不動産投資ローンの固定金利は全期間固定ではありません|2年から20年の特約で、期間が明けると返済額の1.25倍ルールが外れます
この記事を読むと分かること
- 投資用ローンの固定金利は2年から20年の特約で、期間が終われば自動的に変動へ戻ること
- 固定を選ぶと繰り上げ返済と分割融資が止まり、期間が明けると返済額の1.25倍という上限も外れること
- 変動の基準になる短期プライムレートが15年半動かず、直近2年で0.90ポイント上がったこと
不動産投資ローンの固定金利は、期間を区切った特約です
不動産投資ローンで選べる固定金利は、住宅ローンのフラット35のような全期間固定ではなく、2年から20年の期間を区切った特約です(2026年9月20日に三井住友銀行・横浜銀行の公表条件で確認)。期間が終われば、自動的に変動金利へ戻ります。
そのうえ、固定をそもそも選べない商品もあります。投資用ローンの条件を公表している5つの窓口について、選べる金利タイプを並べました。
| 金融機関・商品 | 選べる金利タイプ | 公表されている利率 | 表示時点 |
|---|---|---|---|
| オリックス銀行 不動産投資ローン | 変動のみ | 年2.425%から年4.425% | 2026年9月1日現在 |
| セゾンファンデックス 不動産投資ローン | 変動のみ | 年4.4%から年5.2%(団信なし) | 2026年5月時点 |
| 三井住友銀行 直担アパートローン | 変動/固定金利特約型(2・3・5・10・15・20年) | 公式サイトに記載なし | 2022年4月1日現在 |
| 横浜銀行 アパートローン(一般口) | 変動/固定金利指定型(2・3・5・10・15・20年) | 公式サイトに記載なし | 2025年10月1日現在 |
| 日本政策金融公庫 国民生活事業 | 固定 | 年2.80%から年5.00%(有担保・基準利率) | 2026年9月1日現在 |
※ 出典は各社の公式サイトの商品ページおよび商品概要説明書(いずれも2026年9月20日取得)。利率の欄が記載なしとなっているのは、三井住友銀行・横浜銀行とも適用利率を公式サイトで公開しておらず、窓口への照会を求めているためです。
固定を選べない不動産投資ローンがあります
オリックス銀行の不動産投資ローンは、公表されている金利タイプが変動金利型(短期プライムレート基準)だけです。2026年9月1日現在で年2.425%から年4.425%の範囲内、申込内容や審査結果によって決まります。適用されるのは申込時ではなく借入日の水準で、プライムレートは毎月見直すと同社が明記しています。
セゾンファンデックスの不動産投資ローンも変動金利だけです。団体信用生命保険なしで年4.4%から年5.2%、ありで年4.9%から年5.8%(いずれも2026年5月時点)。この会社は決め方まで公開していて、融資実行月の3か月前の月末に適用される短期プライムレート(みずほ銀行)に、2.275%から3.075%を上乗せする仕組みです。
つまり、この2社を選んだ時点で「変動か固定か」という問いは発生しません。迷う前に、検討している商品に固定の選択肢があるかどうかを先に見てください。
※ 出典はオリックス銀行 公式サイト「不動産投資ローン」(金利情報は2026年9月1日現在・2026年9月20日取得)、およびセゾンファンデックス 公式サイト「不動産投資ローン」(利率は2026年5月時点・2026年9月20日取得)。
上乗せ幅を公開している会社は、公表値を自分で検算できます
セゾンファンデックスの下限を計算すると、短期プライムレート2.125%に2.275%を足して年4.4%になり、公表値と一致しました(2026年9月20日に計算)。2.125%は、日本銀行が公表している主要行の短期プライムレート最頻値が2026年2月2日から2026年8月2日まで取っていた水準で、2026年5月に実行する融資の基準日である2026年2月末に当てはまります。上乗せ幅が公開されていれば、公表利率が古くなっても基準が動いた分を自分で当て直せます。
固定を選ぶと、繰り上げ返済が原則できなくなります
三井住友銀行の直担アパートローンは、固定金利期間中の繰上返済を一部繰上返済も含めて原則できないと定めています。やむをえない事情で行う場合は、繰上返済手数料に加えて銀行所定の「清算金」を払うことになります。
横浜銀行のアパートローンにも同じ性格の定めがあります。固定金利指定期間中に繰り上げ返済をすると、銀行が市場金利をもとに算出した再運用利息を上回った分が、変更手数料33,000円に加算されます。
繰り上げ返済は、家賃収入で残債を減らして次の融資枠を空けるという、不動産投資の基本的な手のひとつです。固定を選ぶということは、その手を数年から20年止めるということでもあります。
| 固定を選んだときに止まること | 三井住友銀行 直担アパートローン | 横浜銀行 アパートローン |
|---|---|---|
| 固定金利期間中の繰り上げ返済 | 一部繰上返済も含めて原則できない | できるが、再運用利息の超過分が手数料に加算される |
| 固定から変動への途中変更 | 固定金利期間中はできない | 記載なし(期間終了後に自動で変動へ移行) |
| 分割融資(建築資金を分けて受け取る) | 固定金利特約型では利用できない | 記載なし |
| 固定を選ぶための手数料 | 11,000円(税込) | 変更手数料33,000円 |
| 期間が終わったあと | 変動金利型になる。残存期間内で固定の再設定も可 | 自動的に変動金利型に移行する |
※ 出典は三井住友銀行 公式サイト「アパートローン」商品内容(表示は2022年4月1日現在・2026年9月20日取得)、および横浜銀行 公式サイト「商品概要説明書(アパートローン)」(2025年10月1日現在適用中・2026年9月20日取得)。記載なしと書いた欄は、公表資料にその項目の定めが見当たらなかったという意味です。
固定期間が終わると、返済額の1.25倍という上限が外れます
変動金利で元利均等返済を選ぶと、多くの銀行が2つの緩衝を置いています。返済額を一定期間据え置くこと(5年ルール)と、見直しで増える場合も前回の1.25倍までにとどめること(125%ルール)です。この2つは、今回調べた2行の投資用ローンにもありました。
ところが、どちらの銀行も、固定を挟んだ場合はこの上限が外れると明記しています。三井住友銀行は、固定金利期間終了後に固定を再設定する場合および変動金利型に切り替わった場合について、見直し後の返済額に上限はありませんと書いています。横浜銀行も、固定金利指定期間終了後に変動金利型へ移行した場合や新たに固定金利指定型を選択した場合には1.25倍の制限はなく、その時点で返済額を見直すとしています。
ここが、固定を「安全な選択肢」と呼びにくい理由です。固定期間中の返済額は動きませんが、その間に基準金利が上がっていれば、期間が明けた瞬間に、上限のない見直しをまとめて受けます。
| 項目 | 三井住友銀行 直担アパートローン | 横浜銀行 アパートローン |
|---|---|---|
| 変動金利の見直し頻度 | 毎月1日 | 年2回(4月1日・10月1日) |
| 新しい金利が返済に反映される時期 | 見直し実施月の翌月の返済日の翌日から | 6月・12月の約定返済日の翌日から(7月・1月の返済分から) |
| 返済額の据え置き | 借入後5回目の10月1日の見直しまで | 約5年間(10月1日の見直しを5回経過するまで) |
| 据え置き後の増額上限 | 前回返済額の1.25倍 | 見直し前の返済額の1.25倍 |
| 固定を挟んだ場合の上限 | 上限なし | 1.25倍の制限なし |
※ 出典は三井住友銀行 公式サイト「アパートローン」商品内容(表示は2022年4月1日現在・2026年9月20日取得)、および横浜銀行 公式サイト「商品概要説明書(アパートローン)」(2025年10月1日現在適用中・2026年9月20日取得)。いずれも元利均等返済を選んだ場合の定めです。元金均等返済では、毎回の元金の返済額が一定になるため、この据え置きと上限の話は当てはまりません。
変動金利の基準は、2年で0.90ポイント上がりました
今回調べた変動金利は、4社とも短期プライムレートを基準にしています。セゾンファンデックスはみずほ銀行の短期プライムレート、横浜銀行は短期プライムレート連動長期貸出標準金利、三井住友銀行は短期プライムレートに連動する長期貸出金利という書き方です。
その短期プライムレートは、日本銀行が主要行の分を公表しています。最頻値でみると、2009年1月13日から2024年9月1日まで15年半余りにわたって1.475%で動きませんでした。そこから5回上がり、2026年8月3日に2.375%になっています。2年で0.90ポイントです。
| 実施日 | 短期プライムレート(最頻値) | 前回からの変化 |
|---|---|---|
| 2009年1月13日 | 1.475% | 基準 |
| 2024年9月2日 | 1.625% | +0.150ポイント |
| 2025年3月3日 | 1.875% | +0.250ポイント |
| 2026年2月2日 | 2.125% | +0.250ポイント |
| 2026年8月3日 | 2.375% | +0.250ポイント |
※ 出典は日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」(2026年9月16日更新・2026年9月11日現在の内容を2026年9月20日に取得)。表の数値は最頻値の欄です。2026年8月3日時点の最高値は2.625%、最低値は2.375%でした。最頻値は都市銀行5行のうち最も多くの銀行が採用した金利であって、特定の銀行の金利ではありません。
この数字を見て「だから固定にすべきだ」と結論するのは早すぎます。上がったのは過去の事実で、これから先どう動くかは分かりません。読み取れるのは、15年半動かなかったものが動く時期に入ったという一点だけです。
全期間を固定で借りられるのは、日本政策金融公庫です
日本政策金融公庫の国民生活事業は、公表している利率表に「お借入金利(固定)」と明記しています。今回調べた中で、期間を区切らずに固定で借りられることを公式に示しているのはここだけでした。
2026年9月1日現在の基準利率は、有担保で年2.80%から年5.00%、無担保で税務申告を2期終えている場合は年3.80%から年5.40%です。適用される利率は、使いみち・返済期間・担保の有無によって変わります。
ただし、公庫の融資は事業資金として審査されるため、賃貸経営を事業として説明できるかが前提になります。公庫自身も「利率は金融情勢によって変動しますので、お借入金利(固定)は記載されている利率とは異なる場合があります」と注記しており、表の数字は目安であって契約する利率ではありません。
※ 出典は日本政策金融公庫 公式サイト「金利情報」国民生活事業(令和8年〈2026年〉9月1日現在・2026年9月20日取得)。特別利率が適用される要件は制度ごとに細かく分かれているため、ここでは基準利率だけを挙げています。
よくある質問
不動産投資ローンでフラット35のような全期間固定は使えますか
使えません。フラット35は申込者本人または親族が住むための住宅が対象なので、賃貸に出す物件では利用できません。今回調べた範囲で、期間を区切らない固定を公式に示していたのは日本政策金融公庫の事業資金だけでした。
固定金利特約型の期間は、途中で変動に戻せますか
三井住友銀行は、固定金利期間中に変動金利型へ切り替えることはできないと明記しています。横浜銀行も固定金利指定期間中は金利の見直しを行わず、期間が終わってから自動的に変動へ移行する仕組みです。固定を選ぶときは、その期間を動けない期間として見込んでおいてください。
固定金利指定型の15年・20年は、いつでも申し込めますか
横浜銀行は、固定金利指定型15年・20年について取扱総額に限りがあるため、都合により申込受付を取りやめる場合があると公表しています。長い固定を前提に資金計画を立てるときは、申込の時点で取り扱いがあるかを窓口で確かめてください。
変動金利の返済額は、金利が上がるとすぐ増えますか
元利均等返済なら、すぐには増えません。三井住友銀行は借入後5回目の10月1日の見直しまで、横浜銀行は約5年間、返済額を据え置きます。ただし据え置かれているのは返済額であって金利ではないため、その間は元金の減り方が遅くなります。元金均等返済を選んだ場合は、この据え置きは適用されません。
まとめ
不動産投資ローンで「変動と固定のどちらが得か」を考える前に、確かめる順番があります。
- 検討している商品に固定の選択肢があるか(オリックス銀行とセゾンファンデックスには公表されていません)
- 固定を選んだとき、繰り上げ返済と分割融資が止まらないか
- 固定期間が明けたあと、返済額の1.25倍という上限が外れないか
- 上乗せ幅が公開されているか(公開されていれば、基準が動いた分を自分で当て直せます)
この4つを公表資料で確かめてから、はじめて水準の比較に進んでください。今回調べた5つの窓口では、固定を選べるのが2行、そのどちらも期間を区切った特約で、期間が明ければ変動に戻る仕組みでした。数値は2026年9月20日時点の公表内容で、適用される利率と条件は審査で決まります。
不動産投資を考えている人向け
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