ノーリツのスモークカットが付くのはプログレだけです|オルシェは焼網グリルなので非搭載(公式の性能早見表で確認)
この記事を読むと分かること
- ノーリツのスモークカット機能の仕組みと「煙80%・ニオイ92%削減」の実態
- スモークカットが付くのはマルチグリル搭載機だけで、現行の性能早見表ではプログレ1シリーズだけであること
- オルシェのニオイ対策は別機能(グリルクリーンモード)で、効く場面が違うこと
ノーリツの「スモークカット」とは何か?その仕組みを理解しよう
アパートやマンションに住んでいると、「魚を焼いたら部屋中が臭くなった」「隣の部屋に迷惑をかけないか不安」といった経験はありませんか?そんな悩みを解消するために生まれたのが、ノーリツのビルトインガスコンロに搭載された「スモークカット」機能です。
スモークカットとは、グリル調理中に発生する煙やニオイを大幅に削減する機能です。具体的には、グリルの燃焼方式に改良を加えることで、排気口から外に出る煙の量を従来比約80%削減、ニオイについては約92%削減することを実現しています。
日本の住宅環境は年々変わっており、特に2010年代以降に建てられた新築住宅は高気密・高断熱仕様が標準化されています。こうした住宅ではキッチンで発生したニオイが逃げ場を失い、リビング全体に広がりやすくなっています。スモークカット機能は、こうした住宅環境の変化に対応した機能といえるでしょう。
スモークカットはどうして煙とニオイを減らせるのか?
通常のガスグリルでは、魚などの食材を焼くと脂が燃えて煙が発生し、その煙がそのまま排気口から部屋に放出されます。ニオイの成分も煙とともに広がるため、調理後もしばらくキッチン周りや部屋全体にニオイが残ってしまいます。
スモークカット機能では、この「発生した煙とニオイをどう処理するか」という点に工夫が施されています。グリル庫内の燃焼方式を見直すことで、食材から出た油脂分をより高温で燃やし切る仕組みになっています。これにより、煙の元となる物質が大幅に分解され、排気される段階では煙もニオイも著しく少なくなるという仕組みです。
スモークカットが使えるのは、「マルチグリル」を積んだ機種だけです。ノーリツ公式のビルトインコンロお手入れページは、煙約80%削減・ニオイ約92%削減という説明のすぐ下に「※マルチグリルのみ」と注記しています(2026年9月23日確認)。そして公式の「ノーリツコンロ性能早見表」でマルチグリルタイプに分類されているのはプログレだけで、オルシェとネストは焼網グリルタイプ(無水両面焼)です(同日確認)。
つまり、オルシェを選んでもスモークカットは付いてきません。この記事の以前の版は「プログレ・オルシェ系列に搭載」と書いていましたが、公式で確かめたところ誤りでした。お詫びして訂正します。
スモークカットの効果は本物か?削減率の実態
「メーカーが言うほど効果があるの?」というのは、誰でも気になるポイントではないでしょうか。購入を検討するときに「カタログ上の数値と実際が違う」という経験をされた方も多いと思います。ここでは、スモークカット機能の効果について、より具体的に見ていきます。
メーカー発表の数値:煙80%カット・ニオイ92%カット
ノーリツ公式のお手入れページによると、マルチグリルでは排気口から出る煙が従来機種比で約80%削減、ニオイが約92%削減されます(2026年9月23日確認)。試験条件も同じページに書かれています。煙は「さんま3尾を機種毎の適正時間焼いた時に排出される煙を測定」(株式会社ノーリツ調べ)、ニオイは「あじの開き2枚を機種毎の適正時間焼いた時に排出される臭気を定量化」した臭気量での比較で、マルチグリルのプレートパンが平均3,500立方メートル、従来機種のN3WL8が41,000立方メートルと公表されています。
注意したいのは、どちらも「当社従来機種と比べて」の数値だという点です。「ニオイの9割以上が外に漏れない」という意味ではありません。比較の相手はノーリツの旧機種(ニオイの試験ではN3WL8)であって、いま使っているコンロがそれより新しい場合、体感の差はこれより小さくなります。
煙が肉眼でどのくらい見えなくなるか、という形の数値は公式に出ていません(2026年9月23日確認)。公表されているのは上の2つの試験値までです。
「煙ゼロ」ではないことを理解しておく
重要なのは、スモークカットはあくまで「削減」機能であり、「完全に煙とニオイをなくす」機能ではないという点です。残りの20%の煙・8%のニオイは依然として発生します。高気密住宅の換気計画によっては、調理中に換気扇を回すことは引き続き推奨されます。
ただし、これは「効果がない」ということでは全くありません。通常のグリルと比べて、煙や臭いの拡散が劇的に少なくなることは確かです。特に、リビングとキッチンが一体になったLDK間取りや、マンションのような密閉性の高い住居では、この機能の恩恵を実感しやすいでしょう。
あなたも「魚を焼くたびに窓を全開にしないといけない」「換気扇を回してもニオイが取れない」と感じたことはありませんか?スモークカットはそういった悩みを大幅に軽減してくれる機能です。
口コミより先に、メーカーが公開している試験条件を読む
この数値は、メーカーが試験条件まで公開している数値です。条件を読むと、どこまで期待してよいかが分かります。
煙の約80%削減は「さんま3尾」を焼いたときの、当社従来機種との比較です。ニオイの約92%削減は「あじの開き2枚」を焼いたときの臭気量の比較で、相手は従来機種のN3WL8です。どちらも魚をグリルで焼いたときの数値なので、鍋やフライパンの煙、トーストの煙には当てはまりません(2026年9月23日・ノーリツ公式のお手入れページで確認)。
公式も「多少の煙やニオイは発生します。使用するプレート、食材により排気口から出る煙の量は多くなる場合があります」と書いています。スモークカットは「ゼロ」ではなく「魚を焼いたときの激減」と理解しておくのが、正しい期待値の持ち方です。
スモークカットが付くのはどの機種ですか
2026年9月23日時点のノーリツ公式「ノーリツコンロ性能早見表」で、マルチグリルタイプはプログレの1シリーズだけです。スモークカットは「マルチグリルのみ」の機能なので、搭載機もプログレだけということになります。
早見表に載っている範囲を、価格の高い順に並べます。価格はいずれも希望小売価格(税込)です。
| シリーズ | 希望小売価格(税込) | グリルの方式 | スモークカット |
|---|---|---|---|
| プログレ | 375,540円〜 | マルチグリル | あり |
| プラスドゥ | 316,250円 | 無水両面焼(ダッチオーブン付属) | なし |
| オルシェ | 274,340円〜 | 焼網グリルタイプ(無水両面焼) | なし |
| ネスト | 228,470円〜 | 焼網グリルタイプ(無水両面焼) | なし |
| ネロ | 216,590円 | グリルなし | なし |
| ミッケ | 201,630円〜 | 無水両面焼 | なし |
| ファミ | 174,900円〜 | 無水両面焼 | なし |
※ ノーリツ公式「ノーリツコンロ性能早見表」を2026年9月23日に取得して作成。メタルトップシリーズとコンパクトタイプは同表に載っていないため除いています。実売価格は販売店の値引きで下がります。
プログレ(PROGRE):最上位ハイグレードモデル
プログレは、性能早見表で唯一のマルチグリルタイプです。スモークカットが使えるのはこのグリルの燃焼方式によるもので、専用容器を使った焼く・煮る・蒸すといった調理にも対応します。
希望小売価格は375,540円(税抜341,400円)からで、工事費は別です(2026年9月23日・公式の性能早見表)。早見表に載っている8タイプの中では最も高い価格帯にあたります。
性能早見表で確認できるプログレの装備は、マルチグリル専用容器(付属は波型プレートパンLグラネとキャセロールL、別売でプレートパンLと油はねガードL)、オートメニュー14種類、調理モード12種類、温度クック機能、天板は親水アクアコート(ガラストップ)またはラックリーナ(アルミトップ)、レンジフード連動、音声ガイド、アプリ「つなぐレシピ」対応、感震停止機能です(2026年9月23日確認)。
※ 「グリルクリーンモード」は、プログレの商品ページにも性能早見表のマルチグリルタイプの欄にも記載がありません(同日確認)。この記事の以前の版はプログレの特長として挙げていましたが、確かめられませんでした。
オルシェ(Orche):価格順では3番目のシリーズ
オルシェは、性能早見表では焼網グリルタイプに分類されます。希望小売価格は274,340円(税抜249,400円)からで、価格順ではプログレ(375,540円〜)、プラスドゥ(316,250円)に次ぐ3番目です(2026年9月23日確認)。
オルシェにスモークカットは付きません。焼網グリルタイプだからです。ただしニオイ対策が無いわけではなく、オルシェには「グリルクリーンモード」があります。
グリルクリーンモードは、焼き終わったあとに食材を入れない状態でグリルを加熱し、庫内に残った油やニオイを分解する機能です。公式は「グリル庫内に残ったニオイを98%脱臭」としており、試験条件は「さんまの開き3枚を10回焼いたグリルで、さんまの開き3枚を焼いた後に食材を入れない状態で加熱。ペンタナール(魚臭成分)が機能なし3.3volppb、機能あり0.07volppb以下に減少。2024年9月・株式会社KRI調べ」です(2026年9月23日確認)。
スモークカットは調理中に排気口から出る煙とニオイを減らす機能、グリルクリーンモードは焼き終わったあとに庫内へ残るニオイを断つ機能で、効く場面が違います。
調理器も違います。オルシェに付属するのは「ロティプレート」で、プログレのキャセロールのような密閉調理器は使えません。ロティプレートには公式の数値があり、「グリル庫内の油はねを99.9%カット」とされています(試験方法は焼網とロティプレートでさんま4尾をオートグリル調理し、庫内お手入れ部品への飛び散り量を5回測定した平均値/株式会社ノーリツ調べ・2026年9月23日確認)。
とはいえ、普段から魚焼きや鶏肉・野菜のグリル程度の用途であれば、オルシェのグリル性能で十分という方も多くいます。
プログレとオルシェ、どちらを選ぶべきか
調理中に出る煙そのものを減らしたいなら、選べるのはプログレだけです。スモークカットはマルチグリルの燃焼方式による機能なので、焼網グリルのオルシェを選んでも手に入りません。
焼き終わったあとに庫内へ残るニオイが気になるだけなら、オルシェで受けられます。グリルクリーンモードがその役割です。希望小売価格の差は101,200円(375,540円と274,340円の差・2026年9月23日時点)で、この差額は「調理中の煙まで減らすかどうか」と「マルチグリルで調理の幅を広げるかどうか」に払うものだと考えてください。
「10万円安いオルシェでもスモークカットが使える」という選び方は成り立ちません。調理中の煙を減らしたいのか、焼いたあとのニオイを断ちたいのか、先に決めることをおすすめします。
スモークカット機能が「本当に必要な人」と「不要な人」
スモークカット機能の有無は、グレード選びに関わる重要な判断基準です。ここでは、スモークカットが特に有効な生活環境と、あまり意識しなくて良いケースを整理します。
スモークカットが特に効果的な環境
マンション・集合住宅に住んでいる人
マンションは気密性が高く、キッチンで発生したニオイが部屋全体に広がりやすい構造です。また、上下階や隣室への配慮も必要なケースがあります。スモークカット機能があれば、調理中の煙やニオイの拡散を大幅に抑えられ、近隣への気遣いも軽減できます。一人暮らしや共働き夫婦が多いマンション生活では、こうした機能の価値は特に高まります。
LDKの間取りで暮らしている人
リビング・ダイニング・キッチンが一体化したLDK間取りでは、キッチンで発生した煙やニオイがリビング全体に流れ込みます。ソファや家具にニオイが付いてしまうことも少なくありません。スモークカットがあれば、こうしたニオイ移りを最小限に抑えられます。
魚料理を頻繁に作る人
さんまやあじの塩焼き、鮭の切り身など、魚をグリルで焼く機会が多い家庭では、スモークカットの恩恵を強く感じられます。毎回窓を開け放して換気する手間が大幅に減ります。毎週末に魚を焼く習慣がある方には、非常に価値の高い機能です。
高気密・高断熱住宅に住んでいる人
近年の新築住宅は気密性が高く設計されており、外気との換気が計画的に管理されています。こうした住宅ではキッチンの煙やニオイが逃げにくく、スモークカット機能の効果がより際立ちます。
スモークカットをあまり気にしなくてよいケース
一方で、キッチンが独立していて換気扇の性能も高く、隣家との距離も十分ある戸建て住宅の場合は、スモークカットの有無が生活の快適さに大きく影響しないこともあります。
また、魚料理をほとんどしない家庭では、スモークカットのために上位グレードを選ぶ必要はないかもしれません。その分の予算を、グリルの調理機能や天板素材、使いやすさなど他の観点に充てた方が合理的です。
「今は魚を焼かないけれど将来使うかも」という理由だけで、10万円上の機種まで上げる必要はありません。焼いたあとのニオイが主な心配なら、グリルクリーンモードのあるオルシェで受けられます。コンロは長く使うものなので、いま何に困っているのかを基準に決めてください。
「10年保証」の前に確認すべきこと:業者選びの落とし穴
ノーリツのコンロ交換を検討する際に、多くの業者が「10年保証付き」「安心の長期保証」をうたい文句にしています。しかし、この「10年保証」には注意が必要です。これを理解しておかないと、後で後悔する可能性があります。
メーカーが公表しているのは「使用寿命」ではなく、修理に使う補修用性能部品の保有期限です。ノーリツはコンロを生産打ち切り後5年、リンナイもビルトインガスコンロ・ガステーブルを5年としています(2026年9月24日・両社公式の修理ページで確認)。起算点は買った日ではなく、その型番の生産が打ち切られた日です。つまり「10年保証期間内」であっても、部品が入手できず修理不能になるケースが実際には起こりえます。
さらに深刻なのが、施工に必要な資格の問題です。ガス配管の接続工事を伴う場合は、必要な資格(例:都市ガスはガス可とう管接続工事監督者、配管加工がある場合は簡易内管施工士など)を保有する業者に依頼する必要があります。比較サイトで上位に出てくる業者が必ずしも適切な資格・体制を備えているとは限らないため、事前確認が重要です。
さらに、小規模業者の場合「10年後にその会社が存在しているかどうか」も現実的な懸念です。保証は会社が存続していて初めて意味を持ちます。10年後に廃業していれば、保証書は紙切れになってしまいます。
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まとめ:スモークカットはマルチグリル搭載機だけの機能です
ここまでの内容を整理しておきましょう。
ノーリツのスモークカットは、グリルから排出される煙を従来機種比で約80%、ニオイを約92%削減する機能です(試験条件はさんま3尾・あじの開き2枚/株式会社ノーリツ調べ・2026年9月23日確認)。「完全ゼロ」ではありません。
使えるのはマルチグリルを積んだ機種だけで、公式の性能早見表でマルチグリルタイプに入っているのはプログレの1シリーズです(2026年9月23日確認)。オルシェは焼網グリルタイプなので非搭載で、ニオイはグリルクリーンモード(庫内に残ったニオイを98%脱臭・2024年9月 株式会社KRI調べ)で受けます。
マンション・集合住宅・LDK間取りで、調理中の煙そのものを減らしたい方はプログレです。焼いたあとに残るニオイが主な悩みなら、オルシェのグリルクリーンモードで足ります。どちらの悩みなのかを先に切り分けると、10万円の差が要るかどうかが決まります。
最後にもうひとつ。機種を決めたあとは、工事をどこに頼むかが残ります。ガス配管の接続を伴う工事には資格が要るので、見積もりを取るときに「誰が工事をするのか」「どの資格を持っているのか」を確認してください。
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