給湯器の耐用年数は、税務では6年と15年に分かれます|分かれ目は器具備品か建物附属設備かで、交換費用の多くは修繕費で落ちます

給湯器の法定耐用年数は、税務では6年または15年です。どちらになるかは、その給湯器を「器具及び備品」として扱うか「建物附属設備」として扱うかで決まります。減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一が、この2つに別々の年数を定めているためです(2026年9月21日にe-Gov法令検索のAPIから取得)。
ただし、その前に確かめることがあります。給湯器の交換費用は、そもそも減価償却をせずに「修繕費」として、支払った年に全額を経費にできる場合が多いということです。国税庁は、1つの修理や改良の金額が20万円未満であれば修繕費として差し支えないとしています。家庭用のガス給湯器の交換は工事費込みで10万円台に収まることが多く、この線の内側に入ります。
この記事では、6年と15年の分かれ目、修繕費として落とせる金額の線、実際に減価償却する場合の計算方法を、省令と国税庁の公表資料だけで並べます。
※ この記事は制度の説明です。個別の申告の可否は、所轄の税務署または税理士に確認してください。

給湯器の耐用年数は、税務では6年と15年のどちらかです

減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一には、次の区分があります。給湯器そのものを名指しした行はなく、どちらの区分に当てはめるかで年数が変わります。
種類細目耐用年数
建物附属設備給排水又は衛生設備及びガス設備15年
建物附属設備冷房、暖房、通風又はボイラー設備(冷凍機の出力が22キロワット以下のもの)13年
器具及び備品電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器6年
※ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一より。2026年9月21日にe-Gov法令検索のAPIで本文を取得して確認しました。表記は原文の漢数字を算用数字に置き換えています。
検索して「6年」と「15年」の両方が出てくるのは、この2つの行がどちらも給湯器に当てはまりうるからです。どちらかが誤りなのではありません。

分かれ目は「建物に固定されているか」です

建物附属設備は、建物と一体になって機能する設備を指します。壁に固定され、ガス管と給水管と追いだき配管でつながっている家庭用の給湯器は、この考え方になじみます。一方、器具及び備品は、建物から独立して持ち運べる機器を想定した区分です。
実務では、次のように整理されることが多くなります。
  • 壁掛けや据え置きで配管に接続され、建物と一体で使う給湯器は、建物附属設備のガス設備として15年
  • 建物本体の取得や新築のときに、建物価格と区分せず一括で計上した場合は、建物の耐用年数に含まれる
  • 単体で取り外して持ち運べる小型の機器は、器具及び備品として6年
ここで注意したいのは、国税庁が「給湯器は何年」と名指しした公表資料は見当たらないという点です。年数は区分から導かれるものであり、機器の名前から一意に決まるわけではありません。自分の物件でどちらを採るかは、これまでの申告での扱いと合わせて、税務署か税理士に確認してください。
※ 2026年9月21日時点で、国税庁のタックスアンサーおよび「主な減価償却資産の耐用年数表」に、給湯器を名指しした行は確認できませんでした。

その前に確かめること:交換費用の多くは修繕費で落ちます

減価償却の話に入る前に、そもそも減価償却をしなくてよい場合があります。国税庁のタックスアンサー No.1379「修繕費とならないものの判定」は、次の支出を修繕費として必要経費に算入できるとしています。
おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、または一つの修理、改良などの金額が20万円未満のとき。
一つの修理、改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合で、その金額が60万円未満のときまたはその資産の前年末の取得価額のおおむね10パーセント相当額以下であるとき。
※ 国税庁 タックスアンサー No.1379「修繕費とならないものの判定」(令和8年4月1日現在法令等)。2026年9月21日に取得。
金額の線をまとめると次のようになります。
支出の内容扱い
1つの修理・改良が20万円未満修繕費として、その年の経費にできる
おおむね3年以内の周期で行う修理金額にかかわらず修繕費にできる
修繕費か資本的支出か明らかでなく、60万円未満修繕費として差し支えない
修繕費か資本的支出か明らかでなく、前年末の取得価額のおおむね10パーセント以下修繕費として差し支えない
使用可能期間を延ばす、または価値を高める部分資本的支出。減価償却する
壊れた給湯器を同等のものに取り替えるのは、元の状態に戻す支出です。これは通常の維持管理にあたり、修繕費として扱えます。一方、従来型から高効率型に替えて能力が上がる場合や、給湯専用からふろ給湯器に替えて機能が増える場合は、価値を高める部分があるとみられ、資本的支出と判定される余地があります。
ただしその場合でも、区分が明らかでない金額が60万円未満であれば修繕費として差し支えない、という形式的な基準が用意されています。家庭用の給湯器交換は、この60万円の線の内側に収まることがほとんどです。

実際の金額はいくらか

東京ガスの機器交換の基本工事費は、2026年9月21日時点で次のとおりです。
機器の種類従来型エコジョーズ
給湯専用40,700円45,100円
ふろ給湯器49,500円53,900円
暖房付き64,900円69,300円
※ 東京ガスの公式サイト(給湯器の工事費のページ)を2026年9月21日に取得。いずれも税込で、既存機器の取外しと処分費を含みます。本体価格は別です。
本体を足した総額は、給湯専用で9万円前後、ふろ給湯器で15万円前後が目安になります。つまり多くの場合、1つの修理の金額が20万円未満という線の内側に入ります。

減価償却する場合の計算

資本的支出と判定された場合や、建物附属設備として資産計上する場合は、定額法で償却します。平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備の償却方法は定額法のみです。
計算式は次のとおりです。
  • 各年の償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
償却率を取得価額で割るのではなく、取得価額に償却率を掛けます。耐用年数で割り算をすると値がずれます。
耐用年数定額法の償却率
6年0.167
13年0.077
15年0.067
※ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第八(平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の定額法の償却率表)より。2026年9月21日にe-Gov法令検索のAPIで取得。
たとえば取得価額が20万円で、建物附属設備のガス設備として15年で償却する場合、1年あたりの償却費は20万円 × 0.067 = 13,400円です。器具及び備品として6年で償却する場合は、20万円 × 0.167 = 33,400円になります。
年の途中で使い始めた場合は、その年の償却費を12で割り、業務に使った月数を掛けます。1か月に満たない端数は1か月として数えます。

10万円、20万円、40万円の3つの線

取得価額がいくらかで、使える制度が変わります。国税庁のタックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」は次のように整理しています。
取得価額扱い
10万円未満、または使用可能期間が1年未満その年に全額を必要経費にする
10万円以上20万円未満一括償却資産として、3年間で3分の1ずつ必要経費にできる
10万円以上40万円未満青色申告者は少額減価償却資産の特例で、その年に全額を必要経費にできる(合計300万円まで)
上記によらない場合法定耐用年数にわたって減価償却する
※ 国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」(令和8年4月1日現在法令等)。2026年9月21日に取得。

少額減価償却資産の上限は40万円に上がっています

青色申告者の少額減価償却資産の特例について、国税庁は次のように書いています。取得価額の線が引き上げられている点に注意してください。
一定の要件を満たす青色申告者が、平成18年4月1日から令和11年3月31日までに取得した取得価額10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までに取得した場合の取得価額は10万円以上30万円未満)の減価償却資産
つまり、令和8年3月31日までに取得したものは30万円未満、令和8年4月1日以後に取得したものは40万円未満が線になります。今日は2026年9月21日なので、これから取得するものには40万円未満が適用されます。30万円と書いてある古い解説は、この改正の前のものです。

貸付けの用に供した資産には例外があります

同じタックスアンサーには、次の注記があります。
令和4年4月1日以降に取得した減価償却資産で貸付けの用に供したもの(主要な業務として行う貸付けに供するものを除きます。)については、上記(注1)ないし(注3)の適用はありません。
※ 出典は上記 No.2100 と同じです。
これは、10万円未満の全額経費、一括償却資産、少額減価償却資産の特例のいずれも使えなくなるという意味です。かっこ書きの除外にあたるかどうかで結論が変わるため、賃貸物件の設備について適用を考える場合は、所轄の税務署か税理士に確認してください。この記事で断定はしません。

自宅の給湯器は経費になりません

ここまでは、賃貸に出している物件や事業に使っている建物の給湯器の話です。自分が住んでいる家の給湯器は、業務のために使う資産ではないため、減価償却資産になりません。取得価額を経費にすることも、耐用年数にわたって償却することもできません。
自宅の給湯器について「あと何年もつか」を知りたい場合は、税務の年数ではなく、メーカーが示す設計上の標準使用期間と、修理部品の保有期間を見ることになります。

中古のアパートを買ったときは

中古資産を取得した場合、法定耐用年数をそのまま使うのではなく、事業に使い始めてからの使用可能期間を見積もります。見積もりが難しいときは簡便法が使えます。計算は、法定耐用年数の全部を経過しているかどうかで2通りに分かれます。
  • 全部を経過した資産は、法定耐用年数の20パーセントに相当する年数
  • 一部を経過した資産は、法定耐用年数から経過年数を差し引いた年数に、経過年数の20パーセントを加えた年数
20パーセントを掛けるのは耐用年数であって、取得価額ではありません。また、1年未満の端数は切り捨て、2年に満たないときは2年とします。
  • 15年の設備で15年すべて経過している場合、15年 × 20パーセント = 3年
  • 15年の設備で10年経過している場合、(15年 - 10年)+(10年 × 20パーセント)= 5年 + 2年 = 7年
  • 6年の機器で6年すべて経過している場合、6年 × 20パーセント = 1.2年。2年に満たないので2年
なお、その中古資産を事業に使うために支出した資本的支出の金額が、同じものを新品で取得する場合の価額の50パーセントを超えるときは、簡便法は使えず法定耐用年数によります。
※ 国税庁 タックスアンサー No.5404「中古資産の耐用年数」(令和7年4月1日現在法令等・対象税目は法人税)。根拠は減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条です。2026年9月21日に取得。

よくある質問

給湯器の耐用年数は6年ですか、15年ですか

どちらもありえます。器具及び備品として扱えば6年、建物附属設備のガス設備として扱えば15年です。省令の別表第一が両方の区分に年数を定めており、給湯器を名指しした行はありません。建物に固定されて配管でつながっている家庭用の給湯器は、建物附属設備になじみます。

賃貸物件の給湯器が壊れて交換しました。全額その年の経費にできますか

1つの修理の金額が20万円未満であれば、修繕費として支払った年の必要経費にできます。同等品への取り替えは元の状態に戻す支出なので、通常は修繕費です。金額が大きく、修繕費か資本的支出か明らかでない場合も、60万円未満であれば修繕費として差し支えないとされています。

従来型からエコジョーズに替えた場合はどうなりますか

能力や機能が上がる部分は、資産の価値を高める支出として資本的支出と判定される余地があります。ただし区分が明らかでない金額が60万円未満であれば、修繕費として差し支えないという形式的な基準が用意されています。家庭用の交換工事はこの線の内側に収まることがほとんどです。

「耐用年数10年」と書いてある記事を見ました

それは税務の法定耐用年数ではなく、メーカーが示す設計上の標準使用期間のことだと思われます。安全に使えるように設計した期間で、製造した日から数えます。税務の6年や15年とは別の指標で、混ぜて使うと年数が合わなくなります。

少額減価償却資産の特例は30万円までではないのですか

令和8年3月31日までに取得したものは30万円未満です。令和8年4月1日以後に取得したものは40万円未満に引き上げられています。今日は2026年9月21日なので、これから取得するものには40万円未満が適用されます。

まとめ

  • 税務上の法定耐用年数は、器具及び備品なら6年、建物附属設備のガス設備なら15年
  • 給湯器を名指しした行は省令にも国税庁の資料にも見当たらず、年数は区分から導かれる
  • その前に、1つの修理が20万円未満なら修繕費として支払った年に全額を経費にできる
  • 区分が明らかでない場合も、60万円未満なら修繕費として差し支えない
  • 減価償却するときは、取得価額に償却率を掛ける。6年は0.167、15年は0.067
  • 少額減価償却資産の特例の線は、令和8年4月1日以後の取得から40万円未満に上がった
  • 自宅の給湯器は業務用ではないため、そもそも減価償却資産になりません
年数の区分と、修繕費で落ちるかどうかは別の話です。先に修繕費で落ちるかを確かめると、多くの場合は減価償却の計算そのものが不要になります。

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