ガスコンロからIH転換時の補助金・助成金を徹底解説

ガスコンロからIH転換:補助金制度の全体像

ガスコンロからIHへの転換で使える可能性がある補助金は、国の事業と自治体の事業に分かれます。まず押さえておきたいのは、「IHに替えるだけ」では国の事業の対象にならないという点です。

1. 国による補助金制度

国が実施する補助金制度は、全国で利用できるため、お住まいの地域を問わず対象となる可能性があります。

みらいエコ住宅2026事業(国土交通省)

2026年に動いている国の事業は「みらいエコ住宅2026事業」で、所管は国土交通省です。環境省が所管する「先進的窓リノベ2026事業」とは別の制度なので、混同しないでください。
ビルトインのIHは、この事業の「ビルトイン自動調理対応コンロ」に当たる可能性があります。公式の基準は、電気用品安全法に規定する「電磁誘導加熱式調理器」のうち組込型で、(1)こんろ部に自動温度調節機能があること、(2)こんろ部またはグリル部に自動調理機能があり、炊飯機能を備えていること、の両方を満たすものです(国土交通省・みらいエコ住宅2026事業公式・2026年9月17日確認)。自動温度調節も自動調理もない機種は、ビルトインIHであっても対象外です。
大事な条件:設備を替えるだけでは1円も出ません。断熱改修(要件化工事)と組み合わせることが必要です
補助額:ビルトイン自動調理対応コンロは1戸あたり18,000円です。工事全体の上限は住宅の新築時期と断熱改修の水準で4段階に分かれ、平成3年以前に建てた住宅は100万円/50万円、平成4年〜平成28年に建てた住宅は80万円/40万円です(国土交通省・みらいエコ住宅2026事業公式・2026年10月27日確認)
申請方法:申請するのは事業者登録をしたリフォーム会社で、施主本人は申請できません。工事を頼む前に、その会社が登録事業者かを確かめてください
期限:リフォームの交付申請の予約は遅くとも2026年11月16日まで、交付申請は遅くとも2026年12月31日までで、どちらも予算の上限に達した時点で締め切られます(同公式・2026年10月27日確認)。使うつもりなら、登録事業者への相談を早めに始めてください

終了した制度の情報に注意する

住宅の省エネ関係の補助金は、名前を変えながら毎年入れ替わります。検索で上位に出てくる解説記事が、すでに終わった制度の名前と金額のままになっていることが珍しくありません。
制度名と補助額は、必ず公式サイトで確かめてください。2026年に動いている国の事業は、上に書いた「みらいエコ住宅2026事業」(国土交通省)です。

2. 自治体による補助金・助成金制度

都道府県および市区町村にも独自の制度があります。ただし、制度の名前も対象になる機器も自治体ごとに違い、年度で入れ替わります。この記事で個別の自治体の補助額を書かないのは、確かめずに書いた数字が読者の計画を狂わせるためです。お住まいの自治体の公式サイトで、名称と対象機器と金額を直接確かめてください。

地域別:主要自治体の補助金制度

東京都の補助金制度

東京ゼロエミポイント

先に結論を書きます。東京ゼロエミポイントは、IHクッキングヒーターには使えません。公式サイトが対象製品として挙げているのは、冷蔵庫・エアコン・給湯器・LED照明の4つだけで、コンロやIHの記載は1件もありません(東京都・東京ゼロエミポイント公式・2026年9月17日確認)。
仕組み:あらかじめ事業に登録された販売店で買替えたときに、その場で値引きされます。登録販売店以外ではポイントが付きません
上限:最大80,000ポイント分(1ポイント=1円)。ただしこの最大額には、満65歳以上を証明できる本人確認証または障害者手帳が必要です
注意:設置場所は自らの居住地に限られます。付与額は製品ごとに違うので、買う前に「対象製品の検索」と「登録販売店の検索」を見てください

長期優良住宅化リフォーム推進事業(東京都の制度ではなく国の事業です)

これは国土交通省の事業で、東京都独自の制度ではありません。住宅の性能を上げる改修が対象で、調理機器の交換だけを取り出して申請する制度ではない点に注意してください。
補助額:年度によって要件も上限も変わるため、ここでは金額を挙げません
対象:住宅の性能向上を伴う改修(調理機器の単独交換ではありません)
申請方法:工事に着手する前の申請が必要です。最新の要件は国土交通省の公式サイトで確かめてください

その他の自治体を調べるとき

全国の都道府県・市区町村では、様々な補助金制度が実施されています。自治体によっては、高齢者世帯、子育て世帯、低所得層など特定の世帯を対象にした手厚い補助が用意されている場合もあります。
補助制度を探すコツ:
  1. 自治体のホームページを確認:市区町村のホームページに「リフォーム補助金」「エコリフォーム」などのキーワードで検索
  1. 補助金ポータルサイトを活用:「補助金ポータル」などの全国補助金情報サイトで検索
  1. リフォーム業者に相談:実績のあるリフォーム業者は自治体制度に詳しいため、相談すると手続きをサポートしてくれることが多い

ガスコンロからIH転換にかかる実際の費用

補助金制度を理解する前に、転換にかかる費用の全体像を把握することが重要です。

IH本体の価格

ビルトインIHの本体価格は、口数・機能・メーカーで大きく変わります。卓上タイプの価格帯とは別物なので、候補の型番を決めてから、メーカーの希望小売価格と販売店の見積もりを並べて比べてください。

工事費用

工事費用は、既存のキッチンの状況によって大きく異なります。以下の金額は費用の内訳を示すための編集部の目安で、公表された相場ではありません。実額は現地調査を経た見積もりで確かめてください。

ビルトインガスコンロ→ビルトインIHへの交換の場合

このケースが最も工事費用が抑えられます:
  • IH交換設置工事:20,000~40,000円
  • ガス配管閉栓工事:5,000~15,000円
  • 200V電源工事(既に200V電源がある場合は不要):30,000~40,000円
  • ガス配管撤去工事(希望する場合):10,000~20,000円
合計費用の目安:60,000円~150,000円

既に200V電源がない場合

電気関係の工事が追加になるため、費用が高くなります:
  • 上記の基本工事費:60,000~80,000円
  • 分電盤からの配線工事:30,000~50,000円
  • 電気容量の増設工事:20,000~40,000円
合計費用の目安:110,000円~170,000円

据え置き型ガスコンロ→ビルトインIHへの交換の場合

キッチン本体の交換が必要になるため、費用が大幅に増加します:
  • ビルトインIH本体:100,000~300,000円
  • キッチン交換工事費:100,000~300,000円
  • 電気工事費:50,000~100,000円
  • 既存キッチン撤去処分費:20,000~50,000円
合計費用の目安:270,000円~750,000円

調理器具の買い替え費用

ガスコンロで使っていた調理器具の中で、IH非対応のものがあれば、買い替えが必要になります。
IH対応調理器具の目安価格:
  • IH対応フライパン:3,000~10,000円
  • IH対応鍋セット:5,000~20,000円
  • その他調理器具:10,000~30,000円(全て買い替える場合)
既存の調理器具の多くがIH対応であれば、追加費用は抑えられます。

ガスコンロからIHへ転換するメリット

メリット1:高い熱効率で光熱費削減

IHは鍋そのものを発熱させるため、加熱に使われずに逃げる熱が少なくなります。ガスコンロは炎の熱の一部が鍋の脇を通り抜けるので、同じ量の熱を鍋に入れるまでの損失が大きくなります。
ただし、光熱費が年間いくら下がるかはここでは書きません。電気とガスのどちらの単価がいくらかは契約プランで変わり、同じ使い方でも結果が逆になることがあるためです。比べるなら、いまの検針票に載っている単価を使って自分で計算してください。

メリット2:安全性の向上

直火を使わないため、以下のような安全上のメリットがあります:
  • 火傷のリスク低減:炎が出ないため、鍋の外に火が回ることがありません。ただし調理後の天板は鍋の熱で熱くなっているので、すぐには触れないでください
  • 火事のリスク低減:炎が出ないため、袖口や布巾に火が移る心配は小さくなります。ただし揚げ物の油を加熱しすぎると発火することはあるので、温度調節機能を使ってください
  • 空気汚染の低減:燃焼ガスが発生しないため、室内の空気がクリーンに保たれます
特に、高齢者世帯やお子さんのいるご家庭では、この安全性の向上が大きなメリットになります。

メリット3:掃除が簡単で清潔に保ちやすい

IHの天板はフラットで、食材がこぼれても簡単に拭き取れます。ガスコンロのように五徳やバーナーキャップを外して洗う手間がなく、毎日の手入れが非常に簡単です。

メリット4:キッチンが暑くなりにくい

ガスコンロは燃焼時に大量の熱を周囲に放出しますが、IHはその熱がキッチン空間に放出されません。特に夏季の調理時に快適性が向上します。

メリット5:火力設定が自動で管理できる

IHの最大のメリットの一つは、温度管理が自動・精密にできることです。
  • とろ火:ガスの弱火よりさらに弱い設定が可能
  • 強火:ガスの強火以上の火力を出せる
「揚げ物は○℃」「煮込みは◇℃」というように温度を数値で設定できるため、調理の失敗が減ります。

ガスコンロからIHへ転換するデメリット・注意点

一方で、IH転換には多くのメリットがある反面、デメリットや注意すべき点も存在します。後悔しないために、事前に理解しておくことが重要です。

デメリット1:調理器具の買い替えが必要

ガスコンロで長年使ってきた調理器具の中には、IH非対応のものが含まれている可能性があります。特に、以下のような調理器具はIH非対応です:
  • アルミニウム製の調理器具(オールメタル対応の機種以外では使えません)
  • 銅製の調理器具(オールメタル対応の機種以外では使えません)
  • ステンレス製でも底が鉄でない調理器具(非対応)
  • 底が丸い中華鍋(使用不可)
  • 足が付いた鍋やフライパン(使用不可)
全て買い替えるとなると、数万円の追加費用が発生します。

デメリット2:調理方法が制限される

IHはガスコンロと異なる特性があり、調理方法に工夫が必要になります。

鍋振り調理ができない

IHの仕組みとして、鍋が天板から離れると加熱が止まってしまうため、本格的な中華料理やチャーハン、炒め物で鍋を振るような調理ができません。
これは好みの問題ではなく、加熱の仕組みから決まる制約です。IHは鍋底とコイルが近接していることで発熱するため、鍋を持ち上げた時点で加熱が止まります。

調理レシピの工夫が必要

IHでガスコンロと同じレシピで調理すると、結果が変わることがあります。加熱される場所が違うためです。
  • ガスコンロ:炎が鍋底から鍋肌にかけて当たるため、鍋の側面からも水分が蒸発する
  • IH:発熱するのは鍋底なので、鍋肌からの蒸発は起きにくい(蒸発量が何割減るかを示した公表値は見つかりませんでした)
このため、IHに合わせてレシピを調整する必要があります。

デメリット3:複数ヒーターの同時使用で火力が低下

IHは総消費電力に上限があるため、複数のヒーターを同時に使用すると、それぞれの火力が制限されてしまいます。
どの組み合わせでどこまで下がるかは機種ごとに違います。取扱説明書や仕様表に「同時使用時の制限」として書かれているので、買う前にその項目を見てください。

デメリット4:停電時に使用不可

IHは電気で動くため、停電時には全く使用できなくなります。台風や地震などの自然災害で停電が起こりやすい日本では、この点は大きなリスクです。
一方、ガスコンロであれば停電中でも使用できるため、災害時の調理手段として有効です。

デメリット5:初期投資が高い

本体価格および工事費用を含めると、ガスコンロの交換よりも初期投資が高くなります。補助金を活用しても、最終的には数十万円の費用が必要になる場合が多いです。

デメリット6:電磁波に関する懸念

IHクッキングヒーターの電磁波について、健康面の懸念を持つ方もいます。国内で販売される製品は電気用品安全法に基づく基準に適合したうえで流通しています。個別の製品がどの基準にどう適合しているかは、メーカーの公式サイトで機種ごとに確かめられます。

ガスコンロからIH転換時の後悔を防ぐチェックリスト

IH転換を決める前に、以下のポイントを確認してください。

1. 調理スタイルの確認

  • 中華料理や本格的な炒め物をよく作るか
  • 鍋振り調理が必要な料理が多いか
  • 複数のヒーターを同時に使う調理が多いか
→ 上記に「はい」が多ければ、IHの制限により調理が不便になる可能性があります

2. 調理器具の確認

  • 現在使っている鍋やフライパンの素材を確認(アルミ製・銅製は、オールメタル対応の機種以外では使えません)
  • IH対応調理器具への買い替え予算を確認

3. 電源・配線の状況確認

  • キッチンに200V電源が既にあるか
  • 電気容量(アンペア数)が十分か
→ 電源工事が必要になると、費用が大幅に増加します

4. 自治体の補助金制度確認

  • お住まいの市区町村に補助金制度があるか
  • 補助金の対象条件に該当しているか
  • 申請に必要な書類や期限は何か
→ 補助金の有無で、最終的な負担額が大きく変わります

5. リフォーム業者の選定

  • 過去のIH導入実績が豊富か
  • 自治体補助金の申請をサポートしてくれるか
  • アフターサービス体制は充実しているか
→ 信頼できる業者を選ぶことで、工事品質と保証が確保されます

IHにするか迷っているなら、ガスコンロのまま替えた場合とも比べる

ガスコンロからIHへの転換には、多くのメリットがある一方で、調理方法の工夫、調理器具の買い替え、初期投資の負担など、考慮すべき点も多いです。
転換を決めたら、次に見るのは工事の範囲と、不具合が出たときの連絡先です。この2つは着工前に書面で確かめられます。
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  1. 設置は、東京ガスが委託する施工パートナーが担当する
  1. 対応エリアは、ガスの供給エリアではなく商品ごとに決まる。東京ガス公式も「対応エリアは商品によって異なります」と明記しているので、住所を入れて確かめる
  1. 保証は年数ではなく、対象(本体か工事か)・保証者(メーカーか施工会社か)・起算日の3点で読む
  1. Web専用のオンライン販売に絞って価格を抑えていると説明している。実額は機種と設置状況で変わるので、見積もりを取って比べる
IH転換を検討している方は、まずお住まいの自治体の制度と、みらいエコ住宅2026事業の期限を公式サイトで確かめ、そのうえで見積もりを取ってください。なお、東京ガスの機器交換の公式サイトで案内されているのはガスコンロの交換で、IHクッキングヒーターの交換メニューは確認できませんでした(2026年10月27日 東京ガス公式で確認)。IHにするか迷っている段階なら、ガスコンロのまま交換した場合の総額も並べて比べてください。

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