エコキュートは断水しても生活用水を取り出せます|ただし先に止水栓を閉めないと、タンクに泥が入ります
断水のときに、エコキュートの貯湯タンクから水を取り出す方法を、メーカー5社の公式(2026年9月22日取得)だけでまとめました。最初にやることは取水ではなく、給水配管専用止水栓を閉めることです。この記事を読むと、断水した直後の3手順/非常用取水栓の開け方と世代差/タンク容量ぶんは取り出せない理由/停電のときとは条件が違うこと/復旧したあとの手当てが分かります。
断水が起きたとき、「うちはエコキュートだからタンクに水がある」と考える方は多いと思います。それ自体は間違っていません。ただ、何もせずに放っておくと、そのタンクの水まで濁ります。三菱電機は断水時のガイドで「泥や砂利等の汚れがタンク内に入り、故障につながる恐れがあります」と書いています。
この記事は、いま設置されているエコキュートの使い方をまとめたものです。手順の細部は機種と製造年で変わるので、実際に操作するときは貯湯ユニット前面の注意ラベルと取扱説明書を必ず確かめてください。
断水したら、まず給水配管専用止水栓を閉めてください
断水したときにエコキュートで最初にやることは、取水ではなく貯湯ユニットの給水配管専用止水栓を閉めることです。三菱電機とコロナの2社が、公式で同じことを案内しています(2026年9月22日取得)。
三菱電機の「断水時サポートガイド」は、次の3手順を挙げています。
- タンク下部の取水窓を開ける(取水窓がない場合は、ねじを外して脚部カバーを取り外す)
- 給水配管専用止水栓を閉める
- 蛇口のレバーを水側にして、蛇口を閉める
同じガイドは、その理由を「給水配管専用止水栓を閉めることで、泥や砂利がタンクに入ることを防ぎ、タンク内にきれいな水が確保されます」と説明しています。閉めるのは取水を始めるためではなく、タンクの中の水をきれいなまま残すためです。
コロナも「予期せずに断水した場合は、速やかに給水専用止水栓を閉じてください。閉じることにより、断水復帰直後の汚れの(貯湯タンク内)流入を防ぎます」と書いています。
濁った水が入ると、飲用どころか生活用水としても使いにくくなります。三菱電機は、そのまま使い続けた場合について「貯湯ユニットの給水ストレーナ部が目詰まりし出湯量が減ります」とも書いており、影響は断水が終わったあとにも残ります。
蛇口からは出ません。タンク下部の非常用取水栓から取り出します
断水中は、シャワーや蛇口からお湯は出ません。これは5社とも一致しています。取り出し口は貯湯ユニット下部の非常用取水栓です。
三菱電機が示している22年度モデル以降の手順は、5段階です。
- 電源レバーを下げて「切」にする
- 脚部カバーの取水窓を開ける
- 給水配管専用止水栓を閉じる
- 逃し弁操作窓を開け、逃し弁のレバーを手前に起こす
- 非常用取水栓(白色)を開く(2回転〜2回転半で全開。W306D-2は1回転〜1回転半で全開)
4の「逃し弁のレバーを手前に起こす」を飛ばさないでください。タンクは密閉されているので、上から空気が入る経路をつくらないと、下の栓を開けても水は思うように出ません。取水が終わったら非常用取水栓を閉じ、2で開けた取水窓も閉めます。
パナソニックの案内はもう少し短く、「本体の電源<漏電しゃ断機>を『切』にしてから、タンク下部の『非常用取水栓』から取り出してください」「下部の非常用取水栓にホースをつなげば、タンク内の湯水が使えます」となっています。電源を切ってから作業する点は、両社で共通です。
そして、手順は世代で分かれます。三菱電機は非常用取水栓からの取り出し方法を「現行モデル」と「2021年以前のモデル」に分けて案内しており、PDFのガイドには「20年度モデル以前の機種は取水時に脚部カバーの取り外しが必要です」と書かれています。薄型タイプでは、同梱の非常用取水ホースを取り付けてから栓を開きます。
逃し弁については、ふだん正常に動いているときも排水があります。故障と見分ける話は別の記事にまとめました。
取り出せるのはタンク容量ぶんではありませんし、飲用もできません
370Lや460Lという数字は、取り出せる水の量ではありません。パナソニックは公式でこう書いています。
非常用取水栓からのみではすべてのお湯(水)を取水することはできず、タンク容量よりも実際に取り出せる量は少なくなります。
タンクの構造上、取水栓より下に残る水は出てきません。「460Lあるから460L使える」と見積もると足りなくなります。
飲用についても、各社が制限を書いています。
| メーカー | 飲用についての記載(2026年9月22日取得) |
|---|---|
| パナソニック | 飲用はおさけください |
| ダイキン | 飲用は避けてください |
| コロナ | ただし、飲用は避けてください |
| 三菱電機 | 飲用水としては使用できません。やむを得ず飲用する際は必ず一度沸騰させてください |
三菱電機だけが、やむを得ない場合の条件(沸騰させること)まで書いています。日立の停電時・断水時の案内には、飲用の可否についての記載が見当たりませんでした。
やけどにも注意が要ります。パナソニックは「非常用取水栓を使用する際、熱湯・水になる場合がある」、コロナは「高温湯になっている可能性がありますので、やけどにご注意ください」としています。
タンクの容量そのものの選び方は、こちらにまとめています。
「エコキュートなら必ず取り出せる」わけではありません
ここが、いちばん誤解されている点だと思います。全機種に非常用の取出口があるとは限りません。日立は、次のように書いています。
弊社、電気給湯機には、非常用水の取出口がついている機種があります。
「ついています」ではなく「ついている機種があります」です。しかも日立は断水時について「断水している場合は、全ての水、お湯が使用になれません。タンク専用止水栓を閉じてください」とだけ書いており、他社のように取水を勧めてはいません。
| メーカー | 断水したときの案内(2026年9月22日取得) |
|---|---|
| パナソニック | 非常用取水栓は標準装備。タンク内の湯水を生活用水として使える |
| 三菱電機 | 非常用取水栓から取り出す。手順は世代別に用意されている |
| ダイキン | タンク内の水を生活用水として使える |
| コロナ | 蛇口からは使えないが、非常用取水栓から取り出せる |
| 日立 | 全ての水・お湯が使えない。タンク専用止水栓を閉じる。非常用水の取出口は「ついている機種がある」 |
5社のうち日立だけが、取出口の有無を機種によるとしています。
自分の機種に取出口があるかどうかは、取扱説明書か貯湯ユニット前面の注意ラベルで確かめるしかありません。断水してから探すのでは間に合わないので、いま確かめておく話です。
停電と断水は別で、お湯が止まる条件は社ごとに違います
「停電でもお湯が使える」という説明はよく見かけます。間違いではないのですが、例外の位置が社ごとにまったく違います。断水の話と混ぜて覚えると外します。
| メーカー | 停電中に蛇口からお湯が出なくなる条件(2026年9月22日取得) |
|---|---|
| パナソニック | 集合住宅等でポンプ給水をしている場合(「断水と同じ状態です」と明記) |
| 日立 | 同社が「水道直圧給湯」として挙げる7つの型式シリーズは、水は出るがお湯は使えない |
| ダイキン | 給湯後1時間以内に停電したとき/最後の給湯から停電までに沸き上げ運転をしたとき/給水圧力条件を満たさない場合 |
| コロナ | 2008年発売以前の機種は、停電中に水が出るため給湯できない |
| 三菱電機 | 公式が挙げる対象タイプ以外は「原則、蛇口からお湯はご使用になれません。(ただし、水は出ます。)」 |
日立が水道直圧給湯として挙げているのは BHP-FSV / BHP-FS に続いて末尾がDのもの / BHP-FV / BHP-FD / BHP-FW / BHP-FX / BHP-FC に続いて末尾がHDのもの、の7つです。日立の原文は伏せ字にアスタリスクを使っており、そこには英数字が入ります。
つまり停電と断水が同時に起きたら、どの社でも蛇口は当てになりません。ダイキンは「停電により水道からの給水が停止している場合はシャワーやじゃ口は使用せず、非常用水取出しを行いご使用ください」とはっきり書いています。
備えの側も、各社が案内しています。三菱電機は「断水時などの生活用水確保のために、浴槽に水をためておく方法があります」、パナソニックとダイキンは気象警報に連動して自動で沸き上げる機能を挙げています(いずれも対応機種のみ)。
停電と関係なくお湯が出ないときの切り分けは、こちらにまとめています。
断水が復旧したら、透明になるまで水を出してから止水栓を開けます
復旧したあとにも手順があります。ここも三菱電機とコロナで一致しています。
- 屋外の蛇口(なければ屋内の洗面や台所の蛇口)から、水が透明になるまで出す
- 汚れがなくなったことを確認してから、給水配管専用止水栓を開く
- 取扱説明書の「使いはじめ」の手順に従って、使用を再開する
三菱電機は「きれいになるまで水を出すことでタンク内に汚れた水が入ることを防ぎます」、コロナは「水の汚れがなくならないうちに開くと、にごった水が貯湯ユニット内のストレーナを目詰まりさせ、お湯の出が悪くなったり、にごる原因になります」と説明しています。
パナソニックは停電から復帰したときについて「貯湯ユニット前面の『注意ラベル』と『取扱説明書』に従って、満水にしてからご使用ください」としています。空のタンクのまま使い始めない、という点は共通です。
なお追いだきは、三菱電機によれば停電中はできず、断水中も「浴槽の残り湯の状況にもよりますが、追いだきが出来ないこともあります。一度お試しいただきエラーが出るようであればおやめください」とされています。
タンクから取り出した水の使いみちとして最初に挙がるのはトイレです。流し方には水量の目安があります。
よくある質問
非常用取水栓から出た水は、そのまま飲めますか
飲めません。パナソニック・ダイキン・コロナは「飲用は避けてください」と書いています。三菱電機は「飲用水としては使用できません」としたうえで、やむを得ず飲む場合には必ず一度沸騰させるよう求めています(2026年9月22日取得)。
断水したら、すぐに取水を始めたほうがいいですか
先に給水配管専用止水栓を閉めてください。三菱電機は、閉めないと泥や砂利がタンクに入ると書いています。水は栓を閉めたあとでも取り出せますが、濁ってからでは戻せません。
460Lのタンクなら、460L使えますか
使えません。パナソニックは「非常用取水栓からのみではすべてのお湯(水)を取水することはできず、タンク容量よりも実際に取り出せる量は少なくなります」と明記しています。取水栓の位置より下に残る水は出てきません。
うちの機種に非常用取水栓があるか分かりません
貯湯ユニット前面の注意ラベルと、取扱説明書で確かめてください。日立は「非常用水の取出口がついている機種があります」と書いており、全機種に付いているわけではありません。
栓を開けたのに水が出てきません
三菱電機の手順では、非常用取水栓を開く前に逃し弁のレバーを手前に起こす段階があります。空気が入る経路がないと水は出にくいので、この段階を飛ばしていないか確かめてください。それでも出ない場合は、無理に操作せず販売店に相談してください。
タンクが傾いていたり、まわりが水浸しになっていたりします
操作せず、業者に連絡してください。三菱電機は、水害等で浸水や破損があった場合について「200V電源ブレーカーと貯湯ユニットの電源レバーを『切』にし、給水配管専用止水栓を閉じてから、据付工事店(販売店)、または修理窓口へ連絡してください」としています。
交換を考えるなら、いまの機種の世代を控えてから相談してください
ここまで見てきたとおり、非常用取水栓の有無も、取り出す手順も、停電中にお湯が出るかどうかも、すべて機種と製造年で変わります。三菱電機は20年度モデル以前と22年度モデル以降で手順を分け、コロナは2008年発売で線を引き、日立は水道直圧給湯かどうかで分かれます。
買い替えを検討する段階なら、この世代差はそのまま比較材料になります。貯湯ユニットの銘板(型式が書かれたシール)を写真に撮ってから相談すると、いまの機種と同等以上かどうかを判断してもらいやすくなります。
出典(すべて2026年9月22日に取得):パナソニック「もしもの備え|はじめてのエコキュート」/三菱電機「自然災害や停電・断水時の対応について」および同社のPDF「断水時サポートガイド」「停電・断水時にご注意いただきたいこと」/ダイキン「もしもの備え(エコキュート)」/日立「エコキュート・電気温水器の停電時等の対処方法に関するお知らせ」/コロナ「災害・断水・停電時」。