不動産投資で経費にできるもの一覧|認められる経費・認められない経費を徹底解説

この記事を読むと分かること
  • 不動産投資で経費として認められる項目(ローン利息・税金・保険料・減価償却費など)を網羅的に理解できる
  • 経費として認められないもの(ローン元本・所得税など)を事前に把握してミスを防げる
  • 家事按分・グレーゾーンの考え方を押さえ、税務調査にも対応できる適切な経費処理ができる

不動産投資で経費として認められるのか?まず基本を押さえよう

不動産投資を始めて最初に戸惑うことの一つが「確定申告における経費の計上」です。会社員として給与収入しか得てこなかった方にとって、経費を自ら計算して申告するのは慣れない作業かもしれません。でも、この経費の知識を正しく身につけることが、不動産投資における節税効果を最大化し、税務調査リスクを最小化するための第一歩です。
そもそも不動産投資の収入は「不動産所得」として扱われ、年間の家賃収入から経費を差し引いた「不動産所得」に対して所得税・住民税が課税されます。経費をしっかり計上できるかどうかで、実質的な手取りが大きく変わります。ただし重要なのは、「節税になるから」と関係のない費用を経費に乗せてしまわないことです。業務と関係のない費用を経費に入れると、税務調査で否認され、追徴課税と加算税の対象になります。正しい知識を持って、適正な経費申告を行いましょう。
この記事では、不動産投資で経費として認められるもの・認められないもの・グレーゾーンの三つに分けて、わかりやすく解説します。

不動産投資で経費にできるもの一覧

まずは、不動産投資における経費として認められるものを一覧でご紹介します。

ローンの利息(金利部分のみ)

不動産購入に使ったローンの返済金のうち、利息部分のみが経費として認められます。元本返済の部分は経費にはなりません。これは多くの初心者が誤解しやすいポイントです。
銀行から毎月送られてくる「返済明細書」には、返済額が「元本」と「利息」に分けて記載されています。その利息部分だけを合計して申告します。購入した年の不動産取得時に発生したローン手数料(事務手数料)も経費に含めることができます。
たとえば、月返済額が8万円で、そのうち利息が2万円であれば、年間で24万円が経費として申告できます。元利均等返済では、借りた直後は残っている元本が多いため利息の割合が大きく、返済が進むにつれて利息は減っていきます。長期的な収支計算をするうえで、この変化も把握しておくことが大切です。

固定資産税・都市計画税

不動産を所有していると毎年課税される固定資産税と都市計画税は、全額経費として計上できます。毎年4月〜5月ごろに自治体から送られてくる「固定資産税納税通知書」に記載されている金額です。
原則は納税通知書が届いた年に1年分を計上しますが、納期ごとに計上する方法や、実際に納めた年に計上する方法も認められています。毎年同じ方法で計上してください。金額は物件の評価額で決まるので、物件ごとに大きく違います。

不動産取得税・登録免許税・印紙税

物件を取得した際に発生する税金類も経費として認められます。不動産取得税は物件取得から数ヶ月後に都道府県から課税されます。登録免許税は登記する際に法務局へ支払う税金です。印紙税は売買契約書や金銭消費貸借契約書に貼付する収入印紙の費用です。
これらはいずれも「取得年の経費」として一括で計上します。取得後に見つけた納税通知書や領収書は、必ず保管しておきましょう。

火災保険料・地震保険料

賃貸物件に付保している火災保険・地震保険の保険料も経費です。ただし、複数年分の保険料を一括で支払った場合は、その年分のみ按分して計上する必要があります。たとえば、5年分の保険料として10万円を一括払いした場合、1年あたり2万円を経費として計上します。
建物の火災保険はオーナー(大家)が負担しますが、入居者が加入する家財保険は入居者負担のため混同しないようにしましょう。

管理委託料・管理費

物件の管理を不動産管理会社に委託している場合、その管理委託料は全額経費として認められます。料率は管理会社と委託する業務の範囲で違うので、管理委託契約書で確認してください。また、分譲マンションを賃貸に出している場合のマンション管理費も経費として扱えます。管理会社からの毎月の送金明細・請求書を保管しておくことが重要です。

修繕費・清掃費・設備保守費

入居者から退去した後の原状回復費用や、物件の修繕にかかる費用は経費として認められます。具体的には、壁紙の貼り替え、フローリングの補修、設備(エアコン・給湯器など)の修理・交換、共用部の清掃費、消防設備の点検費用などが該当します。
ただし、物件の価値を大幅に向上させる「資本的支出」と判断される工事(大規模リフォームなど)は、修繕費として一括計上できず、減価償却が必要になります。国税庁は、1つの修理の金額が20万円未満のもの、おおむね3年以内の周期で行うものは修繕費として経費にできるとしています(タックスアンサー No.1379・2026年10月23日確認)。20万円以上だからといって資本的支出になるわけではなく、その場合は工事の内容で判断します。迷ったら税理士に相談してください。

広告費・仲介手数料(入居者募集)

空室時の入居者募集にかかる広告費や、不動産仲介会社への仲介手数料も経費として計上できます。賃貸仲介会社への仲介手数料、管理会社や仲介会社に払う広告料、ポータルサイトへの掲載費用などが対象です。空室対策にかかる費用は全額経費にできる点を覚えておきましょう。

減価償却費

不動産投資最大の節税効果が得られるのが「減価償却費」です。これは建物(構造物)の価値が年々目減りしていくことを費用として計上する仕組みで、実際の現金支出を伴わない経費です。
年間減価償却費は「建物の取得価額 ÷ 耐用年数」で計算します。耐用年数は建物の構造によって異なります。木造は22年、軽量鉄骨造(厚さ3mm以下)は19年、重量鉄骨造は34年、RC(鉄筋コンクリート)造は47年です。
中古物件の場合は残存耐用年数を計算する必要があります。法定耐用年数を超えている場合は「法定耐用年数 × 20%(端数切捨て)」、法定耐用年数内の場合は「法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数 × 20%」で算出します。たとえば築25年の木造物件を購入した場合、法定耐用年数(22年)を超えているため、22年 × 20% = 4年(端数切捨て)となり、4年かけて建物取得価額を経費として計上します。
注意点として、土地は減価償却できません。物件購入価格のうち「建物部分」だけが対象です。減価償却費は毎年かなりの金額になるため、年間収支の計算に大きく影響します。購入前にしなちく長期収支シミュレーターでシミュレーションしておくことをおすすめします。

交通費(業務目的のもの)

物件の下見・現地確認・管理会社との打ち合わせなどにかかった交通費は経費として認められます。電車・バスの交通費、自家用車を使った場合のガソリン代・高速代(業務走行割合分)、遠方物件への出張旅費などが対象です。業務目的であることを証明するために、訪問先・日付・目的を記録した「出張記録」をつけておくことをおすすめします。

通信費(業務割合分)

物件管理・入居者対応・情報収集などのために使ったスマートフォンや固定電話の通信費は、業務使用割合分を経費として計上できます。私用と兼ねている場合は「家事按分」として、実態に合った合理的な割合を算出します(割合の出し方は後の「家事按分」の節で説明します)。インターネット回線代(自宅で物件管理・調査に使用している場合)も同様に業務割合分が経費になります。

税理士・司法書士・弁護士費用

不動産投資の確定申告を税理士に依頼した場合の報酬や、登記手続きを司法書士に依頼した場合の費用も経費として認められます。また、入居者とのトラブル(賃料不払い・退去交渉など)で弁護士に依頼した場合の弁護士費用も経費計上が可能です。プロに依頼することで経費の計上漏れを防ぎ、税務調査リスクも低減できます。特に物件数が増えてきたら、税理士への依頼を検討しましょう。

その他の経費

上記以外にも、業務と直接関係している費用として、不動産投資の専門書や業務に直接関係するセミナーへの参加費、管理会社への送金手数料や税金の銀行振込手数料なども経費になります。

経費として認められないもの

一方、よくある誤解として「経費にできない」ものも把握しておきましょう。

ローンの元本返済

先述のとおり、ローン返済のうち元本部分は経費になりません。実際に支払っているお金にもかかわらず経費にならないため、キャッシュフローと税務上の損益が乖離することがあります。これが不動産投資の収支計算を複雑にする原因の一つです。

所得税・住民税・法人税

不動産所得に対して課税される所得税や住民税は、経費として計上できません。「税金を払うために税金を経費にする」という構造は認められません。ただし、固定資産税・不動産取得税などの不動産に直接かかる税金は経費として認められます。

私的な費用(スーツ・飲食・コンタクトなど)

不動産投資に関係のない私的な費用は経費になりません。よくある誤りとして、スーツ代や衣装費(「内見・商談に使うから」は認められない)、私的な飲食費、コンタクトレンズ・メガネなどの視力補正具、ジム・フィットネスの会費などが挙げられます。これらを強引に経費計上すると、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。

建物購入費・土地取得費(一括計上)

建物の購入費は「減価償却費」として毎年少しずつ費用計上しますが、購入した年に一括で全額経費にすることはできません。土地は減価償却の対象外です。

グレーゾーンの経費の取り扱い

経費として認められるかどうか微妙なケースも存在します。

家事按分(交通費・通信費・家賃など)

自宅を業務に使っている場合(書類整理・管理会社との連絡等)は、家賃の一部を経費として計上できる可能性があります。業務使用割合(たとえば書斎部分の面積割合)で按分します。ただし、家事按分の割合が過大と判断されると税務調査で問題になります。実態に即した合理的な割合を算出し、説明できる根拠を用意しておくことが大切です。
按分の割合に「これなら安全」という決まった数字はありません。税務署に説明を求められたときに答えられるかどうかで決まります。通信費なら通話・通信の記録から業務に使った件数、自宅家賃なら業務に使っている部屋の面積割合、というように、割合を出した根拠が残せる方法を選んでください。割合そのものより、算出の過程を書いた紙が1枚あるかどうかが効きます。

セミナー参加費・書籍代

不動産投資に直接関係するセミナーや書籍は経費として認められますが、「自己啓発全般」「スキルアップ」目的のものは難しいです。「業務との直接的な関連性」を説明できるかどうかがポイントです。なお、特定のスクールや講座について「経費にできる」と断言することはできません。すでに賃貸経営を行っている方が実務のために受けた講座か、これから始めるための一般的な学習かで扱いが変わります。受講前に税理士へ確認してください。

交際費(管理会社担当者との飲食など)

管理会社の担当者や不動産業者との打ち合わせを兼ねた飲食費は、業務上の必要性が認められれば経費になる場合があります。ただし、接待交際費として認められるには「誰と・どこで・何の目的で」という記録が必要です。

経費で間違えやすいのは、この3点です

1. 減価償却が終わった年から、税額が跳ね上がる

減価償却費は耐用年数が終われば計上できません。築25年の木造なら償却期間は4年なので、5年目から急に課税所得が増えます。「今は節税になっている」で判断すると、その年に資金繰りが詰まります。買う前に、償却が切れた後の年の納税額まで出しておいてください。

2. 「払っているのに経費にならない」金額がある

ローンの元本返済は現金が出ていくのに経費になりません。逆に減価償却費は現金が出ていかないのに経費になります。この2つのせいで、手元に残る現金と帳簿上の利益はまず一致しません。赤字なのに納税がある、という事態はここから起きます。

3. 私的な費用を混ぜた時点で、他の経費まで疑われる

スーツ代や私的な飲食を経費に入れると、指摘されるのはその項目だけではありません。帳簿全体の信頼性が問われ、正しく計上していた按分まで見直しを求められます。認められるものだけを計上するほうが、結果として手元に残ります。

節税より大切なこと:出口まで計算した長期収支

経費を正しく計上することは重要ですが、不動産投資の本質は「長期的なキャッシュフローを確保すること」です。節税効果だけを理由に物件を購入すると、本来の投資目的を見誤るリスクがあります。
たとえば、減価償却費が大きく「会計上は赤字」だけど「キャッシュフローはプラス」という状態が理想的です。逆に、経費計上で節税になっていても、実際のキャッシュフローが赤字であれば、物件を持ち続けることで資産が目減りしていきます。
重要なのは、購入前に家賃収入(入居率を考慮した実質収入)、ローン返済額(元本+利息)、経費(管理費・修繕費・保険料・税金など)、減価償却費(会計上の損益)、売却時の手取り(売却益・譲渡税)をすべて織り込んだ長期収支シミュレーションを行うことです。これらを踏まえて「本当に買うべき物件かどうか」を判断できます。

経費管理をスムーズにするための実践アドバイス

領収書・明細書は必ず保管する

税務調査があった場合、経費の証拠となるのは領収書・請求書・明細書です。これらは原則7年間の保存義務があります(青色申告の場合)。電子データ(PDF)でも保管可能ですが、保存方法には電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。

投資用口座を分ける

家賃収入・経費の支払いを専用の銀行口座やクレジットカードにまとめると、収支の整理が格段に楽になります。プライベートの支出と混在させると、後から按分計算が必要になったり、経費の証明が難しくなります。

青色申告を選択する

不動産所得がある場合は「青色申告」を選択することをおすすめします。ただし、控除額は貸付けの規模で変わります。独立した室数がおおむね10室以上(独立家屋ならおおむね5棟以上)で「事業的規模」と判定されると、複式簿記などの要件を満たして最高55万円、さらに電子帳簿保存かe-Taxで最高65万円の青色申告特別控除が受けられます。この規模に届かない場合、控除額は最高10万円です(国税庁 タックスアンサー No.1373・No.2072・2026年9月14日確認)。区分マンション1戸だけなら、通常は10万円のほうに当たります。控除額にかかわらず、赤字を翌年以降3年間繰り越せる「純損失の繰越控除」は使えます。青色申告を利用するには、青色申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に貸付けを始めた場合は、始めた日から2か月以内)に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署に提出する必要があります(国税庁 タックスアンサー No.2070・2026年10月23日確認)。

物件を複数保有したら税理士へ

物件が1棟なら自力での確定申告も可能ですが、物件が増えると計算が複雑になります。減価償却の計算、按分計算、青色申告の処理など、税理士に依頼することで安全かつ最大限の節税効果を得られます。税理士費用は経費になる点もポイントです。

まとめ:不動産投資の経費を正しく理解して着実に資産形成を

不動産投資で経費として認められるもの・認められないものを改めて整理します。認められる主な経費は、ローンの利息(元本は不可)、固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税・印紙税、火災保険料・地震保険料、管理委託料、修繕費・清掃費・設備保守費、広告費・仲介手数料、減価償却費(最大の節税効果)、業務目的の交通費・通信費(按分)、税理士・司法書士への報酬です。
認められない主な費用は、ローンの元本返済、所得税・住民税、私的な費用(スーツ・飲食・コンタクトなど)です。
経費の正確な知識は、不動産投資を長期的に継続するための基盤です。ただし、節税ばかりを追い求めて本来の投資目的を見失わないよう注意してください。大切なのは「適正な経費計上をしながら、長期的にキャッシュフローがプラスになる物件を選ぶ」ことです。
まずはしなちく長期収支シミュレーターで出口まで含めた収支を確認してから、物件購入の判断をしてみてください。

不動産投資を考えている人向けサービス一覧

まず数字を確認「しなちく長期収支シミュレーター」

不動産投資で失敗しないための第一歩は、購入前に「出口までの収支」を数字で確認することです。しなちく(当ブログ運営者)が自ら開発した長期収支シミュレーターは、家賃収入・ローン返済・管理費・修繕費・税金をすべて織り込んで、売却時点までのキャッシュフローを可視化できます。物件購入を検討している方には特におすすめです。

資産形成の全体像を学ぶ「お金のみらいマップ」

不動産投資だけでなく、資産形成全体の戦略を俯瞰できる「お金のみらいマップ」は、自分のお金の現在地と将来の目標を整理したい方に役立ちます。投資を始める前にお金の流れを体系的に理解しておくと、不動産投資の位置づけが明確になります。

本気で学ぶなら「不動産投資スクール(ファイナンシャルアカデミー)」

ファイナンシャルアカデミーの不動産投資スクールは、物件選びから融資・管理・出口戦略まで体系的に学べる講座です。2002年の創立以来、累計受講生数は2025年に80万人を突破しています(運営は株式会社FinancialAcademy・資本金1,000万円。公式の会社概要より・2026年9月14日確認)。体験セミナーは無料で参加でき、まず雰囲気を確かめてから判断できます。数千万円〜数億円を動かす投資を独学で始めるよりも、体系的に学んでから動くことを強くおすすめします。

お金の基礎から学ぶ「お金の教養講座(ファイナンシャルアカデミー)」

不動産投資の前に「そもそもお金のことをちゃんと理解したい」という方には、ファイナンシャルアカデミーのお金の教養講座がおすすめです。税金・保険・投資・家計管理を横断的に学ぶことで、不動産投資を正しい文脈で判断できるようになります。体験セミナーから始められます。

投資を横断的に学ぶ「株式投資・FXスクール(ファイナンシャルアカデミー)」

不動産だけでなく株式・FXも含めた分散投資を考えている方には、ファイナンシャルアカデミーの株式投資スクール・外貨投資FXスクールも選択肢に入ります。資産形成の手段を複数持っておくと、不動産投資のリスクヘッジにもなります。

頭金を作る副業(男性向け)「ポケットリサーチ」

不動産投資には自己資金が必要です。まず頭金を積み上げたい男性には、隙間時間にアンケート・商品モニターで収入を得られる「ポケットリサーチ」がおすすめです。スキルや経験は不要で、スマートフォンから手軽に始められます。

頭金を作る副業(女性向け)「ヴィーナスウォーカー」

女性には、飲食店や商業施設などでのモニター調査で収入を得られる「ヴィーナスウォーカー」がおすすめです。日常のお出かけがそのまま収入になるため、無理なく自己資金を増やせます。不動産投資への第一歩として活用してみてください。