服を食べる虫は4種類です|布の上のトンネルはコイガ、筒状の巣を背負っていればイガです

この記事で分かること
  • 服に穴をあける虫は、公的機関の分類では4種類です
  • 穴のまわりの様子を見れば、蛾の仲間か甲虫の仲間かが分かります
  • 食べられるのは毛と絹です。化学繊維でも、汚れが付いていれば食べられます
  • 毛織物の被害は、じつは蛾よりも甲虫のほうが多いと公的資料が書いています
  • 虫を見つけたあとにやること4つ

服を食べる虫は4種類です

東京都保健医療局は「繊維につく主な昆虫は、イガ、コイガ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシなどの幼虫で、4月〜10月頃に活動が活発化します」と説明しています。
ここから読み取れることが2つあります。
  1. 服を食べるのは幼虫です。成虫は服を食べません
  1. 4種類のうち2種類は蛾、2種類は甲虫です。見た目がまったく違います
名前分類ひとことで言うと
コイガ(小衣蛾)布の上にトンネル状の通路をつくる
イガ(衣蛾)幼虫が筒状の巣を背負って歩く
ヒメマルカツオブシムシ甲虫幼虫は4mm前後。毛もシルクも食品も食べる
ヒメカツオブシムシ甲虫幼虫は9mm前後。同じく食品も食べる
※ 東京都保健医療局「家庭用品に関する法律Q&A 防虫加工とは」(2019年9月10日更新)を2026年9月13日に閲覧。幼虫の大きさはさいたま市保健衛生局 健康科学研究センターの資料による。

穴のまわりを見れば、蛾か甲虫かが分かります

布の上に、繊維と糞をつづり合わせたトンネル状の通路ができていれば、犯人はコイガです。
これは東京都衛生局のリーフレット「東京の生活害虫2 コイガ」に書かれている、コイガだけの特徴です。同じ文面を新宿区保健所も配布しています。
見えているもの犯人根拠
布の上に、繊維と糞でできたトンネル状の通路があるコイガ東京都衛生局・新宿区保健所
細長い幼虫が、ミノムシのような筒状の巣を背負って歩いているイガ東京都衛生局・新宿区保健所
タンスの中に脱皮殻(抜け殻)が落ちているカツオブシムシ類さいたま市
乾物・煮干し・穀類にも同じような虫がいるカツオブシムシ類さいたま市
いちばん分かりやすい切り分けは、食品を食べているかどうかです。さいたま市は、ヒメマルカツオブシムシのエサとして毛やシルクの繊維に加えて「にぼし」「穀類」「香辛料」を挙げています。イガとコイガは繊維のほうだけです。
台所とタンスの両方で小さな虫を見ているなら、犯人は甲虫のほうだと考えて、収納と食品棚の両方を見てください。
家の中で見かけた小さい虫の正体を、色からたどりたい場合は家の中の小さい虫は、まず色を見てくださいにまとめてあります。

毛織物の被害は、蛾よりもカツオブシムシのほうが多く見られます

東京都衛生局と新宿区保健所のリーフレットは、どちらも同じ一文で締めています。毛織物などの被害は、イガやコイガよりもヒメマルカツオブシムシのほうが多く見られる、という内容です。
これは探し方を変える指摘です。タンスの中で蛾を見ていないからといって、虫食いの原因が虫でないことにはなりません。甲虫の幼虫は4mm前後と小さく、脱皮殻のほうが先に見つかることがよくあります。
カツオブシムシ側の生態と、防虫剤を入れているのに食われる理由はカツオブシムシに防虫剤が効かないのは、密閉できていないからですで扱っています。

大きさと色を、資料ごとに並べます

種類幼虫(成熟時)成虫出典
コイガ体長 約8mm・白く細長いイモムシ状開張 約13mm・光沢のある薄い黄色・翅に紋がない東京都衛生局
イガ繊維と糞でつくった筒状の巣を背負う翅は光沢のある灰色で黒点がある東京都衛生局
ヒメマルカツオブシムシ4mm前後・背面は黄褐色または暗褐色体長 1.7〜3.2mmさいたま市
ヒメカツオブシムシ9mm前後・赤褐色体長 2.8〜5.3mmさいたま市
ハラジロカツオブシムシ約15mm体長 5.5〜10mmさいたま市
数値の食い違いは、そのまま載せています。東京都衛生局はコイガの成虫を「開張 約13mm」、新宿区保健所は同じ写真に「体長6〜8mm」と添えています。開張は翅を左右いっぱいに開いたときの先から先までの幅で、体長とは測っているものが違います。
イガの成虫の見た目は、資料によって書き方が違います。東京都衛生局は「翅は光沢のある灰色で黒点がある」、東京文化財研究所の文化財害虫検索は「成虫は4〜7mmほどの蛾。色は黄色〜褐色」としています。どちらが誤りなのかは確認できなかったため、両方を載せます。幼虫が巣を背負って歩く点は、どちらの資料も同じです。

食べられるのは毛と絹です。ただし化学繊維でも汚れていれば食べられます

東京都保健医療局は「毛や絹のようなタンパク質繊維は、害虫により食害され、穴があくなどの損傷を受けることがあります」と書いています。ウール、カシミヤ、シルク、羽毛が対象です。
では化学繊維だけの服なら安心かというと、そうは書かれていません。さいたま市は予防のポイントの1番目に、こう挙げています。
食べ物や汗などが付着した衣類は食べられやすいため、長期間保管する前にはきれいに洗濯をします。
素材より先に効くのは、汚れているかどうかです。一度も袖を通していないウールのコートより、汗を吸ったまましまった服のほうが狙われます。

見つけたあとにやること4つ

さいたま市が挙げている衣類の虫食いの予防は、次の4つです。
  1. 衣類の収納場所をきれいに掃除する。タンスや押入れにたまった毛くずがエサになります
  1. 洗濯して、食べかすや汗じみを取り除いてからしまう
  1. ときどき虫干しをする。幼虫は風通しの悪い場所にいることが多いためです
  1. 防虫剤を使う
洋服ダンスの中で蛾が何匹も見つかった場合について、東京都衛生局と新宿区保健所は、念のために衣類を調べて陽に干すこと、ウール製品や毛糸は防虫剤を入れて密閉した袋などに収納するのが最も良い方法だとしています。
順番が大事です。防虫剤は4番目に書かれています。掃除と洗濯を飛ばして防虫剤だけ足しても、エサと幼虫が収納の中に残ったままになります。

活発になるのは4月から10月。ただし冬にいなくなるわけではありません

東京都保健医療局は、4種類の幼虫について「4月〜10月頃に活動が活発化します」としています。
一方で、新宿区保健所のコイガのリーフレットに載っている発生時期の表は、1月から12月まで12か月すべてが「発生」の色で塗られており、「多い」と塗られた月はありません(2026年9月13日に取得して確認)。
「活動が活発になる時期」と「見かけることがある時期」は別です。暖房の入った室内は季節の影響を受けにくいため、冬に見つかること自体は不思議ではありません。衣替えのときだけ対策する、という組み立てにはしないほうが確実です。
畳から出ている虫と混同しやすい場合は畳の虫は新しい畳ほど出ますも参考になります。

業者を呼ぶかどうかの判断

引き出し1か所の話なら、業者を呼ぶ前に片づきます。中身を全部出す、掃除機をかける、洗えるものは洗う、しまう前に乾かす。ここまでで終わることがほとんどです。
一方で、じゅうたんや作り付けのクローゼット全体に広がっている、毛皮や着物など洗濯で対処できないものが含まれている、といった場合は自分では手が足りません。
申し込む前に確認してください。害虫駆除110番が公式に挙げている対応害虫は、ゴキブリ・ハチ・クロアリ・ノミ・ダニ・トコジラミ・ムカデ・ヤスデ・その他です。イガ・コイガ・カツオブシムシという項目はありません。「その他」として内容を伝えてからでないと、対象になるかどうかも金額も出ません(2026年9月13日時点)。
害虫駆除110番は、加盟店を紹介する形のサービスです。現地を見てからの見積もりになるため、電話やフォームの段階で金額が確定するわけではありません。

よくある質問

成虫が飛んでいるのを見ました。服はもう食べられていますか。
服を食べるのは幼虫です。ただし、成虫が室内で羽化したのであれば、近くに食害されたものがあります。東京文化財研究所は、イガについて、食害された物の付近から空の巣がよく見つかると書いています。まず巣や脱皮殻を探してください。
化学繊維の服なら安心ですか。
食べられるのは毛や絹などのタンパク質繊維です。ただし、さいたま市は食べ物や汗が付着した衣類は食べられやすいとしています。汚れたまま長期保管するのであれば、素材だけでは安心材料になりません。
穴が1か所だけです。放っておいていいですか。
さいたま市は、カツオブシムシ類の幼虫や成虫が家屋内で越冬すると書いています。1か所でも、同じ収納に幼虫や脱皮殻が残っていれば続きます。穴のあいた服だけでなく、収納場所の毛くずまで掃除してください。
虫干しはどのくらいの頻度でやればいいですか。
公的機関の資料は「定期的に」「ときどき」としており、回数の指定は確認できませんでした。理由のほうは書かれていて、幼虫が風通しの悪い場所にいることが多いためです。風を通すこと自体が目的なので、収納を開ける機会を増やすだけでも意味があります。
防虫剤を2種類入れれば効きますか。
国民生活センターは、有臭性の防虫剤を2種類併用すると衣類にシミや変色が起きることを挙げています。種類を増やす方向は勧められません。防虫剤が効かない理由と正しい置き方は、カツオブシムシに防虫剤が効かないのは、密閉できていないからですで詳しく扱っています。

まとめ

  • 服を食べるのは幼虫です。成虫は食べません
  • 布の上のトンネル状の通路はコイガ、筒状の巣を背負っていればイガです
  • 食品も食べているならカツオブシムシです。収納と食品棚の両方を見てください
  • 毛織物の被害は、蛾よりヒメマルカツオブシムシのほうが多いと公的資料が書いています。蛾を見ていなくても油断できません
  • 掃除と洗濯が先で、防虫剤は最後です
※ 出典は東京都保健医療局「家庭用品に関する法律Q&A 防虫加工とは」(2019年9月10日更新)、東京都衛生局「東京の生活害虫2 コイガ」、新宿区保健所「コイガ 洋服ダンスのおじゃま虫」、さいたま市保健衛生局 健康科学研究センター 生活科学課「衣類や食品を食べる害虫『カツオブシムシ類』」(2017年6月23日更新)および同「この虫をみかけたら要注意 食品・衣類の虫食いを防ぎましょう」、東京文化財研究所「文化財害虫検索 イガ」。いずれも2026年9月13日に取得。