樹脂サッシ vs アルミサッシ徹底比較【断熱性能・コスト・耐久性で選ぶ2025年最新ガイド】

2025/9/29 15:242025/9/29 15:26

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本記事は作成日時時点の情報を元に調査・記載されています。

はじめに

2025年4月から省エネ基準適合住宅が義務化されるなど、住宅の「断熱性能」に対する関心がこれまでになく高まっています。快適な室温を保ち、光熱費を削減するためには、壁や天井の断熱材だけでなく、「窓」の性能が極めて重要です。そして、その窓の性能を大きく左右するのが、窓枠である「サッシ」の素材です。現在、日本の住宅で主に使用されているサッシには、伝統的な「アルミサッシ」、断熱性に優れた「樹脂サッシ」、そして両者の長所を組み合わせた「アルミ樹脂複合サッシ」があります。

「どのサッシを選べば、冬暖かく夏涼しい家になるの？」「初期費用は高いけど、本当に元は取れるの？」「耐久性やデザインはどう違うの？」こうした疑問は、家づくりやリフォームを考えるすべての人にとって、避けては通れない重要なテーマです。本記事では、これら3種類のサッシについて、断熱性能、コスト、耐久性、デザイン性など、あらゆる角度から徹底的に比較・解説します。この記事を読めば、あなたの住まいとライフスタイルに最適なサッシが必ず見つかるはずです。

サッシの種類とそれぞれの特徴

まずは、現在主流となっている3種類のサッシが、それぞれどのような特徴を持っているのかを理解しましょう。素材の違いが、性能や価格に大きく影響します。

アルミサッシ：価格と耐久性の定番

かつて日本の住宅で最も広く使われていたのがアルミサッシです。アルミニウムは軽量で加工しやすく、強度が高く、雨風にさらされても錆びにくいという優れた耐久性を持っています。また、他の素材に比べて価格が安いため、建設コストを抑えたい場合に多く採用されてきました。しかし、アルミニウムは非常に熱を伝えやすい（熱伝導率が高い）という致命的なデメリットがあります。これにより、冬は外の冷気が室内に伝わりやすく、夏は太陽の熱が侵入しやすいため、断熱性能が著しく低くなります。結果として、結露が発生しやすく、光熱費もかさむ傾向にあります。

樹脂サッシ：断熱性と省エネ性の王者

樹脂サッシは、主に塩化ビニル樹脂（PVC）を主成分とするサッシです。樹脂の熱伝導率は、アルミの約1/1000と非常に低く、卓越した断熱性能を誇ります。この高い断熱性により、外気の影響を受けにくく、冷暖房の効率を大幅に向上させることができます。結露の発生を強力に抑制し、カビやダニの繁殖を防ぐ効果も期待できます。また、気密性や遮音性にも優れており、静かで快適な室内環境を実現します。一方で、アルミサッシに比べて価格が高いこと、紫外線による経年劣化の可能性があること、素材の強度がアルミに劣るためフレームが太くなる傾向があることなどがデメリットとして挙げられます。

アルミ樹脂複合サッシ：性能とコストの優等生

アルミ樹脂複合サッシは、室外側に耐久性の高いアルミを、室内側に断熱性の高い樹脂を使用した、いわば「ハイブリッド型」のサッシです。アルミの強度と耐久性を維持しつつ、樹脂によって断熱性能の低さをカバーするという、両者の「良いとこ取り」を目指した製品です。オール樹脂サッシには断熱性で一歩譲るものの、アルミサッシよりは格段に性能が高く、結露も起きにくくなります。価格もオール樹脂サッシよりは抑えられるため、性能とコストのバランスに優れた選択肢として、近年急速に普及が進んでいます。

【徹底比較】樹脂サッシ vs アルミサッシ vs 複合サッシ

ここでは、家づくりにおいて特に重要となる6つの項目について、3種類のサッシを具体的に比較していきます。それぞれの長所と短所を正しく理解し、優先順位を考えながら読み進めてください。

断熱性能：冬の暖かさ・夏の涼しさを決める最重要項目

断熱性能は、窓の性能を示す「熱貫流率（U値）」で比較します。この数値が小さいほど熱が伝わりにくく、断熱性能が高いことを意味します。一般的なU値の目安は以下の通りです。

樹脂サッシ: 約1.3～1.7 W/㎡K

アルミ樹脂複合サッシ: 約1.9～2.3 W/㎡K

アルミサッシ（複層ガラス）: 約2.9～3.5 W/㎡K

数値を見ても明らかなように、断熱性能は「樹脂サッシ > アルミ樹脂複合サッシ > アルミサッシ」の順となります。特に寒さの厳しい北海道や東北地方では、樹脂サッシが標準仕様となっている地域も多く、その断熱効果の高さがうかがえます。

気密性能：隙間風を防ぎ、エネルギーロスをなくす

気密性は、サッシとフレームの隙間からどれだけ空気が漏れるかを示す性能です。気密性が低いと、隙間風によって冷暖房の効率が下がるだけでなく、外のホコリや花粉が侵入しやすくなります。樹脂サッシは、その構造上、アルミサッシに比べて高い気密性を確保しやすいとされています。これにより、計画的な換気を効率的に行い、エネルギーロスを最小限に抑えることができます。

防音・遮音性能：静かな室内環境を実現する

気密性の高さは、防音・遮音性能にも直結します。サッシとフレームがしっかりと密着している樹脂サッシは、外の騒音（車の走行音や工事の音など）が室内に入り込むのを効果的に防ぎます。静かな住環境を求める方や、交通量の多い道路沿いにお住まいの方には、樹脂サッシが大きなメリットをもたらすでしょう。

耐久性・耐候性：長期間の使用に耐える強さ

耐久性・耐候性という点では、アルミサッシに軍配が上がります。アルミニウムは非常に丈夫で、紫外線や雨風による劣化が少ないため、長期間にわたって安定した性能を維持します。一方、樹脂サッシは紫外線に長時間さらされると、変色や強度の低下といった劣化が起こる可能性があります。ただし、近年の製品は耐候性を高めるための改良が重ねられており、通常の使用環境であれば過度に心配する必要はありません。

デザイン性：住まいの外観と内観を彩る

デザイン性においては、それぞれに特徴があります。アルミサッシはフレームを細くできるため、シャープでスタイリッシュな印象を与えます。カラーバリエーションも豊富です。樹脂サッシは、素材の特性上フレームが太くなる傾向がありますが、その分、重厚感や温かみのあるデザインが可能です。アルミ樹脂複合サッシは、室内側と室外側で色を変えることができるなど、デザインの自由度が高いのが魅力です。

コスト（初期費用とランニングコスト）：最も気になる価格の問題

初期費用（製品価格＋工事費）は、一般的に「アルミサッシ < アルミ樹脂複合サッシ < 樹脂サッシ」の順に高くなります。樹脂サッシはアルミサッシの1.5倍から2倍程度の価格になることもあります。しかし、忘れてはならないのが、光熱費というランニングコストです。断熱性能の高い樹脂サッシや複合サッシは、冷暖房の効率を高めるため、月々の光熱費を確実に削減してくれます。初期費用は高くても、10年、20年という長い目で見れば、光熱費の削減分で初期投資を回収できる可能性は十分にあります。

後悔しないサッシ選びのポイント

最適なサッシを選ぶためには、性能比較だけでなく、ご自身の住環境やライフスタイルを考慮することが重要です。

地域（気候）に合わせて選ぶ

お住まいの地域の気候は、サッシ選びの最も重要な要素の一つです。冬の寒さが厳しい北海道・東北・北陸などの寒冷地では、断熱性能が最も高い樹脂サッシが強く推奨されます。一方、比較的温暖な西日本の太平洋側などでは、アルミ樹脂複合サッシでも十分な性能を発揮する場合が多いでしょう。地域の気候特性を理解し、オーバースペックにならない選択を心がけることが大切です。

予算と性能のバランスを考える

家全体の窓をすべて最高性能の樹脂サッシにするのが理想的かもしれませんが、予算には限りがあります。そこで有効なのが、部屋の用途に応じた「使い分け」です。例えば、家族が長い時間を過ごすリビングや寝室には断熱性の高い樹脂サッシを、あまり使わない部屋や浴室・トイレなどにはコストを抑えた複合サッシを採用するなど、メリハリをつけることで、全体のコストを調整しつつ快適性を確保することが可能です。

ガラスとの組み合わせも重要

窓の断熱性能は、サッシだけでなく「ガラス」の種類によっても大きく変わります。現在では、2枚のガラスの間に空気層を設けた「複層ガラス（ペアガラス）」が標準的ですが、さらに断熱性を高めるためには、特殊な金属膜をコーティングした「Low-E複層ガラス」や、ガラスの間を空気よりも熱を伝えにくいアルゴンガスにしたタイプがおすすめです。サッシの性能を最大限に引き出すためにも、ガラス選びにもこだわりましょう。

まとめ

アルミサッシ、樹脂サッシ、アルミ樹脂複合サッシ。それぞれに一長一短があり、「このサッシが絶対的に優れている」という正解はありません。重要なのは、それぞれの特性を正しく理解し、「断熱性」「コスト」「耐久性」「デザイン性」といった項目の中で、ご自身が何を最も重視するのかを明確にすることです。地域の気候や予算、そしてどのような暮らしを実現したいのかを総合的に判断し、後悔のないサッシ選びを行ってください。

サッシの交換や窓リフォームは、専門的な知識を要する工事です。信頼できるリフォーム会社や工務店に相談し、専門家のアドバイスを受けながら進めることが成功の鍵となります。例えば、東京ガスでは、ガス機器の交換だけでなく、住まいに関する様々なリフォームの相談に応じています。実績豊富な専門家が、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なプランを提案してくれますので、こうしたサービスを活用するのも一つの賢い方法と言えるでしょう。

参考文献

- 株式会社夢工場. (n.d.). アルミサッシと樹脂サッシの違いについてわかりやすくご紹介. 窓の専門店窓香房. https://www.dreamotasuke.co.jp/c/696/2921

株式会社中村建硝. (2024, October 29). アルミ樹脂複合サッシとオール樹脂サッシはどちらがいい？. MADOショップ. https://madoichiban.com/column/202410_08/

株式会社アイ・ジー・コンサルティング. (2024, June 15). 高断熱住宅では樹脂サッシをおすすめする理由アルミ樹脂複合サッシとの違い. IGC. https://www.e-igc.jp/mame/46972/

株式会社グラシオン. (2025, June 11). 樹脂サッシで後悔する4大ポイント！デメリットを把握して対策しよう. ガラスの修理交換はガラス110番. https://glass.otasuke-honpo.com/regrets-about-plastic-sashes/

YKK AP株式会社. (n.d.). アルミ樹脂複合窓. YKK AP. https://www.ykkap.co.jp/consumer/search/products/window/pvc-alumi

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