住宅ローンの5年ルールと125%ルールは、返済を先送りする仕組みです|大手6行の説明書で確かめた最終返済日の一括請求と、ルールが無い銀行

住宅ローンの5年ルールは、変動金利が上がっても5年間は毎月の返済額を変えない決まりです。125%ルールは、その5年後に返済額を計算し直すとき、増える幅を前回の返済額の1.25倍までに抑える決まりです。どちらも毎月の負担が急に跳ね上がるのを防ぐ仕組みであって、借りている残高や利息そのものを減らす仕組みではありません。
この記事では、大手6行の商品説明書と金利ページを2026年9月21日に読み、2つのルールの有無、金利を見直す時期、最終返済日に何が起きるかを並べました。6行のうち1行は、2つとも「採用していません」と明記しています。

5年ルールと125%ルールは、別々の2つの決まりです

5年ルールは返済額を据え置く決まり、125%ルールは据え置きが終わったあとの増え幅に上限をつける決まりです。順番に働くため混同されやすいのですが、止めている対象が違います。
項目5年ルール125%ルール
何を決めているか返済額を一定に保つ期間据え置きが終わったあとの増え幅の上限
働くタイミング借入後、返済額の見直しが来るまでの約5年間5年ごとの返済額の再計算のとき
金利が上がったときに変わるもの返済額の中の元金と利息の内訳返済額そのもの(前回の1.25倍まで)
残高や利息が減るか減りません減りません
auじぶん銀行の商品詳細説明書(2025年10月1日現在)は、2つを続けて次のように説明しています。
お借入後5回目の10月1日を基準日とする借入金利の見直しを行い、新借入金利が適用されるまで返済額を一定のままとします。この期間中、借入金利に変更があった場合も返済額は一定のまま、「元金」と「利息」の金額の内訳が変更となります。以降5年ごとに返済額の見直しを行います(これを5年ルールといいます)。
借入金利が上昇し、見直後の返済額が増額となった場合でも、それまでの返済額の125%を超えることはありません(これを125%ルールといいます)。
読み落としやすいのは「元金と利息の内訳が変更となります」の一文です。返済額が同じでも、金利が上がれば利息の取り分が増え、元金の減り方が遅くなります。返済額が変わらないことと、借金が同じ速さで減っていることは別です。

大手6行のうち5行が採用し、PayPay銀行は「採用していません」と明記しています

同じ変動金利でも、この2つのルールがある銀行と無い銀行があります。2026年9月21日に各行の説明書とウェブサイトで確かめた結果です。
銀行金利の見直し5年ルール125%ルール
三菱UFJ銀行毎月(毎月1日が基準日)あり(5回目ごとの10月1日が返済額の変更時期)あり(125%)
三井住友銀行半年ごと(4月1日・10月1日)あり(5年ごと)あり(元利均等返済のみ)
みずほ銀行年2回(基準日3月1日・9月1日、適用は4月1日・10月1日)あり(10月1日を5回経過するごと)あり(1.25倍)
イオン銀行年2回(5月1日・11月1日)あり(11月1日を5回経過するごと)あり(1.25倍)
auじぶん銀行年2回(4月1日・10月1日)あり(5回目の10月1日)あり(125%)
PayPay銀行年2回(4月1日・10月1日)なし(採用していないと明記)なし(同)
PayPay銀行の「金利変動リスク等に関する説明書」(2026年8月21日)は、表の形で採用の有無を示したうえでこう書いています。
当社は以下のルールを採用していないため、借入金利が上昇した場合、金利の上昇幅等に応じて毎月返済額が増加します。また、増加幅に上限はありません。
同じ説明書には、金利水準ごとの毎月返済額の例も載っています。借入3,000万円・期間35年・ボーナス返済なし・元利均等返済・変動金利で、その金利が最後まで変わらない前提の計算例です。
金利毎月返済額前の段階との差
年1.0%84,685円(基準)
年1.5%91,855円+7,170円
年2.0%99,378円+7,523円
年2.5%107,248円+7,870円
年3.0%115,455円+8,207円
ルールが無い銀行では、この差がそのまま毎月の返済額に出ます。ルールがある銀行では、同じ差が5年遅れて、しかも1.25倍の範囲でしか出てきません。出てこなかった分が消えたわけではない、というのが次の章です。

ルールが働いた結果、最終返済日には何が起きますか

返済額を抑えているあいだも利息は発生しています。抑えた分は残高として残り、期間の終わりに出てきます。この点について、4行が同じ内容を説明書に書いています。
  • 三菱UFJ銀行(商品説明書・2026年6月17日現在):金利情勢等により、当初の借入期間が満了しても未返済残高が生じる場合があります。この場合、原則として期日に一括返済していただきますが、一括返済が困難な場合には期日までにお申し出ください。
  • みずほ銀行(商品概要説明書・2026年4月1日現在):最終返済元金が多くなる場合も、返済期限の延長は行いませんので、最終返済日にご返済いただきます。
  • イオン銀行(商品概要説明書・2026年6月1日現在):最終返済日に未払利息および元金の一部が残存する場合は、最終返済日に一括してお支払いいただきます。
  • auじぶん銀行(商品詳細説明書・2025年10月1日現在):金利情勢などにより、最終返済期日が到来しても未返済残高が残る可能性があります。この場合、原則として最終返済期日に全額返済をしていただきます。
4行とも「期間を延ばす」とは書いていません。書いてあるのは最終返済日の一括返済です。三菱UFJ銀行だけが、困難な場合は期日までに申し出るよう案内を添えていますが、延長を約束した記述ではありません。
なお、みずほ銀行は上限の向きについても明記しています。
万一、金利が大幅に上昇した場合でも、新しいご返済金額は前回ご返済金額の1.25倍を上限とし、それを超えることはありません。ご返済金額が減少する場合はそのまま減額いたします。
上限がかかるのは増えるときだけで、下がるときは下がった分だけ減額されます。

未払利息より先に効くのは、125%ルールのほうです

この話題では未払利息が強調されがちですが、先に効くのは125%ルールです。上のPayPay銀行と同じ条件(借入3,000万円・35年・元利均等返済・ボーナス返済なし)で、毎月返済額84,685円が据え置かれた場合を当ブログで試算しました(2026年9月21日)。
確かめたこと境目になる金利意味
125%ルールの上限に届く年2.63%5年後の再計算額が105,856円を超え、上限で頭打ちになる
未払利息が生じ始める年3.39%から3.86%据え置き中の利息が毎月返済額を上回る。残高3,000万円のときが年3.39%、5年後の残高およそ2,633万円では年3.86%で、残高が減るほど境目は上がる
当初1.0%から1.63ポイント上がると、125%の上限が働き始めます。一方、据え置き期間中の利息が返済額を追い越すには2.4ポイント以上の上昇が要ります。まず上限で抑えられ、抑えられた分が残高に回り、それが最後に一括で請求される、という順番です。
なお、この試算は金利が一度だけ動く前提を置いた目安です。実際の金利は何度も動き、繰上返済をすれば残高も変わります。
返済額そのものの重さを先に確かめたい方は、次の記事もあわせてどうぞ。

このルールが働かない場面が3つあります

5年ルールと125%ルールは、変動金利で元利均等返済を選んだ人のための決まりです。条件が外れると働きません。三井住友銀行は、適用の有無を表にして公開しています。
金利の種類と返済方法125%ルールの適用
変動金利型・元利均等返済あり
変動金利型・元金均等返済なし
固定金利特約型なし
超長期固定金利型(全期間固定)なし
さらに同行は、表の下に「固定金利特約型から変動金利型への切替時は適用されません」と注記しています。イオン銀行も同じ構造を書いています。
固定金利特約期間終了日の翌日以降は、住宅ローン契約書に基づいたお借入利率となるため、ご返済額も見直しとなります。その際には、前回のご返済額の1.25倍の制限は適用されません。
固定金利を選んでいるあいだは返済額が動かないので安心に見えますが、固定期間が終わって変動に戻る瞬間は、1.25倍の上限が外れた状態で再計算されます。2行が別々に同じ内容を書いているので、自分の銀行の説明書でも探してみてください。
元金均等返済も同じです。auじぶん銀行の説明書は「元金の減少や借入金利の変動に伴い返済額は都度変わります」と書いており、2つのルールは付いていません。

金利の見直しは半年に1回とは限りません

変動金利の見直しは半年に1回と説明されることが多いのですが、6行を並べると一致していませんでした。
三菱UFJ銀行は商品説明書で「当行の『短期プライムレート連動長期貸出金利』を基準に毎月見直しします」と書いており、適用利率の基準日は毎月1日です。返済額の変更時期だけが5回目ごとの10月1日になります。金利は毎月動き、返済額は5年動かない、という組み合わせです。
みずほ銀行は基準日が3月1日と9月1日で、適用は4月1日と10月1日からです。さらに、基準日から次回基準日までに短期プライムレート連動長期貸出金利(期間3年超)が年率0.5%以上乖離した場合は、1ヵ月後の応当日に見直すという例外も置いています。イオン銀行の基準日は5月1日と11月1日で、他行と1か月ずれています。

自分の銀行がどちらなのかを確かめる手順

確かめる場所は決まっています。次の順で探せば、だいたい5分で分かります。
  • 銀行のサイトで「商品概要説明書」または「商品詳細説明書」を開く(住宅ローンのページの下部か、説明書の一覧ページにあります)
  • 「返済方法」または「ご返済額の見直し」の見出しを探し、「5年」「125」「1.25倍」の3語を順に探す。表記は銀行によって125%と1.25倍に分かれます
  • 見つからなければ「金利変動リスク等に関する説明書」を探す。PayPay銀行のように、採用していないことを別の書面に書いている銀行があります
  • あわせて「最終返済日」「未返済残高」の語も見る。ルールがある場合の終わり方が書かれています
すでに借りている方は、契約書と一緒に受け取った書類に同じ記述があります。

日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%程度へ引き上げています

日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促す方針を決定しました(賛成7・反対2)。補完当座預金制度の適用利率は1.25%、基準貸付利率は1.5%です。
ただし、この数字はそのまま住宅ローンの金利ではありません。変動金利の基準になっているのは各行の短期プライムレート連動の貸出金利です。政策金利が0.25ポイント動いたからといって、自分の返済額が同じ幅で動くわけではなく、あいだには銀行ごとの基準日と、5年ルールによる据え置きが挟まります。
借入期間が長いほど、金利が動く回数そのものが増えます。

返済額の決まりを押さえたうえで、家計全体をどう組むか

5年ルールと125%ルールは、返済額の増え方を後ろにずらす仕組みです。ずらしたあいだに繰上返済で元金を減らしておけば、5年後の再計算の土台そのものが小さくなります。逆に、据え置かれている5年を「上がらない期間」と受け取って家計を広げると、再計算のときに上限いっぱいまで動くことになります。
借入額の決め方そのものを見直したい方は、こちらもどうぞ。
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よくある質問

5年ルールがあれば、金利が上がっても5年間は損をしませんか

損の総額は変わりません。返済額が同じでも、金利が上がれば返済額に占める利息が増え、元金の減りが遅くなります。抑えられた分は残高として残り、5年後の再計算か、最終返済日に出てきます。

125%ルールの上限を超えた分は、免除されますか

免除されません。上限がかかるのは返済額の増え幅だけです。イオン銀行の商品概要説明書は「1.25倍を超える分は元金と利息の割合で調整を行います」と書いており、調整された分は残高として残ります。

ルールが無い銀行は避けたほうがよいですか

有利不利は一概に言えません。ルールが無い銀行では金利上昇が毎月の返済額にすぐ反映されるため、家計への影響が早く見えます。一方、ルールがある銀行は5年間の見通しが立てやすい代わりに、後ろでまとめて調整されます。どちらが向くかは、家計の余裕と、繰上返済をする予定があるかで変わります。

固定金利を選んでいれば関係ありませんか

固定金利の期間中は返済額が動かないため、2つのルールは働きません。ただし、固定金利特約が終わって変動に戻るときは、三井住友銀行とイオン銀行がともに1.25倍の制限は適用されないと書いています。

まとめ

5年ルールと125%ルールは、変動金利の返済額が急に上がらないようにする仕組みです。ただし、抑えた分は残高に残り、最終返済日に一括で請求されると4行が説明書に書いています。大手6行のうち5行が採用し、PayPay銀行は採用していないと明記しています。まずは自分の銀行の説明書で「5年」「125」「1.25倍」の3語を探すところから始めてください。
出典:三菱UFJ銀行「住宅ローン 商品説明書」(2026年6月17日現在)/三井住友銀行「金利の種類・選び方」/みずほ銀行「商品概要説明書 みずほ住宅ローン」(2026年4月1日現在)/イオン銀行「イオン銀行住宅ローン商品概要説明書」(2026年6月1日現在)/auじぶん銀行「住宅ローン商品詳細説明書」(2025年10月1日現在)および住宅ローンのページ/PayPay銀行「金利変動リスク等に関する説明書」(2026年8月21日)/日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)。いずれも2026年9月21日に確認しました。