東京23区の新築マンション平均2億6,520万円は値札が2倍になった数字ではありません|中央値1億2,153万円との差を発表元の資料で確かめました
★「東京23区の新築マンションは平均2億6,520万円」という数字が流れています。これは2026年7月の1か月間に売り出された新築分譲マンションの平均で、同じ東京23区の平均は3か月前の2026年4月には1億2,498万円でした。この記事では、発表元である株式会社不動産経済研究所の資料をそのまま並べ、平均と中央値のどちらを自分の予算と比べればよいのかを整理します。
2億6,520万円は「東京23区・2026年7月・新築分譲・平均」の数字です
東京23区の新築分譲マンションの戸当たり平均価格は、2026年7月が2億6,520万円でした(株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年7月」2026年8月20日発表)。同じ資料で、首都圏1都3県の平均は1億6,493万円、1平方メートルあたりの単価は236.9万円です。
この数字には範囲があります。
- 対象は東京23区。この月の発売は1,028戸です
- 対象は新築の分譲マンション。中古も賃貸も入っていません
- 期間は2026年7月の1か月間だけです
- 平均値であって、真ん中の価格ではありません
発表元は同じ資料の見出しで理由を書いています。原文は「平均価格 1億6,493万円。23区内の大規模物件始動で最高値を更新。」です。値札が上がったという説明ではなく、その月にどの物件が売り出されたかの説明になっています。
同じ東京23区の平均は、3か月前は1億2,498万円でした
月次の発表を2つ並べると、平均価格がどれだけ動く数字なのかが分かります。
| 項目 | 2026年4月 | 2026年7月 |
|---|---|---|
| 東京23区の平均価格 | 12,498万円 | 26,520万円 |
| 東京23区の発売戸数 | 352戸 | 1,028戸 |
| 都心6区の発売戸数 | 42戸 | 440戸 |
| 都心6区の平均価格 | 2億2,426万円 | 4億3,699万円 |
| 首都圏の平均価格 | 8,736万円 | 16,493万円 |
※ 株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」2026年4月分(2026年5月21日発表)・2026年7月分(2026年8月20日発表)より。都心6区は千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷の6区。
3か月で東京23区の平均は約2.1倍になっていますが、同じ物件の値札が2.1倍になったのではありません。都心6区の発売戸数が42戸から440戸へ増え、平均を押し上げる住戸が大量に母集団へ入ったためです。4月の資料の見出しは「平均価格 8,736万円。前年同月比24.8%UPも3カ月ぶりの1億円割れ。」でした。同じ「首都圏の平均価格」が、3か月のあいだに1億円を割ったり1億6,000万円を超えたりします。
平均と中央値はどう違いますか
中央値は、価格を順番に並べたときにちょうど真ん中に来る値です。発表元自身が定義を書いています。
中央値(MEDIAN)とは、価格や面積を順番に並べた際にちょうど真ん中となる値のこと。非常に面積が広く高価格な住戸、あるいは非常に面積が狭く低価格な住戸の供給の影響を平均値と比較して受けにくい指標とされる。
※ 株式会社不動産経済研究所「首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の中央値の推移 2026年上半期」2026年8月13日発表より引用。
4億円の住戸が440戸出てきた月でも、中央値はその影響を平均ほど受けません。同じ市場を2つの物差しで測ると、次のように離れます。
エリア別の平均値と中央値(2026年上半期)
| エリア | 平均値 | 中央値 | 差 |
|---|---|---|---|
| 東京23区 | 14,249万円 | 12,153万円 | 2,096万円 |
| 東京都下 | 7,550万円 | 6,770万円 | 780万円 |
| 神奈川県 | 8,346万円 | 7,290万円 | 1,056万円 |
| 埼玉県 | 6,469万円 | 5,918万円 | 551万円 |
| 千葉県 | 8,997万円 | 6,868万円 | 2,129万円 |
| 首都圏 | 10,135万円 | 8,040万円 | 2,095万円 |
※ 同「中央値の推移 2026年上半期」(2026年8月13日発表)の表1より。差は当サイトで引き算したものです。2026年上半期は1〜6月。
いちばん離れているのは千葉県で、2,129万円あります。平均値が前期の5,904万円から8,997万円へ動いた一方で、中央値は5,348万円から6,868万円(上昇率28.4%)でした。東京23区より差が大きいエリアがあることは、平均という数字の性質をよく表しています。
それでも、価格そのものは上がっています
ここを取り違えないでください。平均が偏りやすいという話と、値上がりしていないという話は別です。中央値も上がっています。
| 期間 | 首都圏の中央値 | 東京23区の中央値 |
|---|---|---|
| 2021年上半期 | 5,488万円 | 6,718万円 |
| 2023年上半期 | 5,998万円 | 8,390万円 |
| 2025年上半期 | 6,898万円 | 11,010万円 |
| 2026年上半期 | 8,040万円 | 12,153万円 |
※ 同表1より。5年間で首都圏の中央値は46.5%、東京23区の中央値は80.9%の上昇(当サイトで計算)。
首都圏の中央値は前期比で1,023万円・14.6%上がり、半期で見て7期連続の上昇です。発表元は上昇の理由として、建設業の2024年問題以降の人件費の上昇、資材費と用地費の高騰、都心での高級物件やタワーマンションの積極供給、駅近など立地を厳選する傾向を挙げています。2026年上半期には1都3県で2,783戸の億ションが発売されました。
自分の予算と比べるなら、どちらを見ればよいですか
中央値です。平均値は「売り出された住戸の集合を1つの数字にまとめたもの」で、超高額な住戸が数百戸入るだけで大きく動きます。自分が買える帯にどれだけ選択肢があるかを知りたいときは、真ん中の値のほうが実感に近くなります。
具体的には、首都圏で探すなら8,040万円、東京23区に絞るなら1億2,153万円、埼玉県なら5,918万円が2026年上半期の真ん中です。専有面積の中央値は68.97平方メートルで、平均値との差は2.04平方メートルでした。
ただし平均値が悪い指標だということでもありません。市場全体でどれだけの金額が動いたかを見るときは平均のほうが向いています。用途が違うだけです。
数字を見るときの3つの確認点
- 範囲はどこまでか。「東京23区」なのか「首都圏」なのか、新築か中古か、1か月ぶんか半期ぶんか
- 平均値か中央値か。同じ2026年上半期の東京23区でも、14,249万円と12,153万円で2,096万円違います
- いつ発表された数字か。月次は毎月20日前後、中央値は半期ごとの発表です
不動産の数字は、この3つを外すと別の話になります。相場を扱う記事やニュースを読むときは、まず「何の平均か」を探してください。
よくある質問
Q. 2億6,520万円は中古マンションにも当てはまりますか。
いいえ。この数字は新築分譲マンションだけを集計したものです。中古マンションの価格は別の統計になります。
Q. 平均が前年同月比で96.0%上がったのは、同じ物件が2倍になったからですか。
いいえ。前年同月と比べて、その月に売り出された物件の構成が変わったためです。2026年7月は都心6区で440戸(前年同月は351戸)が発売され、その平均は4億3,699万円でした。
Q. 首都圏の中央値はいくらですか。
2026年上半期で8,040万円です(2026年8月13日発表)。前期の7,017万円から1,023万円・14.6%の上昇でした。
Q. 発売戸数は減っているのに価格が上がるのはなぜですか。
発表元は、人件費・資材費・用地費の上昇に加えて、都心での高級物件やタワーマンションの積極供給、駅近立地を厳選する傾向を理由に挙げています。戸数と価格は別に動きます。
Q. 中央値はどこで発表されていますか。
株式会社不動産経済研究所が半期ごとに公表しています。直近は2026年8月13日発表の「首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の中央値の推移 2026年上半期」です。
数字を読めるようになってから、借りる額を決めてください
相場の数字を自分の家計に落とすには、価格そのものより「毎月いくら返すのか」「その返済額が何年続くのか」を先に置いたほうが判断しやすくなります。
お金の教養講座(無料・ファイナンシャルアカデミー)
運営は株式会社FinancialAcademy(創立2002年6月・資本金1,000万円)です。同社の沿革によれば、累計受講生数は2025年に80万人を突破しています(2026年9月14日確認)。家計と資産形成の基礎を扱う講座で、特定の物件を紹介するものではありません。
まとめ
- 東京23区の新築マンション平均2億6,520万円は、2026年7月の1か月ぶんの平均です(2026年8月20日発表)
- 同じ23区の平均は、3か月前の2026年4月は1億2,498万円でした。都心6区の発売戸数が42戸から440戸へ増えたことが効いています
- 2026年上半期の中央値は、首都圏8,040万円・東京23区1億2,153万円です(2026年8月13日発表)
- 中央値も7期連続で上昇しています。平均が偏りやすいことと、値上がりしていないことは別の話です
- 自分の予算と比べるなら中央値、市場全体の規模を見るなら平均値。用途が違います
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※ 本記事の価格はすべて株式会社不動産経済研究所の公表資料にもとづく数値で、取得日は2026年9月14日です。差と上昇率のうち、出典に記載のないものは当サイトで計算しました。