第一種換気システム完全ガイド｜省エネ・快適な暮らしを実現する選び方【2025年最新】

2025/9/28 23:172025/9/28 23:17

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本記事は作成日時時点の情報を元に調査・記載されています。

はじめに

近年、住宅の高気密・高断熱化が進むにつれて、「換気」の重要性がこれまで以上に高まっています。2003年には建築基準法で24時間換気システムの設置が義務化されましたが、単に空気を入れ替えるだけでなく、いかにエネルギーの損失を抑え、快適な室内環境を維持するかが新たな課題となっています。

そこで今、注目を集めているのが「第一種換気システム」です。このシステムは、外の新鮮な空気を取り入れつつ、室内の快適な温度を逃がさない「熱交換」という仕組みを持っており、省エネと快適性の両立を可能にします。しかし、「初期費用が高い」「メンテナンスが大変そう」といった声も聞かれます。

この記事では、第一種換気システムとは何か、その基本的な仕組みから、メリット・デメリット、そして後悔しないための選び方まで、専門的な情報を分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの住まいに最適な換気システムを見つけるための知識が身につくはずです。

24時間換気システムが法律で義務化された背景

そもそも、なぜ24時間換気システムの設置が法律で義務付けられているのでしょうか。その結論は、私たちの健康を守り、快適な室内環境を維持するために不可欠だからです。

2003年の建築基準法改正以前、日本の住宅は気密性が低く、隙間風によって自然に換気が行われていました。しかし、省エネ意識の高まりとともに住宅の高気密・高断熱化が進んだ結果、建材や家具から発生するホルムアルデヒドなどの化学物質が室内に滞留しやすくなり、「シックハウス症候群」が社会問題となりました。

この問題を解決するため、全ての新築住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられたのです。このシステムは、室内の汚れた空気を排出し、新鮮な外気を取り入れることで、化学物質の濃度を低減します。さらに、人の呼吸による二酸化炭素の増加や、調理・入浴で発生する湿気を排出することで、結露やカビ、ダニの発生を抑制し、住まいそのものの寿命を延ばす効果も期待できます。

換気システムの主な種類と基本的な違い

住宅で主に採用される24時間換気システムには、「第一種換気」と「第三種換気」の2種類があります。この二つの最大の違いは、給気（外の空気を取り込む）と排気（中の空気を捨てる）をどのように行うかという点にあります。

第一種換気システムの特徴

第一種換気は、給気と排気の両方を機械（ファン）で行います。機械で強制的に空気の流れをコントロールするため、安定的で計画的な換気が可能です。そして、最大の特徴が「熱交換」機能を搭載できる点です。これは、排出する室内の空気から熱（冬は暖かさ、夏は涼しさ）を回収し、取り込む外気にその熱を移してから室内に供給する仕組みです。

第三種換気システムの特徴

第三種換気は、排気のみを機械（ファン）で行い、給気は壁に設けられた給気口から自然に行います。仕組みがシンプルなため、導入コストが安く、メンテナンスも比較的容易です。しかし、外の空気がそのまま室内に入ってくるため、冬は冷たい空気が、夏は暑い空気が直接流れ込み、室温に影響を与えやすいというデメリットがあります。

このように、第一種換気は省エネ性と快適性を重視するシステム、第三種換気はコストとシンプルさを重視するシステムと言えます。

第一種換気システムのメリット

第一種換気システムを選ぶ最大のメリットは、熱交換による高い省エネ効果と、フィルターによるクリーンな空気環境を両立できる点にあります。

卓越した省エネ性能

熱交換器が、捨てる空気の熱を回収して取り込む空気に移すため、冷暖房の負荷を大幅に軽減します。例えば、冬に室温20℃、外気温0℃の場合、熱交換を行わない第三種換気では0℃の冷気がそのまま入ってきますが、熱交換率80%の第一種換気であれば、約16℃に暖められて給気されます。これにより、エアコンなどの暖房器具が消費するエネルギーを抑え、光熱費の削減に直結します。

安定した快適な室温維持

外気温の影響を受けにくいため、一年を通して室内の温度を快適に保ちやすくなります。特に、冬場のヒートショックリスクの低減や、夏場の冷房効率の向上に貢献します。第三種換気で感じがちな「給気口からの冷たいドラフト感」に悩まされることもありません。

クリーンな空気環境の実現

給気時に高性能なフィルターを通すことで、花粉やPM2.5、黄砂、ホコリといった外気の汚染物質を大幅に除去できます。これにより、アレルギー症状を持つ方や小さなお子様がいるご家庭でも、安心して過ごせるクリーンな空気環境を維持できます。フィルターの性能によっては、ウイルスサイズの微粒子まで捕集できる製品もあります。

第一種換気システムのデメリットと注意点

多くのメリットがある一方で、第一種換気システムにはいくつかのデメリットや注意点も存在します。導入を検討する際は、導入コストの高さと、定期的なメンテナンスの必要性を理解しておくことが重要です。

導入コストが高い

熱交換器本体に加え、各部屋に空気を送るためのダクト配管工事が必要になるため、第三種換気システムに比べて導入費用は高額になります。一般的な費用相場は50万円～100万円程度とされており、住宅の規模や導入する機種によって変動します。

定期的なメンテナンスが不可欠

システムの性能を維持し、きれいな空気を保つためには、フィルターの清掃や交換が欠かせません。これを怠ると、フィルターが目詰まりを起こして換気量が低下し、かえって電気代が高くなったり、汚れた空気が室内に供給されたりする原因となります。多くのメーカーでは、1～3ヶ月に1度のフィルター清掃と、6ヶ月～2年に1度のフィルター交換を推奨しています。

電気代の増加

給気と排気の両方をファンで行うため、排気ファンのみの第三種換気よりも消費電力は大きくなります。月々の電気代の目安は150円～700円程度とされていますが、これは熱交換による冷暖房費の削減分を考慮していない数値です。年間のトータルコストで見れば、電気代の増加分を上回る省エネ効果が期待できるケースがほとんどです。

停電時に換気機能が停止する

機械に依存しているため、停電が発生すると換気機能が完全に停止してしまいます。ただし、近年の住宅は計画的に換気しなくてもすぐに健康被害が出るわけではないため、過度に心配する必要はないでしょう。

失敗しない第一種換気システムの選び方

第一種換気システムの性能を最大限に引き出し、後悔しないためには、ご自身の住まいの性能とライフスタイルに合った製品を、専門家と相談しながら慎重に選ぶことが最も重要です。

住宅の断熱性・気密性（UA値・C値）

第一種換気システムは、高気密・高断熱な住宅でこそ、その真価を発揮します。家の隙間が多い（C値が大きい）と、計画外の場所から空気が流入し、熱交換の効率が著しく低下します。まずはご自身の家の断熱・気密性能を確認し、それに見合った換気計画を立てることが大前提です。

熱交換方式の種類（全熱交換 vs 顕熱交換）

熱交換には「全熱交換」と「顕熱交換」の2種類があります。「顕熱交換」が温度のみを交換するのに対し、「全熱交換」は温度に加えて湿度も交換します。夏は室内の湿気を排出し、冬は屋外の乾燥した空気に湿度を加えて給気するため、一年を通して快適な湿度を保ちやすくなります。高温多湿な日本の気候においては、一般的に「全熱交換」タイプが適していると言われています。

設置方式（ダクト式 vs ダクトレス）

従来は、天井裏などにダクトを配管して各部屋に空気を送る「ダクト式」が主流でした。しかし近年、壁に直接設置できる「ダクトレス」タイプも登場しています。ダクトレスは配管工事が不要でリフォームにも導入しやすい反面、家全体の換気計画が難しくなる場合があります。新築の場合は、より確実な換気経路を確保できるダクト式が推奨されることが多いです。

メンテナンスのしやすさ

フィルターの清掃や交換は、住み始めてからご自身で行う作業です。フィルターの取り出しやすさ、掃除のしやすさ、交換用フィルターの入手方法や価格などを、導入前に必ず確認しておきましょう。機種によっては、メンテナンス時期を知らせてくれる機能もあります。

信頼できる業者に相談して最適な換気計画を

第一種換気システムの導入は、単に機器を設置すれば終わりではありません。その性能を最大限に引き出すには、住宅全体の構造を理解し、空気の流れを緻密に計算した専門的な設計・施工が不可欠です。

ダクトの経路や長さ、給気口と排気口の位置関係など、一つひとつの要素が換気効率や静音性に大きく影響します。そのため、換気システムに関する豊富な知識と実績を持つ、信頼できる業者に相談することが成功の鍵となります。

また、住まいの快適性を追求する上では、換気だけでなく、給湯器やコンロ、冷暖房設備といった他の住宅設備との連携も重要になります。例えば、エネルギーの専門家である東京ガスグループでは、ガス給湯器やビルトインコンロの交換はもちろんのこと、レンジフード（換気扇）や温水式浴室暖房乾燥機といった、換気に関連する住宅設備のリフォームも幅広く取り扱っています。

特に、ガス温水を利用する床暖房や浴室乾燥機は、第一種換気システムと組み合わせることで、家全体のエネルギー効率をさらに高めることが可能です。住宅設備に関するお悩みや計画をお持ちなら、まずはガス機器から水まわり、リフォームまでワンストップで相談できる東京ガスのような専門業者に、家全体の視点から最適なプランを提案してもらうことをお勧めします。

まとめ

この記事では、省エネで快適な室内環境を実現する「第一種換気システム」について、その仕組みからメリット・デメリット、そして選び方のポイントまでを詳しく解説しました。

第一種換気システムは、熱交換によって冷暖房のエネルギーロスを抑え、高性能フィルターによってクリーンな空気を維持できる、非常に優れた換気方式です。高気密・高断熱住宅の性能を最大限に引き出し、「省エネ」「快適」「健康」な暮らしを重視する方にとって、非常に有力な選択肢となるでしょう。

一方で、導入にはまとまった初期費用がかかり、その性能を維持するためには定期的なメンテナンスが欠かせません。メリットとデメリットの両方を十分に理解した上で、ご自身のライフスタイルや予算、そして住まいの性能に合わせて、最適な製品を選ぶことが重要です。

最終的には、本記事で紹介した選び方のポイントを参考に、信頼できる専門家とよく相談しながら、あなたの理想の住まいづくりを実現してください。