第一種換気システム徹底比較【熱交換効率・メンテナンス・コスト】

2025/9/29 16:292025/9/29 16:33

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本記事は作成日時時点の情報を元に調査・記載されています。

はじめに

2025年4月から、すべての新築住宅に対して省エネ基準への適合が義務化されることをご存知でしょうか。この法改正により、住宅の断熱性能と並んで「換気性能」の重要性がこれまで以上に高まっています。新鮮な空気を効率的に取り入れ、快適な室内環境を維持するためには、適切な換気システムの選択が不可欠です。本記事では、高気密・高断熱住宅と相性が良いとされる「第一種換気システム」に焦点を当て、その仕組みから熱交換方式、設置方式の違い、そして気になるコストやメンテナンスまで、専門的な視点から徹底的に比較・解説します。

第一種換気システムとは？計画的な空気の入れ替えを実現

住宅の換気システムは、給気（外気の取り込み）と排気（室内の汚れた空気の排出）をどのように行うかによって、大きく3つの種類に分けられます。その中でも「第一種換気」は、給気と排気の両方を機械（ファン）で行う方式です。これにより、天候や室内の圧力差に左右されることなく、常に計画的で安定した空気の入れ替えが可能になります。

第一種換気は、給気と排気の両方を機械で行う方式のため、給気・排気をしたい場所で確実に空気の出入りをつくることができ、空気環境を常にクリーンに保てます。特に、近年の高気密・高断熱住宅では、隙間風による自然な換気が期待できないため、第一種換気のような機械換気システムがその性能を最大限に発揮します。

ちなみに、排気のみを機械で行い、給気は壁に設けられた給気口から自然に行うのが「第三種換気」で、多くの住宅で採用されている一般的な方式です。第一種換気は、第三種換気に比べて導入コストは高くなりますが、後述する「熱交換」機能により、省エネ性能と快適性を大幅に向上させることができます。

熱交換方式の種類（全熱交換 vs 顕熱交換）

第一種換気システムの最大の特長は「熱交換」機能です。これは、排気する室内の空気から熱を回収し、給気する外気にその熱を移すことで、室温の変化を最小限に抑える仕組みです。これにより、冷暖房の負荷を軽減し、光熱費の削減に貢献します。熱交換には、主に2つの方式があります。

全熱交換方式

「温度」と「湿度」の両方を交換する方式です。冬は、室内の暖かく湿った空気の熱と湿度を回収し、冷たく乾燥した外気を暖かく加湿して室内に取り込みます。夏は逆に、室内の涼しく乾燥した空気を利用して、高温多湿な外気を冷やして除湿してから給気します。日本の多湿な気候に適しており、年間を通じて快適な室内環境を保ちやすいのが特長です。

メリット: 湿度も交換するため、冬の過乾燥や夏のジメジメ感を緩和できる。冷暖房効率が高く、省エネ効果が大きい。

デメリット: 顕熱交換に比べて導入コストが高い。排気経路に臭いや汚染物質があると、それらが給気に混入するリスクがゼロではない。

顕熱交換方式

「温度」のみを交換し、「湿度」は交換しない方式です。シンプルな構造で、全熱交換に比べてコストが安いのが魅力です。湿度の高い地域や、室内で加湿器を多用する家庭など、湿度を積極的に排出したい場合に適しています。

メリット: 導入コストが比較的安い。湿気や臭いを効率的に排出できる。

デメリット: 湿度を交換しないため、冬場は室内が乾燥しやすくなる。別途加湿器が必要になる場合がある。

設置方式の種類（ダクト式 vs ダクトレス）

第一種換気システムは、各部屋への空気の送り方によっても種類が分かれます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、住宅の構造や予算に合わせて選びましょう。

ダクト式第一種換気

換気ユニット本体を1台設置し、そこから各部屋へダクト（配管）を伸ばして給気・排気を行う集中管理型のシステムです。家全体の空気を計画的に管理でき、フィルターも一括でメンテナンスできるのが利点です。

メリット: 家全体の換気計画が立てやすい。各部屋に設置する給気口・排気口が小さく、デザイン性が高い。フィルターメンテナンスが一箇所で済む。

デメリット: ダクトの設置スペースが必要で、設計の自由度が下がる可能性がある。導入コスト（イニシャルコスト）が高い。ダクト内の定期的な清掃が必要。

ダクトレス第一種換気

各部屋の壁に、換気ユニットを個別に設置する方式です。ダクトが不要なため、リフォームでの導入や、ダクトスペースの確保が難しい住宅に適しています。

メリット: ダクト工事が不要で、導入コストを抑えられる。リフォームでも設置しやすい。ダクト内の汚染リスクがない。

デメリット: 各部屋に換気ユニットを設置するため、メンテナンスの手間が増える。熱交換効率がダクト式に比べてやや低い傾向がある。外壁に面していない部屋には設置が難しい。

【PR】換気システムと合わせて見直したい住まいの快適性

快適で省エネな住まいを実現するためには、換気システムだけでなく、住宅全体の性能を見直すことが重要です。特に、断熱性能（UA値）や気密性能（C値）を高めることで、第一種換気システムの熱交換効率はさらに向上し、冷暖房の効果を最大限に引き出すことができます。

また、暮らしのエネルギー効率を考える上で、給湯器の性能も見逃せません。最新のガス給湯器「エコジョーズ」は、排気熱を再利用してお湯を沸かす高効率な給湯器で、従来の給湯器に比べてガス代を大幅に節約できます。換気システムで室内の空気を、そして高効率給湯器でお湯を効率的にコントロールすることは、これからの省エネ住宅の基本と言えるでしょう。

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まとめ

第一種換気システムは、計画的な換気と熱交換機能により、高気密・高断熱住宅の快適性と省エネ性を大きく向上させる重要な設備です。「全熱交換か顕熱交換か」「ダクト式かダクトレスか」といった選択は、お住まいの地域の気候、住宅の構造、予算、そしてライフスタイルによって最適解が異なります。本記事で解説したそれぞれのメリット・デメリットを十分に比較検討し、後悔のない選択をしてください。適切な換気システムを導入し、一年中快適で健康的な室内環境を実現しましょう。

参考文献

- Panasonic, 「第一種換気とは？特徴を理解して導入を進めよう」, https://solution.hvac.panasonic.com/blog/arch/first-class-ventilation

JOTO, 「第1種換気・第2種換気・第3種換気のメリット・デメリット」, https://house-building.joto.com/comfortable/kanki-hito/%E6%8F%9B%E6%B0%97%E3%81%AE%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%A8%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%87%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88/

日本住環境, 「【メーカーの本音】第1種・第3種換気のデメリット！後悔しないための換気計画」, https://www.njkk.co.jp/blog/?itemid=84&dispmid=764

大成住建, 「全熱式と顕熱式の違いについて」, https://www.taise-housing.blog/%E5%85%A8%E7%86%B1%E5%BC%8F%E3%81%A8%E9%A1%95%E7%86%B1%E5%BC%8F%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

アーキ・ディライト, 「ダクト式とダクトレスの換気システムの違い【メリット・デメリットを解説】」, https://arch-d-b.com/blog/duct_kanki/

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