内窓のガラス選びで断熱性能が決まる:Low-E・複層ガラス・アルゴンガス入りを徹底比較

この記事を読むと分かること
  • Low-E・複層ガラス・アルゴンガス入りで断熱性能がどれだけ違うか分かる
  • アルゴンガス入りの断熱アップのしくみと費用対効果が数字で分かる
  • 補助金を活用してアルゴンガス入り内窓をお得に設置する方法が分かる
内窓(二重窓)を設置しようとしている方が必ず直面するのが「ガラスのグレード選び」です。
「Low-Eガラスって、普通のペアガラスとどう違うの?」
「アルゴンガス入りって本当に効果があるの?費用はいくら追加になる?」
「どのグレードを選べばコスパが最大になる?」
そうは言っても、ガラスの種類は複数あって、カタログを見ているだけでは違いがよく分からないですよね。実際に選ぶ段階になって迷ってしまう方は非常に多いです。
この記事では、内窓のガラス選びで知っておくべき「Low-E・複層ガラス・アルゴンガス入り」の違いを、U値(熱貫流率)という具体的な数値と、2026年9月時点の補助金の実額で整理します。読み終えれば、あなたの自宅に最適なガラスグレードが自信を持って選べるようになります。

そもそもペアガラス・Low-Eガラス・アルゴンガス入りで何が違うの?

窓ガラスの断熱性能は、大きく分けると「ガラスの枚数」と「ガラスの特殊加工」によって決まります。内窓のガラスを選ぶとき、主に以下の4種類から選ぶことになります。
  1. 単板ガラス(通常の1枚ガラス)
  1. 複層ガラス(ペアガラス)(2枚のガラスの間に空気を挟む)
  1. Low-E複層ガラス(片方のガラスに金属膜をコーティング)
  1. アルゴンガス入りLow-E複層ガラス(Low-Eの中空層をアルゴンガスで満たす)
この4種類を理解するだけで、ガラス選びの大半は解決します。それぞれの特徴を順番に解説します。

複層ガラス(ペアガラス)の基本

複層ガラスとは、2枚のガラスの間に「中空層」と呼ばれる空気の層を設けたガラスのことです。空気は熱を伝えにくい(断熱性が高い)という性質を利用しており、単板ガラスに比べて断熱性能が約2倍に向上します。
昭和・平成の住宅で多く使われてきたのがこのペアガラスです。しかし「ペアガラスだから断熱は十分」と思っていたとしたら、少し注意が必要です。標準的なペアガラスだけでは、現在の省エネ基準を十分に満たさないケースも珍しくありません。

Low-E膜の仕組み:熱を「反射」して冬暖かく夏涼しく

Low-Eとは「Low Emissivity(低放射率)」の略です。ガラスの表面に金属酸化物の薄い膜をコーティングすることで、熱(遠赤外線)の放射を抑制します。
日本語で言えば「熱を反射するコーティング」です。このコーティングにより、標準的なペアガラスに比べて熱貫流率(U値)が大きく改善します。
  • 標準ペアガラス:U値 約2.9 W/㎡K
  • Low-E複層ガラス(断熱タイプ):U値 約1.6 W/㎡K
U値が低いほど熱を通しにくく、断熱性能が高いことを意味します。Low-Eガラスは断熱性能をほぼ2倍近く引き上げます。

Low-Eには遮熱タイプと断熱タイプの2種類がある

Low-Eガラスにはさらに「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」があり、どちらを選ぶかが部屋の方角や使い方によって変わります。
  • 遮熱タイプ:夏の日射熱の侵入を抑えることを重視。西日・南向きの窓に向く。
  • 断熱タイプ:冬の室内の暖気を逃さないことを重視。北向き・東向きの窓に向く。
日本の住宅では冬の暖房コストのほうが夏の冷房コストより高くなるケースが多いため、一般的には断熱タイプを選ぶ方が多いです。ただし、西日が強い部屋や夏の暑さが悩みの場合は遮熱タイプも有効な選択肢です。

アルゴンガスを入れると何が変わる?断熱力10〜20%アップの正体

アルゴンガス入りLow-E複層ガラスは、Low-Eガラスの中空層(2枚のガラスの隙間)を、空気よりも熱伝導率の低い「アルゴンガス」で満たしたものです。

アルゴンガスの熱伝導率が空気より低い理由

アルゴンは大気中に約1%存在する不活性ガスです。その特徴は以下の通りです。
  • 熱伝導率:空気が約0.024 W/m·K に対し、アルゴンは約0.016 W/m·K(空気の約2/3)
  • 比重:空気の約1.4倍の重さがある → 中空層での対流が起きにくい
  • 不活性ガス:化学反応を起こさず、ガラスや金属を劣化させない
これらの性質により、アルゴンガス入りにすることで断熱性能がさらに10〜20%向上するとされています。Low-E複層ガラスのU値が1.6 W/㎡Kだったところ、アルゴンガス入りにすると1.3〜1.4 W/㎡K程度まで下がります。

「10〜20%」をどう受け取るか

体感や電気代の削減額を具体的な数字で示している記事を見かけますが、この記事では書きません。室温が何℃上がるか、電気代が何円下がるかは、窓の面積・部屋の断熱・暖房機器・契約プラン・その冬の気温で大きく動くため、他人の数字がそのまま自分に当てはまらないからです。
数字として言えるのは、ガラスのU値の比だけです。標準ペアガラスの約2.9に対し、Low-E複層が約1.6、アルゴンガス入りが約1.3〜1.4。アルゴンガスを入れて縮まるのは、この1.6から1.3〜1.4への差であって、内窓を付けること自体の効果(単板から複層への差)に比べれば小さい、という位置づけになります。
つまり、内窓を付けるかどうかで大きく変わり、ガラスをどれにするかは詰めの調整です。予算が限られていて「窓の数を減らしてアルゴンガス入りにする」か「標準グレードで全窓に入れる」かで迷うなら、窓の数を優先するほうが体感は大きくなります。

アルゴンガス入りの唯一の弱点:「ガス抜け」問題を正直に解説

アルゴンガス入りのメリットばかりお伝えしてきましたが、一方で知っておくべき弱点も存在します。長期間使用することを前提とした場合、「ガス抜け」という現象を正直にお伝えします。

年間1%のガス漏れは設計上「想定内」

アルゴンガスは、中空層を密閉するシーリング材(スペーサー内)から年間約1%の割合でゆっくりと漏れていきます。これは製品設計上「想定内」の現象であり、欠陥ではありません。
新品時にはガラス内部の約98%がアルゴンガスで満たされていますが、30年経つと約70%程度になります。30%以上ガスが抜けると断熱性能が標準ペアガラスと大差ない水準まで低下する可能性があります。
ただし、実際には中空層の密閉精度が製品ごとに異なります。一部の製品では5〜15年という比較的短い期間でガス漏れが進む事例もあるため、「アルゴンガス入りだから半永久的に高性能」という過信は禁物です。メーカーの製品保証期間(多くは10年)の確認も重要です。

内部結露というリスク

アルゴンガス入りを含む複層ガラス全般に起こりうるのが「内部結露」です。シーリング材が劣化して微小な隙間ができると、そこから湿気が侵入してガラス間で結露が発生する現象です。
一度内部結露が起きると拭き掃除で解決することはできません。断熱性能も著しく低下するため、ガラスの交換が必要になります。内部結露を防ぐためには「信頼できる施工業者を選ぶこと」が何より重要です。窓枠への取り付けが適切でないと、シーリング材への負荷が増してガラスの寿命が縮まります。

防音効果への過大期待に注意

あなたも「アルゴンガス入りにすれば防音効果も上がるのでは?」と考えたことはありませんか?実際にはアルゴンガス自体に大きな防音効果はありません。空気より比重が重いため、わずかな効果はありますが、体感できるレベルの差ではないことがほとんどです。
防音を主な目的とするなら、気密性の高い内窓(インプラスの防音グレードなど)を選ぶほうが効果的です。

【比較表】ガラスグレード別の断熱性能と費用

4種類のガラスを、断熱性能(U値)と費用の観点で整理すると以下のようになります。
ガラスの種類U値(W/㎡K)内窓1か所あたりの費用目安特徴
標準複層ガラス約2.9〜3万円基本的な断熱効果
Low-E複層ガラス(断熱)約1.63〜5万円断熱性能が標準比約1.8倍
Low-E複層ガラス(遮熱)約1.63〜5万円夏の日射熱カットが得意
アルゴンガス入りLow-E約1.3〜1.45〜8万円最高レベルの断熱性能
アルゴンガス入りとなしの差は1か所あたり2,000〜3,000円程度が相場です。家全体でまとめて内窓設置すると3〜5万円の差になることもあります。
後述する補助金制度(先進的窓リノベ事業)を活用すれば、この費用差は大幅に圧縮できます。費用対効果を数字で考えると、アルゴンガス入りは「最もコスパの高い断熱アップグレード」の一つです。

インプラス・プラマードUでアルゴンガスを選ぶには?補助金活用法も

内窓の代表格であるLIXILのインプラスとYKK APのプラマードUでは、どちらもアルゴンガス入りガラスを選択できます。

インプラスのガラス選択肢

LIXILのインプラスでは、「アルゴンガス入り高断熱複層ガラス」「アルゴンガス入り遮熱高断熱複層ガラス」などが選択可能です。価格差は1か所あたり2,000〜3,000円程度が目安とされています。
また、先進的窓リノベ2026事業の内窓の性能区分は、(Uw1.1以下)と (Uw1.5以下)の2つだけです(2026年9月時点・公式サイトより。編集部調べ)。2025年まであった (Uw1.9以下)は2026年の表から無くなりました。
ここで使うUwは「窓全体の熱貫流率」で、上の表に載せたガラス単体のU値とは別の数字です。アルゴンガス入りにすればガラスのU値は下がりますが、それだけで自動的に になるわけではありません。どの区分に入るかは製品ごとの登録で決まり、根拠はメーカーが発行する「性能証明書」です。見積もりの段階で、その製品がどちらの区分かを必ず確認してください。

プラマードUでの選択肢

YKK APのプラマードUも同様に、アルゴンガス入りLow-Eガラスのオプションがあります。枠の素材(樹脂)は両製品ともに共通なので、ガラスグレードでの選択が主な差別化ポイントです。どちらのメーカーも認定施工店制度があり、施工品質の管理が担保されています。

先進的窓リノベ2026事業の補助額(環境省)

「先進的窓リノベ2026事業」は環境省の事業です。国土交通省が所管する「みらいエコ住宅2026事業」とは別の制度で、同じ窓に両方から補助を受けることはできません。
内窓設置の補助額は、性能区分()と窓のサイズで決まります。戸建住宅の場合は次のとおりです。
性能区分特大(4.0㎡以上)大(2.8〜4.0㎡)中(1.6〜2.8㎡)小(0.2〜1.6㎡)
P(SS)Uw1.1以下140,000円89,000円58,000円36,000円
S Uw1.5以下76,000円52,000円34,000円22,000円
※ 1製品あたりの額。集合住宅はこれより高く、特大ので152,000円です。2026年9月に環境省の公式サイトで確認(編集部調べ)。
★見落としやすいのが申請の下限です。1申請あたりの補助額が5万円以上でなければ申請できません。中サイズの窓をで1か所だけ(34,000円)では届かないので、複数の窓をまとめて申請するか、の製品を選ぶかの判断が要ります。
また、申請できるのは登録された「窓リノベ事業者」だけで、住んでいる人が直接申請することはできません。公式サイトに「窓リノベ事業者の検索」があるので、依頼先が登録されているかを社名で確認できます。業者選びの際に、補助金申請の対応可否も必ず確認してください。

設置前に確認しておくと、あとで困らない4か所

内窓は「ガラスを選んで発注すれば終わり」ではありません。発注してからでは戻せない箇所を、先に挙げておきます。

① カーテンレールと干渉しないか

内窓は既存の外窓の内側(屋内側)に、もう1枚の窓を作ります。その分だけ室内側にせり出すため、既存のカーテンレールの位置と当たることがあります。当たる場合はレールの移設が必要になり、カーテンの丈が合わなくなることもあります。現地調査のときに、必ず「今のカーテンはそのまま使えますか」と聞いてください。

② 窓の開閉が2回になることを許容できるか

換気のたびに内窓と外窓の両方を開けることになります。毎日何度も開け閉めする窓(キッチンの勝手口側など)では、これが負担になることがあります。逆に、めったに開けない窓(寝室・北側の窓)は内窓に向きます。

③ 熱割れのリスクがある配置ではないか

熱割れは、ガラスの一部だけが強く暖まって温度差ができたときに起こります。内窓に限った現象ではありませんが、内窓を入れると外窓との間に熱がこもりやすくなるため、日射が強く当たる窓に厚手のカーテンやブラインドを密着させる使い方は避けたほうが安全です。ここは施工業者に、その窓の方角と使い方を伝えて判断してもらうところです。

④ 既存の外窓の状態

外窓のサッシが歪んでいたり、結露で下枠が傷んでいたりすると、内窓を付けても隙間から空気が入ります。内窓は外窓の不具合を隠すものではありません。現地調査で外窓の状態も見てもらってください。
内窓は、東京ガスの機器交換でも、見積もりの前に現場調査が入ります(他の機器は写真だけでオンライン見積もりが出ます)。サイズと取り付け条件を実際に見ないと決められないためで、ここを省く業者のほうがむしろ不安です。

内窓工事で失敗しないための業者選び:「10年保証」の実態も解説

いくら高性能なアルゴンガス入りLow-E内窓を選んでも、施工の質が低ければ本来の断熱性能を発揮できません。内窓工事において業者選びはガラス選びと同じくらい重要です。

「10年保証」を売りにする業者の実態

内窓施工業者の多くが「10年保証」を売りにしていますが、この「保証」の実態をよく理解しておく必要があります。
複層ガラスが実際に問題を起こすのは、施工直後の初期不良か、10〜20年以上経過後のシーリング劣化が多いです。施工不良は通常、設置後数週間〜数カ月以内に発覚します。10年後に施工不良を証明することはほぼ不可能です。また、中小の施工業者が10年後も同じ社名で営業している保証はどこにもありません。
つまり「10年保証」は実質的なマーケティング訴求であることが多く、保証の中身よりも「10年後も存続している会社かどうか」を判断基準にすることが重要です。

信頼できる業者を選ぶ3つの基準

① 上場企業または大手インフラ企業が関与していること
個人情報の取り扱いや施工品質管理において、上場企業は株主・当局への説明責任が求められます。これは中小業者が10年後に消えてしまうリスクとの大きな違いです。
② LIXILやYKK APの認定施工店であること
インプラスやプラマードUは、メーカーの認定施工店制度があります。認定施工店は施工技術の研修を受けており、施工品質の基準をクリアしています。認定の有無を事前に確認しましょう。
③ 追加費用の透明性
「現地調査後に費用が大幅に上がった」「オプションを次々と勧められた」という事例も報告されています。見積もり後の追加費用が発生しない明朗会計を謳っている業者を選びましょう。
関東圏(東京ガスのサービスエリア内)にお住まいなら、東京ガスの機器交換が最有力の選択肢です。東証プライム上場の大手インフラ企業が運営しており、組織的な施工品質管理が担保されています。

まとめ:アルゴンガス入りLow-E内窓は「最もコスパの高い断熱投資」

ここまでの内容を整理します。
ガラスの断熱性能は「単板ガラス<標準複層ガラス<Low-E複層ガラス<アルゴンガス入りLow-E複層ガラス」の順に高くなります。アルゴンガスを入れることで断熱性能がさらに10〜20%向上し、追加コストは1か所あたり2,000〜3,000円程度に収まります。補助金(先進的窓リノベ事業)を活用すれば、実質負担はさらに抑えられます。
注意点として、アルゴンガスは年間約1%ずつ漏れるため、30年超の超長期では性能低下が見込まれます。ただし、短中期(10〜20年)の断熱効果と電気代削減効果を考えれば、明らかにコストに見合う選択です。
そして最後に最も重要なことをお伝えします。どんなに高性能なガラスを選んでも、施工業者の質が低ければ意味がありません。10年後も存続できる信頼性の高い業者を選ぶことが、アルゴンガス入りLow-E内窓の性能を最大限に活かす唯一の方法です。
関東圏にお住まいなら、東京ガスの機器交換をぜひ第一候補として検討してみてください。

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