何が変わるか
この記事を読むと分かること
- 国が毎年、引っ越し時期の分散を呼びかけていること
- 3月の引越件数は通常月の約2倍だと国が公表していること
- ピークの期間を具体的な日付で示している会社があること
引っ越しを安くしたいなら、業者を比べる前に日程です。国が公表している数字がその理由を示しています。
国が毎年「時期をずらしてほしい」と言っています
国土交通省は、引越時期の分散について毎年、報道発表を出しています。直近のものは令和8年1月28日付です。
そのタイトルがそのまま結論になっています。
- 「引越時期の分散に御協力をお願いします! ~3月の引越件数は通常月の約2倍!混雑時期を外してスムーズな引越を~」
本文にはこうあります。
- 「例年、引越事業においては、3月から4月にかけて依頼が集中しているため、国土交通省では、引越時期の分散に向けて経済団体等を通じて利用者の方々に呼びかけを行っているところです。」
※ 国土交通省報道発表「引越時期の分散に御協力をお願いします!」(令和8年1月28日、物流・自動車局貨物流通事業課)の記載を原文のまま引用(2026年9月19日確認)。
事業者側の宣伝ではなく、国が出している数字です。
★ずらした人の声も国が載せています
同じ資料に、実際にずらした利用者の声が3つ載っています。原文のまま引きます。
- 『3月末の土日の引越と比べて、引越代金が安くなった』
- 『会社の従業員の引越に係るコストを抑えることができた』
- 『3月の最終週から引越時期をずらすことで、予約が取りやすくなった』
ここで分かるのは2つです。安くなるのと、予約が取りやすくなることです。
そして比較対象が「3月末の土日」だという点が大事です。月ではなく、週と曜日まで指定されています。
★ピークの期間を日付で示している会社があります
3月から4月と言われても幅がありますが、サカイ引越センターは公式に日付を書いています。
ダンボール回収サービスの説明にこうあります。
- 「お引っ越し後にダンボールを回収いたします 繁忙期間中(例年:年3月15日~4月15日)は対応しかねますので、ご了承ください。」
※ サカイ引越センター公式「便利な引越しオプションサービス」の記載を原文のまま引用(2026年9月2日確認)。
つまり3月15日から4月15日のひと月が、この会社の言う繁忙期です。国の資料も別添1で「例年の最繁忙期である3月中旬~4月上旬」と書いており、会社が示す期間とほぼ重なります。
★繁忙期は料金だけの問題ではありません
上の引用で見落としてほしくないのは、繁忙期にはサービスそのものが止まるという点です。
ダンボール回収は、繁忙期には受け付けられません。料金が高いだけでなく、平常時なら使えるものが使えなくなります。
★では、何月なら空いているのか。国の資料に月別のグラフが付いています
3月が約2倍だと分かっても、では何月なら空いているのかは、この一文からは読み取れません。答えは同じ省の参考資料にあります。
国土交通省「引越時期の分散に向けたお願い」には、参考資料として「大手引越事業者の月別引越件数」が添えられています。全日本トラック協会が大手6社に聞き取った、令和6年度の1年分です。
ただし、この資料はグラフだけで、数字のラベルが付いていません。下の表は、グラフの棒の高さを目盛りから換算した概数です。公表されている数値そのものではないので、千件の位は目安として見てください。
| 月 | おおよその件数 | 年間平均との比 |
|---|---|---|
| 3月 | 約26.8万件 | 約1.7倍 |
| 4月 | 約21.7万件 | 約1.4倍 |
| 2月 | 約15.2万件 | 約0.97倍 |
| 6月 | 約15.2万件 | 約0.97倍 |
| 7月 | 約15.0万件 | 約0.96倍 |
| 5月 | 約14.9万件 | 約0.95倍 |
| 12月 | 約14.1万件 | 約0.90倍 |
| 9月 | 約13.8万件 | 約0.88倍 |
| 10月 | 約13.8万件 | 約0.88倍 |
| 8月 | 約13.4万件 | 約0.85倍 |
| 11月 | 約12.6万件 | 約0.80倍 |
| 1月 | 約11.7万件 | 約0.74倍 |
※ 国土交通省「引越時期の分散に向けたお願い」の参考資料1「大手引越事業者の月別引越件数」(令和6年度・(公社)全日本トラック協会による大手引越事業者6者へのヒアリング結果)のグラフを実測(2026年9月19日確認)。資料に数値の記載は無く、グラフの目盛りから換算した概数です。
このグラフには年間平均を示す赤い破線が引かれています。測ると約15.7万件で、12か月分を平均した値とほぼ一致しました。
★平均を超えているのは3月と4月の2か月だけです
グラフを見て最初に分かるのは、突き出ている棒が2本しかないことです。3月と4月です。
- 平均線より上にあるのは3月と4月だけ
- 残りの10か月は、すべて平均線より下
- 2月・5月・6月・7月は平均のすぐ下で、4か月ともほぼ同じ高さ
つまり繁忙期とそれ以外の差は、月ごとになだらかに変わるのではなく、3月と4月のところで段になっています。
ここで効いてくるのが、前の章で見たサカイ引越センターの線引きです。例年3月15日から4月15日という区切りは、この2本の棒にちょうど重なります。
- 3月だけを避けて4月上旬に動かしても、まだ繁忙期の中です
- 4月も年間平均の約1.4倍で、通常月ではありません
「3月を外す」ではなく「3月中旬から4月中旬を外す」と考えたほうが、資料の形に合っています。
★5月から7月は「安い月」ではなく「平均の月」です
繁忙期さえ外せばどこでも同じ、ということもありません。平均より下の10か月にも段差があります。
- 5月・6月・7月は年間平均の0.95倍前後。下がってはいますが、わずかです
- はっきり下がるのは8月以降です
- 件数がいちばん少ないのは1月で、年間平均の約0.74倍。次が11月の約0.80倍です
- 3月と1月では、件数に約2.3倍の開きがあります
4月の異動が終わった5月は空いていそうに見えますが、数字の上では平均に近い月です。まとまった量の車と人が空くのは、5月ではなく夏以降だということになります。
このグラフが示しているのは件数であって、料金ではありません。ただし同じ資料には、最繁忙期を避けた利用者の声として『3月末の土日の引越と比べて、引越代金が安くなった』が載っています。件数が減れば車と人が空く、というところまでは公表資料から読み取れます。
★国は日単位でも「混雑予想カレンダー」を出しています
月より細かい区切りもあります。同じページに置かれている「分散引越のお願い」というチラシには、国土交通省と全日本トラック協会の連名で、3月と4月のカレンダーが載っています。日ごとに3色で塗り分けたものです。
手元にあるのは2026年春のものですが、チラシ自身が「例年のパターンから予想されます」と書いているとおり、区切り方は毎年同じ考え方で引かれています。2026年春の塗り分けはこうでした。
| 塗り分け | 2026年春で該当した日 |
|---|---|
| 特に混雑が予想されます | 3月14日から4月5日 |
| 混雑が予想されます | 3月7日から13日、4月6日から12日 |
| やや混雑が予想されます | 3月1日から6日、4月13日から30日 |
※ 国土交通省・(公社)全日本トラック協会・都道府県トラック協会「分散引越にご協力をお願いします!」(2026年春・引越繁忙期対策チラシ)の混雑予想カレンダーを読み取り(2026年9月19日確認)。
ここで見てほしいのは、土曜だけ色が一段濃いことです。3月1日から6日は「やや混雑」ですが、同じ週の7日(土)だけが「混雑」に上がります。翌週も、8日から13日が「混雑」で、14日(土)だけが「特に混雑」です。
国の報道発表が比較対象に「3月末の土日」を選んでいたのは、この塗り分けと同じことを言っています。月をずらせないなら、せめて土日を外す。それだけでも1段階下がる計算です。
チラシの本文には、混み合う時期に起きることも書かれています。「希望日にあう事業者が見つからない」です。値段の話ではなく、そもそも頼めないという話です。
そしてチラシは、最後にこう結んでいます。
- 「上記を参考に2月以前または5月以降のお引越しの検討をお願い致します」
月別のグラフで見たとおり、2月も5月も年間平均のすぐ下で、とくに安い月ではありません。国が勧めているのは「いちばん安い月」ではなく「ピークから降りた月」です。ここを取り違えると、1月まで待ったのに家賃を二重に払った、という遠回りになります。
ずらす順番
| 優先 | ずらすもの | なぜ |
|---|---|---|
| 1 | 3月15日から4月15日を外す | 会社が繁忙期と呼ぶ期間そのもの |
| 2 | 3月の最終週を外す | 国の資料で名指しされている |
| 3 | 土日を外す | 同じく名指しされている |
1日ずらせるかどうかではなく、週の単位でずらせるかが効きます。
日程が決まらないと、他が動きません
引っ越し日が決まらないと、ガスの開栓予約もできません。順番としては日程が先です。
日程を決めたら、空きを押さえる
繁忙期を外しても、希望日が取れるかは業者の空き次第です。国の資料でも「予約が取りやすくなった」がメリットとして挙がっています。
| 優先したいこと | 向いている方法 | 受け入れること |
|---|---|---|
| 手間を減らして、厳選された数社で比べたい | HALESEE(ハレシー) | 比較できる社数は少なめ |
まとめ
- 国土交通省が毎年、引越時期の分散を呼びかけている
- 3月の引越件数は通常月の約2倍
- ずらした人の声として安くなった、予約が取りやすくなったが挙がっている
- 比較対象は3月末の土日
- サカイは繁忙期を例年3月15日から4月15日と公表している
- ★繁忙期はダンボール回収が止まる。料金だけの問題ではない
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※ 本記事の件数・呼びかけの内容は国土交通省の公表資料(2026年9月19日確認)に、繁忙期の期間はサカイ引越センター公式サイトの記載(2026年9月2日確認)に基づきます。繁忙期の定義と料金は会社によって異なります。