給湯器の交換に必要な資格は?ガス・水道・電気で別々に決まり、屋内設置かLPガスかでも変わります
給湯器の交換に必要な資格は、ガス・水道・電気の工事ごとに、別々の法律で決まっています。屋内に設置する給湯器やふろがまの工事にはガス消費機器設置工事監督者(国家資格)の監督が要り、屋外の給湯器を屋外で入れ替えるだけならこの監督は求められません。一方で、水道につなぐ配管の工事は水道局が指定した業者が行うことを給水の条件にできる仕組みがあり、LPガスの配管の加工には液化石油ガス設備士が要ります。この記事は、e-Gov法令検索で取得した条文と、JIA(日本ガス機器検査協会)・東京ガスの公式ページで確認できた内容だけで組み立てています(2026年10月18日時点)。
給湯器の交換に必要な資格は? 工事の中身ごとの一覧
給湯器の交換に要る資格は、「どこに付いている給湯器か」「ガスは都市ガスかLPガスか」「水道・電気の工事を伴うか」の3つで決まります。1つの資格で給湯器の工事が全部できる、という形にはなっていません。
| 工事の中身 | 関わる資格・指定 | 種類 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 屋内に設置するふろがま・ガス湯沸器の設置や変更 | ガス消費機器設置工事監督者(または液化石油ガス設備士)の監督 | 国家資格 | 特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律(特監法)第3条・第4条 |
| 屋外に設置する給湯器の入れ替え(屋内へ移さない) | 特監法の監督は不要(軽微な工事) | — | 特監法施行規則 第2条第1号 |
| LPガスの硬質管の加工・接続、ガス栓などと硬質管の接続・取り外し、気密試験 | 液化石油ガス設備士 | 国家資格 | 液化石油ガス法 第38条の7、同法施行規則 第108条 |
| 都市ガスで、ガス可とう管・機器接続ガス栓を使って機器をつなぐ | ガス可とう管接続工事監督者、ガス機器設置スペシャリストなど | JIAの講習による資格 | JIA「設置・接続工事に関する資格の範囲」 |
| フレキ管でガス栓を増やす工事など | 簡易内管施工士 | JIAの講習による資格 | JIA「設置・接続工事に関する資格の範囲」 |
| 水道の配管を外してつなぎ直す工事(給水装置工事) | 指定給水装置工事事業者(事業所ごとに給水装置工事主任技術者を置く) | 水道事業者の指定+国家資格 | 水道法 第16条の2・第25条の4 |
| コンセントの新設など電気配線の工事 | 第二種電気工事士(または第一種) | 国家資格 | 電気工事士法 第3条第2項 |
| 東京ガスの温水システム「TES」の熱源機の交換 | 東京ガスが指定するTES工事士 | 東京ガスの資格 | 東京ガス「TES交換の注意点」 |
※ JIAの表で【国家資格】と書かれているのは、ガス消費機器設置工事監督者だけです。簡易内管施工士・ガス可とう管接続工事監督者・ガス機器設置スペシャリストは、JIAが講習を行う資格として同じ表に並んでいます。
業者のホームページに資格名が並んでいても、自宅の工事にどれが関わるかは工事の中身で変わります。次の章から、ガス・水道・電気の順に線引きを見ていきます。
屋外の給湯器なら、ガスの国家資格は要らない?
屋外に設置された給湯器を屋外のまま入れ替える工事は、特監法の「軽微な工事」にあたり、ガス消費機器設置工事監督者の監督は求められていません。特監法施行規則の第2条第1号が「屋外に設置されるものの設置又は変更の工事(屋内に位置を変更するものを除く。)」を軽微な工事としているためです。
特監法が監督を義務づけているのは、施行令が定める「特定ガス消費機器」の工事です。
- ふろがま:ガスバーナー付ふろがまと、ガスバーナーを使える構造のふろがま、その排気筒と排気扇
- ガス湯沸器:暖房兼用のものを含み、ガス瞬間湯沸器はガスの消費量が12キロワットを超えるもの、それ以外は7キロワットを超えるもの、その排気筒と排気扇
つまり、浴室や台所の中に付いているふろがま・給湯器を替える工事が対象で、屋外の壁掛けや据置の給湯器を同じく屋外で替える工事は対象から外れます。屋外にある給湯器を家の中へ移す工事は、軽微な工事から除かれているので監督が必要です。
ただし、ガスの国家資格が要らないことは、誰でも交換してよいという意味ではありません。水道の配管をつなぎ直す工事と、LPガスの配管の作業には、それぞれ別の決まりがあります(次の章)。
屋内の給湯器には、施工した業者のラベルが貼られる
屋内に設置するふろがまや給湯器の工事をした業者は、機器の見やすい場所に、はがれにくい方法で表示を付けることが義務づけられています(特監法第6条)。表示に書く内容は施行規則の第15条で決まっています。
- 工事をした事業者の氏名または名称と、連絡先
- 監督した(または自分で工事をした)ガス消費機器設置工事監督者の氏名と、資格証の番号(液化石油ガス設備士なら免状の番号)
- 施工内容
- 施工年月日
東京ガスも「換気と給排気設備に関するお願い」で、屋内に給湯器・風呂がまなどを設置するときは「工事は国で定められた資格が必要です」とし、施工後に正しく設置されたことを示すラベルが付いているかを確かめるよう呼びかけています(ガス小型湯沸器は除く)。屋内設置の給湯器を替えたら、工事のあとにこのラベルを見れば、監督者の資格証番号まで確かめられます。
LPガス(プロパン)の家では、何が違う?
LPガスの家では、液化石油ガス法により、配管まわりの一部の作業は液化石油ガス設備士でなければ行えません。同法の第38条の7は「液化石油ガス設備士でなければ、液化石油ガス設備工事の作業(…)に従事してはならない」とし、その作業を施行規則の第108条が次のように定めています。
- 硬質管の寸法取り、ねじ切り
- 硬質管どうしの接続、硬質管の取り外し、取り外しのための切断(溶接によるものを除く)
- 気化装置・調整器・ガスメーター・自動ガス遮断器・バルブ・ガス栓と硬質管の接続や取り外し(気化装置からガス遮断器までは、同じ型式への交換を除く)
- 地面の下に埋める硬質管の腐食防止の作業
- 気密試験
屋内に設置する機器の工事では、特監法の監督も同じようにかかります。液化石油ガス設備士は、特監法でもガス消費機器設置工事監督者の資格を持つ人として扱われます(特監法第4条第1項第2号)。
JIAの表では、LPガスでガス機器設置スペシャリストが行える接続は「燃焼器用ホースを用いての接続工事」で、金属フレキシブルホースの接続・取り外しはできないとされています。
水道の工事は、水道局が指定した業者が関わる
水道に直結している給湯器は、水道法の定義に当てはめると給水装置の一部で、取り外しとつなぎ直しは「給水装置工事」の扱いになります。水道法は、配水管から分かれた給水管と、これに直結する給水用具を「給水装置」とし、その設置や変更の工事を給水装置工事としています。
水道事業者(水道局など)は、自分たちか指定給水装置工事事業者が行った工事であることを、給水の条件にできます(水道法第16条の2第2項)。条件を満たさない工事には、給水の申し込みを断ったり、給水を止めたりできるとされています(同条第3項)。
例外になる「軽微な変更」は、水道法施行規則の第13条で、単独水栓の取り替え・補修と、こま・パッキンなど給水用具の部品の取り替え(配管を伴わないもの)だけです。配管を外してつなぎ直す給湯器の交換は、この例外の書き方には当てはまりません。
指定給水装置工事事業者は、事業所ごとに給水装置工事主任技術者(国家資格)を選任することが指定の条件になっています(水道法第25条の3・第25条の4)。指定は水道事業者ごとに行われるので、業者に「どこの水道局の指定を受けているか」を聞くと確かめやすくなります。
電気工事士の資格が要るのはどんなとき?
給湯器の電源の工事で電気工事士の資格が要るのは、コンセントを新しく設けるなど、電気の配線そのものに手を入れるときです(電気工事士法第3条第2項)。東京ガスの案内でも、風呂給湯器などは100Vの電源を使う機器として挙げられています。
一方、電気工事士法施行令の第1条第1号は、差込み接続器(コンセント)などにコードを接続する工事を「軽微な工事」としています。電源プラグを既にあるコンセントに差すだけなら、電気工事士の資格が要る工事にはあたりません。
給湯器を新しい場所に移す、コンセントが無い場所に付ける、といった工事では電気工事が加わります。見積もりのときに、電源の工事が含まれるかを確かめておくと安心です。
給湯器は自分で交換できる?
給湯器を自分で交換するのは、ガスの国家資格が要らない屋外の入れ替えでも、水道やLPガスの決まりがあるため現実的ではありません。理由は次の4つです。
- 水道:水道局が指定業者の工事を給水の条件にしている場合、条件を満たさない工事は給水を止められることがある(水道法第16条の2第3項)
- LPガス:硬質管の作業や気密試験は、液化石油ガス設備士でなければ従事できない(液化石油ガス法第38条の7)
- 屋内設置:東京ガスは、屋内設置の給排気設備に不備があるとCO(一酸化炭素)中毒を起こす恐れがあるとしている
- TES:東京ガスは、TES工事資格を持たない者が交換工事をした場合、TES向けのメンテナンス体制を受けられなくなるとしている
業者の資格はどう確かめる?
業者の資格は、自宅の工事に関わるものだけを、番号や指定先まで聞いて確かめるのが確実です。資格名が多く並んでいるかどうかより、次の4つを見てください。
- 水道の指定:どこの水道局の指定給水装置工事事業者か。指定番号を聞き、水道局の公表している一覧と照らす
- 屋内設置の場合:ガス消費機器設置工事監督者が監督するか。工事のあとは、機器のラベルで監督者の氏名と資格証番号を確かめる
- LPガスの場合:配管の作業や気密試験を、液化石油ガス設備士が行うか
- TESの場合:東京ガスが指定するTES工事士が工事をするか(型番の頭が、ノーリツは「F」、リンナイは「H」で、東京ガスのロゴシールが貼られている給湯器がTES)
東京ガスの機器交換は、工事を「東京ガスが委託する施工パートナー」が担当し、委託にあたっては技術・資格だけでなく、マナーや対応の品質にも基準を設けていると公表しています。業者ごとの工事費・保証の違いは、👉 ガス給湯器交換業者おすすめ3選|料金・口コミで選ぶ失敗しない選び方 で比べています。
よくある質問
Q. 給湯器の交換に必要な資格は何ですか。
工事の中身で変わります。屋内に設置する給湯器やふろがまはガス消費機器設置工事監督者の監督、LPガスの配管の作業は液化石油ガス設備士、水道の配管は指定給水装置工事事業者、コンセントの新設は電気工事士が関わります。屋外の給湯器を屋外で入れ替える工事は、特監法の監督の対象から外れています。
Q. 簡易内管施工士は国家資格ですか。
JIAの「設置・接続工事に関する資格の範囲」で【国家資格】と書かれているのはガス消費機器設置工事監督者だけで、簡易内管施工士には付いていません。JIAの表では、簡易内管施工士の範囲はフレキ管によるガス栓の増設などの工事(16m3/h以下のマイコンメーターの下流側からガス栓までの露出部分)と、ガス可とう管を使った接続工事です。
Q. 屋外の給湯器なら、資格が無くても交換できますか。
ガス消費機器設置工事監督者の監督は求められませんが、水道の配管をつなぎ直す工事は水道局の決まりにかかります。水道局が指定業者の工事を給水の条件にしている場合、条件を満たさない工事には給水を止められることがあります。
Q. 台所の小さな湯沸器も、特監法の対象ですか。
ガス瞬間湯沸器で特監法の対象になるのは、ガスの消費量が12キロワットを超えるものです。東京ガスも、施工後のラベルを確かめる呼びかけから「ガス小型湯沸器」を除いています。
Q. 工事が終わったあと、何を見れば資格を確かめられますか。
屋内に設置する給湯器やふろがまなら、機器に貼られた表示で、工事をした事業者、監督者の氏名と資格証の番号、施工内容、施工年月日を確かめられます。特監法第6条と施行規則第15条で決まっている表示です。
まとめ
- 給湯器の交換の資格は、ガス・水道・電気で別々の法律が決めている
- 屋内に設置する給湯器・ふろがまの工事は、ガス消費機器設置工事監督者の監督が要る。屋外の給湯器を屋外で入れ替える工事は対象外
- LPガスの硬質管の作業と気密試験は、液化石油ガス設備士でなければできない
- 水道の配管のつなぎ直しは給水装置工事で、水道局が指定業者の工事を給水の条件にできる
- コンセントの新設は電気工事士。既にあるコンセントに差すだけなら資格は要らない
- 業者の資格は、水道の指定番号と、屋内設置ならラベルの資格証番号で確かめる
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