アンペアを上げる工事費は、電力会社には払いません|10から60アンペアなら変更は無料で、お金が出るのは電気工事店が入るときだけです

アンペアを上げたいときに調べると、工事費の金額がいくつも出てきます。そのお金がどこへ行くのかを先に押さえておくと、見積もりを見たときに迷いません。この記事は東京電力エナジーパートナーと東京電力パワーグリッドの公式の記載だけで組み立てています(2026年9月20日取得)。関西・中国・四国・沖縄にはそもそも契約アンペアという考え方がないので、この記事は対象外です。

アンペアを上げるのに工事費はかかりますか

変更前後の契約アンペアがどちらも10アンペアから60アンペアの範囲に収まっていれば、アンペアの変更そのものは無料です。東京電力エナジーパートナーが公式サイトでそう書いています。
変更前後のご契約アンペアが10~60アンペアの範囲の場合、無料でアンペアをご希望の容量に変更します。
ただし、同じページの注記に但し書きが付いています。
お客さまの契約内容および電気設備の状況によっては、電気工事店による工事が必要となる場合があります(この工事の費用はお客さまの負担となります)。
つまり、検索して出てくる「アンペア変更の工事費」は、電力会社に払うお金ではありません。電気工事店に払うお金です。この2つを分けて考えると、見積もりの妥当性を自分で判断できるようになります。
※ 出典:東京電力エナジーパートナー「ご契約アンペアの選び方」(2026年9月20日取得)

無料なのは、その設備が電力会社のものだからです

なぜ無料なのかというと、取り替えるアンペアブレーカーとメーターが電力会社の持ち物だからです。東京電力パワーグリッドはこう説明しています。
メーターやアンペアブレーカー、電気温水器のタイムスイッチなどの装置は東京電力所有のものですが、取り付け場所は、お客さまからご提供していただきます。
同じページに、無料になる範囲も書かれています。取り付けそのものは無料で、改築などお客さま都合で移動する場合は実費がかかることがある、という切り分けです。
では、どこからが自分の設備なのか。境目は電柱から伸びてきた線が家に取り付く点です。
引込線取付点が、お客さまの設備と東京電力の設備の境目(保安責任・財産の分界点)になります。
場所誰の設備かアンペアを上げるときの費用
電柱から引込線取付点まで(引込線)電力会社かかりません
メーター、アンペアブレーカー電力会社取り付けは無料
引込線取付点から先(引込口配線、屋内配線、分電盤)お客さま工事が要るなら自己負担
この表の右端が「自己負担」になっている行に手を入れる必要が出たとき、そのときだけ費用が発生します。
※ 出典:東京電力パワーグリッド「メーターやアンペアブレーカーって誰のもの?」「引込線(保安責任・財産の分界点)」(2026年9月20日取得)

上げると基本料金は月にいくら増えますか

東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、基本料金は契約10アンペアあたり311円75銭です。30アンペアから60アンペアへ上げると、月935円25銭増えます。
契約アンペア基本料金(税込、1契約あたり)
10アンペア311円75銭
15アンペア467円63銭
20アンペア623円50銭
30アンペア935円25銭
40アンペア1,247円00銭
50アンペア1,558円75銭
60アンペア1,870円50銭
10アンペアきざみで311円75銭ずつ、きれいに比例しています。1年で見ると、30アンペアから60アンペアへの変更は11,223円の増加です。工事費が無料でも、ここは毎月効いてきます。
※ 出典:東京電力エナジーパートナー「料金単価表‐電灯(従来からの料金プラン)」従量電灯Bの基本料金(2026年9月20日取得)。年額は月額を12倍したもので、公式が示した数字ではありません。

60アンペアを超えたいときは、契約の種類が変わります

従量電灯Bは10アンペアから60アンペアまでです。それより大きい契約を希望する場合は、従量電灯Cに移ります。
従量電灯Cは6キロボルトアンペア以上が対象で、基本料金は1キロボルトアンペアにつき311円75銭です。東京電力エナジーパートナーは「1kVAは10Aに相当します」と注記しています。
項目従量電灯B従量電灯C
大きさの範囲10アンペアから60アンペア6キロボルトアンペア以上
基本料金の単位1契約あたり1キロボルトアンペアあたり
基本料金の単価10アンペアあたり311円75銭1キロボルトアンペアあたり311円75銭
単価が同じなので、60アンペアの1,870円50銭と、6キロボルトアンペアの1,870円50銭は一致します。契約を切り替えたところで基本料金に段差はできません。上がるのは、そこからさらに大きくしたときです。
※ 出典:東京電力エナジーパートナー「従量電灯B・C」および「料金単価表‐電灯(従来からの料金プラン)」(2026年9月20日取得)。60アンペアと6キロボルトアンペアが同額になることは、公表されている単価を掛けたもので、公式がそう書いているわけではありません。

単相2線式のままだと、上げても200ボルトは使えません

アンペアを上げたい理由がIHクッキングヒーターや200ボルトのエアコンなら、見るところがもう1つあります。家に入ってきている線の方式です。
「単相3線式」は、3本の電線のうち真ん中の中性線と上または下の電圧線を利用すれば100ボルト、中性線以外の上と下の電圧線を利用すれば200ボルトが利用できます。「単相2線式」は、電圧線と中性線の2本の線を利用するので、100ボルトしか使用することができません。
単相2線式の家は、契約アンペアをいくつに上げても200ボルトの機器を使えません。必要なのはアンペアの変更ではなく、線の方式そのものを替える工事です。ここは前の章の表でいう「お客さまの設備」の側なので、費用は自己負担になります。
※ 出典:東京電力パワーグリッド「単相3線式と単相2線式の違いって?」(2026年9月20日取得)

契約を上げても、ブレーカーが落ち続けることがあります

ブレーカーが落ちるからアンペアを上げる、という順番で考えている場合は、落ちているのがどのブレーカーかを先に確かめてください。
東京電力パワーグリッドは、分電盤から各部屋へ分かれた回路ごとに配線用遮断器が付いていると説明したうえで、こう書いています。
1つの回路に流すことのできる電気の量は20アンペアが目安です。
落ちているのが個別の回路の配線用遮断器なら、契約アンペアを上げても直りません。同じ回路に集まっている機器を分ける工事か、回路そのものを増やす工事が要ります。逆に、家全体で使った量が契約を超えて落ちているのなら、アンペアの変更が効きます。
※ 出典:東京電力パワーグリッド「分電盤ってどんな仕事をしてる?」(2026年9月20日取得)

基本料金が契約アンペアで決まらないプランもあります

ここまでの話は、基本料金が契約アンペアに比例するプランが前提です。基本料金という項目そのものが無いプランなら、アンペアを上げても月々の固定費は増えません。
市場連動型で基本料金が0円のプランには、リミックスでんきの「Styleプラス」があります。ただし、この型は30分ごとに単価が動きます。基本料金が消える代わりに電力量料金の振れを引き受ける形なので、安くなる月もあれば、そうでない月もあります。沖縄と島しょ部は対象外です。アンペアを上げる話とプランを替える話は別なので、順番に検討してください。

この記事で確認できなかったこと

  • 単相2線式から単相3線式へ替える工事の費用は、料金表を公開している事業者を見つけられませんでした。金額は書きません
  • 電気工事店による工事が必要になる具体的な条件を、東京電力エナジーパートナーは「お客さまの契約内容および電気設備の状況によっては」としか書いていません。事前に判定する方法は公開されていません
  • 集合住宅で、建物全体の受電容量が理由で上げられないかどうかを住人が自分で確かめる手順も、公式には見つかりませんでした

よくある質問

アンペアを上げる工事で停電しますか。

アンペアブレーカーの取り外し工事があるときは、10分から15分程度停電すると東京電力エナジーパートナーが案内しています。すでにスマートメーターで契約アンペアを設定している場合はアンペアブレーカーの取り付けを行わないため、この工事自体がありません。

一度上げたあと、夏が終わったら下げてもよいですか。

東京電力エナジーパートナーは「アンペアの大きさは1年間で最もたくさん電気をお使いになるときにあわせてご契約させていただいております」としています。季節ごとに上げ下げする使い方は想定されていません。1年で最も電気を使う時期に合わせて決めてください。

工事費を請求されました。これは誰への支払いですか。

電気工事店への支払いです。アンペアの変更そのものは10アンペアから60アンペアの範囲なら無料なので、請求されているのは屋内配線や分電盤など、自分の設備に手を入れた分だと考えてください。内訳を確認してください。

アンペアを下げれば電気代は必ず下がりますか。

下がるのは基本料金だけです。東京電力エナジーパートナーも、電力量料金は使用状況によっては変わらない場合や増える場合もあるため、合計額が必ずしも下がるとは限らないと注意しています。

まとめ

  • 10アンペアから60アンペアの範囲なら、アンペアの変更そのものは無料です
  • 費用が出るのは、引込線取付点より内側、つまり自分の設備に手を入れるときだけです
  • 基本料金は10アンペアあたり311円75銭で、30アンペアから60アンペアへ上げると月935円25銭増えます
  • 200ボルトの機器が目的なら、見るのはアンペアではなく単相2線式か単相3線式かです
  • 落ちているのが個別回路の配線用遮断器なら、契約を上げても直りません