住宅ローンの変動金利は、基準金利から引下幅を引いた数字です|大手5行の基準金利と、借入中の金利が2年で0.80ポイント上がった記録
住宅ローンの変動金利は、銀行が決めた基準金利から、契約ごとの引下幅を引いた数字です。広告に出ている年1.025%や年1.20%という数字は引いたあとの結果で、引く前の基準金利は年3.125%から年3.775%まで銀行ごとに違います。
この記事では、大手5行の金利ページを2026年9月21日に読み、基準金利・引下幅・実際に適用される金利の3つを並べました。あわせて、auじぶん銀行が公開している基準金利の改定履歴から、すでに借りている人の金利が2024年4月から2026年4月までに0.80ポイント上がっていることを確かめています。
変動金利は、基準金利から引下幅を引いて決まります
銀行は、変動金利の土台になる金利を公表しています。呼び方は銀行ごとに違い、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は「店頭表示金利」「店頭金利」、auじぶん銀行とドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)は「基準金利」と呼びます。ここから、審査や取引内容に応じた引下幅を差し引いた数字が、実際に払う金利です。
auじぶん銀行は、この関係を1行で説明しています。
借入金利は「金利変更時の基準金利」-「引下幅」となります。引下幅はご契約月などによりお客さまごとに異なりますので、住宅ローンマイページよりご確認ください。
2026年9月時点の5行を並べると、次のようになります。
| 銀行 | 基準金利(店頭表示金利) | 引下幅 | 適用される変動金利 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 年3.375%(毎月型) | 公表なし | 公表なし |
| 三井住友銀行 | 年3.375% | 審査結果等で決定 | 年1.525%~年3.375% |
| みずほ銀行 | 年3.125%(当ブログが逆算) | 年1.65%~年2.10% | 年1.025%~年1.475% |
| auじぶん銀行 | 年3.141% | 年2.007% | 年1.134% |
| ドコモSMTBネット銀行 | 年3.775% | 年2.575%(差から算出) | 年1.20% |
※ 三菱UFJ銀行は2026年9月1日現在、三井住友銀行とみずほ銀行は2026年9月に借り入れる場合、auじぶん銀行は2026年9月21日現在、ドコモSMTBネット銀行は2026年9月に実行する場合の数字です。三井住友銀行は「最後までずーっと引き下げプラン」で、Oliveアカウントの開設と給与振込口座の当行口座指定が前提です。みずほ銀行はローン取扱手数料型。auじぶん銀行は物件価格に対する借入金額の割合が80%以下の場合、ドコモSMTBネット銀行は対面申込コースの通期引下げプランで、環境配慮型住宅の購入または物件価格の80%以下での借り入れの場合です。
みずほ銀行の基準金利は、同行が公表している引下幅と適用金利から逆算しました。引下幅の下限1.65ポイントを適用金利の上限1.475%に足しても、上限2.10ポイントを下限1.025%に足しても、どちらも年3.125%になります。借入時負担ゼロ型の4つの数字からも同じ値が出ます。
基準金利が違うので、引下幅の大きさだけでは比べられません
同じ表の中で、引下幅がもっとも大きいのはドコモSMTBネット銀行の2.575ポイントです。ところが基準金利が年3.775%と5行のなかで最も高いため、引いたあとの年1.20%は、引下幅2.007ポイントのauじぶん銀行(年1.134%)より高くなります。
つまり「金利を年2.5%引き下げます」という表示だけでは、安いかどうかは決まりません。見るべきなのは引いたあとの数字です。
逆に、引下幅を公表していない銀行もあります。三菱UFJ銀行の金利ページに載っているのは店頭表示金利だけで、実際に適用される金利は審査を受けないと分かりません。三井住友銀行も「本金利プラン適用による金利引き下げ幅は、お申込内容や審査結果等によって決定いたします」と書いており、年1.525%から年3.375%までという幅で示しています。
引下幅は契約したときに決まり、完済まで変わりません
ここが、すでに借りている人にとって一番大きい点です。変動金利で多く使われている「全期間引下げ型」のプランでは、引下幅が契約時に決まり、完済まで一定です。三井住友銀行は、プランの名前のとおりに説明しています。
金利の引き下げ幅が、お借り入れから完済までの全期間にわたって一定となります。
一定なのは引下幅であって、金利ではありません。基準金利が上がれば、引いたあとの金利も同じだけ上がります。
一方、当初の一定期間だけ引下幅を大きくするプランもあります。auじぶん銀行の固定金利特約では、当初期間中は年2.115ポイント(固定2年)引き下げますが、特約期間が終わって変動金利に移ると引下幅は年1.735ポイントに縮みます。固定5年以降を選んだ場合は年0.845ポイントです。当初期間が終わった瞬間に、引下幅そのものが小さくなる設計です。
すでに借りている人の金利は、2年で0.80ポイント上がっています
auじぶん銀行は、変動金利の基準金利を改定するたびに履歴を公開しています。2015年12月から2026年4月までの記録です。
| 改定日 | 基準金利 | 前回からの変化 |
|---|---|---|
| 2015年12月1日 | 年2.412% | (記録の起点) |
| 2016年4月1日 | 年2.341% | 0.071ポイント低下 |
| 2024年4月1日 | 年2.341% | 8年間そのまま |
| 2024年10月1日 | 年2.591% | +0.250ポイント |
| 2025年4月1日 | 年2.841% | +0.250ポイント |
| 2025年10月1日 | 年2.841% | 据え置き |
| 2026年4月1日 | 年3.141% | +0.300ポイント |
2016年4月1日から2024年4月1日までの17回の改定は、すべて年2.341%で据え置かれています。動き始めたのは2024年10月1日で、そこから3回で0.80ポイント上がりました。
引下幅が年2.007ポイントで固定されている人の金利に置き換えると、2024年4月時点では年0.334%、2026年4月以降は年1.134%です。借入3,000万円・期間35年・元利均等返済で、その金利が最後まで続く前提で当ブログが試算すると、毎月の返済額は75,695円から86,572円になります(2026年9月21日試算)。差は毎月10,877円、35年分では約456万円です。
ただし、実際の返済額はこの通りには動きません。多くの銀行には5年ルールがあり、金利が上がっても5年間は毎月の返済額が据え置かれます。据え置かれているあいだに増えた利息は残高に回ります。
みずほ銀行は、9月に借りた人の金利が2027年1月に上がると予告しています
金利が上がる前に借りれば逃げ切れる、とは限りません。みずほ銀行は金利一覧のページで、次のように注意書きを出しています。
2026年9月30日までに年1.025%~でお借り入れした場合、2027年1月返済分から年1.275%~が適用されます。
これは2026年8月3日の短期プライムレート改定を反映した結果で、同行は「2026年10月1日までに追加の短期プライムレート改定がある場合は、追加の短期プライムレート改定を反映した後の金利が適用されます」とも書いています。9月に年1.025%で借りた人は、4か月後に年1.275%になることが借入時点で分かっている、ということです。
借入時に表示された金利が、その後どう動くかまで含めて公表している銀行は多くありません。表示金利を比べるときは、それがいつ時点の金利なのかを必ず見てください。
金利を見直す時期は、銀行ごとに違います
変動金利の見直しは、新しく借りる人と、すでに借りている人で時期が分かれます。
新しく借りる人に適用される金利は、毎月見直す銀行が目立ちます。三井住友銀行は「金利は原則毎月見直しを行います。市場金利情勢により、月中で金利を見直す場合があります」、ドコモSMTBネット銀行は「金利は毎月見直しを行い、金利情勢の変動などによっては月中に変更する場合があります」と書いています。どちらも、申込時点ではなく実際に借り入れる日の金利が適用されます。
すでに借りている人の金利は、年2回の基準日で見直す銀行が多くなります。auじぶん銀行は4月1日と10月1日が基準日で、4月1日基準で決まった金利は同年6月の約定返済日の翌日から、10月1日基準で決まった金利は同年12月の約定返済日の翌日から適用されます。みずほ銀行は見直しが4月と10月、適用が7月と1月です。決まってから実際に効き始めるまで、2か月から3か月の間があります。
みずほ銀行は例外も置いています。基準日から次回基準日までに短期プライムレートが0.500%以上乖離した場合は、1か月後の実行分から見直すという定めです。
自分の引下幅を確かめる手順
すでに借りている人が自分の立ち位置を知るには、引下幅の数字が要ります。
- 契約時に受け取った金銭消費貸借契約書を開き、「引下げ幅」「優遇幅」「基準金利から年◯%引下げ」と書かれた行を探す
- 見つからなければ、銀行のインターネットバンキングやローン専用ページで確認する。auじぶん銀行は「住宅ローンマイページよりご確認ください」と案内しています
- 銀行のサイトで現在の基準金利(店頭表示金利)を調べ、そこから引下幅を引く。その数字が、次の見直し後に適用される金利です
- 表示されている適用金利と比べる。新規向けの広告金利より高ければ、それは引下幅の差です
新規向けの金利が自分より低くても、それは基準金利が下がったからではなく、引下幅が広がったからです。借り換えを検討する材料にはなりますが、事務手数料や保証料の組み替えが伴うため、金利差だけでは判断できません。
借入額そのものが重いと感じている場合は、先にこちらを確かめてください。
表示金利のほかに、上乗せされる条件があります
引下幅を確かめても、それだけでは最終的な金利になりません。条件によって上乗せが加わります。
| 銀行 | 上乗せされる条件 | 上乗せ幅 |
|---|---|---|
| auじぶん銀行 | 物件価格の80%超で借りる場合 | 年0.045% |
| auじぶん銀行 | 借入期間35年1か月以上 | 年0.1% |
| ドコモSMTBネット銀行 | 審査結果による | 年0.1%~年0.55% |
| ドコモSMTBネット銀行 | 借入期間による | 年0.15% |
| 三井住友銀行 | 8大疾病保障 | 年0.30% |
| 三井住友銀行 | クロスサポート(連生団信) | 年0.18% |
auじぶん銀行には別途、借入金額の2.20%(税込)の事務手数料がかかります。みずほ銀行のローン取扱手数料型も借入金額の2.2%で、そのかわり借入時負担ゼロ型より引下幅が0.20ポイント大きく設定されています。手数料を前払いするか、金利に乗せるかの違いです。
家計全体から金利を考えるなら
変動金利の数字を追いかけるだけでは、借りたあとの家計は決まりません。基準金利は自分では動かせませんが、借入額と返済期間、繰上返済の計画は自分で決められます。
お金の流れ全体を学び直したい場合は、ファイナンシャルアカデミーの「お金の教養講座」に無料体験セミナーがあります。住宅ローンだけでなく、家計の組み立てや資産運用までを一続きで扱う講座です。
よくある質問
基準金利は日本銀行の政策金利と同じですか
同じではありません。変動金利の基準になっているのは、各行が決める短期プライムレート連動の貸出金利です。政策金利が動いてから短期プライムレートに反映され、そこから各行の基準金利に反映されるまでには時間差があります。みずほ銀行が2026年8月3日の短期プライムレート改定を2027年1月の返済分から反映すると書いているのが、その一例です。
引下幅は交渉で変えられますか
借入後に引下幅だけを変えられると書いている銀行は、今回見た5行にはありませんでした。三井住友銀行は「本金利プラン適用による金利引き下げ幅は、お申込内容や審査結果等によって決定いたします」と書いており、決まるのは申込みの段階です。借り換えは新しい契約になるため、そこで新しい引下幅が設定されます。
基準金利を公表していない銀行はどう比べればよいですか
適用される金利の幅で比べてください。三菱UFJ銀行のように店頭表示金利しか載せていない場合は、審査を受けて提示された金利を、他行の適用金利と並べることになります。仮審査の結果は複数行で取れます。
変動金利が上がったかどうかは、どこを見れば分かりますか
銀行が送ってくる返済予定表です。みずほ銀行は「金利見直し(年2回)後、約定返済日から2、3週間程度を目安に郵送いたします」と案内しています。電子交付を申し込んでいる場合はPDFで届きます。インターネットバンキングの返済予定照会でも確認できます。
まとめ
変動金利は、基準金利から引下幅を引いた数字です。基準金利は2026年9月時点で年3.125%から年3.775%まで銀行ごとに違い、引下幅も契約ごとに違います。広告に出ている金利だけを横に並べても、何が効いてその数字になっているのかは分かりません。
すでに借りている人にとっては、引下幅が固定されている以上、基準金利の動きがそのまま金利の動きになります。auじぶん銀行の履歴では、2024年4月から2026年4月までに0.80ポイント上がりました。まずは自分の引下幅を契約書で確かめ、現在の基準金利から引いてみてください。
出典:三菱UFJ銀行「ローン金利」(2026年9月1日現在)/三井住友銀行「金利-住宅ローン」および「金利の種類・選び方」(2026年9月現在)/みずほ銀行「住宅ローンの金利一覧」(2026年9月1日現在)および「変動金利方式の仕組み」(2026年9月3日現在)/auじぶん銀行「住宅ローン金利」および変動金利の基準金利改定履歴(2026年9月21日現在)/ドコモSMTBネット銀行「住宅ローンTOP」(2026年9月実行分)。いずれも2026年9月21日に確認しました。