和式トイレの介護改修負担金制度を完全ガイド
和式トイレの介護改修に使える補助金制度
和式トイレから洋式トイレへの改修に利用できる補助金制度は、大きく3つのカテゴリーに分類されます。
1. 介護保険における住宅改修費の支給(20万円までの工事の7〜9割)
要支援・要介護認定を受けている方が、和式トイレから洋式トイレへ取り替える場合、介護保険の住宅改修費が使えます。支給限度基準額は20万円で、支給されるのは実際の住宅改修費の9割相当額。上限は18万円です(厚生労働省「介護保険における住宅改修」・2026年9月19日確認)。自己負担割合が2割・3割の方は戻る割合もその分下がり、上限はそれぞれ16万円・14万円になります。「最大18万円もらえる制度」と読むと、1割負担の方以外は当てが外れます。
対象工事
厚生労働省が定める住宅改修の種類は6つです。トイレに関わるのは次のところです。
- ⑤洋式便器等への便器の取替え:和式から洋式への交換はここに当たります
- ①手すりの取付け:便器まわりの手すり・介助バー
- ②段差の解消:出入り口の段差
- ③床又は通路面の材料の変更:滑りにくい床材への変更
- ④引き戸等への扉の取替え
- ⑥①〜⑤に付帯して必要となる住宅改修:手すりの下地補強や、引き戸にするための壁の改修など
⑥を落とさないでください。手すりの下地補強は単体では対象に見えませんが、付帯工事として対象になります。見積もりの内訳に項目として書き出してもらってください。
一方で、温水洗浄便座や暖房便座を付けること自体は、この6種類に入っていません。便器の取替えに伴うものとして認められるかは市区町村の判断になるので、見積もりの段階で確認してください(厚生労働省「介護保険における住宅改修」・2026年9月19日確認)。
支給限度額と補助率
支給限度基準額:20万円(要支援・要介護の区分にかかわらず定額)
戻ってくる割合:7〜9割(自己負担割合による)
支給額の上限:1割負担なら18万円、2割負担なら16万円、3割負担なら14万円
支払い方:償還払い。いったん全額を業者に支払い、あとから支給されます
20万円を超えた分は全額が自己負担です。またひとり生涯20万円までですが、使い切ったあとでも、要介護状態区分が3段階上がったときと、転居したときは、もう一度20万円まで使えます。20万円の枠は分割して使えるので、一度に使い切る必要はありません。
申請の流れ
- 要介護・要支援認定の取得:まだ認定を受けていない場合は、市区町村の介護保険担当課で申請
- ケアマネジャーへの相談:改修計画と必要な工事内容を相談
- 施工業者の選定:実績のあるリフォーム業者に見積もり依頼
- 市区町村への事前申請:工事着手前に「住宅改修費支給申請書」を提出(重要:工事着手後の申請は対象外)
- 工事実施:承認を得た後、工事を開始
- 補助金請求:工事完了後、領収書や施工証明書と共に請求
重要ポイント:工事着手前の申請が必須です。工事を開始した後の申請は対象外になるため、絶対に先に市区町村に申請してから工事を開始してください。
2. 自治体による補助金・助成金制度
都道府県および市区町村では、独自のバリアフリーリフォーム補助金制度を実施しており、和式トイレの洋式化が対象になることがあります。
東京都の補助金制度
東京ゼロエミポイントは、トイレには使えません。対象製品は冷蔵庫・エアコン・給湯器・LED照明の4つで、公式サイトに「トイレ」「便器」の記載はありません(2026年9月19日確認)。しくみも申請ではなく、あらかじめ登録された販売店で買替えたときに、その場で値引きされる形です。トイレ改修に使えると書いてある情報を見かけたら、別の制度と混ざっています。
東京都内でも、区市町村ごとに高齢者向けの住宅改修助成を持っているところがあります。名称も金額も自治体で違うので、お住まいの区市町村の高齢者福祉の窓口で確認してください。
大阪市の補助金制度
高齢者住宅改修費給付事業:工事費の一部補助(上限20~50万円程度)
対象者:65歳以上の高齢者世帯
神奈川県・川崎市の補助金制度
高齢者住宅改造費助成事業:身体機能低下に対応したバリアフリー工事が対象
3. 国の補助金制度
みらいエコ住宅2026事業(国土交通省)は、節水型トイレも対象に入っています。額は31,500〜34,500円/箇所です。
ただしトイレだけでは1円も出ません。この事業は「トリガールーム(外に面した開口部のある1つの居室)で、あらかじめ定められた組み合わせの断熱改修=要件化工事を行うこと」が条件で、設備の補助はそこに上乗せする形になります。給湯器などの設備をいくつ足しても、要件化工事がなければ対象外です。
1戸あたりの補助上限は築年と改修の水準で4段階あります。平成3年以前の住宅を義務基準まで改修したときが100万円/戸、次世代省エネ基準なら50万円/戸。平成4年〜平成28年築ならそれぞれ80万円/戸・40万円/戸です。申請は登録事業者が代行する形で、施主本人は申請できません。
和式トイレの洋式化工事にかかる費用
補助金制度を活用する前に、実際の工事費用の相場を把握することが重要です。
工事費用の相場
全体的な相場:30万円~80万円程度
工事内容別の費用目安
パターン1:便器交換のみ(現地周辺工事は最小限)
最もシンプルな工事方法:
- 洋式便器本体:15,000円~100,000円
- 取り外し・設置工事:30,000円~50,000円
- 配管調整・接続:10,000円~20,000円
合計費用の目安:55,000円~170,000円
パターン2:便器交換+内装工事(床・壁の張り替え)
衛生面と清潔感を重視した工事:
- 洋式便器本体:20,000円~80,000円
- 便器交換工事:40,000円~60,000円
- 床の張り替え:30,000円~80,000円
- 壁のクロス貼り替え:20,000円~50,000円
- 手すりの設置:20,000円~40,000円
合計費用の目安:130,000円~310,000円
パターン3:床の段差解消+配管移設を含む
バリアフリー重視の大規模改修:
- 洋式便器本体:50,000円~150,000円
- 便器交換工事:50,000円~80,000円
- 給排水管移設工事:100,000円~200,000円
- 床の張り替え・段差解消:80,000円~150,000円
- 手すり・介助バーの設置:30,000円~60,000円
- 内装仕上げ:30,000円~80,000円
合計費用の目安:340,000円~720,000円
汲み取り式トイレから洋式トイレへの改修
汲み取り式(浄化槽未対応)トイレの場合、下水道への接続工事が必要になり、費用が大幅に増加します:
- 浄化槽の新設または処理:300,000円~800,000円
- 配管工事:150,000円~300,000円
- 洋式便器および工事:100,000円~200,000円
合計費用の目安:550,000円~1,300,000円
和式トイレの洋式化のメリット
メリット1:利用者の身体負担が大幅に軽減
和式トイレは、利用者が深くかがむ必要があり、高齢者や足腰が弱い方にとっては、非常に危険です。洋式トイレなら座る動作で済むため、身体への負担が圧倒的に少なくなります。
メリット2:転倒・転落のリスク低減
和式トイレ使用時の転倒・転落事故は、高齢者の重大な怪我につながる可能性があります。洋式トイレは安定性が高く、手すりの設置により、さらに安全性が向上します。
メリット3:介護者の負担軽減
利用者がトイレを使用する際に、介護者が手助けする必要がある場合、洋式トイレなら立った状態でサポートできるため、介護者の腰痛などの職業病リスクが減ります。
メリット4:清潔感と衛生面の向上
洋式トイレは、和式トイレよりも清潔に保ちやすく、介護が必要な方の場合、排泄物の清掃も容易になります。
メリット5:高齢者の自立度の向上
洋式トイレへの改修により、トイレの利用がしやすくなることで、利用者の自立度が向上し、心理的な満足度も高まります。
和式トイレの洋式化のデメリット・注意点
デメリット1:初期投資が必要
補助金を活用しても、最終的には利用者負担が発生します。汲み取り式からの改修の場合、特に費用が高くなります。
デメリット2:電気代の増加
温水洗浄便座や暖房便座は電気を消費するため、毎月の電気代がわずかに増加します。
デメリット3:故障時の修理費用
洋式トイレは複雑な機械部品を含むため、故障時の修理費用がかかる場合があります。
トイレ改修補助金申請時の注意点
重要:工事着手前の申請
介護保険の住宅改修費支給を受ける場合、必ず工事着手前に市区町村へ申請する必要があります。工事後の申請は対象外になるため、注意してください。
ケアマネジャーへの相談
既に要介護認定を受けている場合、ケアマネジャーに相談すると、申請手続きやリフォーム業者の紹介を支援してくれます。
複数の補助金制度の併用
介護保険の補助金と自治体の補助金を組み合わせることで、より大きな補助を受けられる可能性があります。市区町村の担当課に相談してください。
認定業者の選定
介護保険対象工事は、市区町村が認定した業者による施工が必須の場合があります。事前に確認してください。
業者を選ぶときに、確かめられること
和式から洋式への改修は、補助金の手続きと工事が同時に動きます。介護保険の住宅改修は工事の前に申請するのが原則なので、見積もりの出方がそのまま申請のしやすさになります。
確かめられるのは、この3つです。
- 工事費の内訳が項目ごとに出るか:申請には内訳が要ります。「一式」でしか出ない見積もりは、そのままでは使えません
- 着工前に見積書と図面・写真をそろえてもらえるか:市区町村へは工事の前に出します
- ケアマネジャーと直接やりとりしてもらえるか:住宅改修が必要な理由書はケアマネジャーが書きます
相談の順番は、まずお住まいの市区町村の介護保険担当課とケアマネジャーです。そのうえで便器の交換そのものにいくらかかるかを別に見積もっておくと、改修一式の金額を確かめる物差しになります。
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