給湯器のクーリング・オフは工事後でもできます|8日間・無償で元に戻せます
この記事を読むと分かること
- 工事が終わっていても、対価を払わずに無償で原状回復させられること
- 8日の起算は「書面を受け取った日」で、書面に不備があれば期間を過ぎてもできる場合があること
- クレジット契約は販売会社とクレジット会社の両方に同時に通知する必要があること
給湯器の訪問販売はクーリング・オフできますか
自宅に訪問してきた業者と給湯器の契約をした場合、法定書面を受け取った日から8日以内であれば、無条件でクーリング・オフできます。特定商取引法で定められた訪問販売のルールです(2026年9月6日現在)。
電話で勧誘を受けて契約した場合(電話勧誘販売)も、同じく8日間です。
「もう契約書にサインした」「工事の日程まで決めた」という段階でも、期間内なら関係ありません。理由を説明する必要もなく、違約金も発生しません。
工事が終わっていてもクーリング・オフできますか
できます。しかも、取り付けた給湯器を無償で撚去させ、配管などを元に戻させることができます。
消費者庁の特定商取引法ガイドは、訪問販売のクーリング・オフについてこう説明しています。
- 既に商品を受け取っている場合、販売業者の負担で引き取ってもらえる
- 商品が使用されている場合や、役務が既に提供されている場合でも、その対価を支払う必要はない
- 損害賠償や違約金を支払う必要はない
- 頭金等を支払っている場合は、速やかに返金される
- 土地又は建物その他の工作物の現状が変更されている場合には、無償で元に戻してもらうことができる
給湯器の交換は、まさにこの「工作物の現状が変更されている」に当たります。設置してしまった、配管を触った、古い機器を撚去された。どれもクーリング・オフを妨げる理由になりません。
「もう工事しちゃったから無理ですよ」と言われても、それは正しくありません。
8日はいつから数えますか
申込書面または契約書面の、いずれか早いほうを受け取った日から起算します。契約した日でも、工事した日でもありません。
そして、ここが実務で効きます。
書面の記載内容に不備があるときは、8日を過ぎていてもクーリング・オフできる場合があります。
訪問販売の書面には、法律で記載事項が決まっています。商品の種類、販売価格、支払時期と方法、引渡時期、クーリング・オフに関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号・代表者名、担当者名、契約年月日、商品名・型式・数量などです。
「書面をもらっていない」「クーリング・オフの説明が書かれていない」という場合は、期間の起算が始まっていない可能性があります。8日を過ぎていても、あきらめる前に消費生活センターに相談してください。
もう1つ、クーリング・オフ妨害があった場合も期間が延びます。「できません」と言われたり、脅されたりしてできなかった場合は、所定の期間を過ぎてもクーリング・オフができます。
どうやって通知しますか
書面(はがきで構いません)または電磁的記録で通知します。2022年6月1日から、電子メールなどの電磁的記録でも可能になりました。
はがきで送る場合
- 両面をコピーしてから送る
- 特定記録郵便または簡易書留など、発信の記録が残る方法で、代表者あてに送る
- コピーと送付の記録を一緒に保管する
電磁的記録で送る場合
まず契約書面を確認してください。電磁的記録による通知先や具体的な方法が書かれていれば、それに従います。電子メールのほか、USBメモリ等の記録媒体、事業者が自社サイトに設けるクーリング・オフ専用フォームが挙げられています。FAXも可能です。
送ったあとは、メールや専用フォームの画面のスクリーンショットを保存しておきます。
書く内容
契約年月日、契約者名、購入商品名、契約金額など、事業者が対象の契約を特定するために必要な情報と、クーリング・オフの通知を発した日を書きます。
商品を引き渡している場合は「引き渡し済みの商品○○を返還してください」を追記します。
クレジット契約をしている場合
販売会社とクレジット会社の両方に、同時に通知します。どちらか一方では足りません。給湯器は金額が大きく、ローンやクレジットを使うことが多いので、ここは落とさないでください。
関係書類と送付の記録は、少なくとも5年間保管してください。
クーリング・オフができない場合はありますか
あります。主なものは次の3つです。
| 場合 | 扱い |
|---|---|
| 自分から店舗に出向いて契約した | 訪問販売に当たらないため対象外 |
| 通信販売(ネット通販など) | クーリング・オフ制度そのものがありません |
| 現金取引で総額3,000円未満 | 規定が適用されません |
通信販売の扱いは間違えやすいところです。返品の可否や条件についての特約があれば、その特約に従います。特約が無い場合は、商品を受け取った日を含めて8日以内なら返品できますが、返品費用は消費者の負担になります。
給湯器をネットで注文して工事を頼んだ場合は、通信販売にあたる可能性があります。申し込む前に、その業者の返品特約を読んでおいてください。
給湯器の訪問販売が来たときに、その場でやること
契約するかどうかを、その場で決めないでください。これが最も効きます。
事業者は、契約の申込みを受けたとき、または契約を締結したときに、法定の記載事項を書いた書面を渡さなければなりません。その場で書面を受け取り、持ち帰って読む時間を作れるかどうかで、後の選択肢が変わります。
そのうえで、次を確かめてください。
- 会社の名称・住所・電話番号・代表者名が書面にあるか
- クーリング・オフに関する記載があるか
- 商品名と型式が書いてあるか(「給湯器一式」だけでは不十分です)
- 総額の内訳(本体・リモコン・工事費・撚去処分費)
- 工事をする会社の資格(都市ガスの二次側配管には簡易内管施工士、給水装置の工事には指定給水装置工事事業者の指定が必要です)
「今日中に決めれば安くなる」は、その場で決めさせるための言い方です。給湯器は10年以上使う設備で、急ぐ理由は本来ありません。お湯が出なくて本当に急ぐ場合でも、給湯器交換業者の比較にある業者に相見積もりを取る時間はあります。
同じ手口は他の住宅設備でも起きています。レンジフード・換気扇フィルターの悪質訪問販売の全手口とクーリングオフ完全ガイド、食洗機の訪問販売トラブル・クーリングオフ完全ガイド、浴室乾燥機の訪問販売・点検商法に注意もあわせてご覧ください。
よくある質問
給湯器を設置してもらった後でもクーリング・オフできますか
できます。消費者庁は、役務が既に提供されている場合でもその対価を支払う必要はなく、建物その他の工作物の現状が変更されている場合には無償で元に戻してもらえると説明しています。設置済みでも、撚去と原状回復の費用は事業者の負担です。
8日を過ぎてしまいました。もう無理ですか
書面の記載内容に不備がある場合や、事業者がクーリング・オフを妨害した場合には、所定の期間を過ぎてもクーリング・オフができることがあります。まず契約書面に法定の記載事項がそろっているかを確認し、消費生活センターに相談してください。
メールでクーリング・オフしてもいいですか
2022年6月1日から、書面のほか電磁的記録でも通知できます。電子メール、USBメモリ等の記録媒体、事業者のクーリング・オフ専用フォーム、FAXが挙げられています。契約書面に通知先や方法の指定があれば、それに従ってください。送信後はスクリーンショットを保存します。
ローンを組んだ場合はどこに連絡しますか
販売会社とクレジット会社の両方に、同時に通知します。販売会社だけに送ると、クレジット契約が残る恐れがあります。給湯器は分割払いを使うことが多いので、契約書でクレジット会社の名称と連絡先を確認してください。
ネットで注文した給湯器も返品できますか
通信販売にはクーリング・オフ制度がありません。返品の可否はその業者の返品特約によります。特約が無い場合は受け取った日を含めて8日以内に返品できますが、返品費用は消費者の負担です。工事を伴う契約は扱いが複雑になるため、申し込む前に条件を確認してください。
まとめ:期間より先に、書面を確認する
公的資料から確認できたことを並べます(いずれも2026年9月6日取得)。
- 訪問販売・電話勧誘販売のクーリング・オフは8日間
- 起算は申込書面または契約書面のいずれか早いほうを受け取った日
- 書面に不備があれば、期間を過ぎてもできる場合がある
- 工事が終わっていても、対価の支払いは不要。無償で原状回復させられる
- 損害賠償や違約金は不要
- 2022年6月1日から電磁的記録でも通知できる
- クレジット契約は販売会社とクレジット会社の両方に同時通知
- 通信販売にはクーリング・オフ制度が無い(返品特約次第。特約が無ければ受取日を含め8日以内、費用は消費者負担)
- 関係書類と送付の記録は5年間保管
「工事が終わったからもう無理」は、事実と違います。判断に迷ったら、期間内かどうかを自分で結論づける前に、消費生活センターへ相談してください。通知は自分で行えます。
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