ヤスデとムカデは足の数で見分けます|ヤスデに熱湯をかけるとシアン化合物のガスが出ます

この記事を読むと分かること
  • 節から出ている足が1対ならムカデ、2対ならヤスデ。これで確実に分かること
  • ★ヤスデに熱湯をかけてはいけないこと。シアン化合物を含むガスが出ます
  • ヤスデは咬みません。だから、そもそも急いで駆除する必要がないこと
  • ゲジ(ゲジゲジ)もムカデと同じで足は1節1対見分けるのは足の数ではなく脚の長さだということ
細長くて足がたくさんある虫が出た。まずどちらなのかを確かめてください。ムカデとヤスデでは、やることが正反対です。
片方は咬みます。もう片方は咬みません。そしてヤスデには、絶対にやってはいけない駆除方法があります。
見分けのポイントは、体の色や大きさではなく足の数です。これなら近づかなくても判断できます。
ただし、足の数で分けられるのはヤスデかどうかまでです。3種類目のゲジ(ゲジゲジ)はムカデと同じ足の付き方をしているので、数えても区別できません。この記事では、自治体と衛生研究所の公表内容をもとに、ムカデ・ゲジ・ヤスデの確実な見分け方、噛まれたときの対処、そしてヤスデにやってはいけない駆除方法を整理します。

★見分けは「足の数」です

見た目は似ていますが、1つの節から出ている足の数で確実に分かります。
ムカデヤスデ
節から出る足1対(2本)2対(4本)
動き速い遅い
食べるもの肉食。昆虫を捕まえる落ち葉などを食べる
触ると逃げる・咬む体を丸める
人を咬むか咬む咬まない
近づいて足を数えなくて構いません。動きが速くて逃げるならムカデ、のろのろしていて、つついたら丸まるならヤスデです。これでほぼ判別できます。
神奈川県葉山町は、ヤスデについてこう書いています。
「有機物が多い湿った場所に生息する土壌動物で、落ち葉などの分解に大きな役割を果たしています」「農作物に被害を与えたり、咬む刺すなどして人体に影響を与える虫ではありません」— 葉山町の公表内容より
※ 葉山町の公表内容に基づく(2026年8月31日時点で確認)。
ヤスデは害虫というより、落ち葉を分解する土の生き物です。問題になるのは、大量に出て見た目が不快なこと臭いことです。自治体は「不快害虫」と分類しています。

ゲジ(ゲジゲジ)は、足の数ではムカデと区別できません

ゲジはムカデ綱(唇脚綱)のゲジ目に分類される虫で、ムカデと同じく1つの胴節から出る足は1対です。名古屋市衛生研究所は、ムカデ綱について「各胴節には1対の脚(歩肢)がある」と説明し、そこに含まれるものとしてゲジ目・イシムカデ目・オオムカデ目・ジムカデ目を挙げています。
つまり、上の表の「1対ならムカデ」は、正確には「1対ならムカデの仲間で、そこにはゲジも入る」という意味です。足を数えて分かるのは、ヤスデかどうかまでです。
※ 名古屋市衛生研究所「ムカデ・ゲジ」の公表内容に基づく(2026年9月13日時点で確認。同ページの更新日は2025年10月17日)。

ムカデ・ゲジ・ヤスデを並べると、こうなります

ムカデゲジ(ゲジゲジ)ヤスデ
節から出る足1対(2本)1対(2本)2対(4本)
体つき扁平(平たい)棒状。扁平ではない
脚の長さ長い脚が特徴
成体の体長トビズムカデは15cmに達する/アオズムカデは10cm前後約3cm
人を咬むか咬む咬まない咬まない
食べるもの昆虫などの小動物(肉食)小さな昆虫やクモ類。カやゴキブリも腐った植物の葉
※ ムカデとゲジの欄は名古屋市衛生研究所「ムカデ・ゲジ」、ゲジとヤスデの食べるものの欄は札幌市保健所「ゲジ類・ヤスデ類」の公表内容に基づく(いずれも2026年9月13日時点で確認)。「—」は、この記事で確認した公的機関の資料に記載が無いことを示します。
近づかずに見分けるなら、脚の長さを見てください。ゲジは成体でも体長が約3cmしかないのに、脚が体に対して長く、体はムカデのように平たくありません。平たい体が10cmも15cmもあれば、それはムカデです。
ゲジの脚は、最初から15対あるわけではありません。名古屋市衛生研究所は「1齢幼体は4対の歩肢があるが、増節変態をするので、脱皮ごとに体節が増え、成体で15対の歩肢を備える」としています。成体になるまで約2年、その後5〜6年生きます。

ゲジは咬みません。カやゴキブリを食べます

ゲジは人を咬みません。名古屋市衛生研究所は、ゲジについて「ムカデのように咬むこともない」と書いています。札幌市保健所も、ゲジ類とヤスデ類をまとめて「多くの脚を持つグロテスクな虫で、しばしば室内に侵入して人を驚かせますが、咬んだり刺したりすることはありません」としています。別々の公的機関が、同じことを書いています。
それどころか、ゲジはカやゴキブリを捕食します。名古屋市衛生研究所は「カ、ゴキブリなどを捕食するので益虫でもあるが、室内に侵入したりするので嫌われる」としています。
「ゲジが頭を這うと禿げる」は俗説です
名古屋市衛生研究所は、この言い伝えについて「まったくのぬれぎぬである」とはっきり否定しています。
この記事で確認した公的機関2つのどちらにも、ゲジが人に害を与えるという記述はありません。見た目がいちばん不気味な虫かもしれませんが、扱いはムカデとは正反対です。

ゲジが室内に入ってくるのは、春から秋です

札幌市保健所は、ゲジ類について「石や落ち葉の下、コンクリートの裂け目などに生息します」「小さな昆虫やクモ類をエサにしています」「春から秋にかけて、エサを求めて室内に侵入してくることがあります」と説明しています。
ヤスデとは、入ってくる理由が違います。同じページで、ヤスデ類は「雨の日の前後に、壁や塀に集団で這い上がり、室内に侵入することがあります」とされています。ヤスデは天気で集団で上がってきますが、ゲジは餌を追って入ってきます。
だから、ゲジを室内で見るということは、ムカデのときと同じで餌になる小さい虫が家の中にいるということです。ゲジだけ外に出しても、餌が残っていればまた入ってきます。
札幌市保健所が挙げている対策は2つです。
  • 家屋周囲の石や落ち葉などを片づけ、生息しやすい場所を作らないようにする
  • 室内への侵入を防ぐため、建物の周囲や土台の腰回りに、帯状に殺虫剤を散布する
そして、室内で見つけたときの答えははっきり書かれています。「衛生的な害はないので、捕まえて外に出しましょう」(札幌市保健所)。
※ 札幌市保健所「ゲジ類・ヤスデ類」の公表内容に基づく(2026年9月13日時点で確認。同ページの更新日は2022年12月26日)。

★★ヤスデに熱湯をかけてはいけません

ここがこの記事でいちばん大事なところです。
大量に出たとき、熱湯が手っ取り早いと思う人は多い。葉山町が開いた「ヤスデの生態と対策の勉強会」でも、まさにその質問が出ています。
Q:焼いたり、熱湯をかけて処理することを避けるようにと注意喚起しているが、大量のヤスデを一気に処理するには熱湯がとても便利である。実際に具体的な弊害はあるのか。
回答はこうです。
「ヤスデは熱湯をかけると、シアン化合物を含むガスを発生させるガスを大量に吸うと頭痛や吐き気、下痢といった健康被害がでるためあまり推奨はできない」— 葉山町「ヤスデの生態と対策の勉強会」質疑応答より
※ 葉山町が公開している勉強会の質疑応答資料に基づく(2026年8月31日時点で確認)。
焼くのも同じです
葉山町は本体のページでも「刺激を与えると、シアン化合物を含む臭気を発することがあります。焼いたり、熱湯をかけて駆除することは避けましょう」と書いています。
あの独特の臭いは、ただ臭いだけではありません。狭い場所で大量に処理すると、自分が具合を悪くします。
掃いて集める、掃除機で吸う、ヤスデ用の薬剤を使う。熱湯と火だけは避けてください。

ムカデに咬まれたときは、冷やしません

ムカデは咬みます。応急手当は、虫刺されの常識とは逆です。
京都産業大学の保健管理センターは、こう案内しています。
「できるだけ早く傷口を絞りながら、お湯(43℃ほど)で15〜30分洗い流す」「市販の外用薬を塗布する」— 京都産業大学 保健管理センターの公表内容より
※ 京都産業大学 保健管理センターの公表内容に基づく(2026年8月31日時点で確認)。
冷やすのではなく、温かい湯で流します。同じページで、ハチの場合は「患部を冷やし」と書かれており、ムカデとハチで手当てが違うことが分かります。
次の症状が出たら救急車です
気分不良、蕁麻疹、腹痛、呼吸困難といった症状が出たら、それはアナフィラキシーの可能性があります。刺された場所以外に症状が出ているかどうかが目安です。
※ 京都産業大学 保健管理センターがハチについて示している目安ですが、症状の見方は共通です。
迷ったら119番。手当てを自分で完結させようとしないでください。

ムカデが家に入ってくる理由

京都産業大学は、ムカデについてこう書いています。
梅雨時の湿気の多い時期に活動をはじめ、雑草や木、石や落ち葉の下から建物内へ侵入します
そして、こうも書かれています。
脱いだ靴の中にムカデが潜んでいることもあります
入ってくる場所対策
玄関・勝手口の隙間ドア下の隙間を塞ぐ。靴は履く前に確認する
エアコンのドレンホース先端に防虫キャップをつける。数百円で買えます
排水口・通気口目の細かいネットや網をかぶせる
床下の通気口網の破れを確認する
家の周りの落ち葉・石・植木鉢片づける。そこが発生源になります
ムカデが家の中にいるということは、餌になる虫も家にいるということです。ムカデは肉食で、ゴキブリやクモを食べます。ムカデだけ追い出しても、餌がある限り戻ります。
エアコンのドレンホースは盲点です
室外機から出ている、水を排出する細いホースです。先端が地面に接していると、そこから虫が上ってきます。
防虫キャップは数百円で、工具も要りません。ムカデ・ゴキブリ・小さいクモに共通して効きます。
すでに室内で見かけているなら、まずここを見てください。

ヤスデが大量に出るとき

葉山町の勉強会には、大量発生についても具体的な回答があります。
  • 1匹あたり200個ほどの卵を産む
  • 成虫を駆除しても、周辺に卵塊がいくつかあるとまた大量発生する
  • だから落ち葉などを綺麗にしていく環境整備と併せて駆除するのが効果的
  • 卵は落ち葉が堆積している所の、腐葉土と落ち葉の間にある。地中深くではない
  • 雨が降った翌日に多く見られるのは、土壌の水分が増えて出てくる/湿気で動きやすくなるためと考えられる
※ 葉山町「ヤスデの生態と対策の勉強会」質疑応答に基づく(2026年8月31日時点で確認)。
薬剤だけでは追いつきません。発生源になっている落ち葉や堆積物を取り除くほうが効きます。
なお、集団発生しているヤスデが台湾原産の外来種「ヤンバルトサカヤスデ」であることがあります。1983年に沖縄県で初めて確認され、八丈島、徳島、埼玉、神奈川、高知でも局所的に確認されています。葉山町は「一度定着すると繁殖力の強さから根絶することは困難」としています。
壁を登ってくる理由は、まだ分かっていません
勉強会で「家の壁を登ってくるのは暖かい場所を探してくるからなのか」と質問が出ましたが、回答は「現時点で理由は分かっておらず、壁を登りやすい習性を持っているとしか言えない」でした。
分かっていないことは、分かっていません。「〇〇だから登ってくる」と説明する情報を見たら、根拠を確かめてください。

業者に頼むかどうかの目安

状況判断
ヤスデが数匹急ぎません。咬みません。掃いて外に出す
ヤスデが毎日大量に出る発生源(落ち葉・堆積物)の除去が先。それでも続くなら相談
ムカデを室内で何度も見る侵入経路と餌(他の虫)の両方がある。相談する価値があります
ゲジ(ゲジゲジ)を見かけた駆除は要りません。咬みません。捕まえて外に出す(札幌市保健所)
咬まれた手当てが先。症状が全身に出たら119番
ヤスデを慌てて駆除する必要はありません。咬まないので、まず落ち着いて構いません。

相談先

害虫駆除110番は、上場企業シェアリングテクノロジー株式会社(証券コード3989)が運営する紹介サービスです。公式サイトにムカデ駆除・ヤスデ駆除のサービスがあり、日本全国・24時間365日受付とされています。
現地で無料の見積もりを作成し、作業日が確定するまではいつでもキャンセルできるとされています。ただし公式サイトには、対応エリア・加盟店・現場状況によっては、事前に確認したうえで調査・見積りに費用がかかる場合があるとも書かれています。「必ず無料」ではありません。保証は加盟店によるものです。
※ 対応範囲・受付時間・見積もりの条件は害虫駆除110番の公式サイトの公表内容に基づきます(2026年8月31日時点・編集部調べ)。
賃貸なら、管理会社に連絡してから決めてください。建物の隙間や共用部が原因のことがあります。

よくある質問

ゲジゲジは駆除したほうがいいですか。
急いで駆除する必要はありません。札幌市保健所は、室内で見つけたときの対処として「衛生的な害はないので、捕まえて外に出しましょう」としています。ゲジは人を咬まず、カやゴキブリを捕食します(名古屋市衛生研究所)。ただし何匹も続けて見るなら、餌になる小さい虫が家の中にいます。そちらを減らすのが先です。
ゲジとムカデを、近づかずに見分けられますか。
脚の長さと体つきで分かります。ゲジは成体でも体長約3cmで、体は棒状、脚が長いのが特徴です(名古屋市衛生研究所)。平たい体が10cm以上あればムカデです。足の数はどちらも1つの節から1対なので、数えても区別できません。
ゲジにも熱湯をかけてはいけませんか。
ゲジが熱湯でシアン化合物を含むガスを出すという記述は、この記事で確認した資料にはありませんでした。ヤスデについての注意喚起であり、ゲジに当てはめられるかは確認できていません。いずれにせよ、札幌市保健所はゲジについて「捕まえて外に出しましょう」としており、熱湯を使う理由がありません。
ゲジが出る家は、ムカデも出ますか。
出やすい条件は重なっています。札幌市保健所はゲジ類の生息場所を「石や落ち葉の下、コンクリートの裂け目」とし、京都産業大学はムカデについて「雑草や木、石や落ち葉の下から建物内へ侵入します」としています。家の周りの落ち葉と石を片づける対策は、両方に効きます。
業者に頼むとき、ゲジも対応してもらえますか。
害虫駆除110番の公式サイトが挙げている対応害虫は、ゴキブリ・シロアリ・ハチ・クロアリ・ノミ/ダニ・トコジラミ・ムカデ・ヤスデと「その他」で、ゲジの名前は挙がっていません(2026年9月5日時点・編集部調べ)。「その他」に含まれるかどうかは、申し込む前に問い合わせて確認してください。

まとめ

  • ★節から出る足が1対ならムカデ、2対ならヤスデ
  • 見分けがつかなければ動きで判断。速いのがムカデ、のろのろして丸まるのがヤスデ
  • ヤスデは咬みません。落ち葉を分解する土壌動物で、自治体の分類は「不快害虫」
  • ★★ヤスデに熱湯をかけない。シアン化合物を含むガスが出る
  • ガスを大量に吸うと頭痛・吐き気・下痢(葉山町の勉強会)。焼くのも同じ
  • ムカデに咬まれたら冷やさない。43℃ほどのお湯で15〜30分、絞りながら洗い流す(京都産業大学)
  • 気分不良・蕁麻疹・腹痛・呼吸困難が出たら119番
  • ムカデは梅雨時に活動を始め、雑草・木・石・落ち葉の下から侵入する
  • 脱いだ靴の中に潜んでいることがある
  • エアコンのドレンホースは盲点。防虫キャップは数百円
  • ムカデがいる=餌になる虫がいる。ムカデだけ追い出しても戻る
  • ヤスデは1匹200個ほど産卵。薬剤より落ち葉の除去が効く
  • 壁を登る理由は、まだ分かっていない(勉強会の回答)
  • ゲジ(ゲジゲジ)はムカデ綱の仲間。足は1節1対なので、足の数ではムカデと区別できない
  • ゲジの見分けは脚の長さ。成体でも体長約3cmで、体は平たくない(名古屋市衛生研究所)
  • ゲジは咬まない。カやゴキブリを食べる益虫。札幌市保健所は「捕まえて外に出しましょう」
  • 「ゲジが頭を這うと禿げる」は俗説。名古屋市衛生研究所が「まったくのぬれぎぬ」と否定している

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風呂場で細長い虫を見たなら、ゲジのほかにシミや排水口の幼虫も候補になります。そちらは羽と脚で見分けます。
※ 本記事のヤスデに関する記述は葉山町の公表内容および同町が公開する「ヤスデの生態と対策の勉強会」質疑応答、ムカデの応急手当・侵入経路に関する記述は京都産業大学 保健管理センターの公表内容に基づきます(いずれも2026年8月31日時点で確認)。ゲジに関する記述、およびムカデ綱の分類・体長・食性に関する記述は、名古屋市衛生研究所「ムカデ・ゲジ」と札幌市保健所「ゲジ類・ヤスデ類」の公表内容に基づきます(いずれも2026年9月13日時点で確認)。応急手当は一般的な案内であり、症状や状況によって適切な対応は異なります。判断に迷う場合や症状が強い場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。侵入経路の対策は一般的に知られている内容をまとめたものです。