ガスコンロIH変更の費用・工事を徹底解説!相場・メリデメ・注意点まで
この記事を読むと分かること
- ガスコンロからIHへの変更に必要な3種類の工事と、それぞれにかかる費用の全体像
- IHへの変更で得られるメリット・デメリットのバランスがとれた判断基準
- 賃貸・マンションでIH変更を検討している方が押さえるべき許可・手続きの注意点
ガスコンロからIHへの変更とは?まず全体像を把握しよう
「そろそろキッチンをスッキリさせたい」「火を使わず安全に調理したい」「子どもや高齢の家族がいる家庭なので、ガスのリスクをなくしたい」——そんな理由から、ガスコンロからIHクッキングヒーターへの変更を検討している方が近年増えています。しかし、いざ費用を調べてみると「機器代だけで済むと思っていたら、電気工事が必要と言われた」「業者によって見積もりが全然違う」ということもあります。
この記事では、ガスコンロからIHへの変更に必要な工事の種類、それぞれの費用相場、IH化のメリット・デメリット、そして賃貸やマンションにお住まいの方への重要な注意点まで、一通り解説します。
まず大前提として知っておいてほしいのは、「ガスコンロからIHへの変更」は単純な機器の付け替えではないということです。IHクッキングヒーターは200V(単相200V)の電力を必要とする家電製品です。一般家庭のコンセントは100Vが標準のため、多くの場合「200V専用の電源工事」が別途必要になります。これを知らずに見積もりを依頼すると、後から追加費用が発生して驚いてしまうことがあります。
本体代と工事費を合計すると、ケースによっては30万円を超えることもあります。それでもIHへの変更を決断する方が増えているのには、それだけの理由があります。以下で詳しく解説します。
IH変更に必要な3つの工事
ガスコンロからIHへの変更には、大きく分けて以下の3つの工事が関わります。それぞれの内容と費用目安を順番に見ていきましょう。
①IHクッキングヒーター本体の取り付け工事
まず行うのは、既存のガスコンロを撤去し、IHクッキングヒーターをシステムキッチンに組み込む工事です。ビルトインタイプ(システムキッチンに埋め込むタイプ)の場合、据置タイプとは異なり、天板の開口部にぴったり収まるようにキャビネットに組み込む作業が必要です。
ビルトインタイプの取り付け工事費は、業者と現場の条件で変わります。既存のガスコンロとIHのサイズが大きく異なる場合や、天板に加工が必要な場合は追加費用がかかることもあります。
なお、ガスコンロを撤去した後のガス管の閉止処理も同時に行う必要があります。これはガス会社または指定のガス工事業者が対応します。費用がかかるかどうかはガス会社や業者で違うので、事前に確認しておきましょう。
②200V電源工事(単相200V回路の増設)
IHクッキングヒーターを動かすには、200Vの専用回路が必要です。一般的な住宅では、分電盤から200V回路を新たに引き出し、キッチン近くにIH専用コンセントを設置する電気工事が必要になります。
この工事は電気工事士の資格を持つ業者しか施工できません。費用は、キッチンから分電盤までの距離や配線方法によって変わります。戸建て住宅で分電盤がキッチンから遠い場合や、床下・天井裏を通す大掛かりな配線が必要な場合は、費用が上がります。
マンション(集合住宅)の場合は、電力会社との契約変更が必要なケースもあります。いまの契約アンペアが小さい場合は、契約の変更が必要になることがあります。手続きと費用の有無は、契約している電力会社に確認しましょう。
また、「IHは200V必要なんでしょ?うちのマンションって大丈夫なの?」と不安に感じる方も多いですが、建物に引き込まれている電気の容量は建物ごとに違います。業者に現地確認を依頼し、管理会社にも確かめるのが確実です。
③ガスの閉栓手続き
IHに変更した後、ガスを全く使わなくなる場合(たとえば給湯器や暖房もすべて電気にするオール電化への移行)はガスの閉栓手続きが必要です。一方、給湯器や暖房など他の用途でガスを引き続き使う場合は、コンロへのガス管だけを閉止(栓をする)処理を行います。
ガスの閉止処理はガス会社が無料で行ってくれる場合がほとんどですが、業者によっては有料のケースもあるため、事前に確認しておきましょう。ガス会社への連絡は、工事前に済ませておくとスムーズです。
ガスコンロからIHへの変更費用の相場
費用の全体像を把握するために、各工事の費用とトータルのシミュレーションを整理してお伝えします。
IHクッキングヒーター本体の価格帯
IHクッキングヒーターの本体価格は、口数(IH2口+ラジエントヒーター1口の3口タイプ、IH3口タイプなど)・天板・機能によって大きく異なります。メーカーの希望小売価格だけでなく、業者の工事費込みの価格で比べましょう。
据置タイプ(卓上IH)はビルトインより安価で、100Vのものなら工事不要でコンセントに差し込むだけで使えますが、火力や機能はビルトインに劣ります。本格的なキッチンリフォームを意識するなら、ビルトインタイプを選ぶのが一般的です。
電気工事費の相場
200V専用回路の増設工事費用は、配線距離や建物の構造によって変わります。次の条件で上がるので、現地調査のうえで見積もりを取りましょう。
- 分電盤からキッチンまでの距離が長い
- 床下・天井裏を通す配線が要る
- 分電盤の交換や、契約アンペアの変更が必要になる
トータル費用シミュレーション
費用の組み立て方を、仮の数字で示すと以下のようになります(見積もりの相場ではありません。実際の金額は機種・建物・業者で大きく変わります)。
ケース①:マンションでスタンダードモデルに交換する場合
- IHクッキングヒーター本体:8万円
- 取り付け工事費:1.5万円
- 200V電源工事費:3万円
- 合計:約12.5万円
ケース②:戸建てで高機能モデルに交換する場合
- IHクッキングヒーター本体:20万円
- 取り付け工事費:2万円
- 200V電源工事費:5万円
- ガス閉止工事費:0〜1万円
- 合計:約27〜28万円
「思ったより高い…」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは主に200V電源工事が加わるためで、本体価格だけで見積もっていると後から驚くことになります。最初から工事費込みの合計額で比較することが大切です。
IHへの変更で生まれる4つのメリット
費用を知ったうえで、それでも多くの方がIHへの変更を決断するのには理由があります。IH化の主なメリットをご紹介します。
①安全性の大幅な向上
IHクッキングヒーターは直接の炎がありません。ガスコンロのように「着火忘れ」「立ち消え」「火が服に引火」といったリスクがなく、小さなお子さんやご高齢の方がいるご家庭でも安心して使えます。
また、消し忘れ防止機能(自動オフ機能)が標準搭載されているモデルが多く、空焚き検知や油温センサーなど安全機能が充実しています。認知症の方や高齢者が一人で生活している場合の火事リスクを大きく低減できるという点でも、IH化を選択するご家庭が増えています。
②掃除のしやすさ
ガスコンロには五徳(ごとく)やバーナーキャップがあり、油汚れや吹きこぼれが溜まりやすく掃除が大変です。一方、IHはフラットな天板なのでサッと拭くだけでキレイになります。毎日の家事を少しでも楽にしたい方にとって、これは非常に大きなメリットです。
五徳やバーナーキャップを外して洗う手間がなくなるのは、毎日のことなので効いてきます。
③正確な温度調整が可能
IHは電磁誘導によって鍋そのものを発熱させるため、火力を段階の数字で設定でき、同じ加減を再現しやすいのが特長です。温度センサー付きのモデルなら、煮詰めすぎや焦げ付きも起きにくくなります。
特にお菓子作りや、繊細な火加減が必要なソース類の調理では、IHの恩恵を感じやすいと言われています。温度キープ機能が付いたモデルであれば、一定の温度をずっと維持できるため、チョコレートのテンパリングなどの作業も格段にやりやすくなります。
④光熱費管理のシンプル化
ガスと電気を一本化することで、光熱費の管理がシンプルになります。ただし、給湯器などでガスを使い続ける場合は、ガスの基本料金はなくなりません。ガスの契約をやめてオール電化にした場合に限り、ガスの基本料金がかからなくなります。電気とガスのどちらが得になるかは、契約しているプランと使い方で変わります。
IHへの変更で知っておくべき4つのデメリット
IHへの変更には良い点だけでなく、事前に知っておくべきデメリットもあります。これを知らずに変更してしまうと、後悔することにもなりかねません。正直にお伝えします。
①IH対応の鍋しか使えない
IHは電磁誘導によって加熱するため、鉄やステンレスなど「磁性体」を含む鍋しか使えません。アルミ製の鍋や銅製のフライパン、一部のガラス製品はIHに対応していないため、使えなくなります。
つまり、手持ちの鍋・フライパンをすべて買い替えなければならないケースもあります。長年愛用してきたアルミの雪平鍋や銅製のフライパンを手放すのは、料理好きの方には痛手になるかもしれません。
IHに変更する際は、手持ちの調理器具がIH対応かどうかを事前に確認しておくことが重要です。対応していない鍋がある場合は、その買い替え費用も総費用に含めて考えましょう。
②「鍋振り」ができない
プロの料理人が行うような、鍋を持ち上げてフライパンを振る調理法(炒め物など)は、IHでは基本的にできません。IHは鍋が天板に接触している状態でのみ加熱されるため、鍋を離すと加熱が停止してしまいます。
中華料理や炒め物が好きな方、本格的な料理を楽しみたい方には、この点が大きなストレスになることがあります。
炒め物が多い家庭では、この点を特に慎重に検討する必要があります。
③初期費用が高い
前述の通り、IHへの変更には本体価格に加えて200V電源工事費が必要なため、初期費用は少なくとも10万円以上かかります。給湯器の交換費用と比べても決して安くはなく、「元を取れるか」という観点での検討が必要です。
初期費用を光熱費で取り戻せるかは、ガスの契約を続けるかどうか、生活スタイルや電気料金プランによって異なります。長期的な視点でコストを考えることが重要です。
④停電時に使えない
IHは電力で動くため、停電時には調理できなくなります。ガスコンロであれば停電時でも点火して使えますが、IHはその逆です。自然災害の多い地域にお住まいの方や、万一の備えを重視する方にとっては、この点は慎重に考える必要があります。
賃貸・マンションでのIH変更:必ず確認すべき注意点
賃貸物件にお住まいの方や、分譲マンションにお住まいの方は、IH変更にあたって特有の注意点があります。このポイントを確認せずに工事を進めると、大きなトラブルに発展することがあります。
賃貸物件の場合:必ずオーナー・管理会社に確認を
賃貸物件では、設備の変更は原則として貸主(オーナー・管理会社)の許可が必要です。IHへの変更工事は、ガス管の閉止や電源工事を伴うため、「原状回復義務」の観点から問題になることがあります。
無断で工事を行った場合、退去時に原状回復費用を全額請求される可能性があります。また、ガス会社の設備に対する変更はガス会社への届け出も必要です。
賃貸でIHを検討している場合は、まず管理会社やオーナーに相談し、書面で許可を得てから工事を進めることを強くおすすめします。「言った・言わない」のトラブルを避けるため、許可は口頭ではなく書面(メールでも可)で残しておくことが重要です。
分譲マンションの場合:管理規約の確認と管理組合への申請
分譲マンションでは、管理規約でリフォームの範囲や工事の方法が定められていることがほとんどです。ガス管に関わる工事や、電気系統に大きな変更を加える工事は「専有部分の改修工事」として、管理組合への届け出・承認が必要なケースがあります。
また、IHへの変更でオール電化を目指す場合は、建物全体の電力容量に関わる問題が生じることもあります。マンションによっては「IH可」「オール電化不可」という規定がある場合もあるため、管理規約や管理組合の規定を事前によく確認し、必要に応じて申請手続きを踏みましょう。
承認までの期間はマンションごとに違うので、工事の日程は承認が出てから決めましょう。工事を急いでいる場合でも、正規の手続きを経ることが大切です。
業者選びで失敗しないための3つのチェックポイント
費用が高額になるからこそ、業者選びは慎重に行う必要があります。以下の3つのポイントを必ず確認してください。
①電気工事士の資格を持っているか
200V電源工事は、「第一種または第二種電気工事士」の資格を持つ業者しか施工できません。資格のない業者が施工した電気工事は、法律違反であるだけでなく、漏電・火災などのリスクがあります。「IHの取り付けもやります」と言っている業者が、電気工事の資格を持っているかどうかを必ず確認しましょう。
施工業者に「電気工事士証の提示をお願いできますか?」と尋ねることは、当然の権利です。信頼できる業者であれば快く提示してくれるはずです。
②見積もりの内訳を細かく確認する
「本体代+工事費込み○万円」という一括表示の見積もりは、後から「電源工事は別途」「ガス閉止費用は別」などと追加費用を請求されるケースがあります。見積もりの内訳を細かく確認し、何が含まれていて何が含まれていないかを事前に明確にしておくことが重要です。
特に電源工事の有無、ガス閉止工事の費用、古いコンロの処分費用、工事後の保証内容については、必ず書面で確認しておきましょう。
③アフターフォロー体制が整っているか
IHクッキングヒーターは精密家電であり、工事後に不具合が生じる可能性もゼロではありません。施工後の保証期間や、問題が起きた場合の対応窓口が明確になっている業者を選びましょう。メーカー保証とは別に、工事に対する保証があるか、期間と対象を書面で確かめておきましょう。
「10年保証」を謳っている業者も多いですが、年数だけでは比べられません。対象が部品代・出張費・工賃のどこまでか、引き受けるのがメーカーか業者か、を確かめましょう。業者が独自に付ける保証は、その業者が残っていることも前提です。
まとめ:IH変更を賢く進めるために
ガスコンロからIHクッキングヒーターへの変更は、安全性・清潔さ・温度管理のしやすさなど多くのメリットがある一方、初期費用の高さ・対応鍋の買い替え・鍋振りができないといったデメリットも存在します。これらを理解したうえで判断することが大切です。
費用の相場をあらためてまとめると、以下の通りです。
- IHクッキングヒーター本体:口数・天板・機能で大きく変わる
- 取り付け工事費:天板の加工が要るかで変わる
- 200V電源工事費:分電盤からの距離と建物の構造で変わる
- 比べ方:本体価格だけでなく、工事費込みの総額で比べる
「思ったより費用がかかる」と感じた方も多いかもしれません。IHにするか迷っているなら、ガスコンロのまま新しい機種に交換した場合の総額も並べて比べると判断しやすくなります。
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