コウモリは捕まえられません|狩猟鳥獣ではない理由と、糞の片付け方・換気扇からの侵入対策

この記事を読むと分かること
  • コウモリは狩猟鳥獣に入っていないこと。だから捕まえる手段が許可しかないこと
  • ネズミとは法律上の扱いが違うこと。ネズミは自分で駆除できて、コウモリはできないこと
  • 糞は乾かして掃かない・掃除機で吸わないこと。厚生労働省が理由を書いていること
ベランダや軒下に、黒い粒が落ちている。換気扇の裏で何かが動く音がする。コウモリかもしれない、と思ったとき、まず知っておいてほしいのは「捕まえてはいけない」ということです。
同じ屋根裏の動物でも、ネズミとコウモリでは法律上の扱いがまったく違います。この記事では、東京都と環境省と厚生労働省の資料をもとに、何ができて何ができないのかを整理します。

コウモリは、狩猟鳥獣に入っていません

東京都が公開している狩猟鳥獣の獣類は、次の20種です。
狩猟鳥獣に指定されている獣類(20種)
タヌキ/キツネ/ノイヌ/ノネコ/テン/イタチ/シベリアイタチ/ミンク/アナグマ/アライグマ/ヒグマ/ツキノワグマ/ハクビシン/イノシシ/タイワンリス/シマリス/ヌートリア/ユキウサギ/ノウサギ/ニホンジカ
※ 東京都環境局「狩猟鳥獣の種類等について」の記載に基づく(2026年8月31日時点で確認)。
この中にコウモリはありません。
東京都環境局は、捕獲についてこう書いています。
全ての野生鳥獣は捕獲することができません。ただし、狩猟制度に基づき狩猟鳥獣を捕獲する場合、又は学術研究の目的などで法による許可を受けた場合」— 東京都環境局「野生鳥獣の捕獲について」より
ハクビシンやアライグマには「狩猟」という道がありますが、コウモリにはそれがありません。残るのは許可を受ける道だけです。違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

★ネズミとは扱いが違います

ここが意外なところです。同じ屋根裏にいても、ネズミとコウモリでは根拠になる法律が違います。
鳥獣保護管理法が守る「鳥獣」は鳥類または哺乳類に属する野生動物で、2002年の改正でネズミ・モグラ類も含まれることになりました。
ただし第80条で、いえねずみ類3種は対象から外されています。
動物鳥獣保護管理法自分で駆除できるか
いえねずみ類3種(クマネズミ・ドブネズミ・ハツカネズミ)対象外できる
コウモリ対象。しかも狩猟鳥獣ではない捕獲は許可が必要
ハクビシン・アライグマ対象。狩猟鳥獣でもある捕獲は許可が必要(狩猟の道もある)
※ 環境省「鳥獣保護法の概要」および東京都環境局「狩猟鳥獣の種類等について」の記載に基づく(2026年8月31日時点で確認)。
「ネズミは自分でわなを仕掛けられたのに、コウモリは駄目なのか」と戸惑うのは当然です。理由は法律の条文にあります。

★捕獲の許可は「追い出しても駄目だったとき」にしか出ません

では許可を取ればいいのか、というと、そこにも順番があります。
東京都環境局は、有害鳥獣捕獲についてこう書いています。
「捕獲は、原則として被害防除対策によっても被害等が防止できないと認められるときに行うもの」— 東京都環境局「野生鳥獣の捕獲について」より
つまり、順番が決まっています
まず被害防除(追い出し・侵入口の封鎖)をやる。それでも駄目だったときに、はじめて捕獲の許可が検討されます。
「捕まえて終わりにしたい」という発想は、制度の側で最初から想定されていません。やることは結局、追い出して入れなくすることです。

できるのは、追い出しと封鎖です

東京都環境局が挙げている対策は、次の3つです。
  • 家屋への侵入経路となるような木の枝等は切る
  • 家屋への入り口となるような破損箇所等は塞いでおく
  • 空き家を点検・撤去を行う
そして忌避剤については、こう書かれています。
「個体を別の家に追いやるだけで根本的な解決策には繋がりません」— 東京都環境局「被害を防ぐために」より
追い出しても、入口が空いていれば戻ってきます。忌避剤やくん煙剤は、封鎖までの時間稼ぎと考えてください。
中にいるまま塞がない
これはコウモリでも同じです。出ていったことを確認してから塞ぐのが原則です。中で死なれると、腐敗臭という別の問題になります。
子どもがいる時期は追い出せません。飛べない子が残るためです。時期の見極めが要るところで、業者が現地調査で最初に見るのもここです。

換気扇や通気口から入られます

「換気扇の裏から音がする」という相談が多いのは、そこが実際に入口になるからです。
コウモリは体が小さく、わずかな隙間から入ります。屋根と壁の取り合い、換気口、通気口、シャッターの戸袋、瓦の下。普段は「隙間」と認識していない場所が該当します。
※ コウモリが通過できる隙間の実測値については、公的資料で確認できるものが見つかりませんでした。駆除業者各社は1〜2cm程度としていますが、裏づけのある数値ではありません。
参考までに、ハクビシンは一辺8cm(短い辺なら6cm)の隙間を通れることが農研機構の実測で分かっています。コウモリはそれよりはるかに小さい体です。

★糞は、乾かして掃かない・掃除機で吸わない

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
厚生労働省検疫所は、ヒストプラズマ症についてこう説明しています。
「ヒストプラスマ種のカビは、コウモリの糞や鳥の糞によく含まれています」「ヒストプラスマ種のカビが含まれたほこりが巻き上げられ、それを肺に吸い込むことによってうつります」— 厚生労働省検疫所「ヒストプラスマ症」より
感染経路が「吸い込むこと」です。つまり粉じんを立てる作業がそのままリスクになります。
やってはいけないこと理由
掃除機で吸う粉じんが排気から部屋に戻る
乾いたまま掃くほこりが舞い上がる
素手で触る厚生労働省検疫所は「コウモリにはさわらない」としている
厚生労働省検疫所は、コウモリの糞に汚染された環境について「ほこりに暴露されないようにする」こと、作業時にはフェイスマスク・手袋・全身を覆う作業衣の着用を挙げています。
出典について、正確に書いておきます
上の記述は厚生労働省検疫所(FORTH)のもので、もともとは海外渡航者に向けた情報です。洞窟や鉱山での感染例が想定されており、日本の住宅の屋根裏で同じ確率で起きる、という意味ではありません。
また、東京都環境局が17項目の人獣共通感染症をまとめた資料は「アライグマ・ハクビシンに関する」もので、コウモリは対象に入っていません。
日本国内のコウモリの糞について、感染リスクを定量的に示した公的資料は見つかりませんでした。
そのうえで、「ほこりを吸い込んで感染する経路がある」ことは事実です。掃除機で吸わない・乾いたまま掃かないという対処は、確率が分からなくても取っておく価値があります。
※ 厚生労働省検疫所「ヒストプラスマ症」および同「コウモリと人の健康」の記載に基づく(2026年8月31日時点で確認)。
咬まれたり引っかかれたりしたら、すぐに受診してください
厚生労働省検疫所は「コウモリにはさわらない」とし、咬まれた場合は傷口を徹底的に洗浄し、直ちに医療的助言を求めるよう書いています。様子を見ないでください。
同じ資料は、コウモリが媒介しうるものとしてレプトスピラ症(尿から)・サルモネラ菌(便から)、および海外で確認されているリッサウイルス(咬傷や引っかき傷から伝染し、狂犬病に似た症状)を挙げています。
リッサウイルスは日本国内での発生が確認されているものではありません。それでも「咬まれたら洗って受診」は、相手が野生動物である以上、変わりません。

手が届く範囲を片付けるなら

  • 使い捨ての手袋とマスクを着ける。作業後はどちらも捨てる
  • 霧吹きで湿らせてから回収する。乾いたまま掃かない
  • 袋は二重にする
  • 作業後は手を洗う。着ていた服はそのまま洗濯する
天井裏や高所は、自分でやる作業ではありません。足場が悪く、暗く、断熱材の上は踏み抜きます。

糞の見分け方

「ネズミなのかコウモリなのか」で対処が変わるので、ここは確かめてください。
コウモリネズミ
落ちている場所壁ぎわ、ベランダ、換気扇の下など一定の場所に積もる通り道に点々と散らばる
細長い粒。昆虫を食べるため、つぶすと崩れやすい米粒から1cm程度。硬い
ほかの痕跡かじりあと、黒光りしたこすりあと(ラットサイン)
※ ネズミのラットサインは東京都多摩府中保健所「クマネズミ対策」の記載に基づきます。コウモリの糞の形状は駆除業者各社の記述をまとめたもので、公的資料に基づくものではありません(2026年8月31日時点)。
かじりあとがあればネズミです。コウモリは物をかじりません。

賃貸か持ち家かで、やることが変わります

住まい最初にやること
賃貸管理会社・大家に連絡する。換気扇や外壁の隙間を塞ぐのは建物側の工事です
持ち家区市町村の担当課に相談し、あわせて業者の現地調査を受ける

相談先

東京都環境局は「まずは各区市町の環境部署や清掃部署等にお問い合わせ下さい」と案内しています。まず聞くのは無料です。
ただし、捕獲には許可が要り、その許可も「追い出しても駄目だったとき」にしか出ません。現実的には、追い出しと侵入口の封鎖を民間の業者に頼むことになります。
状況向いている相談先
対応エリア内で、封鎖の工事まで含めて相談したい害獣プロテック
清掃・消毒までの費用をはっきりさせたい/深夜や早朝に相談したい害獣駆除110番
害獣プロテックは、家の構造を扱ってきた建築の会社が対応します。再発を防ぐ「害獣対策工事」まで一貫して行う立て方で、この記事で書いた「入れなくすることが対策」という考え方と合います。調査・見積りは完全無料で、24時間365日受付最長10年の破損保証があります(保証条件あり)。対応エリアは関東(東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木・群馬・茨城)/関西(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・三重)/東海(愛知・岐阜・静岡)/九州(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・山口)/北陸・甲信越(新潟・富山・石川・福井・山梨・長野)/福島です。
害獣駆除110番は、料金に駆除費用だけでなく殺菌・消毒費用と清掃費用が含まれ、見積もり以上の追加料金はかからないとしています。この記事で書いた糞の清掃が料金に入っているということです。全国47都道府県に対応し、受付は24時間365日。上場企業(証券コード3989)が運営しています。公式サイトに掲載されているコウモリの料金は28,600円(税込)からです。
※ 料金・対応エリア・受付時間・保証内容は変わることがあります。最新の内容は各公式サイトでご確認ください(2026年8月31日時点・編集部調べ)。現地調査と見積もりは無料とされていますが、対応エリア・加盟店・現場の状況によって費用が発生する場合があると注記されています。

まとめ

  • コウモリは狩猟鳥獣20種に入っていない。だから捕まえる手段は許可しかない
  • 違反は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • ★いえねずみ類3種は鳥獣保護管理法の対象外。だからネズミは自分で駆除できて、コウモリはできない
  • 捕獲の許可は「被害防除対策によっても防止できないと認められるとき」にしか出ない。追い出しと封鎖が先
  • 忌避剤は「別の家に追いやるだけ」と東京都が明言。中にいるまま塞がない
  • 入口は換気扇・通気口・シャッターの戸袋・瓦の下など。隙間の実測値は公的資料に無い
  • ★糞は乾かして掃かない・掃除機で吸わない。ヒストプラズマ症はほこりを吸い込んで感染する
  • ただしその出典は海外渡航者向けのもので、日本の屋根裏のリスクを示した公的資料は見つからなかった
  • 咬まれたり引っかかれたりしたら、洗浄して直ちに受診。様子を見ない
  • かじりあとがあればネズミ。コウモリは物をかじらない
  • 賃貸はまず管理会社・大家へ。持ち家は区市町村へ相談したうえで業者の現地調査を受ける

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※ 本記事の狩猟鳥獣の一覧・捕獲の考え方・罰則・対策は東京都環境局「狩猟鳥獣の種類等について」「野生鳥獣の捕獲について」「被害を防ぐために」、鳥獣の定義といえねずみ類の除外は環境省「鳥獣保護法の概要」、感染症は厚生労働省検疫所「ヒストプラスマ症」「コウモリと人の健康」、ハクビシンの隙間のサイズは農研機構の研究成果に基づきます(いずれも2026年8月31日時点で確認)。