服の虫食いの修理代は、穴の直径では決まりません|専門店5社が計っているのは「穴+5ミリ」と穴の数です

この記事で分かること
  • 虫食いの穴は、専門店の「かけつぎ(かけはぎ)」で直せます
  • 料金を決めているのは穴の直径ではなく、穴のまわりに余白を足した範囲です
  • 穴1か所ごとに料金がかかります。虫食いはここでいちばん損をします
  • ニットは織物と別料金で、店による差が2倍以上あります
  • 見つけた直後にやると、料金も仕上がりも悪くなることが4つあります

服の虫食いの穴は直せます。ただし料金は穴の直径では決まりません

衣類の穴を織り直す「かけつぎ(かけはぎ)」の専門店5社の公開料金を並べると、最低料金は2,900円(税込3,190円)から5,500円(税込)でした(2026年9月14日に各社の公式サイトで確認)。
最低料金料金の決め方として書かれているもの
魔法のかけつぎ(かけはぎ工房)2,900円(税込3,190円)からキズの大きさ・生地の種類・織りの複雑さ・場所
紬かけつぎ店4,000円からキズの大きさ・箇所・素材を総合的に判断
匠かけつぎ専門店4,400円(税込)穴の大きさ・個数・素材・場所
江見屋かけつぎ専門店5,500円(税込)/ニット・セーターは4,400円(税込)生地の種類・場所・大きさ
直し家修理範囲の四辺の合計×1,000円(税別)修理を行う範囲の大きさ
※ 各社の公式サイトの料金ページを2026年9月14日に閲覧。表示は各社の記載どおりで、税込と税別が混在しています。
5社とも「実物を見るまで正確な見積もりは出せない」と明記しています。写真での概算見積もりに応じている店はありますが、最終金額は品物を送ったあとです。

専門店が計っているのは、穴そのものではなく「穴+約5ミリ」の四角です

かけつぎの料金は、穴の直径ではなく、穴のまわりに余白を足して囲んだ範囲で計算されます。
江見屋かけつぎ専門店は、料金ページに「加工に必要なため0.5cmくらい穴や破れにプラスして計ります」と書いています。直し家は計算式をそのまま公開していて、「破れや穴の上下左右に約5mmの余白を加えて四角で囲み、その四辺の合計値」に1,000円(税別)を掛ける、としています。
これが、小さな穴でも最低料金に張り付く理由です。直径3ミリの穴でも、上下左右に5ミリずつ足せば13ミリ角になります。四辺の合計は52ミリで、直し家の式なら5,200円(税別)です。
理由も書かれています。直し家は「穴の周囲は生地が弱っていることも多いため、その部分も含めてかけはぎを行います」としています。江見屋も、擦れたキズは周囲が傷んで生地が薄くなっていることがあるので、穴の大きさは生地を透かして確認してほしい、と注意しています。
見た目の穴より加工範囲が広がるのは、値付けの都合ではなく、弱った生地を残すと仕上がりが持たないからです。

穴1か所ごとに料金がかかります。虫食いがいちばん損をするのはここです

かけつぎは1か所の穴に対して料金が発生するため、穴が2か所あれば2か所分の料金になります。
匠かけつぎ専門店は、この点を料金ページの注意事項にそのまま書いています。江見屋の加工事例にも、同じ服の「それぞれ0.7cmの穴」で13,200円(税込)という例があります。同じ店の「0.3cm×0.3cmの穴」1か所は4,950円(税込)なので、穴が小さくても数が増えれば金額は跳ね上がります。
そして虫食いは、1か所では終わらないことが多い被害です。紬かけつぎ店はウールコートの加工事例に「虫食いが一か所見つかると、他にも複数個所見つかることが非常に多いため、注意が必要です」と添えています。
だから、見つけた1か所だけを見て見積もりを想像しても当たりません。先に服を明るいところで広げ、透かして全体を見てから相談してください。袖の裏、襟の折り返し、脇の下は見落としやすい場所です。
どの虫にやられたのかを穴のまわりから見分ける方法は服を食べる虫は4種類ですにまとめています。

大きさ別の料金を3社で並べます

穴の大きさ紬かけつぎ店(税込)匠かけつぎ専門店(税込)魔法のかけつぎ(税込・普通生地)
1〜2ミリ(線香の穴程度)3,190円から
直径3ミリ程度約4,950円4,400〜5,500円程度
直径5ミリ程度約5,500円6,600円程度(4〜8ミリ)
直径10ミリ程度約7,700円8,800円程度(9〜15ミリ)5,280円から(1cm角)
直径20ミリ程度約12,100円12,100〜16,500円程度(16〜30ミリ)7,480円から(2cm角)
直径30ミリ程度約15,950円同上9,240円から(3cm角)
※ 3社の公式サイトの料金ページを2026年9月14日に閲覧。魔法のかけつぎは「1cm×1cm位」のように四角で、他の2社は直径で表示しているため、同じ行に並べても厳密な同条件ではありません。
同じ直径でも店によって数千円違います。ただし各社とも「目安」と明記しており、生地の種類・織り方・場所で変わるとしています。
追加料金の条件は3社でほぼ同じでした。縫い目に近い場所、ポケット口のようにミシン糸をほどく必要がある場所、シルクや着物などの特殊な生地、穴のまわりまで生地が薄くなっている場合です。

ニットは織物と別の料金です。店による差がいちばん大きいのもここです

セーターなどのニットは、かけつぎの料金表で別建てになっています。
魔法のかけつぎは「セーター等のニットに関しては1箇所1,500円(税込1,650円)〜3,000円(税込3,300円)くらいが多いです」としています。一方、江見屋はニット・セーター類の最低加工料金を4,400円(税込)としています。下限どうしで2.7倍近い開きがあります。
紬かけつぎ店のニットの加工事例では、薄手セーターの虫食い穴が6,050円(税込)、リブ編み部分の虫食い穴が8,250円(税込)、ウールセーターの虫食いが7,150円(税込)でした(いずれも2026年9月14日に閲覧)。
ニットが安く済むとは限りません。編み目をほどいて直す必要がある箇所、たとえばリブ編みや袖口は、同じ大きさの穴でも高くなっています。

見つけた直後にやってはいけないこと4つ

穴やほつれを見つけた直後の応急処置が、修理の範囲と料金を広げることがあります。紬かけつぎ店は、ニットについて次の点を挙げています。
  1. 飛び出した糸を切らない。穴から出ている糸は元の編み目につながっていることがあり、短く切ると修復に使える糸がなくなります
  1. 糸を引っ張らない、指や針で触らない。周囲の編み目まで次々とほどけ、小さな糸引きが線状のキズや大きな穴に広がります
  1. 無理に縫い合わせない。穴の端どうしを引き寄せて縫うと編み目が歪み、あとで縫い糸をほどくときに元の糸を傷めます
  1. 接着剤や補修シートを使わない。接着剤が繊維に染み込むと生地が硬くなって糸を動かせなくなり、除去するときに穴のまわりまで傷めます
同店は、毛玉取りにも注意を促しています。毛玉に見えるものが、実際には飛び出した糸であることがあります。毛玉取り機やハサミで切ると、そこを起点に穴が開きます。指で触っても簡単に取れないもの、糸が引けた線が出ているものは毛玉ではない可能性があります。
キズを見つけたら、いったん着用を控えてください。袖・脇・肘・裾は着用中に引っ張られやすく、小さな穴が一気に広がります。
ここで挙げた4つは、修理を請け負う専門店が自社サイトで注意点として公開しているものです。公的機関が出した基準ではありません。ただし、加工前の状態のほうが小さな範囲で直せて料金も抑えられる、という説明は、上で見た「穴+余白で計る」という料金の決め方と一致しています。

共布(残布)が残っていれば、仕上がりが変わります

かけつぎは、同じ糸を使って織り直す技法です。糸の出どころが2つあります。
直し家は「共布とは、残布(余り布)です。購入時に予備の布として付いてくる場合もありますし、裾上げ時の残布として返却される場合があります」として、品物と一緒に預けるよう案内しています。匠かけつぎ専門店の料金には「共布をとった後処理、裏地をほどいた場合の後処理」が含まれると書かれています。
共布がない場合は、服そのものから糸を抜き取ります。直し家は、縫い代や裾など見えないところから糸を数本確保すると説明しています。紬かけつぎ店は、ツイードジャケットの事例で「糸が太いため、ある程度大きい穴が開いていても製品から抜き取った糸で修復できるため、残布がなくてもあきらめずにご相談ください」としています。
スーツを買ったときに渡される小さな布の袋は、捨てないでください。裾上げの残布も同じです。

クリーニングに出す前に直すのが先です

全国クリーニング生活衛生同業組合連合会は、クリーニングに出す前のチェック項目として「破れている、あるいは穴やホツレが生じている部分はありませんか。あったら、修理しておきましょう」と案内しています。
順番が逆になりがちな場所です。虫食いは衣替えのときに見つかることが多く、そのまま「洗ってから考えよう」とクリーニングに出したくなります。業界団体の案内は、その逆を勧めています。
同連合会は、シミや汚れ、キズの場所とシミの原因は、あらかじめクリーニング店に伝えるようにとも書いています。穴を伝えずに出して、受け取ってから広がっていることに気づくと、原因の切り分けができなくなります。

直したあと、次に食べられないようにする

同連合会は、防虫剤の使い方として7つのポイントを挙げています。効く順に並べ替えると、次のようになります。
  1. 1回でも着用した衣類は、洗ってから保管する。汚れを落としてからしまうのが最初です
  1. 収納場所を先に掃除する。ゴミやホコリは衣類害虫のエサになります
  1. 密閉できる収納を選ぶ。密閉できないなら防虫カバーを併用します
  1. 詰め込みすぎない。容器の中は8分目までが理想とされています
  1. 防虫剤は衣類の一番上に置く。成分は上から下へ広がります
  1. 防虫剤は1種類だけにする。ピレスロイド系以外は、種類を混ぜると衣類にシミや変色が出ることがあります
  1. 入れ替え作業は換気をよくして行う
防虫剤を入れているのに食われた、という状態にはきちんと理由があります。密閉できていないこと、収納の中にエサが残っていることが主因です。詳しくはカツオブシムシに防虫剤が効かないのは、密閉できていないからですで扱っています。
収納のまわりで見かけた小さな虫の正体を色からたどりたい場合は家の中の小さい虫は、まず色を見てくださいを見てください。

業者を呼ぶかどうかの判断

引き出し1か所の話なら、駆除業者を呼ぶ前に片づきます。中身を全部出す、掃除機をかける、洗えるものは洗う、しまう前に乾かす。虫食いが1着分で収まっているなら、ここまでで終わることがほとんどです。
一方で、じゅうたんや作り付けのクローゼット全体に広がっている、毛皮や着物など家庭で洗えないものが含まれている、複数の部屋で同じ虫を見ている、という場合は自分では手が足りません。
申し込む前に確認してください。害虫駆除110番が公式に挙げている対応害虫は、ゴキブリ・ハチ・クロアリ・ノミ・ダニ・トコジラミ・ムカデ・ヤスデ・その他です。イガ・コイガ・カツオブシムシという項目はありません。「その他」として内容を伝えてからでないと、対象になるかどうかも金額も出ません(2026年9月14日時点)。
害虫駆除110番は、加盟店を紹介する形のサービスです。現地を見てからの見積もりになるため、電話やフォームの段階で金額が確定するわけではありません。

よくある質問

穴が小さければ安く済みますか。
安くはなりますが、下限があります。5社とも最低料金を設けていて、2,900円(税込3,190円)から5,500円(税込)です。料金は穴の直径ではなく、穴のまわりに約5ミリの余白を足した範囲で計算されるため、極端に小さい穴でも最低料金に近づきます。
穴が3か所あります。3倍になりますか。
かけつぎは1か所ごとに料金が発生します。匠かけつぎ専門店は、穴やキズが2か所ある場合は2か所分をもらうと明記しています。一方、魔法のかけつぎは「大きなキズは割安になります」としており、まとめて1つの範囲として加工できる場合の扱いは店によって違います。近い場所にまとまっているかどうかで変わるので、写真を送って確認してください。
セーターとスーツで、どちらが高いですか。
一概には言えませんでした。ニットを織物より安い別建てにしている店(1箇所1,650円から)と、ニットの最低料金を4,400円としている店があり、下限で2.7倍の差があります。ニットでも、リブ編みや袖口など編み目をほどく必要がある箇所は高くなります。
自分で直せますか。
専門店は、糸を切る・引っ張る・接着剤を使う・無理に縫うの4つをやめるよう案内しています。この4つを避けたうえで自分で直す方法について、公的機関や業界団体が示した手順は確認できませんでした。確実なのは、手を加える前に写真を撮って相談することです。加工されていない状態のほうが、小さな範囲で直せて料金も抑えられる、と専門店は説明しています。
直したあと、同じ場所がまた食べられますか。
同じ場所が狙われるという説明は、確認できませんでした。ただし紬かけつぎ店は、虫食いが1か所見つかると他にも複数見つかることが非常に多いとしています。直すのは結果への対処で、原因は収納の中に残ります。掃除と洗濯を先に済ませてください。

まとめ

  • 虫食いの穴は、かけつぎ(かけはぎ)で直せます。最低料金は5社で2,900円(税込3,190円)から5,500円(税込)でした
  • 料金は穴の直径ではなく、穴+約5ミリの余白を囲んだ範囲で決まります
  • 穴1か所ごとに料金がかかります。先に服を透かして、全部の穴を数えてから相談してください
  • ニットは別料金で、店による差が2.7倍あります
  • 糸を切らない、引っ張らない、縫わない、接着剤を使わない
  • クリーニングに出す前に直す。業界団体がそう案内しています
※ 料金と注意事項の出典は、匠かけつぎ専門店・江見屋かけつぎ専門店・魔法のかけつぎ(かけはぎ工房)・紬かけつぎ店・直し家の各公式サイト(料金ページおよび加工事例ページ)。いずれも2026年9月14日に取得。クリーニング前の確認事項と防虫剤の使い方は、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会「クリーニング店の活用法」および「衣類を守るための防虫剤の基礎知識」(2026年9月14日に取得)。金額は各社の表示どおりで、税込と税別が混在しています。